2012年4月30日月曜日

修造思考!句会・投句一覧

お待たせしました。

【修】
あちこちへ金雀枝は伸び修辞学
かげろへる研修中の名札かな
制服の白き修学旅行かな
ゆく春の修正液に消ゆる文字
行く春に面の重き阿修羅像
桜蘂降る修善寺へ二人旅
初夏や修道院の白き壁
鳥交る司法修習所の庭に
明け暮れて忍者修行や子供の日
老鶯や修験の山の日暮まで

【造】
うららかや造花にシャネルかけてみる
お造りの波打つてゐる朧かな
それとなく御新造さんの木の芽和
花筏造幣局の方へ寄る
軽トラで造園業者青走らせ
御不浄の手水に造花昭和の日
造船所跡地と知らず蜜蜂が
男もすなる醸造といふ蝶の夢
陳さんの造花に春の蠅とまる
入学すこの地価高の造園科

【思】
音楽の果ての朧と思ふべし
思ふさまもつれてゐたる雲雀かな
思春期の汗光らせてゐたりけり
思惑の渦巻に釣る初鰹
春の雨思考回路にある凹み
地虫あなを出でて思はぬ日の光
蔦若葉思索は壁を這ひ上る
噴水へ思念送つてみたりもす
夕ざくら留守と思へば灯つき
霾ぐもり成吉思汗鍋磨き上げ

【考】
灌漑の考へてある立夏かな
まだ考へてゐる人のゐて暮春
考ふる形に仕舞ふ扇風機
考へてゐるやうな猫藤の下
考察を重ねてゆけば蟇
行春の思考のやうな雲流る
春尽きぬ楢山節考借りしまゝ
逃水や考へるほど浅くなり
夕方は春日も長考するならむ
葉桜や考え深き修行僧

【!】
!亀の子のやんややんやと逆しまに
「!」の字満つペンギン村に日は暮れて
いつせいに子燕「!」といふ顔す
つばくらや詩には斜めの感嘆符
むむ?ときては!と応へたる海雲の酢
や!と手を上げて夏来る南口
楽天に躍る!!!!竹の秋
感嘆符しづかに置いて花は葉に
蝌蚪エイッ! と感嘆符まね逆立ちす

【当季雑詠】
Tシャツの背中の並ぶ菖蒲池
進駐の兵くつろげる花水木
スキップの子供とおとな四月尽
セミナーめく修造思考!亀鳴けり
セロを抱く息ふかぶかと夜の辛夷
夏めけるスポーツジムの機械たち
花曇り泣かずに立つてゐる迷子
五月来るワンワもにゃーにゃもラッタッタ
桜蘂降る一斉に一生に
紙袋歩き出したる立夏かな
漕いで漕いでふらここやがて舟になる
蝶に手を伸ばしてしまふ女の子
藤棚にたしかな影のなかりけり
目借時我に重たき瞼あり

(以上)

10句選(特選、逆選なし)
選句締切:5月4日(金)24時(JST)
投稿先:恒信風句会
http://koshinfu.blogspot.com/

題に関わらず全体から10句選にてお願い致します。
整理の都合上、句の順番はそのままにして下さい。
投句一覧へのコメントとして、投稿して下さい。その際、名前/URLというのを選択して、俳号もしくはご本名を入力して下さい。URLは入れなくてよいです。
なお、右側の「最近のコメント」という欄は反映するのに時間がかかるようです。

ではよろしくお願い致します。

11 件のコメント:

  1. ★かげろへる研修中の名札かな
    何の研修にせよ、研修と名の付くものに、もやもやしないものはない。かげろふが毎度毎度立ち現れる。

    ★制服の白き修学旅行かな
    シャツではないから女学生なんだね。青春真っ只中って感じが好ましい。

    ★ゆく春の修正液に消ゆる文字
    乾くまでが煩わしい修正液ももうだいぶ廃れてきてしまった。今は修正テープが隆盛。行く春のもどかしさといい感じの付き具合。

    ★鳥交る司法修習所の庭に
    いいところ見つけた鳥たち。

    ★お造りの波打つてゐる朧かな
    やや場末の温泉旅館、地下一階宴会場で供された船盛って感じ。

    ★御不浄の手水に造花昭和の日
    水が出るとへろへろへろって水車が回ったりする奴ね。ダイシンデパートにはまだ売ってます。

    ★音楽の果ての朧と思ふべし
    ほどよい高揚感。

    ★考察を重ねてゆけば蟇
    この感覚は比較的分かり易い。雨蛙ではイケナイ。

    ★行春の思考のやうな雲流る
    春愁の雲。

    ★夏めけるスポーツジムの機械たち
    ところどころメタリックな感じ、夏らしいかも。

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  2. ○あちこちへ金雀枝は伸び修辞学
    修辞学、興味がわきます。

    ○桜蘂降る修善寺へ二人旅
    演歌の世界のような。。。

    ○初夏や修道院の白き壁
    白い壁がまぶしいです。

    ○陳さんの造花に春の蠅とまる
    春が良いですね。

    ○思春期の汗光らせてゐたりけり
    青春しています。

    ○考ふる形に仕舞ふ扇風機
    扇風機の首に目をつけたところがさすが。

    ○行春の思考のやうな雲流る
    なんとなくそう思えてきます。

    ○いつせいに子燕「!」といふ顔す
    「!」が効いていますね!

