2012年7月22日日曜日

天地明察句会・投句一覧

【天】
とうりやんせ天神さまへ青大将
ゆらめいて天児牛大蓮青葉
肩に来て天使と思ふてんと虫
壷中天引きづり出しつレース編み
天井の上に星ありバンガロー
天蓋のベッドのことに明け易し
天秤のやうな笛吹く祭かな
涼しさや聖書の上の天眼鏡

【地】
覚えある地べた明るき帰省かな
地に満つる蟻の歌声話し声
地は口をひらきてオナン待つ西日
地下街に迷ふてゐたる夏帽子
地下鉄の間違つて出る夜涼かな
地階から屋上階へ夏痩せて
地上絵の真偽は知らず朱夏の風
地続きの明治平成すべりひゆ

【明】
かき氷卓の明るくなりにけり
シャンデリアの明るさに酔ひ崩れけり
登山小屋明日の晴待つ無精ひげ
白玉の明るさに匙ためらひぬ
平明な言葉唱へて蓮の花
明るさや夏座布団を尻の下
明易し「毒」を撒き散らすのは誰
老酒や明の字のある安き店

【察】
お察しをですか風鈴ここで鳴り
たくましきユッカを咲かせ警察署
王様の裸決死の視察団
黄昏の診察室の裸かな
警察犬育成の家立葵
警察署税務署西日消防署
察するに豆飯を炊く光かな
察すれば誰か来ていたメロンかな

【当季雑詠】
あぢさゐの路地を歩くにすこし邪魔
家蜘蛛や箪笥の裏の大秘境
苦瓜のいぼんぼんぼと青きかな
経験のない夏あめつちのご明察
時折は海を見やりてレース編む
出水あり地球儀浮いたり沈んだり
睡蓮にラテン語の見え隠れせる
大揚羽いそぎ国際空港へ
追ひ打ちの夏料理来てまはる卓
南風呼ぶ雲のありけりスクワット
日直のふたりぼうふら捨てにゆく
函館の海岸線や大夕焼
父の箍はずして甚平着せかけり

(以上)

10句選(特選、逆選なし)
選句締切:7月25日(水)24時(JST)
投稿先:恒信風句会
http://koshinfu.blogspot.com/

題に関わらず全体から10句選にてお願い致します。
整理の都合上、句の順番はそのままにして下さい。
投句一覧へのコメントとして、投稿して下さい。その際、名前/URLというのを選択して、俳号もしくはご本名を入力して下さい。URLは入れなくてよいです。
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9 件のコメント:

  1. ★とうりやんせ天神さまへ青大将
    ここはどこの細道じゃ。青大将、良く見ると可愛かったりする。

    ★天秤のやうな笛吹く祭かな
    どんな笛なのか、興味津々。

    ★涼しさや聖書の上の天眼鏡
    俳句における聖書ってイメージ喚起力抜群。私にとっては、ホテルの引き出しの中のイメージだけれど。

    ★地階から屋上階へ夏痩せて
    階段で上ったのかしら。古い百貨店のような気が。

    ★明るさや夏座布団を尻の下
    涼やかに座っているのでしょう。

    黄昏の診察室の裸かな
    ★「夜の診察室」?かなり艶やか。

    ★察するに豆飯を炊く光かな
    ぷんといい香りがしてくるのだなぁ。「光」を捉えたところ、俳人やね。

    ★苦瓜のいぼんぼんぼと青きかな
    このオノマトペ、なんとなく染みてくる。

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  2. ★時折は海を見やりてレース編む
    白いバルコニーでのひとコマ。

    ★日直のふたりぼうふら捨てにゆく
    運の悪い日に日直になってしまったのです。

    二句洩れてました。追加します。

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  3. ○肩に来て天使と思ふてんと虫
    肩から手にのせて、しばし戯れてくれるのが嬉しいですね。

