大変遅くなり申し訳ありません。
【電】
きさらぎの海が見たくて江ノ電に
リモコンの電池切れなる冬の雲
静電気帯びて如月来たりけり
電車から見るだけの道すこし春
電線にフォルティッシモの寒雀
平泳ぎ自由電子とカエルかな
立春や電子レンジで十五分
立春や電線の鳩寄り添いて
露地の恋猫はだか電球こうこう
朧夜のどこかで唸りだす家電
【子】
かぴかぴの亀の子束子春の雪
サイズのみ子供用なり春コート
はじめから歩く子のゐる春野かな
ファックスの親機も子機も春埃
ロケバスに眠る子役と仔猫かな
細密な分子模型や地虫出づ
子と親とまたその親と木の芽和
七匹の子を抱く犬や冬北斗
赤子のおっぱいうららうららのおっぺけぺん
電子音眼鏡の縁だけ光らせて
【書】
右寄りに書く短冊の余寒かな
観察の対象として春の司書
古書店に夫見失ふ冬日和
冴返る書庫には書庫の掟あり
参考書閉ぢていよいよ大試験
春が来て文庫カバーの書店なし
春寒の書き損じたる葉書かな
書を捨てて街に出て来し雪をんな
書を捨てて行く当てもなく蜜柑食う
淡雪の空にやわらか手紙書く
鶯を鳴かせるための入門書
【籍】
一家みな国籍ひとつ水仙花
戸籍から抹消されし返り花
戸籍簿の硬き癖字や辛夷の芽
国境も国籍もなく鳥交る
在籍の選手名鑑春立ちぬ
春来る漢籍一巻梳る
入籍の窓口灯る余寒かな
入籍を終えて目刺しと別れけり
背を向ける書籍に指掛け誰何する
落籍し同棲五年雪女郎
【当季雑詠】
スギナスギナすくすく育ち権威めく
ハイどうもへんな外人風邪やろか
ぼろきれのやうに二月にたどり着く
外套は千鳥格子の一張羅
杭打ちの動作ゆつくり寒の明
糸巻の引いてとんとん日脚伸ぶ
春めきて在来線でゆく灯台
松過ぎの四十八茶と百鼠
雪女郎どうもあやしいあの泪
大袈裟に日経めくる二月かな
探梅や散歩の犬に新顔が
冬林檎こぼして土の運動場
白く深くあくがれ出づるわたし哉
腹筋の次は背筋霾ぐもり
立春の雲は汚れてゐたりけり
(以上)
10句選(特選、逆選なし)
選句締切:2月9日(土)24時(JST)
投稿先:恒信風句会
http://koshinfu.blogspot.com/
題に関わらず全体から10句選にてお願い致します。
整理の都合上、句の順番はそのままにして下さい。
投句一覧へのコメントとして、投稿して下さい。その際、名前/URLというのを選択して、俳号もしくはご本名を入力して下さい。URLは入れなくてよいです。
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ではよろしくお願い致します。
★きさらぎの海が見たくて江ノ電に
返信削除そういうこともあるでしょう。ここは江ノ電が正解。
★朧夜のどこかで唸りだす家電
電気が通っているもの、何がしか唸るねぇ。
★サイズのみ子供用なり春コート
デザインやお値段は大人なみなんだよね。
★子と親とまたその親と木の芽和
親子三代にわたって木の芽和ってちょっと侘しいかも。
★七匹の子を抱く犬や冬北斗
あったかい。
★古書店に夫見失ふ冬日和
見失う場所がいいね。
★鶯を鳴かせるための入門書
秀吉著。
★国境も国籍もなく鳥交る
どこから渡ってきたのか、確かに鳥って国境も国籍もない。あまりうらやましくないけれど。
★春めきて在来線でゆく灯台
「在来線」で決まり。
★探梅や散歩の犬に新顔が
こういう時って、ちょっとした戸惑いがある。探梅はほどよい感じ。
○リモコンの電池切れなる冬の雲
返信削除冬の雲をリモコンで動かしてた?
○朧夜のどこかで唸りだす家電
冷蔵庫?でしょうか。
○はじめから歩く子のゐる春野かな
ブッダのように。
○細密な分子模型や地虫出づ
生命のメカニズムとその神秘。
○古書店に夫見失ふ冬日和
古書店の迷宮に入り込んでしまった夫。
○書を捨てて街に出て来し雪をんな
あらたな雪をんな像。
○戸籍から抹消されし返り花
返り花の悲しい運命。
○入籍の窓口灯る余寒かな
余寒が意味深。不倫の二人のうしろめたい入籍?
