2014年1月14日火曜日

大瀧詠一句会・投句一覧

 大変遅くなりまして、申し訳ありません。
今年もよろしくお願いします。

【大】
初御空何をいふても大袈裟な
初買や大安に選る長財布
床暖房といへども大の字に寝ない
双六の大きなマスに休みをり
双六や総理大臣より都知事
大火事のニュースの火事の小さかり
大学の杜に立ちたる淑気かな
大学の門の立派な淑気かな
大動脈解離悲しき冬林檎
兎より大きくつくり雪兎
冬の猫瞳大きくなつてをり
爺様の棺に大根入れにけり
落葉焚大きな声で来る子ども

【瀧】
ピエール瀧の微笑み返し春近し
階段の瀧となりをり初詣
三寒の瀧廉太郎生真面目顔
大寒や瀧壺の音凝固せし
瀧の白糸の映画ポスター初弘法
瀧をでて初松籟になるものも
冬の日のピエール瀧の隠し芸
冬休み父親役のピエール瀧
凍瀧の空へ向かつてゐるかたち
凍瀧解く廉太郎から詠一へ
白糸の瀧白糸のまま凍る
養老乃瀧に書初したりけり

【詠】
ありえない題詠ばかり小正月
詠み人の終に分からず毛糸編む
詠む声の裏返りをり歌かるた
詠草の兆すところぞ大枯野
詠嘆のかなかな寒のさかなかな
鎌鼬いいえスカボロフェア/詠唱
賛美歌の詠唱骸に降る雪
初山河ふつと詠み人知らずめく
読初や詠み人知らずとふ著名
北窓を塞ぎついでに欠詠す
朗詠の声のふとぶと寒夕焼
鮟鱇吊られ讃歌詠唱聴こゑくる

【一】
てのひらの一冊雪の降りにけり
一を聞いて何も残らぬ新年会
一月はトイプードルや新暦
一月やいちいち位置を直さるる
一巡の回覧板や日脚伸ぶ
一人称「私」に変へて初日記
一日の軽さ明るさ寒卵
看板に一条さゆり寒の雨
十二月の旅人逝けり一刹那
人間に一本ずつの去年今年
人日の一番打者の気合かな
大寒や給料日まで幾日も
煩悩や一輪残る寒椿
鳴き声の一任されし寒鴉

【当季雑詠】
「仁義なき戦い」に似た初夢を
あかるくて切なき冬の唄ばかり
ほんたうに着膨れてゐるだけなのか
絵里夏菜お京ハコVera賀状来る
外套の内のシュレディンガーの猫
革手袋付けて猟犬へと戻る
午後からを空っぽにしてセロリ食む
初夢の中の鏡を見てしまふ
真くれなゐなれば落ちるよ寒椿
人日の当て布すこしずらしけり
垂直に先生のゐる霜柱
冬籠スパイだらけの喫茶店
冬薔薇はつぴいえんど聴く一日

(以上)

12句選(特選、逆選なし)
選句締切:1月17日(金)24時(JST)
投稿先:恒信風句会
http://koshinfu.blogspot.com/

題に関わらず全体から12句選にてお願い致します。
整理の都合上、句の順番はそのままにして下さい。
投句一覧へのコメントとして、投稿して下さい。その際、名前/URLというのを選択して、俳号もしくはご本名を入力して下さい。URLは入れなくてよいです。

ではよろしくお願い致します。

12 件のコメント:

  1. トオイダイスケ2014年1月14日 3:28

    ○初買や大安に選る長財布
    縁起よく、良い年にしようという意志が伝わってくる。

    ○床暖房といへども大の字に寝ない
    あの下半身の暖かさと上半身のほの寒さ、熱を放出したくなくて体を縮こまらせて寝ようとする微妙な情けなさが実感される。

    ○落葉焚大きな声で来る子ども
    焚き火の気持ちが高揚する楽しい面を表している。

    ○凍瀧の空へ向かつてゐるかたち
    普段下に向かっているものが止まったときは逆に上がっているように見える驚き。

    ○白糸の瀧白糸のまま凍る
    言葉遊びのようですが、繊細できれいな瀧。

    ○初山河ふつと詠み人知らずめく
    自分が「詠み人知らず」と後に呼ばれうるという想像が時間と空間のスケールの大きさを感じさせた。

    ○てのひらの一冊雪の降りにけり
    曇りない白を感じさせる句。

    ○一月やいちいち位置を直さるる
    音が楽しい。年が改まったから(ささいなことを)ちゃんとしなくちゃ、という感じもする。

    ○一日の軽さ明るさ寒卵
    キューピーやアヲハタの広告みたいなきれいさ。

    ○あかるくて切なき冬の唄ばかり
    唄というものそのもの、冬という季節そのものについて言っているように思わされた。

    ○革手袋付けて猟犬へと戻る
    意味というか状況が分からないまま、不思議におもしろいのでいただきました。

    ○垂直に先生のゐる霜柱
    霜柱に刺さっているみたい。痩せて背が高そう。針刺しみたいな鋭さときらめきと寒さを感じる。

    返信削除
  2. ★双六の大きなマスに休みをり
     何事も休止する時間は大事。大きくゆったりと。

    ★兎より大きくつくり雪兎
     可愛くないかも。

    ★爺様の棺に大根入れにけり
     故人はよほどの大根好きだったのだろう。生産者かも。こういう見送り方があっていい。

    ★落葉焚大きな声で来る子ども
     焼藷が出てくるやも。

    ★北窓を塞ぎついでに欠詠す
     ものはついで。欠詠、たいした事無いけれど、あとで後悔したりするのだ。

    ★てのひらの一冊雪の降りにけり
     この一冊、なんだろう。

    ★一月はトイプードルや新暦
     可愛い。個人的に、犬の中で、この犬種が一番好き。

    ★一人称「私」に変へて初日記
     去年までは僕だったのか、俺だったのか。すこし大人になった気分。

    ★煩悩や一輪残る寒椿
     煩悩。間もなくほろと落ちて行くのだ。

    ★ほんたうに着膨れてゐるだけなのか
     いいえ、手品の種を隠しています。

    ★初夢の中の鏡を見てしまふ
     自己嫌悪。

    ★垂直に先生のゐる霜柱
     律儀な先生。この先生、白衣を着ているような気がする。

    返信削除
  3. ◯兎より大きくつくり雪兎
    小さくなりそうですが、人により大きくもなるでしょう。

    ◯落葉焚大きな声で来る子ども
    来ますよ来ます!

    ◯階段の瀧となりをり初詣
    人の滝。

    ◯凍瀧の空へ向かつてゐるかたち
    ちょっと形式ぎみですが、いけます。

    ◯白糸の瀧白糸のまま凍る
    技あり。

    ◯詠む声の裏返りをり歌かるた
    永世クィーン!