    ○感嘆符しづかに置いて花は葉に
    お上手に季語を生かして詠まれています。

    ○藤棚にたしかな影のなかりけり
    微細な発見を詠まれていて好感。

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  3. ○あちこちへ金雀枝は伸び修辞学
     修辞学とは僕も学んで、憧れの人に

    ○ゆく春の修正液に消ゆる文字
     消えたとしても心からは消えず。。。
     
    ○初夏や修道院の白き壁
     最も白きもの

    ○春の雨思考回路にある凹み
     その凹みに大ハマり・・・

    ○噴水へ思念送つてみたりもす
     暇あればこそ 

    ○考ふる形に仕舞ふ扇風機
     確かに考えます。

    ○考察を重ねてゆけば蟇
     僕には蟇には行き着きません。
     行春の思考のやうな雲流る

    ○つばくらや詩には斜めの感嘆符
     感嘆符は必要です!!

    ○感嘆符しづかに置いて花は葉に
     静かに置くこともなかろうに・・・

    ○紙袋歩き出したる立夏かな
     いやぁ中身が気になりますね。(スペック見すぎ!)

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  4. ○あちこちへ金雀枝は伸び修辞学
    修辞も乱雑に伸びてまとまりがつかない。

    ○ゆく春の修正液に消ゆる文字
    消した文字こそ大事だったのかも。

    ○鳥交る司法修習所の庭に
    聞こえてはいるけれど気にも留めないのでしょう。

    ○うららかや造花にシャネルかけてみる
    やりそうなやらなさそうなツボ。

    ○噴水へ思念送つてみたりもす
    「あがれ、もっと高く」「止まれ」とか。

    ○夕ざくら留守と思へば灯つき
    あるある。

    ○考察を重ねてゆけば蟇
    蟇の重厚さが。

    ○いつせいに子燕「!」といふ顔す
    首を伸ばした状態でしょうか。

    ○つばくらや詩には斜めの感嘆符
    俳句ではお目にかかりませんね。

    ○花曇り泣かずに立つてゐる迷子
    泣いてくれた方がわかりやすいけど、こういう子いますね。

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  5. ○初夏や修道院の白き壁
     季節の変わり目を感じさせる冷ややかな質感があります。

    ○花筏造幣局の方へ寄る
     事実しか書いていないのにどうしようもなくとぼけた味わいがあって素敵です。

    ○思春期の汗光らせてゐたりけり
     当然想起する臭覚を黙殺しているところがいいのかも知れません。

    ○春の雨思考回路にある凹み
     思考回路に凹みがあるという把握が非凡だし、そこにやわらかい春の雨がたまるのは比類なく切ないです。

    ○噴水へ思念送つてみたりもす
     する、する。

    ○夕ざくら留守と思へば灯つき
     老女が猫と暮らしているのです。

    ○まだ考へてゐる人のゐて暮春
     何年か前、上野で「考える人」の実物を見たとき、まさにそんな感慨を持ちました。あらゆるパロディを超え、ただそこにありました。

    ○いつせいに子燕「!」といふ顔す
     これ、ネットの句会でなかったら、選の際に、採った人がみな「!」の音読に技巧をこらすのでしょうね。

    ○感嘆符しづかに置いて花は葉に
     「しづかに置いて」が絶妙です。これは出ません。

    ○紙袋歩き出したる立夏かな
     「エレファント・マン」が脳裏をよぎりつつ、子ども、ペット、昆虫などが中に入った紙袋を思い浮かべたりもし、理由はともあれ動くはずのない紙袋が動き出す映像的可笑しさと季語の斡旋のすばらしさをひしひしと感じるのでした。

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  6. ○あちこちへ金雀枝は伸び修辞学
    金雀枝も修辞学もなるほどという感じです。

