2013年4月14日日曜日

頓証菩提句会・投句一覧

 お待たせしました。

【頓】
チューリップ素頓狂な声を出す
桜散るここも風速市長頓死
天皇の役は喜頓百千鳥
頓狂な春蝉鳴いて落ちにけり
頓死せる首領様ゐる彼岸かな
頓首再拝さくらしべふる、とルビ
頓知話しろつめくさに寝転がり
頓服をくだして海女の咽冷ゆ
入学のひとり素つ頓狂な顔
頓服の袋残りぬ春炬燵
葉桜や工程表は頓挫して
麗かや整理整頓できぬ一家

【証】
かいやぐら身分証明証がない
花は葉に改札を打つ社員証
学生証の顔が怖くて半仙戯
黒板の証明こぼれ菜種梅雨
仕舞はれて卒業証書まつ暗に
証人は不在でせうか春の闇
心ある証人前へヒヤシンス
田楽の焦げ証紙とも割印とも
飛花落花黒いスーツと証明書
風船の確証持てぬ硬さかな
免許証更新に行く彼岸前

【菩】
しやぼん玉見送る観世音菩薩
花見客途絶え菩薩の頭かな
花盛りの恒信風に蓮菩ありき
行く春の菩薩の像の苔むして
春雨や菩薩の胎に書簡あり
春深し弥勒菩薩の水の笑み
斑鳩の里の菩薩や暮かぬる
菩提寺も父の生家も彼岸かな
菩提寺を持たぬ暮しや鳥雲に
菩提樹の下に新入生集ふ
恋猫の夜叉の声から菩薩の貌

【提】
ぽたぽたと浅蜊を提げて行きにけり
夏近し蕎麦切るやうに防潮堤
花はをんなをとこは蝶と云ふ提喩
春昼や課長風呂敷包み提げ
草もちを引つ提げてゆく帝釈天
提よりがらんがらんと春の月
提供はブラック企業鳥雲に
提灯の春夕焼にひろがりぬ
提督の鼻ひらきたる磯開
土筆野を両手に提げて戻りけり
夕映えの堤に遊ぶ彼岸過

【当季雑詠】
いそぎんちやくゆらゆら淡き日を啜る
たんぽぽの絮吹くことを全員で
ファラリスの雄牛の中の花盛り
ももいろのクレヨンで描く仏生会
ろけっとの煤煙混じる穀雨かな
花散る雨残業代が出ない会社
菓子折りをふくさに包み彼岸かな
漢方効きぬ夜蛙に目を借られ
熊穴を出づれば香車(やり)に追はれたる
春雷に慄いてゐるムックかな
水揚げの鋏を入るる受難節
晩節やゆふべの酔ひの八重桜
腕長くながく使ひて潮干狩

(以上)

11句選(特選、逆選なし)
選句締切:4月17日(水)24時(JST)
投稿先:恒信風句会
http://koshinfu.blogspot.com/

題に関わらず全体から11句選にてお願い致します。
整理の都合上、句の順番はそのままにして下さい。
投句一覧へのコメントとして、投稿して下さい。その際、名前/URLというのを選択して、俳号もしくはご本名を入力して下さい。URLは入れなくてよいです。
なお、右側にあった「最近のコメント」という欄は、ガジェットが壊れたらしく現在使えません。

ではよろしくお願い致します。

11 件のコメント:

  1. 〇チューリップ素頓狂な声を出す
    チューリップが驚いています。

    〇頓知話しろつめくさに寝転がり
    父子だと思います。

    〇頓服の袋残りぬ春炬燵
    熱、下がりましたか?

    〇花は葉に改札を打つ社員証
    「打つ」がいいですね。

    〇学生証の顔が怖くて半仙戯
    免許証も怖いです。

    〇春昼や課長風呂敷包み提げ
    お弁当の時間。愛妻弁当?

