2012年2月6日月曜日

雑魚場架道橋句会・投句一覧

お待たせしました。

【雑】
黒々と雑木を染めて冬夕焼
雑音めく無名芸人春浅し
雑巾で行こう隅々まで如月
雑巾の針目正しく冬日の母
雑司が谷界隈雪解水すこし
雑念のかたまりとなる蒲団かな
雑念やさらに黄蝶もあらはれて
春浅し名前呼ばれるまで雑誌
霜の夜汝のくちびるが少し雑
冬の人とふ言ひ方はかなり雑
複雑なことをやさしく梅の花
立春の九割方を雑念で

【魚】
のたうつてをり寒鰤亜紀の化石
魚の目に丸ひとつ貼り鬼は外
公魚のからりからりとみな揚がる
向き変へる大きな魚群春の星
荒川の魚きらりと春近く
春寒の簡単に描くさかなかな
水温む魚類図鑑は初版のまま
雪もよひ魚から魚の出てきたる
凍星の視線の先に人魚像
年の豆池の魚を起こすかも
翻車魚がゆつくりよぎる冬の恋

【場】
お台場に雪降る朝や女神像
とりどりの毛皮なみうつ場末かな
ホームランも馬券も場外の早蕨
寒鴉ここは場末の四流校
球場の音を集めて浅き春
場違ひの牧師姿や福は内
雪女郎その場限りの恋をして
道場に神棚ひとつ冴返る
如月の水斎場に運ばるる
白魚のいま愁嘆場かと思ふ
梟の両眼磁場の閉曲線

【架】
いづくへか毛布を運びゆく担架
かまくらを塞ぎ架空の姉妹 
架屋より洩れ来る声や光堂
火花散る架線めぐらせ鳥曇
画架のある部屋に眠れる四温かな
覚へなき架空請求冴返る
十字架を止り木にして寒鴉
浅春の倉庫にホース担架ほか
吐く息をあつめて架かる冬の虹
冬の晴少したるませつつ架線
冬了る架空名義の領収書

【道】
看板の明りのはしやぐ雪の道
雪解野や人行くあとに道できる
待春や地図に五色の道伸びて
道なりにと顎で答へぬ冬帽子
道野辺の根雪は泥にまみれ蹴る
風邪心地道路工事の穴深し
歩道から春愁の影はみだして
歩道橋の下に道あり春立ちぬ
立春のこんにやくえんままでの道
林道の始めひろびろ鷹の天
稠密な公道写真日脚伸ぶ

【橋】
あやとりの橋にも飽きし炬燵かな
あやとりの橋を伝って春の星
きさらぎの橋の途中で雨が降り
橋の下に春の水なる流れ者
橋脚に水ひたひたと風光る
冴返る浅川マキの赤い橋
雪解けの橋を潜ってこそばゆい
待ち人や橋のたもとの雪だるま
鉄橋に数多の隙間ぼたん雪
凍橋の鬼来ぬうちに通りやんせ
風花の橋をくぐりて水に落つ

【当季雑詠】
ストックの雪まで降らしてしまひけり
ラガー等へ声の限りをマネージャー
一月の往ぬる速さのいぶかしく
階段に跳ね返りたる年の豆
蓋をして消ゆる炎や寒椿
春が来て変なところに夜を入れる
人形に空気ふきこむ春隣
淡雪や駅頭に買ふミントガム
地下通路長々歩く春の昼
余寒なお血圧計が嘘をつく
蜃気楼欠伸ひとつをかみ殺し


(以上)

11句選(特選、逆選なし)
選句締切:2月8日(水)24時(JST)
投稿先:恒信風句会
http://koshinfu.blogspot.com/

題に関わらず全体から11句選にてお願い致します。
整理の都合上、句の順番はそのままにして下さい。
投句一覧へのコメントとして、投稿して下さい。その際、名前/URL
というのを選択して、俳号もしくはご本名を入力して下さい。
URLは入れなくてよいです。
なお、右側の「最近のコメント」という欄は反映するのに時間がかかる
ようです。

ではよろしくお願い致します。

11 件のコメント:

  1. ○雑念のかたまりとなる蒲団かな
    布団とはそういうものやなぁ。ベッドだと生々し過ぎるか。

    ○雑念やさらに黄蝶もあらはれて
    雑念の駄目押し、黄蝶が相応しい。

    ○向き変へる大きな魚群春の星
    景の大きさに無理がなくていい。

    ○春寒の簡単に描くさかなかな
    一筆書きで描くあれ。

    ○とりどりの毛皮なみうつ場末かな
    座五の大胆さが好き。

    ○道場に神棚ひとつ冴返る
    正統派といった感じが好ましい。隙のない俳句といった感慨。

    ○画架のある部屋に眠れる四温かな
    ちょっと油臭い感じ。

    ○ラガー等へ声の限りをマネージャー
    このマネージャー良い娘なんだろうなぁ。わたくし的には岩崎良美って…解る人には解る妄想。

    ○蓋をして消ゆる炎や寒椿
    人里はなれた温泉宿の雰囲気。ランプ。

    ○人形に空気ふきこむ春隣
    この人形はダッコちゃんのような気がするな。○○2号の類ではないことを祈る。

    ○蜃気楼欠伸ひとつをかみ殺し
    とても予定調和的世界だけれど、「殺し」の二文字で締まった。

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  2. ●雑音めく無名芸人春浅し
    無名芸人のみならず有名芸人も雑音化しています。

    ●複雑なことをやさしく梅の花
    難しく云う程、偉いみたいな風潮がありますが、
    本当に頭のいい人は、物事を易しく説くことが
    出来ます。梅の花の風情がそういう人を象徴しています。

    ●立春の九割方を雑念で
    九割方というごつい表現は雑念の正体にふさわしい。
    立春には厳しいごつさも含まれるし。

    ●雪もよひ魚から魚の出てきたる
    中世の東欧の画家が描きそうなシーン。好みです。

    ●浅春の倉庫にホース担架ほか
    備えあればの心掛け、おおいによろし。季語が利いて。

    ●道なりにと顎で答へぬ冬帽子
    中七がうまい。思わず真似してしまいました。

    ●風邪心地道路工事の穴深し
    白いマスクでうつむいて歩けば黒い穴に引き込まれ・・・

    ●歩道橋の下に道あり春立ちぬ
    平凡な風景にも小さな春がひそんでいるのですね。

    ●鉄橋に数多の隙間ぼたん雪
    そういえば、鉄橋って隙間だらけ。ぼたん雪と硬い鉄枠の
    取り合わせがなんとも。

    ●階段に跳ね返りたる年の豆
    外気に晒された非常用階段を思いました。
    飛び出した豆が当って金属音を立てて。

    ●余寒なお血圧計が嘘をつく
    血圧は計るたびに違うものらしいです。 
    そうか嘘つきなんだ・・・。

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  3. ○雪もよひ魚から魚の出てきたる
    魚の形そのまま出てくろのでしょうね。

    ○いづくへか毛布を運びゆく担架
    担架によってリアリティが増しました。

    ○画架のある部屋に眠れる四温かな
    窓の大きなアトリエを想像しました。

    ○稠密な公道写真日脚伸ぶ
    あるある感があります。

    ○あやとりの橋にも飽きし炬燵かな
    炬燵寝したくなりますね。

    ○橋の下に春の水なる流れ者
    下五によって景に広がりが生まれました。

    ○待ち人や橋のたもとの雪だるま
    シチュエーションがいろいろ想像できますね。

    ○鉄橋に数多の隙間ぼたん雪
    対比が巧みです。

    ○ラガー等へ声の限りをマネージャー
    やはり、女性マネージャーでしょう。

    ○蓋をして消ゆる炎や寒椿
    寒椿との取り合わせが新鮮でした。

    ○余寒なお血圧計が嘘をつく
    わかります、わかります。w

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  4. 〇雑念のかたまりとなる蒲団かな
    寝つけないのですね。

    〇複雑なことをやさしく梅の花
    複雑なこととは、冬が春になること。

    〇向き変へる大きな魚群春の星
    大きな魚群だけれど、構成しているのは小さな魚。みんな鯨に呑まれてしまいましたとさ。

    〇とりどりの毛皮なみうつ場末かな
    にせものでしょうか。

    〇道場に神棚ひとつ冴返る
    練習は「神前に、礼!!」から。

    〇いづくへか毛布を運びゆく担架
    毛布の中に遺体が?? いえ、毛布だけ。

    〇画架のある部屋に眠れる四温かな
    北向きの立派な画室は持てないけれど、描きたい。

    〇吐く息をあつめて架かる冬の虹
    白息も集まると七色に♪

    〇鉄橋に数多の隙間ぼたん雪
    そういえば鉄橋はスカスカです。川に吸い込まれていく牡丹雪。

    〇階段に跳ね返りたる年の豆
    マンション住まいでも撒きたい豆。

    〇蓋をして消ゆる炎や寒椿
    赤い寒椿に雪が降っている。

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  5. ○雑念のかたまりとなる蒲団かな
    蒲団に入っても眠れない時はまさにそんな感じ。思考はまとまらず雑念ばかり追いかけてしまいます。

