2011年10月23日日曜日

最下位島須句会・投句一覧

 世話人・四童です。投句ありがとうございます。お懐かしい方も初めての方も老若男女いらして嬉しい限りです。

【最】
ダイエット最早続かず秋刀魚焼く
ポケットの最中狼藉文化の日
ゐのこづち最後尾よりこゑのきて
花すすき最もひかり吹いて海
給水塔最下部にドア流れ星
牛蛙胃カメラ触れる最深部
最敬礼手首直角夜学校
最高に折れ曲がりたるやれはちす
最高値更新さるる夜長かな
最終回までにけりつく秋の空
最澄の年譜に蟋蟀ひからびて
秋天の最も高き處かな
赤とんぼ最初から嘘かもしれぬ
鼠来て最寄の鍋の在處
竹の春最終弁論は以上
長き夜の電波を帰る最上川
夜の雨の最晩年のあかるさに
薔薇の実やこの駅はわが最寄駅
蚯蚓鳴くビルの最終退出者

【下】
からすうりより下船せし薬指
ぎんなんぎんなん足の大きな下校の子
しら露の下へも置かぬ泪かな
のばしたる鼻の下から末枯るる
はじまりの下腹部といふ秋の午後
バス下りて釣瓶落しの造成地
下り梁白きくちびるむきながら
下山してしまえばただの茸山
下書きの線残りけり野分あと
下世話にも作法のありて菊膾
下野(しもつけ)と上野(かみつけ)のさかい野分立つ
階下から母叫びくる暮の秋
筋肉を上上下下伸ばす秋
空に散る核種を下水の蟇は知る(福島原発災害)
月の雲エスカレーター下に着く
床下に小鳥あつまる箱の家
詳細は下記のとおりに蚯蚓鳴く
全室に下貼りのありトキワ荘
林檎ぬくもりてあなた下世話ですね
冷ややかな外野フライの落下点
蜻蛉飛ぶ下校の曲は新世界

【位】
スケッチの林檎の位置の定まりぬ
スワヒリ語新体位論文化の日
位勲には縁なく古希や荻の風
位取り間違へてをりきりぎりす
位置について檸檬は爆弾(ボム)になるところ
一位の実の種は食べてはいけません
寄鍋の菜つぱの位置は決めておけ
菊の日や位牌持つ人喪主であり
銀漢の見える位置まで移動する
祭日や余命位の籾俵
秋刀魚焼く半島位淋しくて
全地球測位システム秋深む
大花野気位高き靴が降る
定位置に戻らぬおもちや夜長し
伝線の位置の野分のありにけり
箸割りて大芋虫を仰臥位に
判定で二位になるなり法師蝉
鳴く鯨三位一体説く神父

【島】
エロマンガ島と帰燕に伝へけり
しじまてふ島えてしがな星月夜
壱岐対馬秋の喇叭が鳴りひびく
鰯雲とりつく島はありますか
月に脱ぐ大島つむぎに染めの帯
湖に人の棲む島秋茜
秋風に世界の島崎といふ男
大倭豊秋津島すさまじく
島の児のゴールは独り運動会
島の秋土曜日ごとに雨が降り
島までは歩いてゆける秋の虹
島宇宙より着いたばかりのニュートリノ
島影の島てんてんと十三夜
島国や銀河を並ぶ雲の愛
島忠で買ふべし秋蒔きの種は
島民は十六夜なれば消ゑにける
片目だけコスモスの咲く島にゐる
豊年や鬼ヶ島らし島に丸

【須】
サルノコシカケ急須で煎じ月見かな
横須賀の急な坂道冬近し
急須ぽぽと笑ひ合つて夜長かな
急須より名残の滴や初時雨
欠け急須干し柿に似た顔添へて
股座を金風ぬけてゆく須磨か
呉須青絵夜を待ちたる花野かな
紅葉山急須の蓋の裏ぬれて
高坏の須恵器に至る秋の虹
秋うらら須藤さんへの招待状
秋の日終るただただ急須傾けて
須く案山子に眉毛描くべし
須く疑ふべけんや茸山
須く投げ入れらるるべき菊よ
須田町の遺伝子となる野分かな
須磨寺に鬼哭のごとく荻の声
冬近し須磨の関守よく眠る
病垂必須の美術展覧会

【当季雑詠】
アレルギー見え隠れする青蜥蜴
そのトタン屋根に秋日の差してゐる
トランプのごと鳩降れり秋の苑
ひだ追ひて鶏頭少し淫らなり
ぷらちなの舌に踊れる豹紋蝶
ホステスと麺啜りおり気持ちよか
マネキンの胴の輪切りや小鳥来る
みみず鳴く望遠鏡に土星入れ
ランボーの全集買ふて冬眠す
ワシコフがつぶやいてゐる秋深き
わたくしの今シーズンの蔦は伸ぶ
雨続く人の匂ひの零余子飯
雲ひとつ分けてそろりと後の月
王室の林檎をもいだのはあの子
花魁が抱いて放さぬ菊枕
確固たる覚悟などなし鶏頭花
錦秋や赤きレーダー回転す
鶏頭花奇妙な人を見送りぬ
再開は無いと思つた穴惑
残菊の根に揉錐の置かれあり
秋の雨やさしき馬を遠ざける
秋雨聴くトーフ売りのかほでうたふ
秋茄子を蔕から燃やす未亡人
照柿のラジオ体操常連組
雀蛤になる東中野の次中野
千代田区のおほぞらといふ菊日和
知らぬ児の手を振ってゐる草の市
天高し大佐隠れる排水溝
渡り廊下の朝顔だけの相関図
二階より低きあたりが蜻蛉の空
鼻つ柱ばかに強くて蓼の花
椋鳥の一群二群とありにけり
裸婦写真いまだ検閲神の留守
淋しいや黄金の月のひやひやす

