2012年3月20日火曜日

左心耳縫縮術句会・投句一覧

大変長らくお待たせ致しました。

【左】
いつせいに初桜なる左翼線
右脳やや左脳に寄りて朧なる
花御堂左半分昏きかな
犬の尾も平気の平左こねこ達
佐保姫の左孕みの雷走る
左からじわじわ進む野焼かな
左から馬右からは驢馬の列
左官屋の空缶にほふ遅日かな
左手になじむ君の手げんげ道
左側から治まって春の風邪
梅を愛づむかし極左の人といま

【心】
ぬめる夜にわたしも猫の恋心地
校庭に心配の種一つ蒔く
三月のてんやわんやの平常心
春陰の牛の心音聴きにゆく
心音の重なりて春惜みけり
心字池より啓蟄の水かげろふ
心臓が白木蓮のごと錆びる
心臓のあたりへ春風を入れる
心臓をびしよびしよにして青き踏む
心中の前に味はふ蜆汁
男とて乙女心に苺摘

【耳】
うららかや耳につきたる鼻濁音
この時期を蠢くものが耳の奥
のどけしや松下幸之助ほどの耳
まゐらすや耳に甘茶の入らぬやう
右耳の方が大きい花衣
芽柳は耳介に生えてくるだらう
耳ぜんぶ出して少女の春来る
春宵のうすももいろの耳なりき
雪の果罅うつくしく土耳古石
鳥雲に入るパンの耳ロバの耳
福助の耳たぶ揺れて花曇

【縫】
しやぼん玉ひとつ路地裏縫ひ行けり
ちさを縫ふだけの真つ赤な刺繍糸
まなぶたの縫ひ疵まぬけ春の月
旧姓の裁縫道具春炬燵
雑巾を縫って桜餅を食べて
三月や破れハートに縫ひ代を
社名入裁縫セット春灯し
春しぐれ母はなにかを縫うてをり
春寒の枕を囲む縫ひぐるみ
風船赤し群衆を縫つて来し
縫製の始末きつちりさへづれり

【縮】
お湯かけて縮んだ部位を見てゐたり
たんぽぽの縮むことなき絮の夢
拡大ののちの縮小蛙の子
縮尺の違ふ人体春の闇
縮緬の風呂敷するり抜けて蝶
縮緬の風呂敷を出て桜餅
春の夜の剥がせば縮むサロンパス
春一番東京タワー縮みしか
背が縮むツボを押されて目借時
涙腺は縮みやすくて青き踏む
囀りのすこし縮れてゐたりけり

【術】
かんたんな皮膚科の手術木の芽雨
ほほ笑みの秘術で受験合格す
寡黙なる占星術師月朧
奇術師の棒振るさきに海市たつ
残雪を踏んで呪術師帰りけり
手術てふなまめく春の遊びかな
水遁の術にほどよく水ぬるむ
大安を選びし手術四温晴
壷焼の隅まで食へる技術かな
棒術の金剛杖は等身大
棒術の六尺棒と春惜しむ

【当季雑詠】
いつの間に母らしき妻沈丁花
ウルトラマンごつこ佳境となる遅日
カタカナを読み間違えて種袋
雑巾の針目ちくちく春浅し
実朝忌ひたひの眼鏡探すまじ
春つぽいかんじ安土も桃山も
春の星まなこは風に叩かれて
春の日や橋の下から鯉の口
春寒を漂白剤に浸しけり
上京の子は春塵にまみれたる
箸ころびそのたび桃の花笑ふ
飯蛸の脚のもつれて皿のうへ
夕長し書棚の本の凭れ合ひ
冷静になるまで待てぬ春コート
朧夜の宇宙とともに膨張す

(以上)

11句選(特選、逆選なし)
選句締切:3月24日(土)24時(JST)
投稿先:恒信風句会
http://koshinfu.blogspot.com/

題に関わらず全体から11句選にてお願い致します。
整理の都合上、句の順番はそのままにして下さい。
投句一覧へのコメントとして、投稿して下さい。その際、名前/URLというのを選択して、俳号もしくはご本名を入力して下さい。URLは入れなくてよいです。
なお、右側の「最近のコメント」という欄は反映するのに時間がかかるようです。

ではよろしくお願い致します。

12 件のコメント:

  1. ○心臓をびしよびしよにして青き踏む
    それは心臓を拭いた方がいいんじゃないか、と。

    ○芽柳は耳介に生えてくるだらう
    猫の耳の先からちょろっと生えてきたりとかしそう。

    ○耳ぜんぶ出して少女の春来る
    気持ちいい。春ってそんなかんじ。

    ○鳥雲に入るパンの耳ロバの耳
    やけに牧歌的。パンの耳を持った少年がロバと口を半開きにして空を見上げている絵を想像。えーと、キューピーマヨネーズのCM的な。

    ○春寒の枕を囲む縫ひぐるみ
    だからって暖かくなる訳じゃないんだけど。むしろ寝苦しくなりそうな…

    ○お湯かけて縮んだ部位を見てゐたり
    いったい何が縮んでいるのかわからないが、そうしている気持ちは解る気がする。

    ○春の夜の剥がせば縮むサロンパス
    はははっ、確かに。春の夜がいい。

    ○奇術師の棒振るさきに海市たつ
    不思議。まるで仕込まれたように。

    ○水遁の術にほどよく水ぬるむ
    そうそう、寒の水なんかだと心臓麻痺や低体温症になったりする危険が。

    ○春つぽいかんじ安土も桃山も
    うーん、納得。たしかに春っぽい。

    ○朧夜の宇宙とともに膨張す
    そんな感じ、する。朧夜から宇宙まで想像するスケールがいい。

    返信削除
  2. ★左からじわじわ進む野焼かな
    右からはわっと迫り来るのです。

    ★左官屋の空缶にほふ遅日かな
    この空缶なんだろう。

    ★左側から治まって春の風邪
    この感覚はなんとなく解る。

    ★春陰の牛の心音聴きにゆく
    牛に触れんばかりに。

    ★心臓が白木蓮のごと錆びる
    白木蓮、上手。

    ★福助の耳たぶ揺れて花曇
    揺れてます。

    ★旧姓の裁縫道具春炬燵
    嫁入り道具のひとつにしたのね。

    ★春の夜の剥がせば縮むサロンパス
    うむ、確かに。つんとした香りまで立ち上がる。

    ★いつの間に母らしき妻沈丁花
    そういうものなのでしょうね。子とともに日々成長。

    ★上京の子は春塵にまみれたる
    心象風景とも。

    ★冷静になるまで待てぬ春コート
    いきなり開戦モードなのか。「表出ろい」って感じかしらん。

    返信削除
  3. 〇右脳やや左脳に寄りて朧なる、
    脳内に隙間ができて寄ったとか、右脳が左脳の機能をおぎなっているとか、理性が感情に負けるとか。。。。

    〇心臓のあたりへ春風を入れる
    少々暑いくらいの日差しの中、文字通り、胸襟をひらいて。

    〇耳ぜんぶ出して少女の春来る
    利発な少女の、明日への輝きを感じます。

    〇鳥雲に入るパンの耳ロバの耳
    王様の耳とロバの耳と半獣紙神パンの耳と恋しいあなたの耳。みんな過去に。

    〇旧姓の裁縫道具春炬燵
    小学校の家庭科で使った裁縫箱が、意外と便利。無駄な出費をせずにつつましく生活。それで離婚したら、またそのまま使えるって? う~~ん。

