2011年12月26日月曜日

文章読本句会・投句一覧

大変お待たせしました。

【文】
ふくろふの文字なき知恵のまなこかな
懸想文売にまなこを覗かれる
文化鍋文化包丁雪催
文学のはじめの一歩ぼたん雪
文学の森の入り口空つ風
文飾に手間取る句作狸罠
文明堂のカステラ提げて年の暮
母の呪文風邪薬より利きさうで
竜の玉摘む文学部哲学科
恋文と思えない文冬苺

【章】
フィナーレの第四楽章聖夜劇
往年の名古屋章や神渡
校章の星のかたちの凍ててをり
歳末の終章の声一万人
章を断つ記号のやうに石蕗の花
章魚釣りの師匠に師匠おでん酒
第一章にほひ桜の咲きにけり
日章旗立てる綿入引っ掛けて
背広から外す記章やクリスマス
腕章のような恋人北風の中

【読】
くつくしやみ運勢占ひ立ち読みし
クリスマスカードに読めぬ文字二つ
つん読に果てしを眺め年の夜
雨の夜の海鼠は耳を読みにけり
熟読の白セーターの息しずか
短日の読まずに閉づる文庫本
冬至かな読経とどろく海の底
読みさしの本に挟まれお年玉
読み耽る雨ふり変はる雪の町
黙読の少女冬日に包まれて

【本】
でたらめに本堂の煤払ひけり
絵ばかりの大人の絵本暖炉燃ゆ
極月のパンのかたちに本厚し
古本の漫画全集冬ぬくし
息白く本日のオススメを言う
読みかけの本をならべて日向ぼこ
本当は旨い話の河豚の鍋
本番が近付いている寒昴
本番になだれこみたる聖夜劇
落葉焚本音を言つて淋しかる

【当季雑詠】
まん丸の皮を撫でゐる柚子湯かな
宇宙から還り葉牡丹の重さ
何事もなかつたやうに年の暮
外套の裾が地面についている
銀杏舞うむだなプライド飛ばします
行く年や人といふ字の支へ合ふ
着膨れて分厚き本を選りにけり
冬空を裂き羽ばたける黒きもの
動かせば聖樹の香り立ち上がる
熱燗のまことにあつく溢しけり
飛び立つこともわたしの一部冬の虹
表1の集める冬の灯しかな
風花や錆の匂ひの船溜り
睦みつつふくら雀となりにけり
絨毯のしみ泣きぼくろかも知れぬ

(以上)

10句選(特選、逆選なし)
選句締切:12月29日(木)24時(JST)
投稿先:恒信風句会
http://koshinfu.blogspot.com/

題に関わらず全体から10句選にてお願い致します。
整理の都合上、句の順番はそのままにして下さい。
投句一覧へのコメントとして、投稿して下さい。その際、名前/URLというのを選択して、俳号もしくはご本名を入力して下さい。URLは入れなくてよいです。
なお、右側の「最近のコメント」という欄は反映するのに時間がかかる
ようです。

ではよろしくお願い致します。

9 件のコメント:

  1. 亜紀選

    ○日章旗立てる綿入引っ掛けて
    綿入れがなんとも良い味です。

    ○背広から外す記章やクリスマス
    オンからオフの時間へ。

    ○クリスマスカードに読めぬ文字二つ
    ありゃりゃ~。w

    ○熟読の白セーターの息しずか
    白の色が効いていますね。

    ○読みさしの本に挟まれお年玉
    ちょっと嬉しい!