(以上)
18句選(特選、逆選なし)
選句締切:10月29日(土)24時(JST)
投稿先:恒信風句会
http://koshinfu.blogspot.com/

 題に関わらず全体から18句選にてお願い致します。なお、よいと感じた句ほど先に触れたいとは重々思いますが、整理の都合上、句の順番はそのままにして頂けると助かります。
 投句一覧へのコメントとして、投稿して下さい。その際、名前/URLというのを選択して、俳号もしくはご本名を入力して下さい。URLは入れなくてよいです。
なお、右側の「最近のコメント」という欄は連動するのに時間がかかるようです。
ではよろしくお願い致します。

18 件のコメント:

  1. 四童選です。

    ○ポケットの最中狼藉文化の日
     こなごなになる感じがいかにも狼藉です。「文化の日」も効いていると思います。

    ○ゐのこづち最後尾よりこゑのきて
     ほとんど旧仮名フェチだけでできているんだけど、よいです。

    ○花すすき最もひかり吹いて海
     「ひかり吹いて」という措辞がじつによいです。海の置き方も唐突でよいです。

    ○給水塔最下部にドア流れ星
     ただごとのようでいて、なんだかミステリアスな句に仕上がっているのは、「流れ星」がよいのでしょう。

    ○蚯蚓鳴くビルの最終退出者
     うら淋しいです。「ビルの最終退出者」と「蚯蚓鳴く」の突き合わせは、そのビルに通勤している人には当たり前かも知れませんが、かなり思いがけないです。

    ○はじまりの下腹部といふ秋の午後
     「はじまりの下腹部」というのがかなり思いがけないです。蛇にだまされるのでしょうか。

    ○階下から母叫びくる暮の秋
     お母さんは大変なのです。

    ○床下に小鳥あつまる箱の家
     「箱の家」というのが巣箱なのか、人間が生活している家なのか、よく分からなくなってくるところにマジックがあるようです。

    ○スケッチの林檎の位置の定まりぬ
     そこにすごいこだわりがあるのが伝わってきます。

    ○祭日や余命位の籾俵
     はたまた、多いのか少ないのか。「余命位」に含蓄があります。題だからしょうがないけど、「余命くらゐ」にするともっといいと思います。

    ○箸割りて大芋虫を仰臥位に
     「仰臥位」というのは介護用語かなにかでしょうか。大芋虫にそれを使っているところが面白いです。このあと、ピース缶で煮るんでしょ?

    ○須田町の遺伝子となる野分かな
     べらんめえな野分が神田から起こるような、不思議な句です。

    ○トランプのごと鳩降れり秋の苑
     ばさばさと降ってくるのですね。

    ○マネキンの胴の輪切りや小鳥来る
     搬送のトラック待ちかなにかなのでしょうか。「小鳥来る」がマネキンにとって尋常でないロケーションを指し示しています。

    ○みみず鳴く望遠鏡に土星入れ
     「望遠鏡に土星入れ」がいいですね。

    ○再開は無いと思つた穴惑
     うっ、これは挨拶句でしょうか。

    ○秋茄子を蔕から燃やす未亡人
     「秋茄子は嫁に食わすな」には諸説ありますが、「蔕から燃やす未亡人」の怨念がすごいです。

    ○二階より低きあたりが蜻蛉の空
     そういえばそうだったかなあ、という感慨があります。

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  2. ○給水塔最下部にドア流れ星
     夜のしじまのビル屋上に、じーっとカメラが迫って行くような。音が硬めなせいかもしれません。