    〇春寒の枕を囲む縫ひぐるみ
    お気に入りの縫いぐるみを、全部枕元に置いて寝る幼児、かわいい。子ども、かわいい。青年、う。 年寄、あるある。。。

    〇お湯かけて縮んだ部位を見てゐたり
    あ、しまった、という顔が見えそう。

    〇縮緬の風呂敷を出て桜餅
    畳はきれいに手入れが行き届いていて、お茶もおいしい。そんなお宅へご訪問。

    〇囀りのすこし縮れてゐたりけり
    ぴーーー、と伸びたと思ったら、ちりちり、と、囀りの変化自在の至福の中。

    〇 奇術師の棒振るさきに海市たつ
    嘘ばっかり、といえないのが海市。しかも棒のさきではなく、棒振るさきですって。うまいなあ。

    〇春つぽいかんじ安土も桃山も
    よく気付かれたと思います。なんとなくゆるふわだとは思っていたのですが。

    返信削除
  4. 半獣紙神パン → 半獣神パン です。失礼しました。

    返信削除
  5. ○左からじわじわ進む野焼かな
    じわじわの感じですね。

    ○左官屋の空缶にほふ遅日かな
    工具の空き缶でしょうか。

    ○のどけしや松下幸之助ほどの耳
    大きく立派な耳ですね。

    ○旧姓の裁縫道具春炬燵
    旧姓があるある感。

    ○春の夜の剥がせば縮むサロンパス
    貼るときに伸ばしますからね。w

    ○囀りのすこし縮れてゐたりけり
    縮れての把握が発見。

    ○かんたんな皮膚科の手術木の芽雨
    説得力があります。

    ○上京の子は春塵にまみれたる
    都会の荒波にもまれて。。

    ○棒術の六尺棒と春惜しむ
    六尺が春惜しむ長さとも。

    ○朧夜の宇宙とともに膨張す
    いかにも膨張しそうです。

    ○春つぽいかんじ安土も桃山も
    目の付け所が良いですね。

    返信削除
  6. ○左官屋の空缶にほふ遅日かな
     塗料の匂いかしらと思いましたがいかが。

    ○心臓をびしよびしよにして青き踏む
     激情に濡れているんだと思いたい。

    ○耳ぜんぶ出して少女の春来る
     全部かちらりか、で意見の分かれるところですよね。耳とか膝とか。

    ○雑巾を縫って桜餅を食べて
     正しい春休みのなさりよう。

    ○春寒の枕を囲む縫ひぐるみ
     一斉に呪詛などつぶやいてたら怖いですね。

    ○背が縮むツボを押されて目借時
     いろんなツボがあるらしいです。体温が上がるツボとか。

    ○囀りのすこし縮れてゐたりけり
     「縮れる」の粋な使い方だと思いました。

    ○手術てふなまめく春の遊びかな
     いけないことを考えてしまいました。子供同士がいろいろと。

    ○壷焼の隅まで食へる技術かな
     それは技術と呼ぶにふさわしい。

    ○ウルトラマンごつこ佳境となる遅日
     日脚が伸びて、イイところまで話がすすめられる。

    ○春つぽいかんじ安土も桃山も
     春の新作和菓子っぽいですね。桃山は定番ですが。

    返信削除
  7. ○右脳やや左脳に寄りて朧なる
     左脳やや右脳に寄りて、の間違いではと思ったり、それだと理が勝ちすぎなのかと思ったり、微妙なところをついています。

    ○佐保姫の左孕みの雷走る
     すごい句ですね。なんて怖ろしい雷なのでしょう。

    ○左官屋の空缶にほふ遅日かな
     吸い殻が沈んでいるのかなあ。

    ○梅を愛づむかし極左の人といま
     人に歴史あり、であります。

    ○春陰の牛の心音聴きにゆく
     『原子心母』の牛でしょうか。

    ○心臓をびしよびしよにして青き踏む
     無理しないで休んで下さい。

    ○旧姓の裁縫道具春炬燵
     5-2とか書いてあるのですね。

    ○お湯かけて縮んだ部位を見てゐたり
     これ、お風呂ですよね。

    ○囀りのすこし縮れてゐたりけり
     めちゃくちゃ巧いんじゃないでしょうか。

    ○ほほ笑みの秘術で受験合格す
     この人は、一生そうやって人生を乗り切って行くのだろうなあ。

    ○手術てふなまめく春の遊びかな
     お医者さんごっこが手術に及んでしまったのですね。

    返信削除
  8. ●左から馬右からは驢馬の列
    これは絵になる。山下 清のような画風で。

    ●左官屋の空缶にほふ遅日かな
    セメントの匂いを鼻が思い出した。

    ●心中の前に味はふ蜆汁
    しみじみしじみ。

    ●まゐらすや耳に甘茶の入らぬやう
    なんという優しさ。

    ●社名入裁縫セット春灯し
    かっては、飛行機に乗るとミニセットなどくれたけど・・。

    ●お湯かけて縮んだ部位を見てゐたり
    エッチ。

    ●春の夜の剥がせば縮むサロンパス
    うまい!春の夜のお手柄。

    ●囀りのすこし縮れてゐたりけり
    新鮮は措辞。うまいですねぇ。

    ●大安を選びし手術四温晴
    坐五にほっとしました。 お大事に。

    ●カタカナを読み間違えて種袋
    いつ気がついたのかしら。
    実がなってから?