○ぼろきれのやうに二月にたどり着く
二月ですでにぼろきれ。
○腹筋の次は背筋霾ぐもり
霾ぐもりの解釈が難しい。腹筋から背筋に癌が転移したのかも。
●電車から見るだけの道すこし春
返信削除サラリーマンには、春も電車から見るだけ。
●立春や電子レンジで十五分
春もお手軽に来る時代。
●細密な分子模型や地虫出づ
虫もよく見ると実に複雑。
●子と親とまたその親と木の芽和
嗜好も遺伝する。
●観察の対象として春の司書
司書もあなたを見ています。
●一家みな国籍ひとつ水仙花
二十組に一つが国際結婚の時代だからこそ。
●国境も国籍もなく鳥交る
こちらは自然。
●入籍を終えて目刺しと別れけり
と思ったが、やはり食卓には目刺しが。
●スギナスギナすくすく育ち権威めく
元気が好いと皆権威が備わる。
●大袈裟に日経めくる二月かな
大袈裟に、が可笑しい。
○きさらぎの海が見たくて江ノ電に
返信削除きらきらと光る海を見たいですね。
○電車から見るだけの道すこし春
見ているだけなんですが、少し感じる春ですね。
○朧夜のどこかで唸りだす家電
拙宅ではちかごろ炊飯器の音がすごいんです。
○細密な分子模型や地虫出づ
細密だから余計になにか出てきそう。w
○観察の対象として春の司書
ふわっと明るい印象。
○冴返る書庫には書庫の掟あり
そうなんです、それなりにあるんです。
○淡雪の空にやわらか手紙書く
あわあわとして情緒的。
○国境も国籍もなく鳥交る
このように素直になりたいです。
○スギナスギナすくすく育ち権威めく
権威めくが言い得ている。
○大袈裟に日経めくる二月かな
なんか面白い、二月だからかしら。
○静電気帯びて如月来たりけり
返信削除春の訪れ間近なのに、心弾むだけでなく、なんとなく不穏な気分にもなるこの時期、なるほど静電気を帯びていたのか。
○右寄りに書く短冊の余寒かな
「余寒」に余白が重なって、静かな寒さ。
○冴返る書庫には書庫の掟あり
掟とはまたおおげさな、という気もしますが、書庫とはそういう「決まりきっちり」の世界なんでしょう。
○参考書閉ぢていよいよ大試験
春以降の運命や如何に?
○書を捨てて街に出て来し雪をんな
出てきたはいいが、途方に暮れている文学雪おんなの図^^;
○鶯を鳴かせるための入門書
鴬を籠で鑑賞できた頃にはあったのかもしれませんね。今なら、山へ行ってそれを試してみたい。
○入籍を終えて目刺しと別れけり
うふふ、幸せ太りになりそうですね。おめでとうございます。
○ぼろきれのやうに二月にたどり着く
正月からたった一ヶ月、ではなくて、年度末だからかな。それこそ卒業を控えた学生から、決算間際の自営業主まで、青息吐息の二月なのかもしれない。
○大袈裟に日経めくる二月かな
んー……夫婦で気まずい空気になった時の主人側の逃げ方、とか。
○腹筋の次は背筋霾ぐもり
春になるとなにかスポーツしたくなります。いきなりやる前に、念入りに腹筋背筋を鍛えるなんてエライ。
○きさらぎの海が見たくて江ノ電に
返信削除この句を読むと、すぐにでも行きたくなります。
○電車から見るだけの道すこし春
言われてみればそういう道ですね、春を感じるのは。
○電線にフォルティッシモの寒雀
二羽並んで。形的には鶺鴒とか尾長とかだけど。
○ロケバスに眠る子役と仔猫かな
意外な着眼、仔猫もタレントなのでしょう。
○観察の対象として春の司書
新入りの司書の資質を見極める? 怖っ。
○春が来て文庫カバーの書店なし
町の個人書店はどんどん消えていきます。
○鶯を鳴かせるための入門書
江戸時代にはあったかも。
○入籍の窓口灯る余寒かな
あれは休日夜間も受付けるのでしたっけ。
○糸巻の引いてとんとん日脚伸ぶ
調子がよいです。
○大袈裟に日経めくる二月かな
電車の中の光景でしょうね。「二月」よりも「五日」の方がしっくり来るけど、かえってあざといか。
○電線にフォルティッシモの寒雀
返信削除思い切り膨れてる感じがします。
○露地の恋猫はだか電球こうこう
昭和レトロな雰囲気。じんわりきます。
○朧夜のどこかで唸りだす家電
静かな唸りがひそかな自己主張。
○観察の対象として春の司書
あまりじろじろ見ると嫌われてしまいますよ。
○古書店に夫見失ふ冬日和