    ○最高に折れ曲がりたるやれはちす
     人気のない蓮池のほとりで女子高生が「チョー曲がってる!」と叫んでるのが聴こえたような気がしました。

    ○薔薇の実やこの駅はわが最寄駅
     酔漢のたわごとのようにも、口説き文句のようにも読めます。

    ○バス下りて釣瓶落しの造成地
     「なんもない」感と「あっけない」感のかけあわせがよかったです。

    ○下書きの線残りけり野分あと
     けっこう黒い下書きなのかなと思いつつ、よかったです。

    ○階下から母叫びくる暮の秋
     ジャニスなお母さんを思い浮かべました。

    ○蜻蛉飛ぶ下校の曲は新世界
     正式な曲名は「新世界より」でしょうか。実景としてあるんですよね。ちょっとSFふうな読みを誘われます。

    ○箸割りて大芋虫を仰臥位に
     芋虫をある意味手厚く扱っている残酷さに。その先をあまり考えたくありませんが。

    ○判定で二位になるなり法師蝉
     菊花賞でも世界陸上でもいいのですが。法師蝉が無常感を盛り上げます。

    ○湖に人の棲む島秋茜
     「棲む」は少々やりすぎかもしれませんが、「あれ?」と思わせる構成があっていいと思いました。

    ○秋風に世界の島崎といふ男
     大物なのか、ナベアツみたいなものなのかわかりませんが、「に」がいいと思いました。

    ○股座を金風ぬけてゆく須磨か
     光源氏だったりして…。

    ○紅葉山急須の蓋の裏ぬれて
     「紅葉山」との取り合わせがとてもいいと思いました。言いさしで終わっているのも、この場合効果的じゃないでしょうか。

    ○須く投げ入れらるるべき菊よ
     先行作品へのオマージュとして読み、かつ、あまたの菊に対しての目線としても読みました。

    ○わたくしの今シーズンの蔦は伸ぶ
     好調さを蔦であらわすところが泣かせます。

    ○マネキンの胴の輪切りや小鳥来る
     無機的な情景に「小鳥来る」が憐れを誘う気がして。

    ○再開は無いと思つた穴惑
     挨拶句でしょうか。季語がなんだか絶妙です。

    ○秋茄子を蔕から燃やす未亡人
     焼き茄子作りもそう言われると身もふたもなくていいですね。思い切りよく焼くのがコツではありますが。

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  3. ○花すすき最もひかり吹いて海
     すすきの花の質感を、とらえた句。「ひかり吹く」が上手  い。
    ○赤とんぼ最初から嘘かもしれぬ
     群れた赤とんぼは、もやもやとしてとらえどころがない。嘘
     みたいに。
    ○ぎんなんぎんなん足の大きな下校の子
     子供が、ぎんなんの落ちている道を下校してくる。子供も、 ぎんなんみたい。ぎんなんの反復が、たくましくも、かわい らしい。
    ○下山してしまえばただの茸山
     茸がもっているニヒルな感じを、よくとらえた。
    ○全室に下貼りのあるトキワ荘
     今ではめったに目にしない、木賃アパートのトキワ荘。襖な ど、貼り重なっている。リアルでなつかしい句。
    ○蜻蛉飛ぶ下校の曲は新世界
     童話的な下校風景。都会ではない風景。
    ○位置について檸檬は爆弾(ボム)になるところ
     全くの心象風景。檸檬が百メートル走に出場して、爆弾のご とく駆け出すところか。
    ○箸割りて大芋虫を仰臥位に
     ばかばかしいことを、真面目に言う面白さ。これも俳味の一 つ。
    ○鰯雲とりつく島はありますか
     絶望的な心の状態と、鰯雲はぴったり合う。
    ○島国や銀河を並ぶ雲の愛
     広大な銀河の世界から比ぶれば、わが島国など哀れな存在。 そんな天空を雲が隠してくれれば、少しは救われる気持ち。
    ○急須ぽぽと笑い合って夜長かな
     「ぽぽ」という擬音語がよい。幸せな仲間同士の談笑が見え る。
    ○高坏の須恵器に至る秋の虹
     高く立ち上がった縄文時代の土器と虹との交感を感じる世  界。天地一如。
    ○須田町の遺伝子となる野分かな
     神田須田町に根をはやす心意気。たとえ嵐があろうとも。
    ○ひだ追ひて鶏頭すこし淫らなり
     たしかに鶏頭のふっくらとした襞には、エロス感がある。
    ○みみず鳴く望遠鏡に土星いれ
     天井と地下の対比が妙。土星の輪も、みみずのくねりに似て いる。
    ○ワシコフがつぶやいている秋深き
     西東三鬼の隣人であるロシア人のワシコフさんですね。柘榴 を打ち落として、やれやれとつぶやいているのか。
    ○雨続く人の匂ひの零余子飯
     難解な句です。むかご飯自体の感じが「人の匂ひ」なのか、 雨が続いて外に出られず、長期に保存したため人臭くなった のか。前者と解釈しました。
    ○再開は無いと思った穴惑
     もう入る穴はないと思っている蛇の心情を、忖度している作 者の心がよく分かる。八方塞がりという感じですね。

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  4. こなやぎ千代路2011年10月23日 19:02

    ○花すすき最もひかり吹いて海
    「花」「ひかり」「海」の明るい語と語をつないでいく展開に、おおらかでしかも完璧な美しさを感じました。

    ○長き夜の電波を帰る最上川
    「電波」がいいですね。あたらしい最上川の句。

    ○蚯蚓鳴くビルの最終退出者
    ひとりで施錠しているときのざわざわした心とさびしく怪しげな場面に、この季語は覿面に効いていると思います。

    ○ぎんなんぎんなん足の大きな下校の子
    もし「ぎんなんや」なら、いじめられっ子が一人淋しく踏みつぶす鬱屈した場面しか描けなかったかもしれません。「ぎんなんぎんなん」の戯れ口調には「下校の子」の強さ明るさが見えて好きです。

    ○下山してしまえばただの茸山
    おとぎ話のよう。山の中ではどうだったんだろうと気にならざるを得ず、「AしてしまえばただのB」というのは単純ながらにくいなあと。

    ○詳細は下記のとおりに蚯蚓鳴く
    「蚯蚓鳴く」が放送コードみたいに耳に響いてきます。気になる句です。

    ○寄鍋の菜つぱの位置は決めておけ
    家訓か、はたまた遺言か。文体と実にどうでもいいようで人によっては重篤である内容とのギャップがいいです。毛筆で書いてほしい。

    ○鰯雲とりつく島はありますか
    主体がなんだか半泣きでほとんど叫んでいるようで、可哀想だったので。鰯雲はきっと、並みいる雲の中でも特に頼りにならないでしょう。

    ○島宇宙より着いたばかりのニュートリノ
    擬人がいいですね。これからどうするんだろう。

    ○片目だけコスモスの咲く島にゐる
    片目だけ、というのが気になってしまい。それが地理分布を意味したら奇想に富んだ表現だし、文字通りだとしてもすごい。

    ○須く案山子に眉毛描くべし
    これは寄せ鍋における菜っ葉の位置よりもさらにどうでもいいようですが、須く~べしなので強制というより奨励ですよね。どうでもいいことをどうでもいいんだけどね、とやんわり進めるくだらなさが何とも憎めず、好みです。

    ○そのトタン屋根に秋日の差してゐる
    「その」が効いていると思いました。猫が乗っていたり知っている誰かが住んでいる家の屋根はきっと違うところで、「そのトタン屋根に」は何もないんだろうな、と。穏やかな句です。

