お待たせしました。
【象】
ねんいりに気象予報士くず湯溶く
雨降れば破蓮めく象とゐる
空つ風まづは駆け寄る象の柵
小春日のゆっくり進む象の列
象の耳はたりはたりと雪来るか
冬ざれの象の視線に男の子
冬の象日記にいっぱいしっぽと川
凍天や有象無象のひとりなり
父母の夜寒に食べる象の神
武蔵野に象のはな子や銀杏散る
【印】
印影のにじんでゐたる雪もよひ
印画紙を暗きに吊りて冬休
印鑑ごと家族へ兎のありにけり
印刷の布団の濡らす男かな
印象派新印象派白ショール
羽子板市印し半纏父と兄
鯛焼の列に加はる印度人
短日の廊下に模写の印象派
矢印に沿って歩めば冬の海
烙印のごとくにポインセチア置く
【魔】
おほいなるグスタフの魔羅去年今年
クリスマス魔女の宅急便来たる
ふはふはと魔女の差し出す冬林檎
やけくその魔球の告げる夜寒です
一月の私と夢みる黒魔術
枯野から逢魔が刻が迫り来る
邪魔なもの一切無くて山眠る
純愛の魔王と魔女や龍の玉
小悪魔と言はれし人のちゃんちゃんこ
魔女狩りのための金属天地凍つ
【法】
しぐれがちなる法廷のスケッチ画
弔ひに法被の人や冬日和
長老の魔法の杖や天狼星
冬の夜の六法全書から煙
冬の蠅寂聴法話の人の輪に
白鳥の私へ思う影法師
発声法たしかめてから年忘
法の下に異邦人も未亡人も師走
法律の最後に睨む顔の神
本名は神田法子や竃猫
【瓶】
あつけらかん瓶と兜太や時雨来る
ばらまいている瓶詰の冬の星
牛乳瓶ひよこの足りない鶴に父
空瓶をくぐつてきたる冬日かな
水瓶座とだけ答えて毛糸編む
短日の何も挿ざさる花瓶かな
冬籠る昔ながらの魔法瓶
瓶詰めの開かぬままなりクリスマス
木枯の岬へ告げる火炎瓶
老酒のやうに瓶ごと熱きもの
【当季雑詠】
Uターン禁止のひろば黄落す
ひび割れる音降り注ぐ寒の月
月蝕の終はるにつれて着膨れる
狐火と帽子を夢みる寝入りばな
指のなき手袋に指そして爪
手のひらの社会を増える木の葉髪
手袋の闇に十指を納めけり
上質の皮手袋に招かるる
雪来るか引き込み線の列車音
腹帯に眠る赤子や冬支度
夜の匂い纏い夜廻終えにけり
裏声で迎へてゐたる寒波かな
(以上)
10句選(特選、逆選なし)
選句締切:12月14日(水)24時(JST)
投稿先:恒信風句会
http://koshinfu.blogspot.com/
題に関わらず全体から10句選にてお願い致します。
整理の都合上、句の順番はそのままにして下さい。
投句一覧へのコメントとして、投稿して下さい。その際、名前/URLというのを選択して、俳号もしくはご本名を入力して下さい。URLは入れなくてよいです。なお、右側の「最近のコメント」という欄は反映するのに時間がかかるようです。
ではよろしくお願い致します。
○象の耳はたりはたりと雪来るか
返信削除ダンボの耳かしらん。雪来るかというハードボイルドタッチな言い振りがなにやら可笑しい。
○冬ざれの象の視線に男の子
冬ざれと象ってなんかじんとしちゃうな。男の子は無垢な眼をしていたことだろう。
○印影のにじんでゐたる雪もよひ
とても予定調和的ではあるけれど、ここまですとんと嵌ってくれれば、これはアリかと。
○矢印に沿って歩めば冬の海
この海は日本海であって欲しい。決して力士ではないのである。
○小悪魔と言はれし人のちゃんちゃんこ
私のイメージする小悪魔は何といっても加賀まりこ。加賀まりこのちゃんちゃんこ姿、愛しいな。
○しぐれがちなる法廷のスケッチ画
法廷のスケッチ画、いいところに目を付けた感じひしひし。確かにしぐれがちかもしれない。
○あつけらかん瓶と兜太や時雨来る
この瓶は尿瓶と思う。最近大きな手術をされたらしいが、早い快復を祈念しております。