    ●春つぽいかんじ安土も桃山も
    同感。

    返信削除
  9. ○左官屋の空缶にほふ遅日かな

    なにか必要な薬剤があるのでしょう、コンクリや漆喰以外に。四角い一斗缶ですね。

    ○心臓が白木蓮のごと錆びる

    きれい。詩的。

    ○心中の前に味はふ蜆汁

    劇的。もうすこしホントっぽく作れるともっと面白いと思いますが。

    ○のどけしや松下幸之助ほどの耳

    大きな耳ですよね。

    ○芽柳は耳介に生えてくるだらう

    気持ち悪さ満点。

    ○雑巾を縫って桜餅を食べて

    佳き暮らしぶり。

    ○囀りのすこし縮れてゐたりけり

    囀りって、ちぢれてるかんじ、たしかにありますね。

    ○かんたんな皮膚科の手術木の芽雨

    「かんたんな」がキュート。木の芽雨効果でしょうか。」

    ○カタカナを読み間違えて種袋

    見慣れない長い名前の花が増えたような気がします。

    ○飯蛸の脚のもつれて皿のうへ

    飯蛸のこの感じ、所在なさげな感じは、春の感じ。

    ○夕長し書棚の本の凭れ合ひ

    遅日な気分。

    返信削除
  10. ○左官屋の空缶にほふ遅日かな
    いろいろイメージできますね。

    ○心臓をびしよびしよにして青き踏む
    心臓がびしょぬれというのはいいことか悪いことかわからないけど
    青き踏むとあっているように思います。

    ○耳ぜんぶ出して少女の春来る
    ポニーテールでしょうか。

    ○鳥雲に入るパンの耳ロバの耳
    こ言われると童話めいてきます。

    ○旧姓の裁縫道具春炬燵
    そうそう買い換えるタイミングも無い。

    ○雑巾を縫って桜餅を食べて
    なんだか偉いです。

    ○春の夜の剥がせば縮むサロンパス
    質感が思い出されます。

    ○囀りのすこし縮れてゐたりけり
    縮れるとは上手い言い方です。納得。

    ○かんたんな皮膚科の手術木の芽雨
    黒子とるとかね。わかります。

    ○ほほ笑みの秘術で受験合格す
    すごい。うらやましい秘術。

    ○春つぽいかんじ安土も桃山も
    軽い感じがいいですね。。

    返信削除
  11. ○佐保姫の左孕みの雷走る
    こんな佐保姫見たことない。

    ○左からじわじわ進む野焼かな
    じわじわ斜めにドミノ倒しみたいに。

    ○心臓が白木蓮のごと錆びる
    相似形でしょうか。「錆びる」がよいです。

    ○雑巾を縫って桜餅を食べて
    この並列は凝ってます。

    ○春の夜の剥がせば縮むサロンパス
    なるほど。

    ○背が縮むツボを押されて目借時
    痛いから思わず首をすくめたということではなく。

    ○囀りのすこし縮れてゐたりけり
    お上手、としか言いようがないです。

    ○手術てふなまめく春の遊びかな
    「シリツしてください」「芝公園、東京タワー、…」

    ○大安を選びし手術四温晴
    選ばなかったなあ。

    ○春つぽいかんじ安土も桃山も
    げにもげにも。いいかんじ。

    ○夕長し書棚の本の凭れ合ひ
    季語は動くかもしれませんが、やっぱり春だよねって感じ。

    返信削除
  12. 空猫選

    ○いつせいに初桜なる左翼線
    甲子園は熱き青春が溢れております。

    ○左側から治まって春の風邪
    風邪は右から始まるのですね。。。

    ○春陰の牛の心音聴きにゆく
    すごく深い音でしょう!

    ○心臓が白木蓮のごと錆びる
    ぼくも白木蓮で錆びて悔いなし。

    ○雑巾を縫って桜餅を食べて
    入学の準備は大変です。

    ○縫製の始末きつちりさへづれり
    ようやく終えた安堵感。

    ○たんぽぽの縮むことなき絮の夢
    夢は縮んで欲しくはありませんね。

    ○春一番東京タワー縮みしか
    主役の座が変わるけど、僕は東京タワーが好きです。

    ○春つぽいかんじ安土も桃山も
    そんな感じがします。

    ○箸ころびそのたび桃の花笑ふ
    今は懐かし、松本伊代。

    ○冷静になるまで待てぬ春コート
    よほど良いことがあったんですね。

    返信削除