2012年8月7日火曜日

感染呪術句会・投句一覧

なでしこジャパン、守りきりましたね。

【感】
感極まる法令線や雲の峰
感嘆付どどと押し寄せ熱帯夜
感嘆符打つてわたしの夏終る
蛍飛ぶ予感につなぐ指と指
新宿の感度の悪しき西日かな
髪洗う第六感は外れがち

【染】
はんざきが影に染つてゆきにけり
ふるさとやかなかなの空染まりゆく
染料の壺並びをる晩夏の町
箱庭に染物屋ある水の色
髪をおろす西日に染まらないように
藍染の作務衣サングラスも在庫

【呪】
呪はれしごとくに溶けてアイスクリン
呪はれて胡瓜曲がりぬし・し・し
呪詛流すための夕立だと思ふ
祝いつつ呪いつつハンカチを振る
水澄めり呪解けたるやうに澄む
夜の秋の椅子の呪ひの深まれり

【術】
一切の術知らぬまま胡瓜揉む
手術室点つてゐたり緑の夜
術中にはまつてからの夜涼かな
日盛の奇術師に影ひとり分
忍術で木耳となり吹かれをり
飛行船夏潮浴びる術知らず

【当季雑詠】
ずるずると残暑引きずる鉄鎖かな
そこここに蟻の穴ある地方都市
ラケットを団扇にしたらそこで負け
夏木立青き焔をこらへかね
競争のやうに帰省の船降りる
滝を見て滝を語らぬままにをり
反省も夏痩せもせず爪を切る
法事終われば石榴の実まだ青い

(以上)

6句選(特選、逆選なし)
選句締切:8月10日(金)24時(JST)
投稿先:恒信風句会
http://koshinfu.blogspot.com/

題に関わらず全体から6句選にてお願い致します。
整理の都合上、句の順番はそのままにして下さい。
投句一覧へのコメントとして、投稿して下さい。その際、名前/URLというのを選択して、俳号もしくはご本名を入力して下さい。URLは入れなくてよいです。
なお、右側の「最近のコメント」という欄は反映するのに時間がかかるようです。

ではよろしくお願い致します。

6 件のコメント:

  1. ○新宿の感度の悪しき西日かな
     なんの感度かは曖昧に書いてあるので、なかば強引に「新宿の感度」と読むこともでき、往年の新宿の活況に思いを馳せたりします。
     
    ○染料の壺並びをる晩夏の町
     素養がないので染物の町なのか壺の町なのか定かでないのですが、下五を字余りにして「町」と置いたことにより、一帯の空気感が立ち上がるようです。

    ○祝いつつ呪いつつハンカチを振る
     恋人を盗られたのでしょうか。リフレインと句またがりが、なんとも作りものめいていて、よいです。

    ○水澄めり呪解けたるやうに澄む
     どうせなら下五も「澄めり」で着地を決めてほしかったのですが、水の透明度を表現するのに「呪解けたるやうに」というのは、見たことがないような気がします。

    ○一切の術知らぬまま胡瓜揉む
     運命に翻弄される悲哀を感じます。決して胡瓜揉みの技術を知らないという意味ではないでしょう。

    ○日盛の奇術師に影ひとり分
     今年の夏はなんだか秋みたいに影がくっきりしている、という話をつい先日の土曜日にしていたばかりなのですが、「ひとり分」が<影はだませない>という理に落ちている感もあり、やや微妙です。かといって、じゃあ「ふたり分」ならいいのかというと、もっと微妙。

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  2. ○感嘆符打つてわたしの夏終る
    夏はそうでなくちゃ、ね。

    ○呪はれしごとくに溶けてアイスクリン
    ベトベトと広がってゆくのですね。

    ○祝いつつ呪いつつハンカチを振る
    別れのハンカチ。ドラマです。

    日盛の奇術師に影ひとり分
    ○ふたり分なんじゃないかと思うのに、やっぱりひとり分。誰もでも人はひとり。

    ○滝を見て滝を語らぬままにをり
    なにも言わないのがいちばん滝を語っているのでしょう。

    ○法事終われば石榴の実まだ青い
    人は死に、儀式の中に置いて行かれ、儀式の後の世界は時間が流れている。「まだ」が秀逸。

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  3. ★ふるさとやかなかなの空染まりゆく
    べたな俳句、でも捨て難い。

    ★染料の壺並びをる晩夏の町
    晩夏、いい感じ。

    ★忍術で木耳となり吹かれをり
    木耳って、忍術でなるものなのね。しかし、木耳以外に化けるものなかったのかしら。

    ★ラケットを団扇にしたらそこで負け
    卓球限定。言わんとすることはわかるけれど、もう少々優しく見守ってあげてちょうだいな。

    ★反省も夏痩せもせず爪を切る
    怠惰な生活を自虐的に。

    ★法事終われば石榴の実まだ青い
    実柘榴の青さ。心情わかるような気も。

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  4. ○染料の壺並びをる晩夏の町
    下六が違和感なく受け入れられました。

    ○呪はれしごとくに溶けてアイスクリン
    でろんでろんに溶けてしまったのですね。。。

    ○祝いつつ呪いつつハンカチを振る
    対照的な言葉なのに漢字がこんなに似ているとは!

    ○日盛の奇術師に影ひとり分
    ひとり分が効いています~。

    ○忍術で木耳となり吹かれをり
    なんとなく納得させられました。w

    ○法事終われば石榴の実まだ青い
    「青い」が象徴的な色となりましたね。

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  5. ☆新宿の感度の悪しき西日かな
    感度の良い西日は透明ですが、新宿では濁っている。

    ☆髪をおろす西日に染まらないように
    白いうなじの魅力は大切に。

    ☆祝いつつ呪いつつハンカチを振る
    新婚旅行への二人を見送る正直な気持ち。

    ☆そこここに蟻の穴ある地方都市
    大都市では蟻地獄が。

    ☆競争のやうに帰省の船降りる
    オリンピックづいているのかも。

    ☆滝を見て滝を語らぬままにをり
    自然の大威力を前にすると言葉を失います。

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  6. ○感嘆付どどと押し寄せ熱帯夜
    どどと押し寄せる大げさっぷりがいい。

    ○箱庭に染物屋ある水の色
    染物屋は実はなくて、そんなような色の水がながれているのかもしれない。

    ○呪はれしごとくに溶けてアイスクリン
    でろでろんと。

    ○呪詛流すための夕立だと思ふ
    夕立に紛れて町中に呪詛を流す訳ですね。呪われた町…

    ○水澄めり呪解けたるやうに澄む
    それはすっきりクリアーな感じがします。

    ○反省も夏痩せもせず爪を切る
    そのふてぶてしさがいいです。

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