    ○トランプのごと鳩降れり秋の苑
    トランプ=奇術=鳩で、どことなく異世界ぽさを想起させる、「秋の苑」がアンバランスながらわくわくする句だと思いました。

    ○ひだ追ひて鶏頭少し淫らなり
    読めば読むほど、けっこう淫らだなという確信に満ち満ちる句。「淫」の字を使いながらさらっとどぎつくないのは、旧かながブレーキになってるんですね。

    ○みみず鳴く望遠鏡に土星入れ
    「入れ」という動詞表現の面白さを採りました。みみずがひらがななのも、屈託のない感じがして好きです。

    ○鶏頭花奇妙な人を見送りぬ
    「鶏頭花」「奇妙」が近すぎるかなとも思いましたが、読んでいるうちに私の中で原田芳雄への追悼句になってしまい、好きになってしまったので。

    ○秋の雨やさしき馬を遠ざける
    全体に美しく情景が出来上がっていて、寓話のような雰囲気。「やさしき馬」が次の物語の展開を担っているようで広がりを感じます。

    ○照柿のラジオ体操常連組
    「常連組」という倦怠感と「ラジオ体操」の溌剌さを結ぶのに「照柿」はうってつけのように思います。子供らがいなくなってふたたび大人の常連だけになった円満さにも。

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  5. ○最敬礼手首直角夜学校
    警備保障会社併設の夜の学校でしょうか。

    ○最高に折れ曲がりたるやれはちす
    破れ蓮を見た感動が伝わります。

    ○最高値更新さるる夜長かな
    為替かな。円高止まらずですからね。

    ○蚯蚓鳴くビルの最終退出者
    遅くまでお仕事お疲れ様です。

    ○のばしたる鼻の下から末枯るる
    エロ親父は老化が早いのですね。

    ○一位の実の種は食べてはいけません
    毒があるそうですね。

    ○寄鍋の菜つぱの位置は決めておけ
    お見事。でも、お父さん、菜っ葉は後で入れるからいいのよ。

    ○秋刀魚焼く半島位淋しくて
    「半島位淋しい」というのが気に入りました。

    ○鰯雲とりつく島はありますか
    「とりつく暇」かと今まで本気で思っていました。
    雲が島を探しているようで面白いと思いました。

    ○湖に人の棲む島秋茜
    綺麗です。

    ○島の児のゴールは独り運動会
    子供を見守る温かな環境が見えます。

    ○島忠で買ふべし秋蒔きの種は
    固有名詞を入れる句は好きです。今や「島村」も外せませんね。

    ○サルノコシカケ急須で煎じ月見かな
    深い味わい。

    ○秋の日終るただただ急須傾けて
    終日お茶汲みだけでお給料がもらえた時代がありました。

    ○病垂必須の美術展覧会
    痴、症、痒、痔・・・凄そうな現代アートをイメージしました。
    芸術は病んでいる。心の闇がアートを作るのですね。

    ○ひだ追ひて鶏頭少し淫らなり
    鶏頭の存在がかなり淫らです。

    ○ワシコフがつぶやいてゐる秋深き
    スパシーバ。露人ワシコフ石榴を落しツイッタ―する景。

    ○秋茄子を蔕から燃やす未亡人
    燃やすというのが凄い。BBQでしょうか。

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  6. ●最高値更新さるる夜長かな
     円高が直に暮しに響く環境に居ますので。

    ●蚯蚓鳴くビルの最終退出者
     銭湯で最終退出した時もどきどきした。蚯蚓も怖くて。

    ●のばしたる鼻の下から末枯るる
     深読みしてしまった。

    ●下山してしまえばただの茸山
     そういうもんでしょう。

    ●筋肉を上上下下伸ばす秋
     思いがけない部位も筋肉だそうで縮める訓練もおすすめ。

    ●蜻蛉飛ぶ下校の曲は新世界
     清らか。

    ●位勲には縁なく古希や荻の風
     くれると云われたら、断固として断ろう・

    ●銀漢の見える位置まで移動する
     あの屋根ちょっとはずして。

    ●箸割りて大芋虫仰臥位に
     プリプリに肥えたヤツ。この臨場感。

    ●湖に人の棲む島秋茜
     グーグルアースの出番。

    ●秋風に世界の島崎といふ男
     「世界の」がいい。

    ●島までは歩いてゆける秋の虹
     天童よしみの歌みたいな所かしら。

    ●須く案山子に眉毛描くべし
     郷ひろみの眉に変化が。

    ●須く投げ入れらるるべき菊よ
     やっぱ、選んじゃった。

    ●みみず鳴く望遠鏡に土星入れ
     「入れ」がうまい。

    ●雲ひとつ分けてそろりと後の月
     達者な句の中では、素直な句にほっと。

    ●天高し大佐隠れる排水溝
     速吟!「隠れし」ではなく、捕まる前から所在知ってた?

