2013年12月8日日曜日

駐日大使句会・投句一覧

 お待たせしました。

【駐】
クリスマスツリーを点す駐屯地
タラップをロングコートの駐在員
監視する常駐タスク冬銀河
狐火に囲まれてゐる駐車場
霜の夜の駐輪場をハイヒール
短日のディズニーランド駐車場
駐妻に大きコートの男寄る
駐在所ストーブ引き継がれてをり
駐在所日向ぼこりに相応しき
駐車場からすこし歩いて白鳥に
駐車場から駐輪場へマフラーを
駐車場の白き枠から凍て始む
白菜も迷子もとどく駐在所

【日】
プチプチをプチプチつぶす日短し
極月も大日如来静止して
古日記海の話で終はりをり
昨日より道幅広くなり小春
自堕落な日々も愛せよ冬薔薇
心眼や春日若宮おん祭
短日やカラーコーンに囲まれて
短日やしつぽくるりと秋田いぬ
冬の日を跳ね返したる学舎かな
日記買うという季語があるので買う
日暮から明け方にかけ山眠る
白鳥の声の暮れゆく日本海
浮寝鳥日時計の針うすうすと
風によく混ざるロシア語冬めく日

【大】
おほいなる父のうがひや山眠る
たい焼きも大なり小なり人生に
ポインセチア大学の棟ガラス張り
神の留守大きな人は荷を運び
人大天夫失(みばうじん)喪服に雪を忍ばせて
大袈裟な演技も交え社会鍋
大根のひかり崩さぬように煮る
着ぶくれて大型店をうろうろす
冬の蝶大腿骨に同化せし
南無三千世界一大社会鍋
年詰まる大漁旗の波がしら
蜜柑山父の大きな眠りかな
漱石にも英世にも髭大三十日

【使】
よく使ふ文字の減りたり枇杷の花
使はない十能のある厨かな
召使めきて鯛焼買ふ家人
即席の天使降りくる年の暮
張りぼての天使の集ひ十二月
冬の雲玄関遠き大使館
冬館詩人がひとりの使用人
冬眠や筑波山麓使用中
日当を使ひ切つたるおでん酒
風花を見上げてはじめてのお使い
忘れつぽい天使の肩に十二月
魔法使い魔法でマント翻す
梟は夜空をゆるやかに使う

【当季雑詠】
この便器では冬の泉と命名す
ぴかぴかの自転車小春日の崩壊
ほほゑんでマフラー少しほどけたる
ぽりぽりと沢庵噛んでゐてひとり
マスクしてこの人も目が死んでゐる
雑巾をちくちく縫うて花八手
地下足袋の小鉤きちりと冬椿
着ぐるみのことはいいから冬の星
着ぶくれて故郷の象を思うかな
鍋釜と女系家族と隙間風
白息の総量一夫多妻制
腹見せてハイエナの寝る冬日和
片翼を探し続けてゐる聖夜
竜の玉天使の羽をしまふ音

(以上)

13句選(特選、逆選なし)
選句締切:12月13日(金)24時(JST)
投稿先:恒信風句会
http://koshinfu.blogspot.com/

題に関わらず全体から13句選にてお願い致します。
整理の都合上、句の順番はそのままにして下さい。
投句一覧へのコメントとして、投稿して下さい。その際、名前/URLというのを選択して、俳号もしくはご本名を入力して下さい。URLは入れなくてよいです。

ではよろしくお願い致します。

13 件のコメント:

  1. ★狐火に囲まれてゐる駐車場
     この駐車場には停めたくないな。

    ★霜の夜の駐輪場をハイヒール
     仕事帰りのご婦人。家に着くまで気が抜けない。

    ★駐在所ストーブ引き継がれてをり
     ○○年製なんてマジックで書かれていたりする。

    ★駐車場からすこし歩いて白鳥に
     昔この状況と全く同じ経験を安いバスツアーでしました。

    ★自堕落な日々も愛せよ冬薔薇
     薔薇は付き過ぎ感否めないけれど、自堕落はなかなかイイ。

    ★日記買うという季語があるので買う
     そして日記はつけないと。

    ★浮寝鳥日時計の針うすうすと
     うすうすと、は心地よい着地。

    ★おほいなる父のうがひや山眠る
     最後にえづくところまでがワンセット。

    ★大根のひかり崩さぬように煮る
     最後はやっぱり崩れるけれど。なんか健気。

    ★風花を見上げてはじめてのお使い
     晴れの日に変更か。

    ★魔法使い魔法でマント翻す
     こういう演出は大事。魔法の無駄遣も悪くない。

    ★梟は夜空をゆるやかに使う
     こう詠われるとそうかもと思わされてしまう。

    ★雑巾をちくちく縫うて花八手
     年末の大掃除に向けて。なんとなくいじましい感じがグッド。

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  2. 〇クリスマスツリーを点す駐屯地
    ソウ ディスイズ クリスマス♪

    〇狐火に囲まれてゐる駐車場
    どうやら包囲されてしまいました。ちょっぴりわくわく。

    〇短日のディズニーランド駐車場
    これ、いい景色です。好きです。

    〇駐車場からすこし歩いて白鳥に
    白鳥を見に行くと読むべきなのでしょうが、白鳥に変身するようにも読めます。

    〇古日記海の話で終はりをり
    ちょっとかっこよすぎるか。

    〇日記買うという季語があるので買う
    なんでも実行してみるのが大事。

    〇風によく混ざるロシア語冬めく日
    「よく混ざる」がいい。

    〇おほいなる父のうがひや山眠る
    子供の視点?

    〇大根のひかり崩さぬように煮る
    うまそうな。

    〇南無三千世界一大社会鍋
    えらく大袈裟で可笑しい。

    〇蜜柑山父の大きな眠りかな
    これも子供の視点でしょうか。昔を思い出してるのかも。

    〇梟は夜空をゆるやかに使う
    「ゆるやかに使う」がうまい。ちょっとキマリすぎ?

    〇白息の総量一夫多妻制
    なんとなく、息の匂いが気になりました。

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  3. ○駐在所ストーブ引き継がれてをり
    予算が付かなくって。

    ○駐車場からすこし歩いて白鳥に
    うちのそばにもある。

    ○冬の日を跳ね返したる学舎かな
    反面学生はへなちょこ。

    ○白鳥の声の暮れゆく日本海
    演歌の世界。

    ○浮寝鳥日時計の針うすうすと
    われ関知せず。

    ○風によく混ざるロシア語冬めく日
    新潟港?

    ○たい焼きも大なり小なり人生に
    たい焼き殺人事件もありましたね。

    ○神の留守大きな人は荷を運び
    人間の条件。

    ○大袈裟な演技も交え社会鍋
    まだあるのかな?

    ○大根のひかり崩さぬように煮る
    俳句だね~。

    ○よく使ふ文字の減りたり枇杷の花
    タイプ?

    ○雑巾をちくちく縫うて花八手
    花八手が妙。


    ○着ぶくれて故郷の象を思うかな
    チャダ。

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  4. ○クリスマスツリーを点す駐屯地
    駐屯地で臨場感が出ています。

    ○駐車場からすこし歩いて白鳥に
    あるある感ですね。

    ○白菜も迷子もとどく駐在所
    ほのぼの。

    ○古日記海の話で終はりをり
    スケール大きく来年へ。

    ○風によく混ざるロシア語冬めく日
    風に混ざる、なかなか言えません。

    ○ポインセチア大学の棟ガラス張り
    近代的な造りの大学です。

    ○大根のひかり崩さぬように煮る
    お出汁が効いていて美味。

    ○梟は夜空をゆるやかに使う
    動詞が働いています。

    ○魔法使い魔法でマント翻す
    メルヘン。w

    ○マスクしてこの人も目が死んでゐる
    マスクといえば、目、ですね。

    ○地下足袋の小鉤きちりと冬椿
    粋な感じがいたします。

    ○着ぐるみのことはいいから冬の星
    夢に向かって。。ドラマがあります。

    ○竜の玉天使の羽をしまふ音
    しまふのひらがな表記が可愛いいので思わずいただき。

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  5. ○短日のディズニーランド駐車場
    広い駐車場から見えるシンデレラ城。楽しかった時間まるごとを感じます。