    ○雪もよひ魚から魚の出てきたる
    まるでマトリョーシカのように、魚から魚、その魚から魚、またその魚から魚…

    ○とりどりの毛皮なみうつ場末かな
    とりどりの毛皮が場末感。フェイクファーのようにも。

    ○いづくへか毛布を運びゆく担架
    いづくかへというのに臨場感が。

    ○吐く息をあつめて架かる冬の虹
    ああメルヘン。すぐに消えてしまいそう。

    ○待春や地図に五色の道伸びて
    春を待遠しい気持ちがとてもよく伝わる。五色の道がすごくいいです。

    ○林道の始めひろびろ鷹の天
    先は細く狭く暗くなるにしても始めは広い。鷹の天がいい。

    ○あやとりの橋を伝って春の星
    春の星に向かっていくのでも、あやとりの橋を伝って春の星が降りて来るのでもいい。あやとりと春の星がメルヘン。

    ○鉄橋に数多の隙間ぼたん雪
    そういわれれば確かに鉄橋には数多の隙間が。その隙間もやがてぼたん雪に埋もれてしまうのでしょう。

    ○春が来て変なところに夜を入れる
    不思議です。夜の位置がずれるような感覚。

    ○人形に空気ふきこむ春隣
    空気人形ですな。どんな人形なのかは読み手の想像まかせということで。

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  6. ○雑音めく無名芸人春浅し
    テレビ芸人はほとんど騒音ですが。無名芸人に春よ来い。

    ○複雑なことをやさしく梅の花
    「むずかしことをやさしく/やさしいことをふかく/ふかいことをおもしろく/おもしろいことをまじめに/まじめなことをゆかいに」と井上ひさし。梅の花がしっくりはまってます。

    ○魚の目に丸ひとつ貼り鬼は外
    オチがいいです。板張りのところで裸足でやってる感じが。

    ○とりどりの毛皮なみうつ場末かな
    派手でキッチュで。「なみうつ」に参りました。

    ○如月の水斎場に運ばるる
    おくりびとが丁寧にやってくれてるような。如月の清潔感。

    ○梟の両眼磁場の閉曲線
    閉曲線というのですか、あれ。

    ○いづくへか毛布を運びゆく担架
    緊迫した場面なのに、こののったりした句調。こまります。

    ○吐く息をあつめて架かる冬の虹
    こごえた両手を口元に寄せて、ふと見上げれば…。

    ○橋の下に春の水なる流れ者
    ダブルイメージ。

    ○鉄橋に数多の隙間ぼたん雪
    ありのままなんだけど誰も表現できない。名人の句です。

    ○蜃気楼欠伸ひとつをかみ殺し
    春風駘蕩。

    返信削除
  7. ○雑巾で行こう隅々まで如月
    ちょっとした語順の工夫などで面白くなっているなぁと思いました。

    ○雑念のかたまりとなる蒲団かな
    そのとおりですね。蒲団に納得。

    ○立春の九割方を雑念で
    立春でなくてもそうなのですが、立春の明るさがよいです。

    ○雪もよひ魚から魚の出てきたる
    後ろにもう一匹隠れていた?

    ○翻車魚がゆつくりよぎる冬の恋
    若い恋ではないような気がします。

    ○いづくへか毛布を運びゆく担架
    妙に気なる光景です。

    ○浅春の倉庫にホース担架ほか
    リズムがいいです。ほか、で倉庫の薄暗さも感じました。

    ○冬の晴少したるませつつ架線
    すっきりした句で冬晴れの気持ちよさがでています。

    ○待春や地図に五色の道伸びて
    春になったらどこへ行こうか、期待が高まります。

    ○鉄橋に数多の隙間ぼたん雪
    ぼたん雪を配したところが巧みです。

    ○余寒なお血圧計が嘘をつく
    計るたびに違ったりしますよね。もしくは願望か。

    返信削除
  8. ○雑巾で行こう隅々まで如月

    働き者の感じがさわやかで好ましいです。こういう人が好きです。

    ○雑司が谷界隈雪解水すこし

    雑司が谷というだけでいただいてしまいました。

    ○雑念やさらに黄蝶もあらはれて

    雑念にひとつ加えるに黄蝶という選択は秀逸です。

    ○春浅し名前呼ばれるまで雑誌

    待合室のヒトコマ。いろいろ言っているわりに薄味なのは、季語の効果?