○Uターン禁止のひろば黄落す
歩行者天国だろうか。都会のさらっとしたスケッチ。
○上質の皮手袋に招かるる
うむ。招かれたいものだす。
○裏声で迎へてゐたる寒波かな
裏声になりますわなそりゃ。冬将軍を迎えるときはだみ声かもしれない。
○小春日のゆっくり進む象の列
返信削除どこか暑い国の童話の絵本のような。そういえば、列をなすほどの数の象は実景として見たことがないなあ。
○武蔵野に象のはな子や銀杏散る
井の頭公園ですね。確かすごい長寿で、子どもの頃見たのがまだ生きているのです。
○印画紙を暗きに吊りて冬休
ものほしみたいのからぶら下げるのですよね。「冬休」よりいい季語があるような気もします。
○鯛焼の列に加はる印度人
「印度人もびっくり」の鯛焼きなのでしょう。
○矢印に沿って歩めば冬の海
なんか自殺の名所みたいだなあ。
○小悪魔と言はれし人のちゃんちゃんこ
あの小悪魔も還暦なのでしょうか。
○魔女狩りのための金属天地凍つ
魔女狩りというとレの字を裏返したような丈の長い鎌を思い浮かべますが、「金属」とただ言ったところと、「天地凍つ」がいいですね。
○本名は神田法子や竃猫
仮の名は「聖子」ですね。そういう竃猫なのでしょう。
○水瓶座とだけ答えて毛糸編む
血液型とか星座とかに興味を持ち始めた娘に訊かれたお母さんという風情があります。
○上質の皮手袋に招かるる
この招いた人が眼中にない冷徹さがいいですねえ。
○ねんいりに気象予報士くず湯溶く
返信削除気象予報士の雰囲気がでているなぁと思いました。
○冬ざれの象の視線に男の子
象からの視線だというところに新鮮味を感じました。
○冬の象日記にいっぱいしっぽと川
子供の絵らしいシュールな感じが良いですね。
○武蔵野に象のはな子や銀杏散る
はな子!まだ元気なのでしょうか。
○鯛焼の列に加はる印度人
印度の人は適応力がありそうです。
○小悪魔と言はれし人のちゃんちゃんこ
いつまでもキュートな人なのでしょう。
○冬の夜の六法全書から煙
勉強のしすぎです。
○水瓶座とだけ答えて毛糸編む
自分が勝手に抱いている水瓶座の性格のイメージとあっていました。
○冬籠る昔ながらの魔法瓶
シンプルイズベストですね。
○上質の皮手袋に招かるる
さからえない感じがありますね。
○冬ざれの象の視線に男の子
返信削除象の視線がうまいです。
○印画紙を暗きに吊りて冬休
こういう冬休みもありですね。
○矢印に沿って歩めば冬の海
ありそうです。
○枯野から逢魔が刻が迫り来る
雰囲気あります。
○あつけらかん瓶と兜太や時雨来る
海程同人として挨拶句としていただきました。術後順調に回復されているご様子です。
○空瓶をくぐつてきたる冬日かな
いい感じです。
○冬籠る昔ながらの魔法瓶
帰郷したとき奥から発掘し使ったこと思い出しました。どのご家庭にもありあそう。
○瓶詰めの開かぬままなりクリスマス
ご馳走最中「瓶詰め」を意識しているところが面白いです。
○ひび割れる音降り注ぐ寒の月
寒の月光にある硝子感がでています。
○裏声で迎へてゐたる寒波かな
「おーさぶー。きたきたー。」という感じでしょうか。
亜紀選
返信削除○ねんいりに気象予報士くず湯溶く
何故か説得力のある景ですね。
○短日の廊下に模写の印象派
季語が効いていますね~。
○烙印のごとくにポインセチア置く
印象的な赤です。
○小悪魔と言はれし人のちゃんちゃんこ
可愛らしいです。w
○しぐれがちなる法廷のスケッチ画
思わぬところに句材があるものですね。
○弔ひに法被の人や冬日和
景がよく見えます。
○水瓶座とだけ答えて毛糸編む
自分のことを言われたのかと思わずぎょっとしました(笑)。
○指のなき手袋に指そして爪
