2014年3月15日土曜日

浮気調査句会・投句一覧

大変遅くなりました。すみません。

【浮】
やはらかく芥浮かせて花筏
逆光に浮島のある遅日かな
啓蟄の飛行機浮かぶとき力む
首無くて代はりに薊浮かす人
春の蚊と呼ばぬそんなに浮ついちや
春の風邪この世を一寸浮くここち
春の夢浮遊してゐる句読点
春宵や浮かれ歩きの先斗町
雛あられふふんでなんとなく浮力
脳味噌のすこし浮腫みて朧月
浮かぶもの漂うものよ春歌う
浮くものは光にまみれ春の鴨
浮雲となるまで引鶴を送る

【気】
しやぼんだま液体個体気体空
マリンタワー気泡のやうな風船よ
やはらかき空気ふはりと春ショール
鵜馴らしや生気を無くす呪文かけ
気象庁にとらへられたる春一番
気配消すやうに息して春の昼
月々に二度の節気や下萌ゆる
蛇穴を出る低気圧の停滞
春が来て肺のかたちの空気かな
春ショール強気の恋を守りをり
土筆野へ気炎をあげぬそれつきり
陽炎や応援団の空気椅子
陽炎を払いきれない合気道

【調】
うすらひの流るる調べありにけり
家具調の乳房なりけり斑雪
空調の一定にして春の昼
若布にも調べ一株二千株
春昼や調子外れの鳩時計
前触れなきサビの転調花薊
調印のあとの攻防雲に鳥
調息のだんだん眠き養花天
調味料加へて春の愁とす
膝合はせ仕舞ふひひなの調度品
不調和の極まつてゐて地虫出づ
風光る校歌だいたいハ長調

【査】
すぐ終る聴力検査ヒヤシンス
学年末考査を終えて少女たり
検査後の水を飲みほす遅日かな
御開帳四隅に検査済の印
山査子の雄蕊ゆたかに付けまつげ
春泥や東京からの査察団
春灯を消して査定の人帰る
春風の巡査と白い自転車と
審査員控室出て花の冷え
藍植うるツベルクリン検査まだか
恋猫の巡査ひとりとすれ違ふ
鶯餅は査定には響かぬよ

【当季雑詠】
ガナッシュに添ふるクリーム蝶の昼
ルリユール裁つ春宵の色見本
一駅をあるくのも旅春の雲
紅梅のとりみだしたるごとき数
菜種梅雨秒針刻む保健室
削られて啓蟄の軟膏の丘
春の闇グラスの底のデスマスク
春愁のぷるぷるとして彼女かな
前に豊後水道後ろ蜷の道
鳥曇フランスパンの穴はげし
当事者になつてしまひし雛の間
落椿勝手にすればいいと思ふ
鶯菜鳴くほど茹でて上機嫌

(以上)

12句選(特選、逆選なし)
選句締切:3月24日(月)20時(JST)
投稿先:恒信風句会
http://koshinfu.blogspot.com/

題に関わらず全体から12句選にてお願い致します。
整理の都合上、句の順番はそのままにして下さい。
投句一覧へのコメントとして、投稿して下さい。その際、名前/URLというのを選択して、俳号もしくはご本名を入力して下さい。URLは入れなくてよいです。

ではよろしくお願い致します。

12 件のコメント:

  1. トオイダイスケ2014年3月16日 2:21

    ○やはらかく芥浮かせて花筏
    「やはらかく」が水と花筏の実感あり。

    ○逆光に浮島のある遅日かな
    まぶしくのどかな春の海。

    ○春宵や浮かれ歩きの先斗町
    先斗町、春の夜中が似合う。

    ○鵜馴らしや生気を無くす呪文かけ
    催眠術をかけているみたい。脱力。

    ○春昼や調子外れの鳩時計
    古いガタがきている鳩時計。どんどん音程がずれていったりして。脱力。

    ○調息のだんだん眠き養花天
    ヨガっぽい。自分の体を実感して心地よい眠さ。

    ○春風の巡査と白い自転車と
    心優しい巡査を思う。

    ○鶯餅は査定には響かぬよ
    何を言っているんだろう。つまみ食いでもしたのか。

    ○ガナッシュに添ふるクリーム蝶の昼
    蝶の華やかさ、昼の明るさ、クリームのやわらかさが調和している。

    ○一駅をあるくのも旅春の雲
    ちい散歩みたいな。のんびり。

    ○紅梅のとりみだしたるごとき数
    あの少し怖いくらいどわっと咲いている感じがある。

    ○落椿勝手にすればいいと思ふ
    まだ今なら許してくれそうにみえる。

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  2. 〇雛あられふふんでなんとなく浮力
    まあ、そんな感じでしょう。

