2012年2月19日日曜日

山崎静代句会・投句一覧

お待たせしました。

【山】
一山をくづしてヘタレ蜜柑剥く
剣山を置く如月の水の中
佐保姫にくすぐられ山こらへをり
山削る音のありけり春間近
山笑ふ当帰芍薬散の箱
山頂の歯ブラシ春の水ふふむ
寺山も太宰も春の闇にゐし
春の山なら花柄の魔法瓶
春場所やチェコの国負ふ隆の山
春炬燵山と積みたる旅ガイド
足跡も毛も落ちてゐる芽吹山
築山のふもとに春のショールかな
包帯を巻く時痛い山笑う

【崎】
かげろふのかなた川崎重工業
京急に乗つて三崎へ春めきぬ
剣崎から洲崎に春の虹
三崎行き急行に寝て猫柳
山崎製パン工場デカし凍返る
山﨑のおばあちやんちの春炬燵
春なれや大きな声の田崎潤
世の終はりのための山崎春のパンまつり
川崎に風の道ある日永かな
川崎の地下も地上も朧なる
島崎の本名春樹春の雨
東京の長崎に叔父鯥五郎
玻璃越しに雛が海見る石廊崎

上から6句目、環境依存文字かも知れません。
右上が「立」の「崎」です。
下から2句目、環境依存文字かも知れません。
ムツゴロウのムツでさかなへんに陸の右側です。

【静】
たつぷりと静脈注射して花見
磯巾着ほどに静かにしてをりぬ
春の灯に雨の静かなあなたかな
春昼の影を静かに切り離す
春昼の長さよ静臥のち発芽
図書館で花図鑑繰る一人静
水槽に静かなものを飼ふ日永
静かではなくなる湖畔早春賦
静しづと白梅ぱかんと紅梅
静岡の五〇六粁春の海
雪解に応える音の静かなり
麦踏の静かに進む線路脇
紋白蝶紋黄蝶よりやや静か

【代】
くぼ地めく世田谷代田猫の恋
まういいかい千代紙雛も出を待つて
紀元節生まれの紀代子百弐號
君が代の意味も知らずに卒業す
君が代は千代に八千代に種浸し
桜守いつも代弁するやうに
代替わりして倍ほどの野を焼けり
代役を決めかねてゐる木の芽時
代理母の何がなにやら春の虹
第二十五代佐保姫を襲名す
地虫出ず歌ひはじめの八代亜紀
鶴帰る古代紫色の空
猫の子を撫でたり千代紙を折ったり

【当季雑詠】
いつ見てもほれぼれとする耕耘機
カーテンを開ければ春の立つてをり
この人も磨けば光る春の雪
スコップの直立不動おぼろ月
まんさくや芸人にして拳闘手
ランナーがつぎつぎと来る二月尽
紀元節すめらみことの御不自由
後ろから手渡すバトンあたたかし
草餅や母に御辞儀をしたる父
天然の頭の株を保全する
踏み板を踏んで跳び箱バレンタイン
透明な息の留まり針供養
動物の病院を出て春驟雨
読み仮名に眼をこらす余寒かな
末黒野に超軽量の傘ひらく
目鼻なき姉様人形さくら餅
冷静になれとふらここ漕いで恋
蜃気楼見知らぬ人の横に立ち

(以上)

13句選(特選、逆選なし)
選句締切:2月22日(水)24時(JST)
投稿先:恒信風句会
http://koshinfu.blogspot.com/

題に関わらず全体から13句選にてお願い致します。
整理の都合上、句の順番はそのままにして下さい。
投句一覧へのコメントとして、投稿して下さい。その際、名前/URLというのを選択して、俳号もしくはご本名を入力して下さい。URLは入れなくてよいです。
なお、右側の「最近のコメント」という欄は反映するのに時間がかかるようです。

ではよろしくお願い致します。

13 件のコメント:

  1. ○山笑ふ当帰芍薬散の箱
     なんかこの句会、これでもかこれでもかと変な名前の薬の句が出てくるような気がします。「の箱」まで言うか。

    ○寺山も太宰も春の闇にゐし
     怖いよう。変なおじさんがたくさん覗いている。

    ○春の山なら花柄の魔法瓶
     花柄の魔法瓶って今でもあるのでしょうか。ドルショックやオイルショックの頃のようです。春の山の明るい気分が感じられます。

    ○たつぷりと静脈注射して花見
     フィクションだと思って頂きましたが、ノンフィクションだったらご自愛下さい。

    ○春昼の影を静かに切り離す
     春昼の静謐な雰囲気をよく捉えています。

    ○麦踏の静かに進む線路脇
     「静かに進む」がじつにいいです。

    ○代替わりして倍ほどの野を焼けり
     先代は年寄りだったのですね。

    ○第二十五代佐保姫を襲名す
     よくこんな馬鹿なこと、考えますね。

    ○いつ見てもほれぼれとする耕耘機
     同感です。あの高機能、なんなんでしょう。

    ○ランナーがつぎつぎと来る二月尽
     二月尽が効いていると思います。まわりの裸木が見えてくるようです。

    ○草餅や母に御辞儀をしたる父
     そういうこと、あると思います。「草餅」がしみじみといいです。

    ○天然の頭の株を保全する
     天然記念物みたいな天然なのですね。

    ○目鼻なき姉様人形さくら餅
     風情があります。

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  2. ★剣山を置く如月の水の中
    如月のきらきらした質感と剣山のひややかで危険な質感の照応見事。

    ★寺山も太宰も春の闇にゐし
    そういうことなのね。太宰は冬っぽい気もするけれど。

    ★春の山なら花柄の魔法瓶
    いまや花柄というと昭和の薫り。

    ★京急に乗つて三崎へ春めきぬ
    今日は鮪三昧やで。

    ★春なれや大きな声の田崎潤
    懐かしいなぁ。大きな声といえば名古屋章さんと双璧のいい俳優さんでした。連想ゲームのイメージが強いかな。

    ★川崎の地下も地上も朧なる
    川崎の地下街。男女7人秋物語のイメージ強い。朧かも。

    ★たつぷりと静脈注射して花見
    うーむ。痛そうや。でも花見には駆けつけてしまうのが日本人の性。

    ★磯巾着ほどに静かにしてをりぬ
    五月蝿そうだけれど、すごく静かなのね。

    ★春昼の影を静かに切り離す
    春はミステリアスな季節です。

    ★雪解に応える音の静かなり
    よろしき風合いの俳句的虚構の世界。

    ★君が代は千代に八千代に種浸し
    神から人間になるとこういうこともしていただけるのだろうか。恐れ多い気も。

    ★代替わりして倍ほどの野を焼けり
    慎重派の父から頓着しない息子に。若旦那っちゅうもんはこういうもの。

    ★蜃気楼見知らぬ人の横に立ち
    むこうの人と同時にはっとしたりするものなんだこれが。

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  3. ●佐保姫にくすぐられ山こらへをり
    佐保姫をくすぐるのは誰だろう。

    ●春炬燵山と積みたる旅ガイド
    出掛けなくてもそれで充分。

    ●築山のふもとに春のショールかな
    新派の舞台を見ている感じ。

    ●島崎の本名春樹春の雨
    藤村がはるきだったとは、おしゃれ。

    ●水槽に静かなものを飼ふ日永
    それが何だか謎。やられました。

    ●静かではなくなる湖畔早春賦
    湖畔は静かと歌われるけど、春はそれどころではない。

    ●君が代の意味も知らずに卒業す
    日教組のせいです。

    ●地虫出ず歌ひはじめの八代亜紀
    あきちゃんのフアンに悪いんでは?

    ●鶴帰る古代紫色の空
    正統派もいただくことにします。

    ●まんさくや芸人にして拳闘手
    再開第10回の出題への挨拶句。なんと律儀な。

    ●紀元節すめらみことの御不自由
    最高の医療チームの手術を受けられなくても、しもじもの身は勝手が出来る。

    ●後ろから手渡すバトンあたたかし
    真面目な話、この世に生まれた意義は、次の世に何かを手渡すことだと思います。

    ●踏み板を踏んで跳び箱バレンタイン
    本命チョコを手渡す勇気。ほんに跳び箱はおそろしい。

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  4. ○剣山を置く如月の水の中
    草ものを豊かに活けて。

    ○寺山も太宰も春の闇にゐし
    実はわたしも。。。

    ○春の山なら花柄の魔法瓶
    かわいい。花柄はピンクがいい。

    ○足跡も毛も落ちてゐる芽吹山
    毛って・・・。生生しいですが、もしかして付毛?