    ●椋鳥の一群二群とありにけり
     目高や人間ばかりではなく。

    返信削除
  7. ○ゐのこづち最後尾よりこゑのきて
     会社の遠足ってことでどうでしょう。

    ○花すすき最もひかり吹いて海
     ずるい文体だと思います。きらいじゃございません。

    ○バス下りて釣瓶落しの造成地
     釣瓶落しはちょっともったいない。

    ○下世話にも作法のありて菊膾
     菊膾が、かわいくないお人柄を想像させてよい。 

    ○階下から母叫びくる暮の秋
     いやだなあ(作者の勝ち)。

    ○スケッチの林檎の位置の定まりぬ
     静物は、モチーフの並べ方と、位置取りで決まると教わりました。

    ○一位の実の種は食べてはいけません
     実はいいのですか、って聞かせようとしてる。

    ○全地球測位システム秋深む
     天高しってことですよね。

    ○壱岐対馬秋の喇叭が鳴りひびく
     なんかいいなと思ったら、馬の字がいいのでした。

    ○鰯雲とりつく島はありますか
     鰯雲を、水景にたとえてるわけで、ちょっと凝ってて好きです。

    ○湖に人の棲む島秋茜
     いいですね。

    ○島の秋土曜日ごとに雨が降り
     これも好きだ。島、いいですね。自分が「島」でどんなのを出したか、もはや思い出せません。 

    ○横須賀の急な坂道冬近し
     いい、いい。

    ○股座を金風ぬけてゆく須磨か
     なにが、須磨か、か。

    ○トランプのごと鳩降れり秋の苑
     きれい。この鳩は舞い降りてるっていうより、質量がないんじゃないかしら。

    ○マネキンの胴の輪切りや小鳥来る
     あ、また手品だ。

    ○みみず鳴く望遠鏡に土星入れ
     土星、かわいい。

    ○二階より低きあたりが蜻蛉の空
     ちょうどいい言い方と思いました。

    以上、いただきました。四童さん、みなさんおひさしぶりです。よろしくお願いします。

    返信削除
  8. ○ゐのこづち最後尾よりこゑのきて
    讃岐うどん有名店、とか。

    ○給水塔最下部にドア流れ星
    悪がきたちの秘密基地っぽい。

    ○赤とんぼ最初から嘘かもしれぬ
    つき通せば嘘は本当になる。

    ○蚯蚓鳴くビルの最終退出者
    ここから何かがはじまりそう。

    ○ぎんなんぎんなん足の大きな下校の子
    リフレインがかわいい。普通、足は朝より夕方のほうが大きくなるらしいが。

    ○バス下りて釣瓶落しの造成地
    典型的な日本人であることの妙な空しさ。

    ○下世話にも作法のありて菊膾
    「盗人にも三分の理」みたいなこと?

    ○階下から母叫びくる暮の秋
    呼んでいるなら「ゴハンだよ~」という感じだが「叫びくる」とはただ事ではない。

    ○スワヒリ語新体位論文化の日
    文化の日ですからね。「体位」も文化ですからね。

    ○寄鍋の菜つぱの位置は決めておけ
    こういう仕切り屋がいます。鍋をやるときは。

    ○銀漢の見える位置まで移動する
    女の子の手を引いているとみた。

    ○鰯雲とりつく島はありますか
    「ないでしょ。ほら、言わんこっちゃない。」

    ○島の児のゴールは独り運動会
    私の地元にも離島があり、今年小学校に進学した子供は1人だけでした。

    ○紅葉山急須の蓋の裏ぬれて
    「裏」という場所はぬれやすいのでしょう。

    ○みみず鳴く望遠鏡に土星入れ
    「土星入れ」がいい。わくわく。

    ○ワシコフがつぶやいてゐる秋深き
    石榴を打ち落としたあとのワシコフは...。

    ○雀蛤になる東中野の次中野
    一駅で変身するつもり。

    ○千代田区のおほぞらといふ菊日和
    千代田区限定の大空。贅沢。

    返信削除
  9.  ◯ゐのこづち最後尾よりこゑのきて
     ゐのこづち、こゑの旧カナがおもしろい。

     ◯花すすき最もひかり吹いて海
     良い景色です。

     ◯給水塔最下部にドア流れ星
     確かにドアは一番下。流れ星でなくともよいのでは。

     ◯秋天の最も高き處かな
     最も高いとこの真下にいる感じです。

     ◯下山してしまえばただの茸山
     茸狩に夢中で、茸のことしか覚えていない。

     ◯床下に小鳥あつまる箱の家
     妙な所に集まっている。変です。

     ◯銀漢の見える位置まで移動する
     だいぶ移動したような感じがします。銀漢見たいです。

     ◯判定で二位になるなり法師蝉
     法師蟬は二位、一位は蜩かな。

     ◯エロマンガ島と帰燕に伝へけり
     帰燕に帰る先はエロマンガ島と伝えている。

     ◯島までは歩いてゆける秋の虹
     橋で渡るのではなく、干上がった海底を歩いて行くのでしょう。

     ◯島宇宙より着いたばかりのニュートリノ
     着いたばかりで、すぐ何処かへ飛んで行ってします。

     ◯豊年や鬼ヶ島らし島に丸
     桃太郎が地図に丸している。

     ◯サルノコシカケ急須で煎じ月見かな
     月見の飲み物としてはサルノコシカケは珍しい。

     ◯秋うらら須藤さんへの招待状
     須藤さんがおもしろい。

     ◯マネキンの胴の輪切りや小鳥来る
     胴の輪切りが良いですね。

     ◯確固たる覚悟などなし鶏頭花
     鶏頭花は覚悟の花と言う感じですが、おもしろい。

     ◯天高し大佐隠れる排水溝
     カダフィ大佐だけど、普通の大佐は排水溝に隠れない感じがして良いです。

     ◯裸婦写真いまだ検閲神の留守
     神の留守が効いているような。

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  10. ○ポケットの最中狼藉文化の日
     最中の「狼藉」とは面白うてよくわかります。季語が念を押しているよう。

    ○花すすき最もひかり吹いて海
     いいなあ。

    ○赤とんぼ最初から嘘かもしれぬ
     この世のことは最初から嘘かもしれない。

    ○下山してしまえばただの茸山
     そのときの感動はそのときにしか味わえないですよね。

    ○階下から母叫びくる暮の秋
     切迫していて何かヘン。

    ○箸割りて大芋虫を仰臥位に
     緻密且つ酷薄な。

    ○湖に人の棲む島秋茜
     ものがたり仕立ての景、「人の棲む」がミソなんでしょう。

    ○島の児のゴールは独り運動会
     万国旗はためいて、でも過疎地。狭いと言われる日本の津津浦浦に学校はあり、ですね。

    ○島の秋土曜日ごとに雨が降り
     「島の秋」と限定されると勢い、ある形が見えてきます。

    ○島までは歩いてゆける秋の虹
     空がひらけて海は引き潮。島は小さそうだけれど大きな大きな景です。

    ○島忠で買ふべし秋蒔きの種は
     「買うべし」だなんて、へ~。島忠は種もの質がいいのですか?