    〇浮くものは光にまみれ春の鴨
    ちょっとキレイすぎるか。

    〇しやぼんだま液体個体気体空
    しゃぼんだまの連写。

    〇気配消すやうに息して春の昼
    完全には消せない。

    〇春が来て肺のかたちの空気かな
    言い方が少したどたどしいけど、春の雰囲気。

    〇土筆野へ気炎をあげぬそれつきり
    それっきりなんですね。

    〇陽炎や応援団の空気椅子
    空気椅子がいい。

    〇家具調の乳房なりけり斑雪
    どんな乳房?

    〇若布にも調べ一株二千株
    無理矢理な気もするが。

    〇前触れなきサビの転調花薊
    花薊があってるかどうか。

    〇風光る校歌だいたいハ長調
    へえ~(「へぇ~ボタン」を押す)。

    〇当事者になつてしまひし雛の間
    母になった。

    返信削除
  3. ★春の風邪この世を一寸浮くここち
     この風邪心地だったらあじわいたい感も。

    ★浮雲となるまで引鶴を送る
     おセンチに。

    ★気配消すやうに息して春の昼
     泥棒の練習。

    ★春が来て肺のかたちの空気かな
     もって回った言い方が俳句っぽい。

    ★家具調の乳房なりけり斑雪
     ついにこんなところまで家具調が。

    ★風光る校歌だいたいハ長調
     だいたい。

    ★御開帳四隅に検査済の印
     お役所仕事っぽい。

    ★春風の巡査と白い自転車と
     ところどころ塗料が剥げていたりする。

    ★審査員控室出て花の冷え
     審査員室は暖房完備。

    ★恋猫の巡査ひとりとすれ違ふ
     イケメン巡査。

    ★紅梅のとりみだしたるごとき数
     数はいるかな。

    ★鳥曇フランスパンの穴はげし
     あぁ、たしかに激しい。

    返信削除
  4. ○やはらかく芥浮かせて花筏
    花筏が同様に「やはらかく」浮いているようです。

    ○逆光に浮島のある遅日かな
    あくびが出そうな、のどかさ。

    ○啓蟄の飛行機浮かぶとき力む
    乗客も力んでいる。

    ○雛あられふふんでなんとなく浮力
    あられの中の空間のせいでしょうか。

    ○浮雲となるまで引鶴を送る
    そんな場面にいたいです。

    ○春が来て肺のかたちの空気かな
    吸った分だけ、確かに春が実感される。

    ○春ショール強気の恋を守りをり
    受けるより与えるほうが幸い、とか。がんばれ。

    ○陽炎を払いきれない合気道
    払うものでしたっけ??

    ○すぐ終る聴力検査ヒヤシンス
    一発の検眼の速さにはかないませんが。

    ○御開帳四隅に検査済の印
    なんの四隅か、御開帳とは関係なさそうだけど。

    ○ルリユール裁つ春宵の色見本
    自分で作るのも楽しいでしょうね。

    ○春の闇グラスの底のデスマスク
    自分の顔かしら。でも下向くと重力で顔の皺がくっきりで嫌。上向きで死ねばお肌なめらかです。

    返信削除
  5. ○やはらかく芥浮かせて花筏
    今日は鴨川明日は淀川

    ○逆光に浮島のある遅日かな
    上は天国下は底なし

    ○春の風邪この世を一寸浮くここち
    喉にノド飴咳にパブロン

    ○春宵や浮かれ歩きの先斗町
    前にポン引き横に交番

    ○気象庁にとらへられたる春一番
    三番長島四番王

    ○陽炎を払いきれない合気道
    払う柔道払わぬ極道

    ○調印のあとの攻防雲に鳥
    梅に鶯朝吉に清次

    ○一駅をあるくのも旅春の雲
    北長万部南国縫

    ○菜種梅雨秒針刻む保健室
    ダンプ松本松坂慶子

    ○削られて啓蟄の軟膏の丘
    姓は尾呂内名は南公

    ○当事者になつてしまひし雛の間
    手前は三和土奥は寝室

    ○落椿勝手にすればいいと思ふ
    狩行急流登四郎にはたづみ

    返信削除
  6. ◯春の夢浮遊してゐる句読点
    変な句読点です。

    ◯雛あられふふんでなんとなく浮力
    ぼんやり感がなんとも。

    ◯しやぼんだま液体個体気体空
    理屈なんだけどリズムよく空まで行って大きな開放感。

    ◯気配消すやうに息して春の昼
    何をしているんでしょう?