    ○山﨑のおばあちやんちの春炬燵
    いらっしゃい(#^.^#) 塩大福、おあがりよ。。。

    ○磯巾着ほどに静かにしてをりぬ
    見習おう。

    ○雪解に応える音の静かなり
    芽吹きの『音』かしら。

    ○紋白蝶紋黄蝶よりやや静か
    菜の花の上の黄蝶の騒がしさと、キャベツ畑に這う白蝶のゆるやかさ。こう感じるのは、こちらの目の高さのせいかしらん。

    ○君が代は千代に八千代に種浸し
    聞き覚えのあるフレーズなのに、種浸しで、決まりました。

    ○代替わりして倍ほどの野を焼けり
    代替わりって、ほんとにエポックなんですね。

    ○いつ見てもほれぼれとする耕耘機
    なんだかマッチョな感じの耕耘機。

    ○末黒野に超軽量の傘ひらく
    言葉の重みがひっくり返されました。傘、ほんとに軽くなりましたね。

    ○蜃気楼見知らぬ人の横に立ち
    真面目に考えると、都会生活、いつも隣は見知らぬ人。

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  5. ○山削る音のありけり春間近
    冷たい空気を切り裂いて、ですね。

    ○かげろふのかなた川崎重工業
    幾時代かがありまして、工業地帯ありました。

    ○京急に乗つて三崎へ春めきぬ
    京急ってほどよいロ―カル感で俳味があるな。

    ○春昼の影を静かに切り離す
    しんかんとした春の昼の雰囲気が伝わります。

    ○紋白蝶紋黄蝶よりやや静か
    そんな気にさせるってのはいい句だと思う。

    ○代役を決めかねてゐる木の芽時
    ピシッと決めかぬる、どうしたもんかの木の芽時。

    ○いつ見てもほれぼれとする耕耘機
    ほれぼれ。

    ○草餅や母に御辞儀をしたる父
    いいな、このお父さん。草餅で決まり、ですね。

    ○動物の病院を出て春驟雨
    重いキャリーなんぞ抱えて、でもペットと一緒は温くもあり。

    ○読み仮名に眼をこらす余寒かな
    いやはや、わたくしのことかいな、と思いましたです。

    ○末黒野に超軽量の傘ひらく
    二物のぶつけ方が巧み。

    ○目鼻なき姉様人形さくら餅
    さくら餅が春のレトロ感をさらに。

    ○蜃気楼見知らぬ人の横に立ち
    見知らぬ人との距離感と蜃気楼がほどよい同質性。

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  6. ○剣山を置く如月の水の中
    剣山と如月の響き具合に納得いたしました。

    ○寺山も太宰も春の闇にゐし
    ほのあたたかい春の闇ですね。

    ○かげろふのかなた川崎重工業
    無機質な景が見えてきます。

    ○川崎に風の道ある日永かな
    風の道がいいですね。

    ○春の灯に雨の静かなあなたかな
    しっとりとした静寂が浪漫的。

    ○水槽に静かなものを飼ふ日永
    静止画像のような日永のひと日。

    ○紋白蝶紋黄蝶よりやや静か
    白と黄色の違いでしょうか。

    ○君が代は千代に八千代に種浸し
    中七がよく効いています。

    ○代替わりして倍ほどの野を焼けり
    意欲的な跡継ぎ。

    ○地虫出ず歌ひはじめの八代亜紀
    あのハスキーな声ですね。

    ○いつ見てもほれぼれとする耕耘機
    よく手入れのされた耕運機なのでしょう。

    ○ランナーがつぎつぎと来る二月尽
    二月尽はそんな感じです。

    ○末黒野に超軽量の傘ひらく
    なぜかわからぬが絶妙と思いました。

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  7. ご無沙汰をいたしました。颯爽と復活します。

    ○剣山を置く如月の水の中
     痛いやら冷たいやらで泣きそうです。

    ○かげろふのかなた川崎重工業
     工場萌えにはたまらない構図です。

    ○春なれや大きな声の田崎潤
     うっすらおぼえているような田崎潤。大きな声は春に聞こえてこそ、の思いがあります。

    ○島崎の本名春樹春の雨
     はなやぎのある名前がなんだか皮肉のようでもあり、春の雨とひきあう感じがします。

    ○玻璃越しに雛が海見る石廊崎
     なんとはなし昭和の匂いに惹かれる句です。この雛に一族の謎の鍵となるなにかが隠されているとか(二時間ドラマの見過ぎか)