    ○息白く本日のオススメを言う
    必死な感じとすがすがしさを感じます。

    ○本番になだれこみたる聖夜劇
    中七に臨場感が。

    ○宇宙から還り葉牡丹の重さ
    発想のスケールが違いますね。

    ○外套の裾が地面についている
    そういうこと、ありますね。

    ○睦みつつふくら雀となりにけり
    睦みつつ、がいいですね~。

    ※句会の復活とても嬉しかったです!
    今年もお世話になりました。
    来年もどうぞよろしくお願いいたします。

    返信削除
  2. 〇文明堂のカステラ提げて年の暮
    お遣い物の王道ですなぁ。こいつを頂くと、なぜだかとても中流を意識してしまう不思議。

    〇往年の名古屋章や神渡
    刑事くん、スクールウォーズなどでお馴染みの名バイプレーヤー。じつは私の小学校の先輩だったりします。

    〇腕章のような恋人北風の中
    ずっとくっついているって感じかしらん。ご馳走様です。

    〇冬至かな読経とどろく海の底
    すごいなぁ、読経とどろくって。それも海底で。冬至という季語、とぼけた感じがしてそこはかとなくよき風趣。

    〇本番になだれこみたる聖夜劇
    寸前までお稽古してたのですね。リハーサルしたかったろうなぁ・・・。

    〇何事もなかつたやうに年の暮
    人の暮らしとはそういうものなのだなぁ。

    〇外套の裾が地面についている
    ちゃんと注意してあげましょう。

    〇着膨れて分厚き本を選りにけり
    つきすぎと言えばその通りだけれど。そういうことあります。

    〇動かせば聖樹の香り立ち上がる
    芳しい聖樹というものもなかなか。

    〇絨毯のしみ泣きぼくろかも知れぬ
    そう思うのは作者だけかも知れぬ。

    返信削除
  3. お久しぶりです。再開うれしいです。また、みなさんの明るい句で癒されたいです。

    ・竜の玉摘む文学部哲学科
     哲学科って、竜の玉を摘む科だったの?竜の玉の象徴性に、なんとなく納得。
    ・日章旗立てる綿入引っ掛けて
     昔の景かしら。黒の背広だったらコワイ。
    ・腕章のような恋人北風の中
     一度、やってみたかった(#^.^#)
    ・冬至かな読経とどろく海の底
     冬波の色と音に、読経とは発見。震災鎮魂の句とだけではなくても。
    ・読みさしの本に挟まれお年玉
     え、それって無くすよ、気を付けてね。
    ・絵ばかりの大人の絵本暖炉燃ゆ
     絵画って、本質的に「おとなのえほん」と思う。
    ・息白く本日のオススメを言う
     屋外にも椅子とテーブルのあるおしゃれなお店の。
    ・何事もなかつたやうに年の暮
     年の暮というイベントに浸るのは、一種の逃避かも。
    ・動かせば聖樹の香り立ち上がる
     飾り付けのときの、木の香の豊かな聖樹かな?
    ・絨毯のしみ泣きぼくろかも知れぬ
     そこで泣いたこともあったりして。

    返信削除
  4. ○文明堂のカステラ提げて年の暮
    暮れの元気なご挨拶。文明堂のカステラならテッパンでしょう。

    ○恋文と思えない文冬苺
    冬苺がちと甘いが、いったいどんな恋文なのか気になります。もらえるだけ羨ましい。

    ○背広から外す記章やクリスマス
    オフに切り替わる瞬間でしょうか。上手い切り替えの瞬間だと思う。

    ○腕章のような恋人北風の中
    恋人が腕に巻きついて離れないんでしょうね。うっとうしさ満載です。

    ○黙読の少女冬日に包まれて
    一服の洋画のようでもあります。

    ○でたらめに本堂の煤払ひけり
    お寺さんは広いから、かなり適当に。住職にあとから叱られるのかも。

    ○本番になだれこみたる聖夜劇
    慌しさ。ろくに練習もできなかったかのようでもあります。

    ○動かせば聖樹の香り立ち上がる
    みどりの濃い匂い。動かせばというのに実感があります。

    ○飛び立つこともわたしの一部冬の虹
    不思議な句。開放感と閉塞感の両方を感じます。

    ○絨毯のしみ泣きぼくろかも知れぬ
    なんだか湿気の多そうな絨毯です。黴に注意した方がいい。。。

    返信削除
  5. 空猫選

    母の呪文風邪薬より利きさうで
     我が家でも「チチンプイプイ」で飛ばします。

    腕章のような恋人北風の中
     どんな恋人かみてみたいものです。

    クリスマスカードに読めぬ文字二つ
     読めない文字とは何でしょうか?

    冬至かな読経とどろく海の底
     同じような句があったような。。。忘れました。すみません。

    でたらめに本堂の煤払ひけり
     大広間、最後は適当になります。

    古本の漫画全集冬ぬくし
     ようやく揃えた全集。邪魔する人もなく一気読み。

    まん丸の皮を撫でゐる柚子湯かな
     田舎から届いた贈り物!