    ○駐在所ストーブ引き継がれてをり
    古い丸い温かそうなストーブ。絵がいい。

    ○駐車場から駐輪場へマフラーを
    手袋も落ちてることありますね。

    ○昨日より道幅広くなり小春
    この時期は道路工事が多い。小春がきいている。

    ○風によく混ざるロシア語冬めく日
    風によく混ざるロシア語が冬っぽさにマッチしていますね。

    ○大袈裟な演技も交え社会鍋
    社会鍋、なるほど。そうかも。

    ○着ぶくれて大型店をうろうろす
    あの変な機械音の音楽がばかばか流れている空間が、着ぶくれで余計鮮やかです。

    ○よく使ふ文字の減りたり枇杷の花
    どういうことなのかわかりかねるのですが、枇杷の花がどうもいいのです。

    ○魔法使い魔法でマント翻す
    かわいい。ディズニーランドの世界。

    ○梟は夜空をゆるやかに使う
    全体が魅力的なフレーズ。

    ○マスクしてこの人も目が死んでゐる
    マスクというものの特性を言い表していると思います。

    ○雑巾をちくちく縫うて花八手
    花八手でよくみえますね。

    ○着ぶくれて故郷の象を思うかな
    少し哀しい後ろ姿。

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  6. ○白菜も迷子もとどく駐在所
    白菜が届くところがうれしいですね。

    ○極月も大日如来静止して
    極月と如来の取り合わせはよいと思います。「も」が気になりますが。

    ○古日記海の話で終はりをり
    「海の話」がうまいですね。古日記に奥行きが出てます。

    ○浮寝鳥日時計の針うすうすと
    淡い感じが浮寝鳥とうまく調和しています。

    ○風によく混ざるロシア語冬めく日
    ロシア語が寒そうでいいですね。スワヒリ語じゃこうはいかないw

    ○おほいなる父のうがひや山眠る
    お父さんはきっと山のようにどっしりとした存在なのでしょう。

    ○大根のひかり崩さぬように煮る
    丁寧に煮ている感じがよく出ています。「ひかり」が巧い。

    ○年詰まる大漁旗の波がしら
    季が動きそうですが、波がしらに着目したところがよいです。

    ○冬館詩人がひとりの使用人
    文法的に曖昧な部分もありますが、詩人が一人いる館は魅力的。

    ○梟は夜空をゆるやかに使う
    空を「使う」という発想はなかったです。よいと思います。

    ○ほほゑんでマフラー少しほどけたる
    マフラーの巻き具合が心情も表しているように思えました。

    ○雑巾をちくちく縫うて花八手
    地味な景ですが、そこがいい。安定感があります。

    ○片翼を探し続けてゐる聖夜
    こういう甘い句、好きだなぁ。

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  7. ○霜の夜の駐輪場をハイヒール
    駐車場じゃなく駐輪場のコツコツの音に生活感と僅かな哀感。

    ○駐車場からすこし歩いて白鳥に
    白鳥が観光の目玉に。もしかして喫茶白鳥かも。

    ○プチプチをプチプチつぶす日短し
    プチプチの音が響くだけの所在ない一日。

    ○昨日より道幅広くなり小春
    工事が終わって、日差しも暖かに感じられるのですね。

    ○日記買うという季語があるので買う
    俳人同士にしか分からぬ諧謔味。

    ○着ぶくれて大型店をうろうろす
    着ぶくれが似合う場所発見。

    ○漱石にも英世にも髭大三十日
    聖徳太子にも伊藤博文にもね。

    ○風花を見上げてはじめてのお使い
    さらに緊張感高まる。頑張ってね。

    ○魔法使い魔法でマント翻す
    それも魔法の力がいるんですか。なんか大変そうで可笑しい。

    ○梟は夜空をゆるやかに使う
    ばさっと飛ぶ感じがあるんですが、飛んでいるときはそうかも。

    ○ほほゑんでマフラー少しほどけたる
    微笑みの温度を感じます。

    ○マスクしてこの人も目が死んでゐる
    マスクして黙々とと街をゆくひとびと。

    ○地下足袋の小鉤きちりと冬椿
    冬椿で粋な女性の植木屋さんとかを思います。女性の車屋さんも見かけたな。

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  8. トオイダイスケ2013年12月10日 1:08