    ○桜蘂降る修善寺へ二人旅
    修善寺という地名は味わい深いですね。

    ○お造りの波打つてゐる朧かな
    妙な臨場感があります。

    ○音楽の果ての朧と思ふべし
    茫漠としているけれど言い切っているところがよいです。

    ○夕ざくら留守と思へば灯つき
    こういうことあります。夕桜が良い風情です。

    ○まだ考へてゐる人のゐて暮春
    あきらめの良い人も悪い人も。

    ○つばくらや詩には斜めの感嘆符
    活字にするとまっすぐですが、斜めのほうが詩的ですね。

    ○感嘆符しづかに置いて花は葉に
    感嘆符としづかには意外でした。でも納得。

    ○花曇り泣かずに立つてゐる迷子
    我慢している心情が花曇とぴったり。

    ○紙袋歩き出したる立夏かな
    子猫とか、可愛い方面のことを想像したいです。

    返信削除
  7. ○制服の白き修学旅行かな
    夏服になって身軽になって、授業もないし、まっさらな、さあ出発の気分。

    ○鳥交る司法修習所の庭に
    鳥交るに、いい場所です。

    ○御不浄の手水に造花昭和の日
    この徹底的にベタな過ぎ去りし造花な昭和よ、って感じです。

    ○音楽の果ての朧と思ふべし
    音楽の果てに朧もあるだろうと納得します。

    ○春の雨思考回路にある凹み
    凹みに溜まる水は、春の雨でなければならないですね。

    ○楽天に躍る!!!!竹の秋
    !!!!竹の落葉ですね。楽天も面白い使い方。

    ○夏めけるスポーツジムの機械たち
    機械「たち」がさらっと嫌らしくない。機械たちの方が人間より好感度が高かったりしますね。

    ○紙袋歩き出したる立夏かな
    可愛い!!

    ○蝶に手を伸ばしてしまふ女の子
    小さな女の子なんでしょうね。手を伸ばすのと、飛んで行ってしまうのが同時に起こる。

    ○目借時我に重たき瞼あり
    目借時は付き過ぎでしょうと思えども、中七下五に共感。あ、私のは老眼のせいなのでした。

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  8. ●花筏造幣局の方へ寄る
    なんともいじらしい花筏の心情。

    ●思惑の渦巻に釣る初鰹
    釣りとは、きっとそういうものなのでしょう。

    ●春の雨思考回路にある凹み
    凹みという語のマジック性は句を活かすようで。

    ●夕ざくら留守と思へば灯つき
    この意外性は優しく妙に人恋しくなりますね。

    ●夕方は春日も長考するならむ
    この擬人化に同感。

    ●や!と手を上げて夏来る南口
    南にひっかかりましたが、でも爽やか。

    ●花曇り泣かずに立つてゐる迷子
    その子にとっては、連れのおとなの方こそが迷子になっているということでしょう。

    ●漕いで漕いでふらここやがて舟になる
    すでにありそうな句ですが、私には初見で、素直に拍手を。

    ●蝶に手を伸ばしてしまふ女の子
    ごく幼い子。その子は将来この作者のように詩心豊かに
    なるでしょう。

    ●目借時我に重たき瞼あり
    当たり前とかたづけないことは大切ですよね。

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  9. ○あちこちへ金雀枝は伸び修辞学
     金雀枝と修辞学の取り合わせにぐっときてしまいましたが「あちこちへ〜伸び」は少し疑問でした。

    ○制服の白き修学旅行かな
     修学旅行のときに下着や靴下をおろしたり、とにかく「よそゆき」の清潔な服装にさせられたのを思い出しました。今でもそんなことあるんですかね。

    ○行く春に面の重き阿修羅像
     思惟でなくお顔が重くて俯いていたのか…

    ○明け暮れて忍者修行や子供の日
     修行にやすみはないのですよね。ニンニン。

    ○御不浄の手水に造花昭和の日
     かたわらには芳香ボールがぶら下がっていそうです。嗚呼昭和。

    ○考ふる形に仕舞ふ扇風機
     上等なハイテク扇風機でなく、首の後ろのボタンで回転ー非回転を選ぶようなタイプのやつ。しまうときはグキッとやる。

    ○や!と手を上げて夏来る南口
     なにやら夏が快活な壮年男性のようです。

    ○夏めけるスポーツジムの機械たち
     年中稼働しているのでしょうが、「夏めく」合ってると思います。

    ○花曇り泣かずに立つてゐる迷子
     怖かった?ときいたら絶対「ううん」と答えそうな迷子です。

    ○紙袋歩き出したる立夏かな
     私もエレファントマンを想起してしまいました。小動物あたりでもおもしろいですね。

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  10. 集計人よりおことわり
    明日早朝より旅行に出るので、作者発表は5日の夜になります。
    あしからずご了承ください。

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  11. ○あちこちへ金雀枝は伸び修辞学
    う~ん、修辞学がうまい。

    ○初夏や修道院の白き壁
    清潔感そのもの。

    ○御不浄の手水に造花昭和の日
    昭和の民宿。

    ○春の雨思考回路にある凹み
    もう凹凹(ぼこぼこ)です。

    ○噴水へ思念送つてみたりもす
    送ると、たちまちにして曲がるんです。

    ○夕ざくら留守と思へば灯つき
    夕暮れの団地の窓を見るような。

    ○まだ考へてゐる人のゐて暮春
    いろんな場合が想像されて、評もまだ考え中。

    ○Tシャツの背中の並ぶ菖蒲池
    上着なしでよい季節になりました。

    ○紙袋歩き出したる立夏かな
    マイバッグも紙袋に切り替えて夏。

    ○蝶に手を伸ばしてしまふ女の子
    男の子か女の子かでそれぞれ解釈のパターンが見えてしまうけど、本当のところは分からないのが面白い。

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