    ◯家具調の乳房なりけり斑雪
    見た事のないたとえなので・・・。

    ◯すぐ終る聴力検査ヒヤシンス
    ひんやりしたあと味。

    ◯検査後の水を飲みほす遅日かな
    水が身体を降りてゆく感じ。

    ◯山査子の雄蕊ゆたかに付けまつげ
    どんどん長くなってますね。

    ◯春泥や東京からの査察団
    エラそうな東京もん。

    ◯一駅をあるくのも旅春の雲
    気持ちよし。

    ◯菜種梅雨秒針刻む保健室
    保健室には今でも秒針があるのだ。

    ◯落椿勝手にすればいいと思ふ
    異議なし!

    返信削除
  7. ○春の風邪この世を一寸浮くここち
     時期外れに床について、ちょっと取り残されたようないたたまれない気持ち、だけど寝ちゃう。

    ○雛あられふふんでなんとなく浮力
     ふふん、が何ともうまい。

    ○調印のあとの攻防雲に鳥
     鳥もあきれて行ってしまう。

    ○調息のだんだん眠き養花天
     養花天は何してても眠くなるのです。

    ○すぐ終る聴力検査ヒヤシンス
     拍子抜けしつつ、少しホッとしたり。

    ○検査後の水を飲みほす遅日かな
     人間ドック感ある。やっと終わった安堵。

    ○御開帳四隅に検査済の印
     あの紙も数十年に一度貼られるのか。

    ○恋猫の巡査ひとりとすれ違ふ
     巡査が恋猫になったようで、ほほえましくて。


    ○一駅をあるくのも旅春の雲
     はい、長閑し。

    ○紅梅のとりみだしたるごとき数
     固まってうわっと咲いていると、なにか尋常でない感じがしますね、梅。

    ○菜種梅雨秒針刻む保健室
     サーッという静かな雨の音の方が印象深く感じる句。

    ○鳥曇フランスパンの穴はげし
     穴はげし、いいなあ。

    返信削除
  8. ○啓蟄の飛行機浮かぶとき力む
    観察が詩になっている。

    ○春の風邪この世を一寸浮くここち
    確かにそういう感慨がある。この世を一寸という捉えどころが魅力。

    ○浮くものは光にまみれ春の鴨
    春の鴨だから、まみれという言葉にもすがすがしさがあると思います。

    ○鵜馴らしや生気を無くす呪文かけ
    言葉は固いが言っていることが不気味で面白い。

    ○春が来て肺のかたちの空気かな
    春の茫洋とした感覚と空気の形が肺との形容がなんともよい。

    ○うすらひの流るる調べありにけり
    素直できれいで好き。

    ○風光る校歌だいたいハ長調
    そうだ! 発見でびっくりしました。季語もいいです。

    ○検査後の水を飲みほす遅日かな
    全体の調べ、季語、題の活かし方すべてが好き。

    ○御開帳四隅に検査済の印
    どことなく冷えて厳かな雰囲気が、調べと漢字の配列から感じられる。

    ○春灯を消して査定の人帰る
    さりげなく切ない。

    ○春の闇グラスの底のデスマスク
    意味がわからないのだが、惹かれる。

    ○当事者になつてしまひし雛の間
    雛の間と当事者が絶妙。

    返信削除
  9. ○逆光に浮島のある遅日かな
    影絵のような世界。

    ○浮くものは光にまみれ春の鴨
    まぶしいです。

    ○浮雲となるまで引鶴を送る
    また会う日まで。

    ○陽炎や応援団の空気椅子
    押忍!

    ○春昼や調子外れの鳩時計
    春ですからね。

    ○前触れなきサビの転調花薊
    そこでそう来る?