    ○横須賀の急な坂道冬近し
     目の前には米軍基地が見えて。季語が存外いいのかもしれません。

    ○股座を金風ぬけてゆく須磨か
     須磨と言えば源氏?在原行平?句の勢いが好きでした。

    ○トランプのごと鳩降れり秋の苑
     遠く見ると平たい塊りになる鳩の群れ飛び。トランプとみたのが魅力でした。

    ○みみず鳴く望遠鏡に土星入れ
     「みみず」と「土星」が無関係ゆえに一句をふくらましています。

    ○再開は無いと思つた穴惑
     あ、挨拶句ですか。季語の斡旋は面白すぎ。

    ○秋の雨やさしき馬を遠ざける
     気になる一句。意味を追わないでおきたい。

    ○二階より低きあたりが蜻蛉の空
     目を下にやると一枚の「蜻蛉の空」、巧みです。

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  11. ○牛蛙胃カメラ触れる最深部
     自らの空洞と、ふくらみきった牛蛙が重なっていく。


    ○最高に折れ曲がりたるやれはちす
     これは最高が効いてますね。曲がるというかもう折れてるけれど。 


    ○ぎんなんぎんなん足の大きな下校の子
     リズムです。足の大きな、も何気なくうまい。

    ○はじまりの下腹部といふ秋の午後
     なだらかさがいかにも秋の午後。


    ○下書きの線残りけり野分あと
     消しゴムのような野分。


    ○階下から母叫びくる暮の秋 
     それを聞いている息子(娘)がちょっと鬱屈としている感じがいい。


    ○床下に小鳥あつまる箱の家
     何なのか実は良くわからないままなのですが、すごくぬくぬくしてそうだなあと。小鳥というより虫のようでもありますが。 

    ○全室に下貼りのありトキワ荘
     お宝が眠っていそうです。往事の生原稿が続々と。


    ○位置について檸檬は爆弾(ボム)になる ところ
     構えているのかしらん。手を放れる一瞬を切った面白さ。

    ○鳴く鯨三位一体説く神父
     ものすごく遠くで響きあっている。本当にそんな瞬間があるかもしれない。

    ○鰯雲とりつく島はありますか
     うまい。鰯雲にも寄る辺があるといいが。

    ○島までは歩いてゆける秋の虹
     そんなにのんきにでかけると、帰りは道が水没しますよ。 


    ○股座を金風ぬけてゆく須磨か
     気持ちいいです。股ぐら、いいですね。


    ○紅葉山急須の蓋の裏ぬれて
     お宿かな。紅葉山を見て、茶殻を見る。


    ○冬近し須磨の関守よく眠る
     閑散期なのでしょう。冬近しと眠りが良く合う。



    ○マネキンの胴の輪切りや小鳥来る
     どきっとしますが、たまに捨ててあったりしました、マネキン。

    ○秋茄子を蔕から燃やす未亡人
     人の良い方なのか、はたまた夢想にふけりやすいのかただ苦手なのか。脳内で千変万化する未亡人。


    ○天高し大佐隠れる排水溝
     時事ですが、時事を離れても面白い。天と排水溝の対比がいいですね。

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  12. ○ポケットの最中狼藉文化の日
    「最中」がいいです。実は不埒な奴め、というやや小憎らしい感じがいい味。

    ○ぎんなんぎんなん足の大きな下校の子
    おおらか。にぎやかで楽しそう。

    ○下山してしまえばただの茸山
    あの登山中の盛り上がりはなんだったんだろう。

    ○冷ややかな外野フライの落下点
    あまり人も入ってない球場な感じ。全体的に冷えているのだけれど「落下点」という「点」がとくに冷ややか。

    ○寄鍋の菜つぱの位置は決めておけ
    完全に鍋奉行ですね。入れる順番ならまだしも位置まで指定してくる。そうして、どうでもいいので誰も逆らえない。
    ばかばかしくて好きです。

    ○秋刀魚焼く半島位淋しくて
    「半島」ってどれくらいの淋しさなのかな。
    ひっかかるところはあるけれど、誰かにすがりつきたいほどの淋しさでもない。微細な感覚。

    ○全地球測位システム秋深む
    「全地球」が秋深んでいるようなちょっとした錯覚を起こしました。測位システムの機械的な感じが良いバランス。

    ○エロマンガ島と帰燕に伝へけり
    伝えたところでエロマンガ島には行かないでしょう。

    ○壱岐対馬秋の喇叭が鳴りひびく
    ぱあっと秋の海がひらけて見えます。高々と鳴り響く喇叭が気持ち良い。

    ○島の秋土曜日ごとに雨が降り
    不思議な味わいが魅力的。「土曜日」という平日でもなく休日としても中途半端な感じが淡く雨を煙らせているような。

    ○片目だけコスモスの咲く島にゐる
    もう片目はどこへ?ということではなく、ちょっと片方瞑ってみた、というくらいなのかもしれない。
    でも、コスモスの広がりを思うと怖さを感じます。