    ◯初山河ふつと詠み人知らずめく
    無名の良さです。

    ◯朗詠の声のふとぶと寒夕焼
    おめでたい。

    ◯一月やいちいち位置を直さるる
    正月のうちは、ね。そのうち「ま、いいか」になるのでご辛抱を。

    ◯一巡の回覧板や日脚伸ぶ
    今もあるのかな。

    ◯革手袋付けて猟犬へと戻る
    アウトドア系好き。

    ◯初夢の中の鏡を見てしまふ
    だから言ったではないか。

    返信削除
  4. ○初御空何をいふても大袈裟な
    すがすがしくて、言葉もつい大きく。

    ○大動脈解離悲しき冬林檎
    合掌。冬林檎が何とも切ないです。

    ○兎より大きくつくり雪兎
    指の後も残った青白いウサギ。

    ○冬休み父親役のピエール瀧
    父親役のピエール瀧がいい。

    ○ありえない題詠ばかり小正月
    でも、つくるしかありません。

    ○初山河ふつと詠み人知らずめく
    確かに。詠み人知らずめくがいい。

    ○一人称「私」に変へて初日記
    新しい思いを記すのでしょうか。

    ○「仁義なき戦い」に似た初夢を
    起きたら疲れそう。

    ○ほんたうに着膨れてゐるだけなのか
    ぎくっ

    ○外套の内のシュレディンガーの猫
    闇の中の猫は生きながら死んでいる。

    ○初夢の中の鏡を見てしまふ
    いつまでも終わらない夢のようで美しく怖い。

    ○冬籠スパイだらけの喫茶店
    それぞれが欺きあいながら、冬を暗躍するのでしょうか。

    返信削除
  5. ○兎より大きくつくり雪兎
    怒雪達磨

    ○爺様の棺に大根入れにけり
    百姓一筋

    ○凍瀧の空へ向かつてゐるかたち
    天地無用

    ○白糸の瀧白糸のまま凍る
    解凍後綱

    ○初山河ふつと詠み人知らずめく
    柿本人麿

    ○てのひらの一冊雪の降りにけり
    残滓可憐

    ○一巡の回覧板や日脚伸ぶ
    回転寿司

    ○煩悩や一輪残る寒椿
    利休宗易

    ○鳴き声の一任されし寒鴉
    時鳥真似

    ○ほんたうに着膨れてゐるだけなのか
    豚豚子豚

    ○初夢の中の鏡を見てしまふ
    自惚過多

    ○冬籠スパイだらけの喫茶店
    零零七

    返信削除
  6. ○初御空何をいふても大袈裟な
    つい気が大きくなりまして。

    ○床暖房といへども大の字に寝ない
    やってみたいけど低温やけどしそう。

    ○双六の大きなマスに休みをり
    なんとなく安堵。

    ○ピエール瀧の微笑み返し春近し
    大将っ。

    ○凍瀧の空へ向かつてゐるかたち
    荘厳。

    ○凍瀧解く廉太郎から詠一へ
    瀧の連鎖。

    ○ありえない題詠ばかり小正月
    難題ばかりなり。

    ○北窓を塞ぎついでに欠詠す
    でもやっぱり投句します。

    ○てのひらの一冊雪の降りにけり
    文学少女の幻影。

    ○一を聞いて何も残らぬ新年会
    何でしたっけ。

    ○ほんたうに着膨れてゐるだけなのか
    つい食べすぎで、、

    ○初夢の中の鏡を見てしまふ
    もう戻れませんよ。

    返信削除
  7. ○初御空何をいふても大袈裟な
    正月ぐらいは大言壮語ゆるす。

    ○床暖房といへども大の字に寝ない
    横向きに丸まって寝るのがクセなので。

    ○双六の大きなマスに休みをり
    人間双六か。

    ○爺様の棺に大根入れにけり
    作っていたんでしょうね。

    ○ピエール瀧の微笑み返し春近し
    いいですね、あの「ニッ」。

    ○三寒の瀧廉太郎生真面目顔
    あの顔しか知りません。

    ○凍瀧の空へ向かつてゐるかたち
    飛沫まで凍って撥ね上がっていますから。

    ○北窓を塞ぎついでに欠詠す
    こんな巧い句を詠まれるのだから欠詠なんか出来っこないです。

    ○一を聞いて何も残らぬ新年会
    そんなもん。

    ○一月やいちいち位置を直さるる
    大掃除でせっかくきれいにしたんだから…と。言葉遊びに落ちない巧さ。

    ○人日の当て布すこしずらしけり
    理由なく惹かれる句。

    ○冬薔薇はつぴいえんど聴く一日
    聴きました。

    返信削除
  8. ○初御空何をいふても大袈裟な
    新年の気分がそうさせるのです。

    ○兎より大きくつくり雪兎
    小さいからいいのですよね。

    ○爺様の棺に大根入れにけり
    良い方だったのでしょうね。

    ○階段の瀧となりをり初詣
    危険です。事故にならないといいのですが。

    ○ありえない題詠ばかり小正月
    すこし無理な感じもありますが可笑しい。

    ○一を聞いて何も残らぬ新年会
    納得感有り。

    ○一月やいちいち位置を直さるる
    一月から細かい人ですね。

    ○一人称「私」に変へて初日記
    新年から変えるところが律儀です。

    ○「仁義なき戦い」に似た初夢を
    前夜に見てしまったのでしょうか。

    ○午後からを空っぽにしてセロリ食む
    セロリと合っています。

    ○人日の当て布すこしずらしけり
    人日がよく効いています。

    ○冬籠スパイだらけの喫茶店
    妄想?

    返信削除
  9. ○初買や大安に選る長財布
    縁起担いでる感がいいですね。

    ○双六の大きなマスに休みをり
    上がろうと必死になるでもなく、ゆったりした雰囲気。

    ○凍瀧の空へ向かつてゐるかたち
    そんな風に凍っている滝がありそう。

    ○白糸の瀧白糸のまま凍る
    素直な写生で好感が持てます。

    ○詠む声の裏返りをり歌かるた
    緊張しちゃったんでしょうか。

    ○鮟鱇吊られ讃歌詠唱聴こゑくる
    ミスマッチが可笑しいです。

    ○一人称「私」に変へて初日記
    心機一転。新年らしいです。

    ○看板に一条さゆり寒の雨
    懐かしい名前。寒の雨がちょっと寂しい感じ。

    ○ほんたうに着膨れてゐるだけなのか
    実に率直な疑問。

    ○初夢の中の鏡を見てしまふ
    いったい何が映っていたんでしょう。不穏。

    ○垂直に先生のゐる霜柱
    一本大きな柱があったんでしょうか。先生という表現が面白いです。

    ○冬薔薇はつぴいえんど聴く一日
    合掌。

    返信削除
  10. ○双六の大きなマスに休みをり
    そうそう一回休み、ありましたね!

