2012年4月17日火曜日

上林春松本店句会・投句一覧

お待たせいたしました。

【上】
たんぽぽのわた吹くけふの上機嫌
たんぽぽや上ばかり見て疲れたる
ぬるみたる上善如水かな
ピーポーと桜前線上きげん
花冷の明神さまの上に雲
橋の上のひと立ち止まる春の月
空よりもくも上にある日永かな
見上げつつ腰をいたわる花見かな
最上階専用エレベーターの春
上流のどこかで桜散っている
北窓を開きてすこし上の空

【林】
シャンパンの泡の森林春の宵
ノヴァークが林のなかで鳴つてゐる
砂防林つづく砂丘も春の闇
新入生ヒラリン漢字は平林
人骨の出て穀雨の竹林
大林組の工事が春天へ
竹林のざわめきを行く暮春かな
緑立つ防潮林を風が来る
林より森の明るき鳥の恋
林美雄没後ラヂオは聴かず四月馬鹿
朧夜を林隆三立ちこめる

【春】
つぎつぎと人から春となりにけり
ボクサーの秘めたる笑みや春の蝶
をんをんと春の卵の回りけり
春雨の止んでしまひしチャプチェかな
春荒肌荒大阪の叔母さん来る
春宵や牛乳石鹸よい石鹸
春惜しむ東急ハンズうろつきて
春待ちて待ちくたびれてカラス鳴く
春昼の急須いっぱい茶葉開く
鳥交る春信の絵の息づかひ
幕すこし開けて客見る春の宵

【松】
クッキーの市松模様春うれい
花過の江戸城松之大廊下
看板は松下電器春惜しむ
春燈の松本楼のエビフライ
松たか子春スカーフの賢夫人
松の芯遠くのビルの照り返す
松原にひとりふたりの暮春かな
松磨く風こそすがし光悦忌
蝶鳴けりこれでいいのだおそ松くん
美味すぎる松屋のカレー弥生尽
木の芽雨かすかに日比谷松本楼

【本】
いづれ蝌蚪か蛙か厚木本厚木
愛犬に本音を漏らす初桜
行春の古本ごみのごとく売る
坂多き本籍地なり茗荷竹
春昼の箱にあまたのぞつき本
豆本のできあがるまで花の雨
母方は日本人ですチューリップ
本筋を離れて来たる花大根
本妻にたてつき花の塵が沸く
本日の花見日和に背を向けり
本物の春の星なら手に馴染む

【店】
のどけしや店舗を持たずあきなへる
花散りぬ恋失ひて店辞めて
客よりも店員おほき日永かな
支店より支店へ飛びぬ蝶の昼
春陰のたつぷり中華料理店
店先に春の光を待たせおく
店長を息子に譲り蝶三昧
店番がチエーホフ読んでゐたりけり
店番の少女は本を読み晩春 
店番の眠る老婆や花吹雪
囀や駅の売店手際良し

【当季雑詠】
スパイスの名前連なる霾ぐもり
ひと匙の上白糖や春惜しむ
フラスコに残る水滴春惜しむ
ゆるやかな起伏に放つ春の駒
花疲れ電車の遅延知らされて
佐保姫の尻子玉抜く春夕立
出来立てのマカロニサラダ春の雨
松本店探して迷ふ雪解風
蝶購つてひたひにしるしされたやう
猫の鼻花びら嗅ぎて花いろに
板チョコを分け合うてゐる桜かな
風船の膨らむ気配していたり
鞦韆は止まる地球と距離を置き
鶯の声エンドレス商店街

(以上)

11句選(特選、逆選なし)
選句締切:4月20日(金)24時(JST)
投稿先:恒信風句会
http://koshinfu.blogspot.com/

題に関わらず全体から11句選にてお願い致します。
整理の都合上、句の順番はそのままにして下さい。
投句一覧へのコメントとして、投稿して下さい。その際、名前/URLというのを選択して、俳号もしくはご本名を入力して下さい。URLは入れなくてよいです。
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ではよろしくお願い致します。

12 件のコメント:

  1. ★竹林のざわめきを行く暮春かな
    あのざわめきは確かに暮春感あるなぁ。

    ★林より森の明るき鳥の恋
    上手い処を見たね。鳥の恋、季語も適宜。

    ★看板は松下電器春惜しむ
    松下電器・松下電工・ナショナル・National・・・いずれも今や貴重な看板。

    ★美味すぎる松屋のカレー弥生尽
    あのクオリティで、380円は安いやね。290円だったことも。実は高校生の頃、阿佐ヶ谷にあった工場で作ってました・・・あはは。

    ★愛犬に本音を漏らす初桜
    こんなこともあるだろう。桜、明るいね。

    ★母方は日本人ですチューリップ
    父方はオランダの方かしら。

    ★囀や駅の売店手際良し
    一昔前はPOSもなく、暗算だったから、もっとも忙しい時間の新宿駅キヨスクのおばちゃんの手際は感動的だった。

    ★スパイスの名前連なる霾ぐもり
    アジアンテイスト。

    ★ひと匙の上白糖や春惜しむ
    上白糖の「上」が上手。スプーン印やね。

    ★フラスコに残る水滴春惜しむ
    フラスコ、詩語として結構な威力があるね。

    ★板チョコを分け合うてゐる桜かな
    チョコは板チョコがもっとも好き。やっぱり明治かな。

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  2. ●上流のどこかで桜散っている
    どこかで春が生まれたわけで・・・

    ●人骨の出て穀雨の竹林
    漢字とかなの配列がぴしゃりと。

    ●大林組の工事が春天へ
    春天できまり。

    ●朧夜を林隆三立ちこめる
    あの声はたしかにたちこめる感。

    ●看板は松下電器春惜しむ
    昭和ですね。ところでMATSUSHITAは米人には発音
    しにくいらしい。tsuとなるとツと読める人が少なく
    tとsuを続けて発音しようとマ ツス シタなんて
    なっちゃうので社名変えたのでは。

    ●母方は日本人ですチューリップ
    日本人の使い方がお上手。

    ●のどけしや店舗を持たずあきなへる
    いいですねぇ。この割り切りかた。
    いや、本職でなく、フリマなどのことかも。

    ●店先に春の光を待たせおく
    そこに詩があり。

    ●店長を息子に譲り蝶三昧
    蝶にうつつとは。うまいです。

    ●花疲れ電車の遅延知らされて
    読んだこちらまでぐったり。

    ●風船の膨らむ気配していたり
    こんな句をいつか詠めるようになりたくて
    こりずに此処で恥かいてます。

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  3. ○橋の上のひと立ち止まる春の月
    なにげない描写が良いです。

    ○シャンパンの泡の森林春の宵
    泡の森林とは素敵な表現。

    ○つぎつぎと人から春となりにけり
    脱皮してゆくような不思議感。

    ○をんをんと春の卵の回りけり
    オノマトペが効いています。

    ○春昼の急須いっぱい茶葉開く
    まったりと優雅に。

    ○松の芯遠くのビルの照り返す
    松の芯の斡旋が素晴らしい。

    ○母方は日本人ですチューリップ
    読みに広がりがあっていいですね。

    ○のどけしや店舗を持たずあきなへる
    いかにものどけしです。

    ○囀や駅の売店手際良し
    神業のようなベテランの店員さんが見えてきます。

    ○スパイスの名前連なる霾ぐもり
    いかにもエスニック。

    ○フラスコに残る水滴春惜しむ
    フラスコのあの形状が春に繋がっているようです。

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  4. ○人骨の出て穀雨の竹林
    筍に突き上げられたんでしょうか。殺人事件じゃないことを…。

    ○大林組の工事が春天へ
    開業間近のスカイツリー。「宇宙エレベーター」構想にも度肝を抜かれます。

    ○春昼の急須いっぱい茶葉開く
    上林春松本店の景でしょうか。

    ○幕すこし開けて客見る春の宵
    芝居かコンサートか。客の入りが気になる。

    ○クッキーの市松模様春うれい
    アイスボックスクッキー。作るのも楽しいし食べてもおいしいですが、それを「うれい」とは。

    ○蝶鳴けりこれでいいのだおそ松くん
    亀は鳴くこともあるようですが、蝶は絶対に鳴きませんから…これでいいのだ。

    ○本日の花見日和に背を向けり
    わかります。

    ○のどけしや店舗を持たずあきなへる
    昔ながらの行商とか地べた売り。季語ぴったり。

    ○客よりも店員おほき日永かな
    そういうところけっこうありますね。

    ○ゆるやかな起伏に放つ春の駒
    草千里が浮かびました。上五中七の巧さ。

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  5. あわわ…頭が抜けてました。すみません。

    ○シャンパンの泡の森林春の宵
    「泡の森林」という感覚がよいです。

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  6. ○橋の上のひと立ち止まる春の月
    「春の月」だからなのでしょうね。