ズームアップしてゆく詠み方が面白いです。
○手袋の闇に十指を納めけり
きっちり詠まれていますね。
○裏声で迎へてゐたる寒波かな
裏声といわれれば確かに。
冬の象日記にいっぱいしっぽと川
返信削除○どこを重点的に見ていたんでしょう。一頭の象にいっぱいしっぽがあったらそれはそれでちょっと怖いかも。
印画紙を暗きに吊りて冬休
○冬休みの宿題ではなく、好きでやっていることなんでしょう。どんな写真が撮られているんだろうといろいろ想像してしまいます。
短日の廊下に模写の印象派
○印象派の模写ってのがいいです。
邪魔なもの一切無くて山眠る
○なんだかとても健やかな感じがしてしまいます。雪に覆われた山の静けさを思います。
空瓶をくぐつてきたる冬日かな
○柔らかな冬日が更にぼんやり感を増している。空瓶もほんのり暖まっていそう。
水瓶座とだけ答えて毛糸編む
○星座を聞いた人の「ふう~ん」という素っ気無い返事まで聞こえてきそうです。話す事も特になくといった感じがいい。
瓶詰めの開かぬままなりクリスマス
○なんの瓶詰めかわかりませんが、クリスマスのうんと前から開かないままあった瓶詰めのようにも思えます。
月蝕の終はるにつれて着膨れる
○いやあ、確かに寒かった。夜中に見ているという感じがよくでています。
指のなき手袋に指そして爪
○当たり前なんだけど、こういわれると確かにと改めて思う。
裏声で迎へてゐたる寒波かな
○思わず声が裏返ってしまったんでしょう。寒波を迎えるというのがいい。
●雨降れば破蓮めく象とゐる
返信削除破蓮を見ていてアフリカ象の大きい耳を思った。
老いたアフリカ象の耳が裂けたらと破蓮を思った。
そして、氷雨の中に耳は破蓮のような象を置くシュールな絵が出来上り。
●空つ風まづは駆け寄る象の柵
北風小僧が動物園にやって来た。
寒い日。恋人のカップルは熱い国から来た象を見に。
どっちみち、象にとっては、見られるのは、寒さに耐えることで。
●象の耳はたりはたりと雪来るか
ここにも象の悲哀が。「雪来るか」の余韻が辛い。
●武蔵野に象のはな子や銀杏散る
遠い異国に連れて来られた象、落葉の次に待っている寒さ。嗚呼。、
●烙印のごとくにポインセチア置く
クリスマスの飾りのダメ押しはなんといっても強烈な赤い鉢。
●冬の夜の六法全書から煙
難しい法律の冷たい本には火を噴く事例がびっしり。煙も立つわけ。
●ばらまいている瓶詰の冬の星
そうです。缶詰ではなく瓶詰。惜しみなく夜空へ。
●短日の何も挿ざさる花瓶かな
季語が合っています。 豪華な絵付けの花瓶だけって、何故か美輪明弘が浮かんだ。
●冬籠る昔ながらの魔法瓶
兼題の一部をそのまま、詠むとは、なんという大胆不敵。
●雪来るか引き込み線の列車音
この季語にも、中七、座五の音の効果にも、じんと来るものが。
訂正。美輪明弘は間違い。明宏でした。すみません。
返信削除空猫選
返信削除○武蔵野に象のはな子や銀杏散る
今も戦時中の悲しい記憶が思い出します。
○矢印に沿って歩めば冬の海
誰が書いたのか分からない矢印に、人っ子ひとりいない海。
○やけくその魔球の告げる夜寒です
やけくそがいいですね。僕もボールがあれば投げたいです。
○魔女狩りのための金属天地凍つ
その天地はとてつもなく大きく響いたのでしょうね。
○冬の夜の六法全書から煙
煙とは何の煙なのでしょうか。この後の話が知りたいです。
○発声法たしかめてから年忘
上司には媚びて媚びて媚びまくるぞ!
○あつけらかん瓶と兜太や時雨来る
確かにあっけらかんの兜太です。
○水瓶座とだけ答えて毛糸編む
水瓶座とはおしゃれです。
○Uターン禁止のひろば黄落す
一方通行に思いを募らせ通り過ぎるだけの人生。