    ○狐火に囲まれてゐる駐車場
    こわい。狐の集会感が楽しくもあるが。

    ○駐車場の白き枠から凍て始む
    あの白線からペンキがはみ出ているところがたまにあって、そこが明け方に凍っている絵が浮かんだ。

    ○白菜も迷子もとどく駐在所
    あたたかみにあふれる駐在所。

    ○短日やしつぽくるりと秋田いぬ
    かわいい。冬の夕方の散歩。

    ○浮寝鳥日時計の針うすうすと
    のどか。凛とした冷えた空気と池の水の匂い、やわらかい日差しが伝わってくる。

    ○蜜柑山父の大きな眠りかな
    大きな眠りが死の比喩のように読めるが、なぜか安らかさを感じた。

    ○日当を使ひ切つたるおでん酒
    楽しい。小さな全力の贅沢。

    ○風花を見上げてはじめてのお使い
    風花に厳しさとやさしさとを感じる。無事に行って帰って来られるように見守りたい。

    ○梟は夜空をゆるやかに使う
    中七と下五がとても美しいです。

    ○雑巾をちくちく縫うて花八手
    句全体のちくちく感が楽しい(季語は近いのかもしれないけれど)。

    ○地下足袋の小鉤きちりと冬椿
    きりっとしている。冬椿が端正で美しい。

    ○着ぶくれて故郷の象を思うかな
    幼い頃行った動物園か。地元に象がいるのは楽しいことですね。

    ○腹見せてハイエナの寝る冬日和
    つかの間の幸せな休息。

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  9. ■クリスマスツリーを点す駐屯地
    このツリーは、何を引受けることになるのか、ならないのか

    ■霜の夜の駐輪場をハイヒール
    女装趣味の男であってほしい

    ■白菜も迷子もとどく駐在所
    いまのご時勢を、笑える気概も尽きて

    ■古日記海の話で終はりをり
    海の話で終わるしかない感じも漂い

    ■自堕落な日々も愛せよ冬薔薇
    意味よりも漢字の並びがセクシーです

    ■風によく混ざるロシア語冬めく日
    冬めく日、に生じている複雑なニュアンスを噛みしめてみています

    ■おほいなる父のうがひや山眠る
    山眠るの山は、母のようでもあるような気もします

    ■大根のひかり崩さぬように煮る
    ぼくも今度そうしてみます

    ■よく使ふ文字の減りたり枇杷の花
    枇杷の花、は絶妙

    ■魔法使い魔法でマント翻す
    マントって、誰が着てもそういうものかもしれない

    ■雑巾をちくちく縫うて花八手
    ちくちく縫う指先から花八手への展開が心地よい

    ■着ぶくれて故郷の象を思うかな
    故郷の象がフィクションめいて感じられて功を奏している気がします

    ■片翼を探し続けてゐる聖夜
    リアルな句だと思います

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  10. ○狐火に囲まれてゐる駐車場
    駐車場というのが妙にリアルで怖いです。

