2012年4月1日日曜日

剛力彩芽句会・投句一覧

お待たせしました。

【剛】
お松明剛よく柔を制すかな
ビル街にかぜ剛と吹く花の冷え
金剛石鳴って春の闇をこわす
剛速球掴み損ねて風光る
剛体と流体のゐる春の闇
剛腕と言はれスヰートピーが好き
剛腕の右翼手飛んで揚雲雀
春や春金剛石にハートと矢
春塵の傷つき易き金剛杵
朝寝して質実剛健額の文字
剥落の金剛力士蝶の昼

【力】
駆け引きの力加減や薔薇芽吹く
若草の寄り添っている力石
春一番つぼみ力んでをりにけり
春雨を力まかせにひきちぎる
尽力の加減乗除や三月尽
白魚の力を合すこと知らず
木の芽風てさげ袋に力布
目力で春の奇跡を呼び寄せる
目力の天気予報士春コート
力さへあればいいんだ春の星
力まずに紙風船の浮き具合

【彩】
ウミウシに極彩色の雨が降る
光彩は十日ばかりの仔猫かな
彩の国たんぽぽの絮飛んでゐる
彩りに駆け出してゆく入学児
春影や迷彩服の女の子
水彩で蝌蚪の横顔描きけり
水彩絵の具の尻から噴いて草青む
虹彩の明るき人と春の海
虹彩を覗かれて入る桃源郷
白梅や空の水彩めきてきし
風光るスパンコールの彩りに

【芽】
スモックの若芽色した園児かな
たらの芽は良薬といふ手酌かな
トイレ使うために買うガム木の芽風
ものの芽に狙ひを定め弓を引く
芽柳のつんつん空を和ませし
芽柳や川のむこうに住むひとと
上空に雲一つあり木の芽風
増殖する肉芽だいじに春炬燵
木の芽風ギターケースを地に開き
柳の芽ここにて終へる恋ありぬ
薔薇の芽の気負ひ真紅に染まりけり

【当季雑詠】
ことごとく光をまとひ春の蝶
のどぼとけ隠され黒きチューリップ
ハンガーのゆるき曲線鳥の恋
権謀術策なつみかん落ちてくる
桜餅葉のはがされて乳房色
山の端のうすくれなゐや鳥帰る
春荒やさてもニーチェの馬日和
春風やグリコ一粒十一秒
春晝を釦すくなき服を着て
初恋のはじまつてゐる四月かな
西窓の夕日が春になってをり
鳥の声聞こえて来たる春の雨
蛤のぱかりと開いてみれば逆さ
野遊びのところどころが濡れている
欲望は果てなし桃の花あかし
朧夜の震へてゐたる音叉かな

(以上)

11句選(特選、逆選なし)
選句締切:4月4日(水)24時(JST)
投稿先:恒信風句会
http://koshinfu.blogspot.com/

題に関わらず全体から11句選にてお願い致します。
整理の都合上、句の順番はそのままにして下さい。
投句一覧へのコメントとして、投稿して下さい。その際、名前/URLというのを選択して、俳号もしくはご本名を入力して下さい。URLは入れなくてよいです。
なお、右側の「最近のコメント」という欄は反映するのに時間がかかるようです。

ではよろしくお願い致します。

12 件のコメント:

  1. ○尽力の加減乗除や三月尽
     決算期、納税期ですね。「加減乗除」がじつにいい具合なので、あえて「尽」の字を重ねて言葉遊びの駄目を押さなくてもいいような気がしました。

    ○水彩絵の具の尻から噴いて草青む
     予期せぬ作品に仕上がってしまったのではないでしょうか。「噴いて」のあたりがじつにスリリングです。

    ○虹彩の明るき人と春の海
     地球の人ではないような気がします。

    ○たらの芽は良薬といふ手酌かな
     つまり苦いのでしょうか。でもしあわせそう。

    ○芽柳や川のむこうに住むひとと
     お彼岸ってことじゃないですよね。「川のむこう」に異界めいたニュアンスが感じられて、よいです。

    ○木の芽風ギターケースを地に開き
     ストリート・ミュージシャンですね。最初に自分でいくらか小銭を仕込んでおくと、お客さんが投げ銭しやすいのだと何かの漫画に書いてありました。

    ○柳の芽ここにて終へる恋ありぬ
     これから恋を終えようとしているのか、終わってしまっているのか、いっけん文法的に混乱しているような気もするのですが、自分の中では終わってしまっている恋を、現実にこれから終えるところなのかも知れません。