    ○上流のどこかで桜散っている
    川の流れの花筏。

    ○北窓を開きてすこし上の空
    「すこし上の空」見るものですよね。

    ○春昼の急須いっぱい茶葉開く
    茶葉ものんびりと。

    ○看板は松下電器春惜しむ
    昔の看板って味わいありますね。

    ○のどけしや店舗を持たずあきなへる
    路上ならば春の陽光をたっぷりあびて。

    ○客よりも店員おほき日永かな
    手持ちぶたさがありますね。

    ○囀や駅の売店手際良し
    こういくとほんと気持ちよいです。

    ○ひと匙の上白糖や春惜しむ
    キッチンにある惜春の瞬間。

    ○フラスコに残る水滴春惜しむ
    「フラスコ」は魅力的ですよね。

    ○ゆるやかな起伏に放つ春の駒
    のびやかな風景が素敵です。

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  7. ◯シャンパンの泡の森林春の宵
    細長いシャンパングラスの林立、なるほど。

    ◯春雨の止んでしまひしチャプチェかな
    ばかばかしくていただきました。

    ◯鳥交る春信の絵の息づかひ
    色っぽいです。鳥交じらずとも。

    ◯幕すこし開けて客見る春の宵
    臨場感あふれるスケッチ。

    ◯松原にひとりふたりの暮春かな
    なんかイミ深な距離がいいです。

    ◯愛犬に本音を漏らす初桜
    ありがちかも。お父さんとかね。

    ◯のどけしや店舗を持たずあきなへる
    無店舗販売と言うより、路上で売っている感じがよろしいです。

    ◯客よりも店員おほき日永かな
    あるある。

    ◯店先に春の光を待たせおく
    この余裕がよろしい。

    ◯ひと匙の上白糖や春惜しむ
    じょうはくとう と言うんだったそう言えば。

    ◯ゆるやかな起伏に放つ春の駒
    馬の臀部も思い起こされます。

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  8. ○ぬるみたる上善如水かな
     天然のぬる燗ですな。よきかなよきかな。

    ○上流のどこかで桜散っている
     花びらを眺めて山を思う。いい情景だと思います。

    ○大林組の工事が春天へ
     足場がにょきにょき伸びて行くところか、クレーンか。

    ○をんをんと春の卵の回りけり
     オノマトペがぺったしです。卵の回転音はをんをん。

    ○幕すこし開けて客見る春の宵
     舞台の側から客席の狂騒を見る、ひそかな春の夜の感じがあります。

    ○クッキーの市松模様春うれい
     ほんに、アイスボックスクッキーが食べたくなりました。きゅん。

    ○いづれ蝌蚪か蛙か厚木本厚木
     厚木が先か本厚木が先か?車掌甚句みたいでもあり笑わせていただきました。

    ○坂多き本籍地なり茗荷竹
     本籍地とは縁があるようなないような、そんな場所。茗荷竹がヘンに効いてます。

    ○春昼の箱にあまたのぞつき本
     たたき売られている哀れな感じが、かな表記でなにやらなまめかしくなりました。

    ○のどけしや店舗を持たずあきなへる
     なぜか富山の薬売りが頭の中に…。あるいは寅さんとか。飄々とした感じです。

    ○囀や駅の売店手際良し
     こっちがぐずぐずしているといけません。なかなかスリリングです。

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  9. たんぽぽや上ばかり見て疲れたる
     人間は上から視線