    ○涼しさや聖書の上の天眼鏡
    道具立てが良いです。

    ○覚えある地べた明るき帰省かな
    「地べた明るき」が新鮮。

    ○地階から屋上階へ夏痩せて
    高速エレベータに乗ると、きゅっと引き締まる感じがします。

    ○かき氷卓の明るくなりにけり
    ○白玉の明るさに匙ためらひぬ
    どちらも、夏の日差しとガラス器と白のまぶしさがよく伝わります。

    ○察すれば誰か来ていたメロンかな
    むかしはそうだった。

    ○あぢさゐの路地を歩くにすこし邪魔
    あるある。

    ○苦瓜のいぼんぼんぼと青きかな
    「いぼんぼんぼ」に参りました。たのしい!

    ○時折は海を見やりてレース編む
    避暑地の令夫人の雰囲気。

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  4. ●壷中天引きづり出しつレース編み
    最近は編物をする男性が増えているとか。老眼鏡をかけた
    高齢の紳士の姿と読むのは如何でしょう。

    ●天井の上に星ありバンガロー
    どこの家でも天井の上に星があるわけですが、それを
    あらためて意識できるのはバンガローのおかげ。

    ●天蓋のベッドのことに明け易し
    そんな豪華な寝台ではリッチな夜の時間はさぞ短く
    感じられることでしょう。

    ●涼しさや聖書の上の天眼鏡
    信仰深いお人柄が季語で生かされました。

    ●覚えある地べた明るき帰省かな
    子供の頃の遊びには地面とのつながりが多いです。

    ●地は口をひらきてオナン待つ西日
    隠語使用の勇気を買います。

    ●平明な言葉唱へて蓮の花
    ここは{ナンマイダ」でしょうか。

    ●明易し「毒」を撒き散らすのは誰
    クリスチャンディオールの香水「POISON」でしょうか。
    誰を「我」に置き換えしばし官能の妄想を。

    ●察すれば誰か来ていたメロンかな
    お持ち頂いた高級品。分け前が残っていればいいですが。

    ●父の箍はずして甚平着せかけり
    「たが」という漢字を学習。
    ご高齢のお父上、かっての厳しい父という見方をあらため
    今は優しい気持ちで接して居るという、読むほどにジーン
    と心が打たれます。

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  5. ○天蓋のベッドのことに明け易し
     早朝の雰囲気をひときわロマンティックにしてくれそうな。

    ○天秤のやうな笛吹く祭かな
     余程長い横笛なのか、右へ左へ踊る笛なのか。楽しそうで良いです。

    ○涼しさや聖書の上の天眼鏡
     持ち主不在な感じがいい。

    ○白玉の明るさに匙ためらひぬ
     どこから崩そうか、つやつやっと盛ってるんですかね。おいしそう。

    ○黄昏の診察室の裸かな
     黄昏でなんだか人体も模型じみます。

    ○警察犬育成の家立葵
     ビシッとね。

    ○あぢさゐの路地を歩くにすこし邪魔
     手でよけながらね。で水滴がかかったりして余計にうっとうしかったりする。

    ○苦瓜のいぼんぼんぼと青きかな
     「いぼんぼんぼ」と一気読み。弾力あるいぼいぼ。

    ○時折は海を見やりてレース編む
     物思いにふけるには最適です。

    ○日直のふたりぼうふら捨てにゆく
     前の日直に文句のひとつも垂れながら捨てにいくのでしょう。

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  6. ○とうりやんせ天神さまへ青大将
    青大将にびっくりです。