    ○ハンガーのゆるき曲線鳥の恋
     どこかで見たことがあるような措辞という気もするのですが、ゆるき曲線が鳥めいていてよいです。

    ○春荒やさてもニーチェの馬日和
     『ニーチェの馬』って、今やってる映画なのですね。うまいこと詠み込んだものです。

    ○初恋のはじまつてゐる四月かな
     はい、気がついたときにははじまっているものですよね。「四月」が学年の始まりなので、もうちょっと遠い、植物とか天候の方が味わいが深まるような気もしました。

    ○西窓の夕日が春になってをり
     これ、先週の土曜日に私もそんな気がしました。あの日は午後から雨が上がったんだけど、一日の中で一気に春になったような感じがしました。夏以外で西日を詠んでいるところがよいと感じました。

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  2. ★剛速球掴み損ねて風光る
     突指しなかったかしらん。

    ★剛腕と言はれスヰートピーが好き
     高校時代の江川卓のイメージ。

    ★朝寝して質実剛健額の文字
     「質実剛健額」なにやら可笑しい。

    ★春一番つぼみ力んでをりにけり
     うむ。この見立ては俳句的。

    ★力さへあればいいんだ春の星
     ひねくれて星をにらんだ僕なのさ・・・。たまにはこんなベタさもね。

    ★ウミウシに極彩色の雨が降る
     極彩色、上手。

    ★水彩絵の具の尻から噴いて草青む
     なぜだか絵具って尻から破れるんだよねぇ。

    ★芽柳のつんつん空を和ませし
     春の平和的風景。

    ★ことごとく光をまとひ春の蝶
     類想あるやもしれぬが、衒いなき春らしさのよろしさ。

    ★桜餅葉のはがされて乳房色
     桜葉の塩漬け、食べる派の私にとってはかなり艶っぽい世界。

    ★初恋のはじまつてゐる四月かな
     青春やねぇ。これは学園風景じゃないと駄目。

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  3. ○剛体と流体のゐる春の闇
    ある・ではなく、いる・というところがアニミズム。

    ○若草の寄り添っている力石
    これ、逆もまた真なり。(若草へ寄り添っている力石)が好き。

    ○木の芽風てさげ袋に力布
    自分で作るときには、学校で習った通り、必ず付ける力布。

    ○目力で春の奇跡を呼び寄せる
    「春」の奇跡がすばらしい。復活、とか。

    ○力さへあればいいんだ春の星
    なんだか涙が出そうなうるうる感。力、無かったのね。

    ○ウミウシに極彩色の雨が降る
    どこかで読んだような気がしないではないけれど。

    ○水彩絵の具の尻から噴いて草青む
    よく噴いてくれましたよ。蓋を取ったところが固まっていてね。

    ○虹彩の明るき人と春の海
    のどかです。

    ○木の芽風ギターケースを地に開き
    公園でのパフォーマンスですね。そこに100円玉や1000円札が・・。

    ○春風やグリコ一粒十一秒
    100m11秒は優秀ではありませんか。

    ○蛤のぱかりと開いてみれば逆さ
    持ち上がったほうに身が付いている。ばかばかしいけれど、その一瞬、あれ??って思うものですね。

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  4. ○春や春金剛石にハートと矢
     ブリリアントカットのことですか。それのみに尽きているのがよきかな、と。

    ○春塵の傷つき易き金剛杵
     「孔雀王」が頭をよぎってしまいました。傷を得てこその法具かしら、と読みました。

    ○剥落の金剛力士蝶の昼
     「蝶の昼」が時を止めてしまったようで、よかったです。

    ○若草の寄り添っている力石
     お役目を終えて眠る石のまわりの緑。いい風景です。

    ○木の芽風てさげ袋に力布
     きゃしゃな手提げにも力布はひそんでいるのですよね。

    ○彩の国たんぽぽの絮飛んでゐる
     当方彩の国の住人でありますが、まことそんなところであります。

    ○水彩で蝌蚪の横顔描きけり
     アレを横顔と思って見たことがなかった。春ならではのニッチさ加減。

    ○芽柳や川のむこうに住むひとと
     「待ち合わせ」か「待ち伏せ」か。昭和歌謡的なムードを感じます。

    ○木の芽風ギターケースを地に開き
     路上ライブデビューも春が多かったりするのでしょうか。

    ○野遊びのところどころが濡れている
     いつのおしめりかわからねど、そういうもんですよね。無造作な感じがよいです。

    ○朧夜の震へてゐたる音叉かな
     ありがちかもしれませんが、けっこう長くかすかに震えているようで、いただきました。

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  5. ★ちょっと世話人からコメントです。
     またシステムの仕様が変わったのか、これまでよりもコメントがスパンと認識されやすくなっていて、しかもスパン解除をすると、コメント数を二重にカウントするようです。
     一度書き込めたのにコメントがなくなっていたら、それはスパンと認識されてしまったので、そのまま気長にお待ち下さい。世話人が見つけた時に人力でスパン解除します。
     よろしくどうぞ。

