2012年3月26日月曜日

左心耳縫縮術句会・作者発表

たいへんお待たせしました。

梅を愛づむかし極左の人といま      天気  四
心臓をびしよびしよにして青き踏む    天気  恵り四由
この時期を蠢くものが耳の奥       天気   
風船赤し群衆を縫つて来し        天気   
春の夜の剥がせば縮むサロンパス     天気  恵朝亜ぐ由不
手術てふなまめく春の遊びかな      天気  り四不
春つぽいかんじ安土も桃山も       天気  恵百亜りぐ由不空

左手になじむ君の手げんげ道       空猫   
男とて乙女心に苺摘           空猫   
鳥雲に入るパンの耳ロバの耳       空猫  恵百由
旧姓の裁縫道具春炬燵          空猫  朝百亜四由
涙腺は縮みやすくて青き踏む       空猫   
大安を選びし手術四温晴         空猫  ぐ不
いつの間に母らしき妻沈丁花       空猫  朝

花御堂左半分昏きかな          朝比古   
心音の重なりて春惜みけり        朝比古   
春宵のうすももいろの耳なりき      朝比古   
春しぐれ母はなにかを縫うてをり     朝比古   
囀りのすこし縮れてゐたりけり      朝比古 百亜り四ぐ天由不
壷焼の隅まで食へる技術かな       朝比古 り
春寒を漂白剤に浸しけり         朝比古   

犬の尾も平気の平左こねこ達       ぐみ   
ぬめる夜にわたしも猫の恋心地      ぐみ   
福助の耳たぶ揺れて花曇         ぐみ  朝
しやぼん玉ひとつ路地裏縫ひ行けり    ぐみ   
縮緬の風呂敷を出て桜餅         ぐみ  百
ほほ笑みの秘術で受験合格す       ぐみ  四由
箸ころびそのたび桃の花笑ふ       ぐみ  空

左官屋の空缶にほふ遅日かな       不孤  朝亜り四ぐ天由
校庭に心配の種一つ蒔く         不孤   
のどけしや松下幸之助ほどの耳      不孤  亜天
まなぶたの縫ひ疵まぬけ春の月      不孤   
縮緬の風呂敷するり抜けて蝶       不孤   
かんたんな皮膚科の手術木の芽雨     不孤  亜天由

佐保姫の左孕みの雷走る         百花  四不
心字池より啓蟄の水かげろふ       百花   
まゐらすや耳に甘茶の入らぬやう     百花  ぐ
三月や破れハートに縫ひ代を       百花   
たんぽぽの縮むことなき絮の夢      百花  空
棒術の金剛杖は等身大          百花   
春の日や橋の下から鯉の口        百花   

左側から治まって春の風邪        恵   朝空
心臓のあたりへ春風を入れる       恵   百
右耳の方が大きい花衣          恵   
雑巾を縫って桜餅を食べて        恵   り天由不空
背が縮むツボを押されて目借時      恵   り不
残雪を踏んで呪術師帰りけり       恵   
カタカナを読み間違えて種袋       恵   ぐ天
上京の子は春塵にまみれたる       恵   朝亜
春の星まなこは風に叩かれて       恵   

右脳やや左脳に寄りて朧なる       亜紀  百四
三月のてんやわんやの平常心       亜紀   
うららかや耳につきたる鼻濁音      亜紀   
縫製の始末きつちりさへづれり      亜紀  空
拡大ののちの縮小蛙の子         亜紀   
寡黙なる占星術師月朧          亜紀   
夕長し書棚の本の凭れ合ひ        亜紀  天不
ウルトラマンごつこ佳境となる遅日    亜紀  り
冷静になるまで待てぬ春コート      亜紀  朝空
雑巾の針目ちくちく春浅し        亜紀   

左から馬右からは驢馬の列        りえ  ぐ
心中の前に味はふ蜆汁          りえ  ぐ天
芽柳は耳介に生えてくるだらう      りえ  恵天
ちさを縫ふだけの真つ赤な刺繍糸     りえ   
お湯かけて縮んだ部位を見てゐたり    りえ  恵百四ぐ
奇術師の棒振るさきに海市たつ      りえ  恵百
実朝忌ひたひの眼鏡探すまじ       りえ   

左からじわじわ進む野焼かな       由季  朝亜不
春陰の牛の心音聴きにゆく        由季  朝四空
雪の果罅うつくしく土耳古石       由季   
春寒の枕を囲む縫ひぐるみ        由季  恵百り
春一番東京タワー縮みしか        由季  空
棒術の六尺棒と春惜しむ         由季  亜
飯蛸の脚のもつれて皿のうへ       由季  天

いつせいに初桜なる左翼線        四童  空
心臓が白木蓮のごと錆びる        四童  朝天不空
耳ぜんぶ出して少女の春来る       四童  恵百り由
社名入裁縫セット春灯し         四童  ぐ
縮尺の違ふ人体春の闇          四童   
水遁の術にほどよく水ぬるむ       四童  恵
朧夜の宇宙とともに膨張す        四童  恵亜

以上。(集計:不孤)

ご歓談は俳句モナカでどうぞ。

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