    ○駐在所ストーブ引き継がれてをり
    ストーブに親しみ。

    ○駐車場からすこし歩いて白鳥に
    白鳥を見に行く実景でありそう。でも白鳥に変身するようにも。

    ○昨日より道幅広くなり小春
    拡張工事?何でも句材になるのですね。

    ○冬の日を跳ね返したる学舎かな
    確かに跳ね返しています。

    ○日記買うという季語があるので買う
    とぼけた味わい。

    ○風によく混ざるロシア語冬めく日
    上五中七が好きでした。

    ○おほいなる父のうがひや山眠る
    急に存在感が増す感じ。

    ○冬の雲玄関遠き大使館
    行ったことありませんが遠そうです。

    ○冬眠や筑波山麓使用中
    使用中のランプが点いていそうで可笑しい。

    ○梟は夜空をゆるやかに使う
    飛んでいる梟の句は新鮮でした。

    ○ほほゑんでマフラー少しほどけたる
    着眼点が好き。

    ○着ぶくれて故郷の象を思うかな
    タイをイメージしました。着ぶくれとの距離感もいいです。

    返信削除
  11. ○駐在所ストーブ引き継がれてをり
    焦げ跡が見えるようです。

    ○駐車場からすこし歩いて白鳥に
    決して人に見られてはいけません。

    ○白鳥の声の暮れゆく日本海
    日本海の荒波を感じます。

    ○浮寝鳥日時計の針うすうすと
    かろうじて時を刻んでいる感じがいいです。

    ○風によく混ざるロシア語冬めく日
    何とかノフとか何とかカヤとか。

    ○おほいなる父のうがひや山眠る
    おおらかさがいいです。

    ○大根のひかり崩さぬように煮る
    なかなか難しいんです。

    ○即席の天使降りくる年の暮
    人手が足りません。

    ○梟は夜空をゆるやかに使う
    ゆるやかがきいてます。

    ○ぽりぽりと沢庵噛んでゐてひとり
    音だけが虚しく響きます。

    ○マスクしてこの人も目が死んでゐる
    たまに眼力の強い人もいますが。

    ○雑巾をちくちく縫うて花八手
    花八手がいいです。

    ○着ぐるみのことはいいから冬の星
    何の着ぐるみですかね。気になります。

    返信削除
  12. ◯クリスマスツリーを点す駐屯地
    とても合います。

    ◯狐火に囲まれてゐる駐車場
    山里の駐車場。ありそうですね。

    ◯駐車場の白き枠から凍て始む
    発見。

    ◯プチプチをプチプチつぶす日短し
    やりだすと時間が飛びます。

    ◯おほいなる父のうがひや山眠る
    父はなんでも大きい感。

    ◯神の留守大きな人は荷を運び
    「大きな人」が象徴性を帯びました。

    ◯大袈裟な演技も交え社会鍋
    自分でもエスカレートがとまらないらしいです。

    ◯年詰まる大漁旗の波がしら
    「大漁旗の波がしら」がいいですね。原色使意外とポップ。

    ◯使はない十能のある厨かな
    実家にもありました!

    ◯冬の雲玄関遠き大使館
    駐日米大使館は正にそうですね。そこまでの坂もきつい。

    ◯ぴかぴかの自転車小春日の崩壊
    アンファンテリブル感がいいですね。

    ◯地下足袋の小鉤きちりと冬椿
    「冬椿」でしかありえませんねぇ。

    ◯片翼を探し続けてゐる聖夜
    非日常への浮遊感すこしあります。

    返信削除
  13. 遅くなってすみません。

    ○狐火に囲まれてゐる駐車場
     運転してしばらくすると後部座席からいろいろ出てきそうですね。

    ○駐妻に大きコートの男寄る
     「駐妻」って言葉、初めて知りました。現地妻のことかと思ったら、違うのですね。「づかづかと来て踊子にささやける 素十」に通じる世界です。

    ○駐車場からすこし歩いて白鳥に
     こういう句って、どうしてもメタモルフォーゼ読みしてしまいます。

    ○白菜も迷子もとどく駐在所
     ほのぼのとしていていいですね。

    ○古日記海の話で終はりをり
     委細省略してざっくり「海の話」と捉えたところがいいですね。

    ○神の留守大きな人は荷を運び
     なにか類型への批評が一周してしまったみたいな感じがいいです。

    ○着ぶくれて大型店をうろうろす
     師走感があります。年に一度くらいしか大型店へ行かない感慨。

    ○よく使ふ文字の減りたり枇杷の花
     活字でしょうか。「枇杷の花」が渋い。

    ○召使めきて鯛焼買ふ家人
     会社や客先でのへりくだった応対パターンがつい出てしまい、それを目の当たりにしてしまった連れ合い、という感じですね。

    ○魔法使い魔法でマント翻す
     これ、すごい。そんなこと考えたことなかった。

    ○梟は夜空をゆるやかに使う
     「夜空をゆるやかに使う」、いいなあ。

    ○着ぶくれて故郷の象を思うかな
     作者がインド人とかアフリカ人であることを想像してもいいんだけど、まだ生きている武蔵野の象の花子とかかも知れない。

    ○白息の総量一夫多妻制
     「一夫多妻制」という着地がアクロバティックです。

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