    ○双六や総理大臣より都知事
    面白いですね。

    ○凍瀧の空へ向かつてゐるかたち
    かたちあるもの、上へ上へ。

    ○白糸の瀧白糸のまま凍る
    美しく、繊細。

    ○てのひらの一冊雪の降りにけり
    一冊はきっと詩集だらう。

    ○一月やいちいち位置を直さるる
    一月ですからね。

    ○ほんたうに着膨れてゐるだけなのか
    そうですよ、と言いたい。w

    ○革手袋付けて猟犬へと戻る
    カッコいい!

    ○初夢の中の鏡を見てしまふ
    こわいもの見たさ。

    ○垂直に先生のゐる霜柱
    背筋のぴんとした先生でしょう。

    ○冬籠スパイだらけの喫茶店
    時間つぶしか、張り込みか。

    ○冬薔薇はつぴいえんど聴く一日
    ぷち贅沢な一日。

    返信削除
  11. ○双六の大きなマスに休みをり
    マスに何と書いてあろうと、まずは休むのです。

    ○大学の杜に立ちたる淑気かな
    大学には縁がありませんでしたが、身が引き締まる思いがします。

    ○爺様の棺に大根入れにけり
    これはこれで悲しみの表現です。

    ○瀧の白糸の映画ポスター初弘法
    最近物置か屋根裏から発見されたのでしょうか。

    ○凍瀧の空へ向かつてゐるかたち
    矢印の向きを逆にしただけで、すべてが新鮮に写ります。

    ○鎌鼬いいえスカボロフェア/詠唱
    「/」を使ったんですから「?」も使ってほしいところです。ー

    ○朗詠の声のふとぶと寒夕焼
    ばしっと決まった景ですね。かっこいい。

    ○一月はトイプードルや新暦
    全部の月がトイプードルだったりして。

    ○人間に一本ずつの去年今年
    時間の流れの把握の仕方が面白いです。

    ○鳴き声の一任されし寒鴉
    見事に大役を果たすことでしょう。

    ○外套の内のシュレディンガーの猫
    外套を脱ぐのがためらわれます。

    ○垂直に先生のゐる霜柱
    先生寒くないんですか?という生徒の声が聞こえます。

    返信削除
  12.  大変遅くなりまして、申し訳ありません。

    ○兎より大きくつくり雪兎
     「つくる」ではなく「つくり」とした効果が絶妙で、すとんと切れて俳句になっているような気がします。

    ○階段の瀧となりをり初詣
     あえて具体的に読めば普段は人気のない階段をびっしりと人がどんどん降りてくる感じなのかも知れないけど、どこかそれだけでないシュールな味わいがあります。

    ○大寒や瀧壺の音凝固せし
     音が凝固するという把握がよいです。

    ○凍瀧の空へ向かつてゐるかたち
     なにか魂のようなものが空へ向かっているのでしょう。

    ○一月やいちいち位置を直さるる
     お供えとかだとこだわりがあって、日頃なにも家事を手伝わない人が急にそんなことをしたりしますよね。言葉遊びとしてもたのしいです。

    ○一人称「私」に変へて初日記
     えっ、日記は主語省略でしょう?

    ○人間に一本ずつの去年今年
     「貫く棒の如きもの」が一本ずつということですね。なんだかもう…。

    ○あかるくて切なき冬の唄ばかり
     この句を読んでからyoutubeに行って「冬のリビエラ」や「さらばシベリア鉄道」を聴き、「探偵物語」で泣きそうになって戻ってきました。

    ○午後からを空っぽにしてセロリ食む
     二日酔いでしょうか。

    ○初夢の中の鏡を見てしまふ
     どんな姿の自分が写っていたのでしょう。なんだかショッキングな…。

    ○垂直に先生のゐる霜柱
     霜柱のすぐそばに先生の足許があって、2センチばかりの霜柱から視線が上にうごき170センチばかりの先生がいる、そんな視線の移動を感じました。もっとも、霜柱に先生が封じ込められている読みも可能ですが…。

    ○冬薔薇はつぴいえんど聴く一日
     冬薔薇に年齢を重ねられる世代になってしまいましたね。

    返信削除