    何事もなかつたやうに年の暮
     結局は何もなかったように暮れる年。

    外套の裾が地面についている
     着こなし下手な青二才。

    飛び立つこともわたしの一部冬の虹
     虹に向かって飛び立つもの、大切なもの。

    返信削除
  6. ○文化鍋文化包丁雪催
    台所の音が聞こえてくるようです。

    ○母の呪文風邪薬より利きさうで
    それはもうこれに勝てるものでしょう。

    ○竜の玉摘む文学部哲学科
    「竜の玉」に哲男哲女は似合います。

    ○校章の星のかたちの凍ててをり
    星が一番凍て度が高そうですね。

    ○クリスマスカードに読めぬ文字二つ
    気になります。

    ○短日の読まずに閉づる文庫本
    何か始めると次の何かが頭を巡ることありますね。

    ○読みさしの本に挟まれお年玉
    立たなくて済む範囲にあるものなんでも栞になります。そしてあとで「どこ?!」と慌てます。

    ○でたらめに本堂の煤払ひけり
    住職さんがそろそろ登場しますよー。喝!

    ○何事もなかつたやうに年の暮
    年の暮とはこんな感じ。今年はことにいろいろ考えさせられます。

    ○行く年や人といふ字の支へ合ふ
    今年の漢字「絆」。人である以上人との繋がりは大切です。

    みなさま、どうぞ良いお年を!

    返信削除
  7. ○母の呪文風邪薬より利きさうで
    それはもうこれに勝てるものはないでしょう。

    でした。

    返信削除
  8. ○懸想文売にまなこを覗かれる
     検索してみると、懸想文売は顔のかなりの部分を覆っているらしいですね。露出している懸想文売のまなこがこちらのまなこを覗いているさまは、他が覆われているだけにインパクトがあるかも知れません。
    http://www.nakamuraken.co.jp/2005/02/01.html

    ○文化鍋文化包丁雪催
     漢字だけで一句をものにしたところに「文化」の香りがあります。これも検索してみると、文化放送のくだりなど、そうとうおかしいです。
    http://www.dik.co.jp/seken/GOGEN/bunka.htm

    ○恋文と思えない文冬苺
     恋文としての言葉も連ねてあるんだけど、随所に性格の弱点をえぐるようなことが一杯書いてあるのでしょう。「冬苺」が切なくもとげとげしいです。

    ○腕章のような恋人北風の中
     腕を回しているのですね。

    ○クリスマスカードに読めぬ文字二つ
     子どもの頃はXマスと書かれているだけで、そうとう不思議でした。

    ○熟読の白セーターの息しずか
     つい胸のふくらみを凝視してしまいそうです。

    ○読みさしの本に挟まれお年玉
     今の時期に読むと、そのままほぼ一年間忘れてしまっていた感じがしますね。

    ○着膨れて分厚き本を選りにけり
     おっ、ついに『大言海』を手に取りましたね。

    ○動かせば聖樹の香り立ち上がる
     実は土の香りだったりもするのでしょうが、ちょっと厳かでよいです。

    ○絨毯のしみ泣きぼくろかも知れぬ
     「かも知れぬ」が案外いいです。なまじ断定するばかりが俳句ではありませんよね。

    返信削除
  9. ○文化鍋文化包丁雪催
    そういえば文化鍋ってなんでそういうんだろうと思っていました。
    並列したことで言葉の面白さが生きています。

    ○恋文と思えない文冬苺
    ありそう。書き手、貰った人ののキャラクターをいろいろ想像してしまいます。

    ○章魚釣りの師匠に師匠おでん酒
    題から章魚がでてきたのがすごいです。味わいありますね。

    ○背広から外す記章やクリスマス
    クリスマスのうきうき感がでています。

    ○熟読の白セーターの息しずか
    集中して読んでいる姿が伝わってきます。

    ○冬至かな読経とどろく海の底
    何やらすごい迫力を感じました。

    ○でたらめに本堂の煤払ひけり
    本堂なのにいいのでしょうか・・でも道具の届きにくい空間があり雰囲気わかります。

    ○何事もなかつたやうに年の暮
    納得感ありました。今年は特に。

    ○着膨れて分厚き本を選りにけり
    ここまで重ねれば逆に良いと感じました。

    ○表1の集める冬の灯しかな
    OHPなどでスクリーンに映されているような感じかと思いました。

    返信削除