    ○磯巾着ほどに静かにしてをりぬ
     そんな境地にいたってみたいものです。

    ○春昼の長さよ静臥のち発芽
     ちょっとお蒲団と仲良くしすぎたら芽吹いてしまったんでしょうか。下に行くほどうっかり感のある語感がでした。

    ○君が代は千代に八千代に種浸し
     春が巡るたびたびに種は浸され…と何やら輪廻を思わされました。

    ○代理母の何がなにやら春の虹
     どっからどこまで、何から何までがそうなのか、虹に問いたいものです。

    ○地虫出ず歌ひはじめの八代亜紀
     形態を言っているのか衝突なのか、微妙なところですがちょっと笑ってしまいました。

    ○猫の子を撫でたり千代紙を折ったり
     のんきな風情がよく出ておられます。ご一緒したいものです。

    ○この人も磨けば光る春の雪
     地味にすごいことを言われているような気がします。

    ○末黒野に超軽量の傘ひらく
     傘が軽いっていうのはいいことなのか、よくわからなくなってきました。さしているのかいないのかわからないぐらい軽い傘。ものみな焼かれし末黒野とある意味正反対な、ギャップがおかしかったです。

    返信削除
  8. 剣山を置く如月の水の中
     如月の凛とした水に鋭き剣山がさらに水を鋭くします。

    春の山なら花柄の魔法瓶
     春の山ならの発想が良いですね。

    玻璃越しに雛が海見る石廊崎
     その先に見えるは伊豆大島か

    春昼の影を静かに切り離す
     のどかな昼時、切り離されても気付かない。

    君が代は千代に八千代に種浸し
     種浸しが何とも嬉しく。

    代役を決めかねてゐる木の芽時
     どの方も役不足で、本番に間に合うかどうか・・・

    猫の子を撫でたり千代紙を折ったり
     天気も良いのに、どこにも行くあてもなく。

    カーテンを開ければ春の立つてをり
     外の方が暖かいことがありますね。

    ランナーがつぎつぎと来る二月尽
     春になる前にやるべきことはやっておきたいです。

    後ろから手渡すバトンあたたかし
     人との絆を大事にしないといけません。

    踏み板を踏んで跳び箱バレンタイン
     いろんな渡し方がありますね。

    読み仮名に眼をこらす余寒かな
     良く分かります。年をとりたくないものです。

    返信削除
  9. ○剣山を置く如月の水の中
    前回も「如月の水」が出ましたが、水に冠して句になるのは如月と極月だけのような気がします。

    ○寺山も太宰も春の闇にゐし
    作者も青森県人でしょうか。太宰も「職業・太宰治」と書きそうだし、暗闇から覗いていそうだし。

    ○足跡も毛も落ちてゐる芽吹山
    猿とか鹿とか狸とか。「毛」が直截的でリアル。

    ○かげろふのかなた川崎重工業
    ひらがなのつらなりから後半部の重厚さにシフトする巧さ。

    ○世の終はりのための山崎春のパンまつり
    無茶ぶりのダメ押し的な「ための」がなんとも…。

    ○東京の長崎に叔父鯥五郎
    昔、東長崎(住所は千早町だけど)に住んでました。半年だけでしたが良くも悪くも濃い思い出があります。

    ○玻璃越しに雛が海見る石廊崎
    絵になりますね。

    ○たつぷりと静脈注射して花見
    そんなにしてまで?!

    ○春昼の影を静かに切り離す
    電車の連結を切り離している情景が浮かびました。

    ○水槽に静かなものを飼ふ日永
    ぴたっとへばりついて水槽の垢を舐めてくれるプレコでしょうか。

    ○代替わりして倍ほどの野を焼けり
    規模の農業への転換。

    ○末黒野に超軽量の傘ひらく
    末黒野という古風な季語との取り合わせがユニーク。

    ○冷静になれとふらここ漕いで恋
    余計に沸騰しそうですが。

    返信削除
  10. ○山笑ふ当帰芍薬散の箱

    ググってしまいましたよ。当帰芍薬散。

    ○足跡も毛も落ちてゐる芽吹山

    刑事みたいな句。

    ○三崎行き急行に寝て猫柳

    寝ると猫柳のベタ付きに一票。

    ○島崎の本名春樹春の雨

    島崎藤村。勉強になりました。

    ○東京の長崎に叔父鯥五郎

    東京の長崎。おもしろい言い方。鯥五郎が名前みたいに見えます。

    ○磯巾着ほどに静かにしてをりぬ

    あっさり感。

    ○静岡の五〇六粁春の海

    静岡は長い。クルマで走るとよくわかります。どこまで行っても静岡。海岸線が506kmということですね。ただし、海岸線のほとんどは防波堤など人工化していて、海を親しくできなくなってしまっています。