    ○天井の上に星ありバンガロー
    高原の夜空を思い浮かべますね。

    ○涼しさや聖書の上の天眼鏡
    物だけで語る確かさ。

    ○地に満つる蟻の歌声話し声
    ミクロの世界、蟻の目線になって。

    ○地階から屋上階へ夏痩せて
    何故かどっと疲れが。

    ○かき氷卓の明るくなりにけり
    子等の歓声が聞こえてくるようです。

    ○明るさや夏座布団を尻の下
    賑やかな里帰りの景を思いました。

    ○警察犬育成の家立葵
    背筋がおのづからしゃんとしますね。

    ○察すれば誰か来ていたメロンかな
    いただきもののメロン!わくわく~。

    ○あぢさゐの路地を歩くにすこし邪魔
    あるあるの景でよくわかります。

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  7. 肩に来て天使と思ふてんと虫
     ふんわりと来て止まります。

    地に満つる蟻の歌声話し声
     耳を澄ませば聞こえてきそうです。

    地階から屋上階へ夏痩せて
     おっ、痩せてく、痩せてく~~

    かき氷卓の明るくなりにけり
     卓の周りに家族集合。

    白玉の明るさに匙ためらひぬ
     その明るさにも涼しく感じます。

    警察署税務署西日消防署
     片田舎は一カ所に集約、あと役所があれば完璧!!

    出水あり地球儀浮いたり沈んだり
     地球そのものが浮いたり沈んだり・・・

    睡蓮にラテン語の見え隠れせる
     まずはsalveteから・・・

    大揚羽いそぎ国際空港へ
     急げ~~

    日直のふたりぼうふら捨てにゆく
     持つのはもちろん、男の子の役目です。

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  8. ○壷中天引きづり出しつレース編み
     「壷中天」で切れるのかも知れないのですが、壷中天を引きずり出すとレースであるような語の運びが面白いです。最後を連用形にした効果は不明。

    ○天蓋のベッドのことに明け易し
     おお、南の国の姫君のようなあれが「天蓋」というものでしたか。確かに明け易そう。

    ○涼しさや聖書の上の天眼鏡
     おお、易者の持つあれが「天眼鏡」というものでしたか。天眼鏡を栞にして主人公はどこへ行ってしまったのでしょう。

    ○覚えある地べた明るき帰省かな
     「帰省」で「覚えある」はかなりもったいないのですが、「地べた明るき」がいいですね。
     
    ○地下街に迷ふてゐたる夏帽子
     地下なのに帽子をかぶっているのは変という理屈の句なんだけど、浮かぶのは人の良い浮世離れした夏帽子のご婦人ですね。

    ○白玉の明るさに匙ためらひぬ
     嘘くさくてよいです。

    ○あぢさゐの路地を歩くにすこし邪魔
     「あぢさゐに路地をとられて回り道」でなくて、なんとも実務的なところがよいです。

    ○睡蓮にラテン語の見え隠れせる
     なにかアカデミックな故事がありそうな、思わせぶりがよいです。最後を連体形にした効果は不明。

    ○日直のふたりぼうふら捨てにゆく
     初恋ですね。

    ○父の箍はずして甚平着せかけり
     なんだか大変なことになっているようで、句会ごときで採ることがはばかられるのですが、「箍」が絶妙です。

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  9. ○とうりやんせ天神さまへ青大将
    とうりゃんせで何かと思ったら青大将、どきっとします。

    ○肩に来て天使と思ふてんと虫
    すこし大げさなようにも思うけれど可愛いです。

    ○天井の上に星ありバンガロー
    開放感が素敵です。

    ○涼しさや聖書の上の天眼鏡
    天眼鏡ってきれいな言葉ですね。確かに涼しさの感覚につながるような。

    ○覚えある地べた明るき帰省かな
    地べたが明るいというのはいいですね。

    ○地下街に迷ふてゐたる夏帽子
    帽子はいらないのに。困惑した様子が伝わります。

    ○警察犬育成の家立葵
    すっくと。すくすくと。

    ○警察署税務署西日消防署
    こういう場所、こころあたりあります。署という字が暑に見えてくる。

    ○察するに豆飯を炊く光かな
    光から察するなんてさすが。

    ○時折は海を見やりてレース編む
    できすぎのような光景ですが、雰囲気あります。

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