    ○急須ぽぽと笑ひ合つて夜長かな
    「ぽぽ」がかわいい。仲良し。

    ○紅葉山急須の蓋の裏ぬれて
    しっとりと良いです。急須の蓋を取る所作も想起されて品の良い色気を感じます。

    ○秋うらら須藤さんへの招待状
    「須藤さん」という固有名詞が意味を含んでなくて良いです。招待状を書いただけでうきうきしてしまうような、そんな「須藤さん」が好きです。

    ○トランプのごと鳩降れり秋の苑
    ぱさぱさぱさぱさ、と音が聞こえてきそうです。鳩の重さって抱き上げると思いのほか軽いんですよね。そのあたりもトランプの軽さとよく響いていると思います。

    ○みみず鳴く望遠鏡に土星入れ
    望遠鏡と言う小さな世界へ土星を。時間の流れ方がゆったり。

    ○二階より低きあたりが蜻蛉の空
    意外な「空」でした。捉え方が新鮮。

    ○淋しいや黄金の月のひやひやす
    「淋しいや」という投げ出した感じと「ひやひやす」のつながりに妙を感じます。

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  13. ○給水塔最下部にドア流れ星
    給水塔がカミオカンデになった。

    ○赤とんぼ最初から嘘かもしれぬ
    なぜ赤とんぼなんだろう?

    ○竹の春最終弁論は以上
    竹の春が唐突ですが、新米弁護士が緊張しながらも滔々と弁じ切ったという雰囲気。

    ○ぎんなんぎんなん足の大きな下校の子
    そんなに踏みつけたらますます臭いが…。

    ○はじまりの下腹部といふ秋の午後
    さらりと詠まれて深いかも。

    ○下世話にも作法のありて菊膾
    なるほどね。菊鱠がいい。

    ○林檎ぬくもりてあなた下世話ですね
    林檎のぬくもりが下世話感をいや増す。

    ○秋刀魚焼く半島位淋しくて
    peninsukaですから。本当は「ぐらゐ」としたかったにちがいない。

    ○島までは歩いてゆける秋の虹
    潮が満ちたら舟でゆく。

    ○島忠で買ふべし秋蒔きの種は
    商品管理がよいのだろう。

    ○急須ぽぽと笑ひ合つて夜長かな
    中国茶を淹れているのでしょう。小さい急須に溢れるぐらいお湯をいれて蓋するとぽぽとあぶくが。

    ○股座を金風ぬけてゆく須磨か
    きわどくてさわやか。

    ○紅葉山急須の蓋の裏ぬれて
    「蓋の裏ぬれて」に参りました。

    ○高坏の須恵器に至る秋の虹
    祝い酒でしょうね。

    ○トランプのごと鳩降れり秋の苑
    大道芸の手品師、ヘブンアーティストとも言う。

    ○王室の林檎をもいだのはあの子
    ゴスロリ調がよいです。

    ○花魁が抱いて放さぬ菊枕
    ベタな句ですが好き。

    ○二階より低きあたりが蜻蛉の空
    ああ、そのあたりだなあ、と納得。

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  14. ○ポケットの最中狼藉文化の日
    狼藉とは、思わず納得です。

    ○ゐのこづち最後尾よりこゑのきて
    さりげなく詠まれていて好感。

    ○花すすき最もひかり吹いて海
    きらきらと美しい景です。

    ○ぎんなんぎんなん足の大きな下校の子
    メルヘンチックですね。

    ○のばしたる鼻の下から末枯るる
    えっ、そうですか(笑)。

    ○はじまりの下腹部といふ秋の午後
    腹筋から鍛えたいと思います。

    ○スケッチの林檎の位置の定まりぬ
    林檎の位置は重要ですよ。

    ○寄鍋の菜つぱの位置は決めておけ
    なべ奉行の仰せの通りに。

    ○湖に人の棲む島秋茜
    不思議な感覚に囚われました。

    ○島までは歩いてゆける秋の虹
    歩いて行ってみたいです。w

    ○横須賀の急な坂道冬近し
    横須賀に説得力あり。

    ○紅葉山急須の蓋の裏ぬれて
    日常のなんでもない景の切り取りと季語が良いです。

    ○トランプのごと鳩降れり秋の苑
    見立てのよろしさ。

    ○マネキンの胴の輪切りや小鳥来る
    着眼点が良いでっす。

    ○照柿のラジオ体操常連組
    お元気そうです、長年続けていらっしゃるのでしょうね。

    ○千代田区のおほぞらといふ菊日和
    千代田区がおめでたい感じがして良いです。

    ○二階より低きあたりが蜻蛉の空
    言われてみればそうですね。

    ○淋しいや黄金の月のひやひやす
    ポエジーを感じます。

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  15. ○ポケットの最中狼藉文化の日
    ポケットに入れておく方が悪いのです。

    ○牛蛙胃カメラ触れる最深部
     牛蛙の声がなんとも言えません。

    ○最高に折れ曲がりたるやれはちす
     あるある。可笑しいです。

    ○最高値更新さるる夜長かな
     為替か株価かオークションか。ネットではらはら見ている感じですね。 

    ○冷ややかな外野フライの落下点
     スローモーションのような感じが良かったです。

    ○スケッチの林檎の位置の定まりぬ
     そこからの集中。

    ○秋刀魚焼く半島位淋しくて
     半島位が好きでした。

    ○エロマンガ島と帰燕に伝へけり
     どこにあるかも知らないけれどなつかしい島。

    ○鰯雲とりつく島はありますか
     鰯雲がいいですね。

    ○島までは歩いてゆける秋の虹
     ゆったりとしていて気持ちのいい句です。

    ○島民は十六夜なれば消ゑにける
     十六夜なればそういうこともあるかと。

    ○紅葉山急須の蓋の裏ぬれて
     トリビアルで好みでした。紅葉山もいいです。

    ○トランプのごと鳩降れり秋の苑
     ぱらぱらと。実感あります。

    ○みみず鳴く望遠鏡に土星入れ
     「に~入れ」としたところが上手いです。

    ○わたくしの今シーズンの蔦は伸ぶ
     なんとなく希望的観測という気が。

    ○再開は無いと思つた穴惑
     挨拶でしょうね。穴惑がぴったり。

    ○二階より低きあたりが蜻蛉の空
     なるほど、と思いました。

    ○椋鳥の一群二群とありにけり
     たくさん群れている感じが上手くあらわされています。

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  16. コメントやり直しです。重なっていたらすみません。
    【油饅頭選】