    〇提督の鼻ひらきたる磯開
    提督が面白い。春の香りをいっぱいに吸い込んで。

    〇たんぽぽの絮吹くことを全員で
    せーのーっ、ふ~。

    露結

    〇ももいろのクレヨンで描く仏生会
    ももクロならぬももクレ。

    〇花散る雨残業代が出ない会社
    案外そういう会社の方が多いのかも。

    〇腕長くながく使ひて潮干狩
    アニメ、ワンピースのルフィの手。

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  2. ★葉桜や工程表は頓挫して
    そういうものです。臨機応変に対応ください。

    ★風船の確証持てぬ硬さかな
    風船の硬さってなかなか詠えないかも。

    ★免許証更新に行く彼岸前
    彼岸前がなぜかそこはかとなく可笑しい。

    ★しやぼん玉見送る観世音菩薩
    菩薩様の慈愛の眼。

    ★菩提樹の下に新入生集ふ
    なにやら真面目な集団。

    ★春昼や課長風呂敷包み提げ
    クレーム対応だろうか。こういうときは重たい銘菓がいいのです。

    ★提よりがらんがらんと春の月
    このオノマトペ気に入っちゃったな。

    ★いそぎんちやくゆらゆら淡き日を啜る
    淡き日を啜るって・・・このやり過ぎ感がちょっとイイかも。

    ★たんぽぽの絮吹くことを全員で
    こういうことも全員でやると楽しかったりするのかな。

    ★ももいろのクレヨンで描く仏生会
    他の色は使わないということだろうか。ももいろ、可笑しい。

    ★晩節やゆふべの酔ひの八重桜
    八重桜のぼってり感が晩節なのだろう。

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  3. ○チューリップ素頓狂な声を出す
    あの口ならば、当然かとも。

    ○頓知話しろつめくさに寝転がり
    幸運の四葉を背に敷いて。

    ○かいやぐら身分証明証がない
    無い物の前で無いのは当たり前ですが。

    ○学生証の顔が怖くて半仙戯
    余計に怖いわ。不信尋問必至。

    ○心ある証人前へヒヤシンス
    心ある証人とは、検察側の証人のこと。ヒヤシンスが効いてます。

    ○風船の確証持てぬ硬さかな
    ひょっとしたら、コンちゃん?

    ○しやぼん玉見送る観世音菩薩
    しゃぼん玉は、観音の貌を無数に乗せて。

    ○春深し弥勒菩薩の水の笑み
    水の笑みが、弥勒菩薩をよく表している。

    ○菩提寺を持たぬ暮しや鳥雲に
    世の中だんだんとそうなるのでしょうね。

    ○夏近し蕎麦切るやうに防潮堤
    蕎麦切るやうにが、上手い措辞。

    ○ももいろのクレヨンで描く仏生会
    幼稚園のはなまつりのイメージですね。仏生会がいい。

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  4. ☆チューリップ素頓狂な声を出す
    なぜか赤黄斑なチューリップが浮かびました。

    ☆頓服の袋残りぬ春炬燵
    若々しさから限りなく遠いところがよろしいです。

    ☆学生証の顔が怖くて半仙戯
    あります、あります。

    ☆心ある証人前へヒヤシンス
    心ある…ヒヤシンスの語感が効いています。

    ☆しやぼん玉見送る観世音菩薩
    ♪しゃぼん玉とんだ、と思うと哀しいですね。

    ☆菩提寺を持たぬ暮しや鳥雲に
    お墓参りに縁なき暮らし。それが普通になったてきました。

    ☆ぽたぽたと浅蜊を提げて行きにけり
    潮干狩りのおしまいでしょうか。

    ☆提よりがらんがらんと春の月
    満月ですかね。大きな月が昇ってくる。

    ☆土筆野を両手に提げて戻りけり
    土筆だけではなく土の匂いも一緒に持ち帰ったのですね。

    ☆ももいろのクレヨンで描く仏生会
    花祭はやはり子供のものです。

    ☆晩節やゆふべの酔ひの八重桜
    中八が酔ひの残りや八重桜の重たさでもあるような。

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  5. ●頓知話しろつめくさに寝転がり
     クローバーに耳を傾けどんな話?