    ○のたうつてをり寒鰤亜紀の化石

    ダジャレの句は好きです。寒鰤と亜紀の化石。恐ろしくも生活感溢れます。のたうつのは、んんん、どーでしょう。

    ○春寒の簡単に描くさかなかな

    「簡単に描くさかな」。いいですね。

    ○雪もよひ魚から魚の出てきたる

    魚の胃袋から雑魚が。

    ○白魚のいま愁嘆場かと思ふ

    白魚にはいつも愁嘆場の雰囲気がありますが、「いま」というその瞬間がきっとあるのだ、と。

    ○浅春の倉庫にホース担架ほか

    中七下五の調子の良さ。

    ○きさらぎの橋の途中で雨が降り

    あっさり感に好感。

    ○蓋をして消ゆる炎や寒椿

    化学実験のアルコールランプを思いました。

    返信削除
  9. ○雑念やさらに黄蝶もあらはれて
     この追い打ちをかけるように現れるちらちらした黄蝶が絶妙です。

    ○立春の九割方を雑念で
     漢字の運びがなんだか立方体のようでいいです。

    ○魚の目に丸ひとつ貼り鬼は外
     スピール膏ですね。

    ○向き変へる大きな魚群春の星
     季語の斡旋がすばらしくて、人智を越えた運行を感じます。

    ○春寒の簡単に描くさかなかな
     声に出して読むと音の連なりが絶妙です。

    ○雪もよひ魚から魚の出てきたる
     大魚の口から小魚が出てくるのですね。

    ○翻車魚がゆつくりよぎる冬の恋
     葛西臨海公園でデートしているのですね。

    ○道場に神棚ひとつ冴返る
     まともな俳句があるとほっとします。

    ○如月の水斎場に運ばるる
     具体的にその水が何に使われるのか述べていないところがよいです。

    ○かまくらを塞ぎ架空の姉妹
     これ、とっても怖いです。

    ○浅春の倉庫にホース担架ほか
     「ほか」が実に効いているような気がします。

    返信削除
  10. 遅くなりました。

    ○雑巾で行こう隅々まで如月
    如月が効いているかな。

    ○雑念のかたまりとなる蒲団かな
    眠れぬなくても寝ようとする夜はね。

    ○複雑なことをやさしく梅の花
    電球マークのピッカリのように梅の花が開きました。

    ○向き変へる大きな魚群春の星
    動きと空間が見えました。

    ○春寒の簡単に描くさかなかな
    春寒が効いてますね。

    ○雪もよひ魚から魚の出てきたる
    こういう絵よくありますね。あ、Star Warsにもあったね。ジャージャーの出てくる奴に。

    ○道場に神棚ひとつ冴返る
    良いですこの空気感。

    ○冬了る架空名義の領収書
    うんうんあるでしょうあるでしょう。

    ○立春のこんにやくえんままでの道
    「こんにやくえんま」ってほんとにあるのでしょうか。すてきな名前。行ってみたい。

    ○蓋をして消ゆる炎や寒椿
    素敵。綺麗。

    ○淡雪や駅頭に買ふミントガム
    旅にお口の恋人。口の中ひんやりすっきりしました。

    返信削除
  11. 遅くなってすみません。。。
    雑念やさらに黄蝶もあらはれて
     中年親父は雑念だらけです。

    立春の九割方を雑念で
     まだまだ寒い冬です。

    梟の両眼磁場の閉曲線
     すごい電波を感じます。

    画架のある部屋に眠れる四温かな
     時間が止まっていますね。

    十字架を止り木にして寒鴉
     寒鴉の引用が妙です。

    待春や地図に五色の道伸びて
     春が待ち遠しいかぎりです。 

    歩道から春愁の影はみだして
     ここにも思い悩む人がいます。

    林道の始めひろびろ鷹の天
     ちょっと奥行けば、すぐに荒れ果てた道。

    あやとりの橋を伝って春の星 
     春が待ち遠しいですね。
     
    蓋をして消ゆる炎や寒椿 
     すぐに寒さが身にしみます。

    余寒なお血圧計が嘘をつく
     嘘をついては自分の体を誤魔化します。

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