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  6. ☆春や春金剛石にハートと矢
    ダイヤモンドに隠れているものなーに、というクイズがありました。ヒントは女の子の好きなもの。「春や春」が抜群ですね。

    ☆剥落の金剛力士蝶の昼
    静かな場所の静かな時間。

    ☆木の芽風てさげ袋に力布
    木の芽風と力布のつり合い具合のよろしさ。

    ☆力まずに紙風船の浮き具合
    ほんと、紙風船には力みというものがまったくないです。

    ☆水彩絵の具の尻から噴いて草青む
    写生に出かけたのですね。草青む色と気分が伝わります。

    ☆芽柳や川のむこうに住むひとと
    これも「恋とも違ふ」こころもちなんでしょうね。

    ☆木の芽風ギターケースを地に開き
    いいなァ。これからはじまる、ここからはじまる。

    ☆ハンガーのゆるき曲線鳥の恋
    深読みすれば、デート(なんか古めかしいね)の前の服選びかな。

    ☆鳥の声聞こえて来たる春の雨
    もう上がるのですね。そういえば明るくなってきた。

    ☆蛤のぱかりと開いてみれば逆さ
    物凄く小さな違和感。でも違和感。

    ☆朧夜の震へてゐたる音叉かな
    耳の奥の奥まで震えている生理感覚。音叉性とでもいうか。

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  7. ○金剛石鳴って春の闇をこわす
    闇に光のプリズムがばらけるということだろうか。

    ○木の芽風てさげ袋に力布
    幼稚園か新一年生か、ぶんぶん振り回しても大丈夫。

    ○力さへあればいいんだ春の星
    なぜか小倉一郎の顔が浮かんでしまった。涙がにじんでます。

    ○力まずに紙風船の浮き具合
    そうそう、そんな感じ。

    ○ウミウシに極彩色の雨が降る
    放射能雨っぽいです。

    ○水彩で蝌蚪の横顔描きけり
    横顔とはまた微細な。

    ○トイレ使うために買うガム木の芽風
    公園とか駅のトイレは…ねぇ。名案かも。

    ○木の芽風ギターケースを地に開き
    メジャーデビューを夢見て、まずは公園デビュー。「地に開き」が的確な描写。

    ○ハンガーのゆるき曲線鳥の恋
    季語との照応がgoodです。

    ○桜餅葉のはがされて乳房色
    ほんのり上気した色合いと言い、形と言い、手触りと言い…。

    ○春風やグリコ一粒十一秒
    「一粒300メートル」はカロリーだそうですが、これは口に入れてからぬちょぬちょ11秒で食べちゃったってことですね。季語を軽くしたのがよいです。

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  8. ○剛速球掴み損ねて風光る
    目は球の行方へ。まぶしい。

    ○春塵の傷つき易き金剛杵
    空海の金剛杵?


    ○剥落の金剛力士蝶の昼
    「剥落の金剛力士」うまいです。夢のような空間。

    ○春一番つぼみ力んでをりにけり
    「つぼみ力んで」がいいですね。

    ○白魚の力を合すこと知らず
    「力を合す」とは人間の認識の世界。「白魚」がとてもいいです。

    ○ウミウシに極彩色の雨が降る
    逆転の面白さ。

    ○水彩で蝌蚪の横顔描きけり
    「蝌蚪の横顔」ってなんだか可笑しかった。

    ○虹彩の明るき人と春の海
    異国の方とも、その方の明るきお人柄とも。

    ○木の芽風ギターケースを地に開き
    どんな曲が始まるのでしょう。

    ○ハンガーのゆるき曲線鳥の恋
    「鳥の恋」は日常の一コマと相性がいいのですね。

    ○春風やグリコ一粒十一秒
    あっという間ですよね。グリコの味がしてきました。

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  9. ○剥落の金剛力士蝶の昼
    歴史ある金剛力士像なのでしょう。古い山門も蝶の昼で明るい。