    ●頓服をくだして海女の咽冷ゆ
     薬が喉を通る音が聞こえそう。

    ●黒板の証明こぼれ菜種梅雨
     「証明こぼれ」がいい。私もこぼれてばかりでした。

    ●ぽたぽたと浅蜊を提げて行きにけり
     今とったばかりの大量の浅蜊。

    ●提よりがらんがらんと春の月
     音を立てて大きな月が。

    ●提供はブラック企業鳥雲に
     「提供はブラック企業でした」とアナウンサーの声。

    ●提督の鼻ひらきたる磯開
     今年の磯開は提督がテープカット。

    ●いそぎんちやくゆらゆら淡き日を啜る
     「日を啜る」が素晴らしい。

    ●たんぽぽの絮吹くことを全員で
     集合写真の一シーン。

    ●ファラリスの雄牛の中の花盛り
     怖ろしい!

    ●腕長くながく使ひて潮干狩
     前へ前へ長く長く。

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  6. ○頓知話しろつめくさに寝転がり
    「あー、もう、わかんない!」と言って寝転がる姿。

    ○入学のひとり素つ頓狂な顔
    いったいどんな顔をしているのやら。緊張してる?

    ○花は葉に改札を打つ社員証
    改札は「打つ」ものになった。ひとつの発見。

    ○田楽の焦げ証紙とも割印とも
    「証」から田楽へたどり着いた発想力に。

    ○斑鳩の里の菩薩や暮かぬる
    「斑鳩」でやられた感あり。

    ○ぽたぽたと浅蜊を提げて行きにけり
    汐干狩の帰りでしょうか。

    ○提よりがらんがらんと春の月
    月が「がらんがらん」とは、なかなか出てこない表現。

    ○いそぎんちやくゆらゆら淡き日を啜る
    擬人化が過ぎる感もありますが、「啜る」という発想に。

    ○ももいろのクレヨンで描く仏生会
    仏教系の幼稚園でしょうか。ももいろの優しさがいいです。

    ○水揚げの鋏を入るる受難節
    切り口と鋏の鋭さが、受難節と細く繋がっています。

    ○腕長くながく使ひて潮干狩
    腕を伸ばしている姿が見えてきます。

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  7. はじめて参加させていただきます。よろしくお願いします。

    ○頓知話しろつめくさに寝転がり
     取り合わせが的確で、のどかな空気が全体に満ちています。

    ○頓服の袋残りぬ春炬燵
     暖かさに包まれた寂しさを感じます。

    ○花見客途絶え菩薩の頭かな
     落語の頭山を思い出しました。菩薩の頭と言われると殺風景な感じがなぜかするのですね。

    ○ぽたぽたと浅蜊を提げて行きにけり
     潮干狩りの後なんでしょうか。道に海水のしずくがぽたぽた落ちていく風景が絵になります。

    ○夏近し蕎麦切るやうに防潮堤
     蕎麦のみずみずしさが夏の質感を高めています。

    ○春昼や課長風呂敷包み提げ
     新聞四コマのようなほのぼのした課長のキャラクターを感じます。

    ○提よりがらんがらんと春の月
     月が金属の玉のようです。鈴を鳴らしているような楽しさと美しさがあります。

    ○いそぎんちやくゆらゆら淡き日を啜る
     いそぎんちゃくで「啜る」ってぴったりした表現だと思いました。

    ○ファラリスの雄牛の中の花盛り
     実際の光景を想像するも、その想像の内容を変換してしまう妙があります。

    ○ももいろのクレヨンで描く仏生会
     子どもの視点と読みました。子どもにとってのイベントと、大人にとってのイベントの意義がせめぎ合っている感じがします。

    ○水揚げの鋏を入るる受難節
     この水揚げは花の茎を切ることだと思います。花と書かれていないのに花の存在感がすごく強いのは受難節という一語の効果につきます。

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  8. ○天皇の役は喜頓百千鳥
    相似形シリーズ。昭和天皇。百千鳥がお二方の雰囲気に合ってます。