    北窓を開きてすこし上の空
     ひとりぼんやり上の空。。。

    春惜しむ東急ハンズうろつきて
     都会にも惜しむとことあるんですね。

    クッキーの市松模様春うれい
     洒落てますね

    松の芯遠くのビルの照り返す
     もう夏間近ですね。眩しい。。。

    母方は日本人ですチューリップ
     父方はオランダ人ですね。

    本物の春の星なら手に馴染む
     最近の偽物は精巧です。

    客よりも店員おほき日永かな
     平日はこんなもんですね。

    店先に春の光を待たせおく
     外に出かけたくなりました。

    佐保姫の尻子玉抜く春夕立
     抜かれてしまって大変です。

    鞦韆は止まる地球と距離を置き
     何となくわかるような気がします。

    返信削除
  10. ○上流のどこかで桜散っている
    綺麗で静かで良いです。

    ○北窓を開きてすこし上の空
    北窓を開いたことありませんがきっとこんな感じ。

    ○シャンパンの泡の森林春の宵
    森林まで言ったところがすごいと思います。

    ○竹林のざわめきを行く暮春かな
    ざわざわした感じ、暮春がぴったりです。

    ○林より森の明るき鳥の恋
    断定が効いていると思います。

    ○幕すこし開けて客見る春の宵
    映像が目に浮かびます。

    ○愛犬に本音を漏らす初桜
    私はいつもです。

    ○母方は日本人ですチューリップ
    チューリップが音といい姿といい効いています。

    ○店先に春の光を待たせおく
    待たせおく、っていいですねぇ。

    ○店長を息子に譲り蝶三昧
    蝶三昧とは。贅沢な人生。

    ○風船の膨らむ気配していたり
    とても微妙なところを詠んでいて上手いです。

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  11. ○上流のどこかで桜散っている
     花びらが流れてくるのですね。あまり詩的でない書きっぷりがよいです。

    ○シャンパンの泡の森林春の宵
     「森林」がなんだかオノマトペのように思われるのですが、わたし変でしょうか?

    ○林より森の明るき鳥の恋
     一段とにぎやかなのでしょう。「明るき」がじつによいです。

    ○看板は松下電器春惜しむ
     panasonicになったのでしたっけ。でも、ほとんど薄くなったそのままの看板の町の電気屋さん、けっこう残っているような気もします。「春惜しむ」が古き良き時代を惜しんでいるようでもあります。

    ○母方は日本人ですチューリップ
     「です」がすごく生きていますね。

    ○のどけしや店舗を持たずあきなへる
     今日び「店舗を持たずあきなへる」と言ったらamazonみたいのを思い浮かべるのが普通だと思うのですが、そうでなくて行商というこの落差、実によいです。

    ○店先に春の光を待たせおく
     薄暗い昔ながらの酒屋さんとか米屋さんとか、今の時代にはもうないようなユートピアを思い浮かべます。

    ○店番の眠る老婆や花吹雪
     これ、なんだか怖いです。夢とうつつのあいだをさまよいかけている老婆の意識が花吹雪なのです。

    ○スパイスの名前連なる霾ぐもり
     おお、パセリ、セージ、ローズマリー・アンド・タイム。あの暗い曲調が甦ります。

    ○ひと匙の上白糖や春惜しむ
     メリー・ポピンズのバンクスが歌う調子っぱずれな「ちょっぴり砂糖を足すだけで」を思い出したんだけど、そんなことは句のどこにも書いてありませんね。上白糖の幸せな感じがそうさせたのでしょう。

    ○ゆるやかな起伏に放つ春の駒
     えもいわれぬエロスを感じます。

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  12. ああっ、遅くなりまして大変申し訳ありません!!

    ○たんぽぽや上ばかり見て疲れたる
    はい、たんぽぽも私も。

    ○人骨の出て穀雨の竹林
    事件でありながらすでに朽ちている白骨とも。

    ○竹林のざわめきを行く暮春かな
    そのざわめきの続きが夏という感じ。

    ○つぎつぎと人から春となりにけり
    そうそう、人はせっかちですから。

    ○看板は松下電器春惜しむ
    すでにナショナルでもなく。。。季語は惜しまない方がいいかとも。

    ○蝶鳴けりこれでいいのだおそ松くん
    むむう、蝶は鳴かないのだ!

    ○坂多き本籍地なり茗荷竹
    茗荷竹がいい。しんみりする。

    ○のどけしや店舗を持たずあきなへる
    所詮この世は風任せっていう。。。

    ○店先に春の光を待たせおく
    己は影という存在なのかも。

    ○店番の眠る老婆や花吹雪
    花吹雪とともに老婆も消えてしまいそう。

    ○ひと匙の上白糖や春惜しむ
    上白糖がいい。春惜しむ感じ。

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