    ○木の芽風てさげ袋に力布
    力布!感心しました。木の芽風でやさしさも。

    ○力さへあればいいんだ春の星
    んだんだ。

    ○ウミウシに極彩色の雨が降る
    不思議な光景。極彩色にウミウシが負けていない。

    ○水彩絵の具の尻から噴いて草青む
    噴いてがいい。どんな絵になるのか興味深々。

    ○虹彩を覗かれて入る桃源郷
    不思議な感覚。虹彩を覗かれるのはドキドキします。

    ○木の芽風ギターケースを地に開き
    さわやかです。心地いい演奏が聞こえてきそう。

    ○桜餅葉のはがされて乳房色
    そんなにピンクかなあなどと思いつつ。でも触感は餅かも。

    ○西窓の夕日が春になってをり
    夕日もすこし柔らかい光になっていたりして。

    ○欲望は果てなし桃の花あかし
    桃の花あかしがよいです。燃える欲望のようでもある。

    ○朧夜の震へてゐたる音叉かな
    朧も震えているよう。音叉に命があるみたい。

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  10. ○剥落の金剛力士蝶の昼
    季語がうまく調和しています。

    ○木の芽風てさげ袋に力布
    力布を見つけた着眼に○です。

    ○力まずに紙風船の浮き具合
    本当に力まずの境地ですね。

    ○彩の国たんぽぽの絮飛んでゐる
    彩の国と合いますね。

    ○水彩絵の具の尻から噴いて草青む
    うわぁ、お上手です。

    ○芽柳のつんつん空を和ませし
    オノマトペが心地よし。

    ○木の芽風ギターケースを地に開き
    あるある感満載です。

    ○桜餅葉のはがされて乳房色
    下五がリアル。

    ○春晝を釦すくなき服を着て
    小さな発見。

    ○初恋のはじまつてゐる四月かな
    いかにも四月ですね。

    ○西窓の夕日が春になってをり
    感性の豊かさ。

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  11. ●剛速球掴み損ねて風光る
    甲子園でしょうか。季語がぴったり。

    ●剥落の金剛力士蝶の昼
    遠い時代の佛師の腕前の凄さに思い至ります。
    蝶のはばたきにも剥落は進むのかも。

    ●若草の寄り添っている力石
    力石には夫々秘められた物語が。寄り添うのが若草とは
    今もエネルギーが湧いている。

    ●春一番つぼみ力んでをりにけり
    健気です。

    ●彩の国たんぽぽの絮飛んでゐる
    埼玉県のことと初めて知った次第。お恥ずかしい。

    ●白梅や空の水彩めきてきし
    「めきてきし」がベストかどうかわかりませんが、気持ちには同感。

    ●上空に雲一つあり木の芽風
    坂の上の雲かしら。

    ●春晝を釦すくなき服を着て
    釦が少ないと、材料費が節約出来、ファッション業界では
    製品化し易いなんて、全く詩的でないことを思うわたし。

    ●初恋のはじまつてゐる四月かな
    高校までずっと共学でなかったので、大学で初めて男子学生の隣に坐りドキドキした。

    ●西窓の夕日が春になってをり
    あえて西窓であるところがミソ。

    ●野遊びのところどころが濡れている
    楽しさに水をさすところに技あり。

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  12. 金剛石鳴って春の闇をこわす 
     とても耳障りな音のような気がします。

    剛体と流体のゐる春の闇
     ゐるであるので物体。いったい何であるのか・・・

    剥落の金剛力士蝶の昼
     奈良の大仏も、できたときは金箔で覆われていたような

    木の芽風てさげ袋に力布
     てさげ袋でなくもっと意表つくものであればもっと良いです。

    力さへあればいいんだ春の星
     何も力まずに物事を取らえることもない。

    彩の国たんぽぽの絮飛んでゐる
     幻想的ですね。

    芽柳や川のむこうに住むひとと
     旧かなであればむこう→むかう。良い風景ですね。

    のどぼとけ隠され黒きチューリップ
    大人になると隠したくても隠せません。。。

    ハンガーのゆるき曲線鳥の恋
     何だかなぁ・・・って感じです。

    春風やグリコ一粒十一秒
     思わず選に取ってしまいました。。。

    西窓の夕日が春になってをり
     最後の最後まで春。今日一日、穏やかに過ごすことが出来ました。

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