まあ、いずれ見つかるでしょ、と苦笑混じりに。
○鶯を鳴かせるための入門書
あったら便利そう。
○戸籍簿の硬き癖字や辛夷の芽
早春の肌寒さと硬い文字、良い組み合わせだと思います。
○入籍を終えて目刺しと別れけり
手料理で豊かな食生活を送れますように。
○スギナスギナすくすく育ち権威めく
つくしの頃は可愛かったのに。
○杭打ちの動作ゆつくり寒の明
スローモーションで訪れる春。良いと思います。
○リモコンの電池切れなる冬の雲
返信削除凍雲は、冬空にじっと貼りついて動かない。リモコンの電池切れだ。
○サイズのみ子供用なり春コート
人は、年々、縮んでゆく。
○電子音眼鏡の縁だけ光らせて
電子音の点滅を、とらえるメガネフレーム。
○右寄りに書く短冊の余寒かな
短冊の文字たちも、右に寄り添って余寒にふるえている。
○春寒の書き損じたる葉書かな
春寒に手も震えてしまったか。
○書を捨てて街に出て来し雪をんな
深窓の令嬢が、街にお出ましに。
○一家みな国籍ひとつ水仙花
島国日本の一家。
○戸籍簿の硬き癖字や辛夷の芽
筆画の正しい手書き文字は、ぶっきらぼう。
○国境も国籍もなく鳥交る
いま、気がかりな日中の空中戦。
○春めきて在来線でゆく灯台
のたりのたりは、蕪村の春の海。
遅くなりましてすみません。
返信削除○きさらぎの海が見たくて江ノ電に
意味の世界ではどうということもないのですが、き、ぎ、み、み、に、とi音で調子を整えているあたりに如月感があります。
○静電気帯びて如月来たりけり
こちらもそういう意味ではすごいですね。い、き、び、き、ぎ、き、り、り。如月の魔力というものでしょうか。
○露地の恋猫はだか電球こうこう
裸電球をことさら「はだか電球」と書き、煌々も「こうこう」と書きことによって、なんだか赤裸々な感じがします。
○朧夜のどこかで唸りだす家電
「朧夜のどこか」の母音はooooo、ooa。濁音として、ぼ、ど、だ、で。すさまじい妖気が感じられます。
○子と親とまたその親と木の芽和
爺とか婆とか書かないことによって音数が、こ→おや→またそのおや、とどんどん増えていく快感がありますね。木の芽和を食べる側ではなく、木の芽和の中身なのかも知れません。
○観察の対象として春の司書
ストーカー俳句ですね。美しい司書なのでしょう。
○古書店に夫見失ふ冬日和
古書店と見ると見境もなく入って行ってしまうようなご主人なのですね。
○在籍の選手名鑑春立ちぬ
『週刊ベースボール』とか、その手のものですね。そんなところからスポーツファンは春を感じるのかも知れません。
○入籍を終えて目刺しと別れけり
二人で目刺を食べることになるだけだと思います。
○春めきて在来線でゆく灯台
わざわざそういうからには、新幹線も併走していて選択肢としてあり得るのでしょうか。それとも途中までは新幹線であるところから在来線でしか行けないのということなのでしょうか。ことさらに「在来線」と詠み込んだのが手柄だと感じます。
遅くなってしまい、すみません。
返信削除○リモコンの電池切れなる冬の雲
夏だと腹が立つようなものでも、冬だと、そういうものか、と納得してしまうんですかね。
○静電気帯びて如月来たりけり
2月1日に静電気が来たら、そうなんでしょう。
○電線にフォルティッシモの寒雀
単調な電線の連続の中で、雀を見つけたらちょっといい気分になりますよね。
○サイズのみ子供用なり春コート
最近は特にそうみたいですね。
○古書店に夫見失ふ冬日和
これは、旦那さんが目に入らないほど古書に熱をあげる奥様の句なんですかね。
○右寄りに書く短冊の余寒かな
寒くて縮こまるのは身体だけではないようです。
○観察の対象として春の司書
春にはよくあらわれると言いますし。
○春寒の書き損じたる葉書かな
冒頭と同様、どの季節にある行為でも、その季節によって感じ方に変化があるものですね。
特に書き損じには春寒がいい。
○戸籍から抹消されし返り花
もし、そういう出会いがあるならば、それは帰り花を見つけるようなことなのでしょう。
そのままですが、花で喩える感じがいい。
○ぼろきれのやうに二月にたどり着く
寒い時は、日に〝耐える”という言葉が合いますね。それでも、やっとたどり着いた二月はさらに厳しい冬なのですが。