    ○最澄の年譜に蟋蟀ひからびて
    歴史の教科書を開けると、蟋蟀が押し花みたいになっている。嗚呼、俺いじめられてたんだ…

    ○赤とんぼ最初から嘘かもしれぬ
    最初とはいつからか。日本が秋津と呼ばれていたことが嘘だとしたら、おもしろいですね。ロマンが詰まってます。

    ○ぎんなんぎんなん足の大きな下校の子
    <ぎんなんぎんなん>の発言者は小学校低学年の子。帰り道に見てはいけないものを見てしまったような感じです。ひらがなリフレインに無邪気さが出てます。

    ○バス下りて釣瓶落しの造成地
    妖怪バスツアーですか。

    ○階下から母叫びくる暮の秋
    母親が階段をのぼってくる音には過剰に反応するものです。<叫びくる>のであれば尚更。よりによって人肌恋しい秋ですから、息子にしてみれば鬼畜です。

    ○月の雲エスカレーター下に着く
    エスカレーターを降りた瞬間、ホワンと雲が無くなりそうです。

    ○スケッチの林檎の位置の定まりぬ
    スケッチができないのを誤魔化しているんじゃないでしょうか。林檎はスケッチの初歩ですよね。周りが気になっちゃう。

    ○寄鍋の菜つぱの位置は決めておけ
    葉っぱ基準がおもしろい。

    ○定位置に戻らぬおもちや夜長し
    トイ・ストーリー3のウッディか。

    ○鰯雲とりつく島はありますか
    ずーっと鰯雲なんて不気味です。

    ○島までは歩いてゆける秋の虹
    島と何処に虹がかかっていたのか気になります。

    ○片目だけコスモスの咲く島にゐる
    片方の目をつむるとコスモスが咲いている。両目で見ると咲いていない。おかしいな… なんてやっていると、自分が島にいること自体疑ってしまいそうです。本当は病床についたままなのかもしれません。

    ○急須ぽぽと笑ひ合つて夜長かな
    笑い合うってことは二つ以上急須があるということでしょうか。お客さんが多いのでしょう。夜はこれから! ってかんじです。

    ○欠け急須干し柿に似た顔添へて
    婆ちゃんが爺ちゃんにお茶をついでいるんでしょうか。

    ○秋の日終るただただ急須傾けて
    そんな一日もあります。

    ○マネキンの胴の輪切りや小鳥来る
    潰れたブティックのマネキンに小鳥がとまる。巣を作っているのかもしれません。生きているものと廃れてしまったもののコントラストがいいです。

    ○花魁が抱いて放さぬ菊枕
    抱いてばっかりで大変ですね、花魁さん。個人的には大好きです。

    ○確固たる覚悟などなし鶏頭花
    鶏頭花の気持ちなんてわかりません。こっちが一方的に期待していたかんじがおもしろい。

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  17. 投稿が消されているので再度投稿します。


    ■ポケットの最中狼藉文化の日
     狼藉とは少々大袈裟ですがそう言いたくなる気持ちも分かります。
    ■赤とんぼ最初から嘘かもしれぬ
    真っ赤な嘘とも言います。
    ■蚯蚓鳴くビルの最終退出者
     蚯蚓の鳴き声も空耳に。
    ■下り梁白きくちびるむきながら
     もうすっかり寒くなりました。
    ■下書きの線残りけり野分あと
     作文でしょうか、手紙でしょうか。
    ■冷ややかな外野フライの落下点
    落下点には誰もゐない。
    ■蜻蛉飛ぶ下校の曲は新世界
     『家路』とか『遠き山に日は落ちて』とかいろいろな名前がついていますね。
    ■位取り間違へてをりきりぎりす
     今月の出費は計算違い。
    ■全地球測位システム秋深む
    GPSで紅葉狩り。
    ■大花野気位高き靴が降る
     つまずいたりして。
    ■判定で二位になるなり法師蝉
     運動会の徒競争でも判定があります。
    ■鰯雲とりつく島はありますか
     空一面の鰯雲。
    ■島までは歩いてゆける秋の虹
     引き潮のときには歩けます。
    ■欠け急須干し柿に似た顔添へて
     お婆さんにお茶を入れて貰ったのでしょうか。
    ■マネキンの胴の輪切りや小鳥来る
    駅前銀座の洋服屋さん。
    ■みみず鳴く望遠鏡に土星入れ
     ちょっと動かすとすぐに望遠鏡からこぼれてしまいます。
    ■雨続く人の匂ひの零余子飯
    湿気があると香りも人臭い。
    ■鼻つ柱ばかに強くて蓼の花
     「ばかり」の方が良いかも。

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  18. すみません。ブログのシステムの方で、コメント頂いたいくつかをスパンと認識してしまったようです。何を隠そう世話人のコメントさえも最初スパン扱いされてしまったのですが…。解除して重複分は後からのを生かしましたが、手違いがあればご指摘下さい。

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