    ○調印のあとの攻防雲に鳥
    此処から水面下の攻防が。

    ○検査後の水を飲みほす遅日かな
    やっと終わってやれやれ。

    ○一駅をあるくのも旅春の雲
    中央本線?

    ○菜種梅雨秒針刻む保健室
    保健室がいいですね。

    ○鳥曇フランスパンの穴はげし
    出来ればチーズ入りがいいです。

    ○落椿勝手にすればいいと思ふ
    そうだそうだ、と。

    返信削除
  10. ○やはらかく芥浮かせて花筏
    写生が効いています。

    ○春の夢浮遊してゐる句読点
    きっと良い夢なのでしょう♪

    ○雛あられふふんでなんとなく浮力
    あるある感~。

    ○浮雲となるまで引鶴を送る
    おもてなしが徹底しています。w

    ○春昼や調子外れの鳩時計
    ははは、可笑しい。

    ○風光る校歌だいたいハ長調
    どこまでも明るい。

    ○春泥や東京からの査察団
    東京の地名がいきますね。

    ○春灯を消して査定の人帰る
    春灯を消したあとの闇が吉凶を分ける。

    ○春風の巡査と白い自転車と
    そういえば白い自転車ですね。春風で優し気に。

    ○鳥曇フランスパンの穴はげし
    美味しさの秘密はあの穴だったのか。

    ○当事者になつてしまひし雛の間
    当事者がリアルさを出していますね。

    ○落椿勝手にすればいいと思ふ
    達観しておられます。

    返信削除
  11. ○春の夢浮遊してゐる句読点
     文字情報が夢というのは、すこし哀しくもある。
     
    ○脳味噌のすこし浮腫みて朧月
     朧感が横溢している。

    ○やはらかき空気ふはりと春ショール
     「空気ふはりと」がじつによい。

    ○気配消すやうに息して春の昼
     春昼だけにもやもやした妄想と戦っているようにも思えてくる。

    ○家具調の乳房なりけり斑雪
     家具調テレビや家具調仏壇の類推でいうと、木目を生かしたデザインなのだろうが、フォルムを考えるならば化粧合板ではなく、材木から削りだしたもののようにも思われる。なにかしら嗜好的な器具なのか。あるいは「なりけり」と回想しているところからすると、乳房の所有者が「家具調」としか形容しようのない人格を有していたことも考えられる。「斑雪」が倒錯の日々の終焉を感じさせる。

    ○すぐ終る聴力検査ヒヤシンス
     ヒヤシンスの質感と聴力検査が響き合っている。

    ○検査後の水を飲みほす遅日かな
     飲む前に水質検査をしなければ安全性が担保できないところまで、人類は追い込まれているのであった。それでも季節はめぐる。「遅日」がじつに効いている。

    ○御開帳四隅に検査済の印
     「四隅に」ということは、1面ごとに別の担当が検査したということなのか。いったい何を御開帳するというのか。スリリングである。何が出てくるのか。

    ○春泥や東京からの査察団
     ある種のいかがわしさを「春泥や」で言い切っている。

    ○恋猫の巡査ひとりとすれ違ふ
     恋猫の身に危険が迫っている。

    ○菜種梅雨秒針刻む保健室
     保健室の悠久の時間を感じる。

    ○当事者になつてしまひし雛の間
     なんの当事者になったのかは分からないが、片平なぎさ感がある。


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  12. ◯やはらかく芥浮かせて花筏
    この風情は捨てられませんね。

    ◯春の風邪この世を一寸浮くここち
    わかります。



    ◯マリンタワー気泡のやうな風船よ
    仲間ですね。

    ◯気配消すやうに息して春の昼
    蝶々かしら。

    ◯春が来て肺のかたちの空気かな
    思い切り吸い込みたくなるのは春なんでしょう。

    ◯陽炎や応援団の空気椅子
    応援するにも筋トレが必要ですよね。

    ◯うすらひの流るる調べありにけり
    貴重です。

    ◯前触れなきサビの転調花薊
    をッ。それってあり、てのありますね。


    ◯膝合はせ仕舞ふひひなの調度品
    結構調度品好きです。

    ◯春灯を消して査定の人帰る
    おつかれさまです。

    ◯春風の巡査と白い自転車と
    メルヒェンちっく。

    ◯鳥曇フランスパンの穴はげし
    おいしそう。

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