    ○くぼ地めく世田谷代田猫の恋

    世田谷まで言ってところが良いです。地方の人にも配慮してある。

    ○紀元節生まれの紀代子百弐號

    紀代子とか紀代美とか多いんでしょうね。

    ○この人も磨けば光る春の雪

    いちおうそう言っておく。不誠実なセリフが酷薄で、そこが俳句的。

    ○動物の病院を出て春驟雨

    「動物の」とわざわざ「の」を入れた苦しさに味。季語はちょっともったいないと思いました。

    ○読み仮名に眼をこらす余寒かな

    老眼なので、よくわかります。「おもんぱか」なのか「おもんばか」なのか、ぜんぜん見えない。

    ○末黒野に超軽量の傘ひらく

    超軽量の傘。NASA開発みたいで面白い。なぜ末黒野なのかは謎。

    返信削除
  11. ○春の山なら花柄の魔法瓶
    花柄が昔っぽくていいですね。

    ○京急に乗つて三崎へ春めきぬ
    まぐろでも食べに行くのでしょうか。明るい気分。

    ○山﨑のおばあちやんちの春炬燵
    環境依存文字かもしれない﨑の字がいいです。

    ○たつぷりと静脈注射して花見
    涙ぐましいですね。

    ○磯巾着ほどに静かにしてをりぬ
    静かだけれどざわざわしている。

    ○春昼の影を静かに切り離す
    何の場面でしょうか。すこしどきっとしました。

    ○麦踏の静かに進む線路脇
    麦踏の動きと列車のスピードの対比が面白いです。

    ○紋白蝶紋黄蝶よりやや静か
    やや強引な気もしますが、そう言われればそんな気も。

    ○君が代は千代に八千代に種浸し
    種浸し、そういえば長い時間を感じさせます。

    ○代替わりして倍ほどの野を焼けり
    末広がりでめでたい。

    ○いつ見てもほれぼれとする耕耘機
    名前とかつけてそう。

    ○ランナーがつぎつぎと来る二月尽
    やっぱり二月尽が良いのでしょうね。

    ○蜃気楼見知らぬ人の横に立ち
    上手いところをみています。

    返信削除
  12. ○山崎製パン工場デカし凍返る
    大きいんでしょうね。

    ○玻璃越しに雛が海見る石廊崎
    キラキラ感がすてき。

    ○磯巾着ほどに静かにしてをりぬ
    結構見た目は賑やか。

    ○春昼の影を静かに切り離す
    キリコっぽい。

    ○水槽に静かなものを飼ふ日永
    「静かなもの」がよかったです。

    ○君が代は千代に八千代に種浸し
    ほんに日本は五七調。

    ○第二十五代佐保姫を襲名す
    なぜ25代目なのだろう?

    ○地虫出ず歌ひはじめの八代亜紀
    もうすごい感覚!ぴったりですよ。

    ○鶴帰る古代紫色の空
    紫色の空、ファンタスティク。

    ○カーテンを開ければ春の立つてをり
    実が虚になりまた実になりの面白さ。

    ○動物の病院を出て春驟雨
    匂いがするよう。

    ○末黒野に超軽量の傘ひらく
    超軽量の傘がいいですね。シュールレアリズム的実風景。

    ○蜃気楼見知らぬ人の横に立ち
    「見知らぬ人の横」が深い。これも実景にあるシュール。

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  13. ○剣山を置く如月の水の中
    まだ冷たい水という感じがします。

    ○寺山も太宰も春の闇にゐし
    青森県出身者としてとらない訳には。青い森は春の闇なのです。

    ○春の山なら花柄の魔法瓶
    明るい。

    ○かげろふのかなた川崎重工業
    前半の平仮名の軽さ、後半の文字面の重たさの対比がおもしろい。

    ○たつぷりと静脈注射して花見
    そんなに無理をしなくても。。。

    ○磯巾着ほどに静かにしてをりぬ
    わやわやと動いていながらにして静か。

    ○水槽に静かなものを飼ふ日永
    静かなものがいい。とはいっても水槽のなかで騒々しいものってのも想像つかないが。

    ○静かではなくなる湖畔早春賦
    湖畔は静かなものというのは幻想でしたか。

    ○君が代は千代に八千代に種浸し
    植物の世も千代に八千代に。

    ○地虫出ず歌ひはじめの八代亜紀
    八代亜紀の歌に合わせて地虫が出てくるかのような。

    ○いつ見てもほれぼれとする耕耘機
    働く車はその造作も動きも美しいもんです。

    ○目鼻なき姉様人形さくら餅
    そういわれてみれば姉様人形には目鼻がありませんでした。

    ○蜃気楼見知らぬ人の横に立ち
    じっと見ているのですね。見知らぬ人というのがいいです。

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