    ○頓首再拝さくらしべふる、とルビ
    理解不能ですが、凝りに凝った句だなあ、と。「、」にも意味があるらしい。

    ○頓服をくだして海女の咽冷ゆ
    咽が主語になっているところがよいです。

    ○花は葉に改札を打つ社員証
    ありそう。

    ○仕舞はれて卒業証書まつ暗に
    なりきり俳句。

    ○春雨や菩薩の胎に書簡あり
    ありそうですね、そういうの。季語しっとり。

    ○菩提寺を持たぬ暮しや鳥雲に
    今はそういう方が主流でしょうね。

    ○提供はブラック企業鳥雲に
    あはは。叩けば全部でしょ。「鳥雲に」の抜けようもなかなか。

    ○提督の鼻ひらきたる磯開
    ねらいすぎだけど面白いです。

    ○いそぎんちやくゆらゆら淡き日を啜る
    ほれぼれ、うまいです。

    ○腕長くながく使ひて潮干狩
    しゃがみこんだら、腕を伸ばして伸ばして。

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  9. ○チューリップ素頓狂な声を出す
    幼児の声が聞こえる。チューリップの原色の花に負けない、声。

    ○花は葉に改札を打つ社員証
    「改札を打つ」と季語の響きあいが快い。

    ○仕舞はれて卒業証書まつ暗に
    卒業証書というものへの、いわく言い難い思いが掬い取れます。

    ○心ある証人前へヒヤシンス
    ヒヤシンスが効いている。

    ○風船の確証持てぬ硬さかな
    硬いとはいいきれない、もやもやした感触がよくわかる。

    ○しやぼん玉見送る観世音菩薩
    このしゃぼん玉は生死の境を飛んでゆくのだろうか。

    ○菩提樹の下に新入生集ふ
    心温かくなる佳句ですね。

    ○ぽたぽたと浅蜊を提げて行きにけり
    潮干狩りの帰り道の姿だろうか。楽しい一日が想像される。

    ○土筆野を両手に提げて戻りけり
    春の匂をまとって。気持ちよい句。

    ○いそぎんちやくゆらゆら淡き日を啜る
    全体的に揺れている感覚が現れていて、それがまた
    春の日を感じさせてくれる。

    ○ももいろのクレヨンで描く仏生会
    対象の描き方と全体のバランスがよい。

    返信削除
  10. ○葉桜や工程表は頓挫して
    葉桜の勢いに圧倒されて・・・。

    ○仕舞はれて卒業証書まつ暗に
    着眼点が佳いです。

    ○しやぼん玉見送る観世音菩薩
    慈愛の微笑み。

    ○春深し弥勒菩薩の水の笑み
    水の笑みが素敵です。

    ○春昼や課長風呂敷包み提げ
    これは課長でなくては!ですね。

    ○菩提樹の下に新入生集ふ
    初々しさがいいですね。

    ○土筆野を両手に提げて戻りけり
    土筆野ごとにやられました。

    ○夕映えの堤に遊ぶ彼岸過
    懐かしいあたたかさ。

    ○いそぎんちやくゆらゆら淡き日を啜る
    啜るまで言えるところがすごい。

    ○晩節やゆふべの酔ひの八重桜
    八重桜のぼってり感が合いますね。

    ○腕長くながく使ひて潮干狩
    テリトリーを広げてゆく感じがわかります。w

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  11. 遅くなりましてすみません。

    ○頓服の袋残りぬ春炬燵
     その薬を飲んでいたであろう人の安否が気になります。

    ○葉桜や工程表は頓挫して
     工程表という言葉もずいぶん一般的になったものです。

    ○麗かや整理整頓できぬ一家
     字余りにしてまでも「一家」というあたりにリアリティがあります。

    ○しやぼん玉見送る観世音菩薩
     慈悲を感じます。

    ○花盛りの恒信風に蓮菩ありき
     蓮菩さんの句はこちらで読むことができます。
    http://www.koshinfu.com/sakusyabetu.html#10
     
    ○春深し弥勒菩薩の水の笑み
     「水の笑み」がよいです。

    ○草もちを引つ提げてゆく帝釈天
     「男はつらいよ」シリーズでしょうか。

    ○いそぎんちやくゆらゆら淡き日を啜る
     「啜る」まで言ったところが眼目だと思います。
     
    ○ももいろのクレヨンで描く仏生会
     平仮名表記の「ももいろ」がじつによいです。

    ○水揚げの鋏を入るる受難節
     ゆるぎない句だと感じます。

    ○腕長くながく使ひて潮干狩
     「長くながく」がいいですね。どう長いのかを説明しようとしていないので、広がりがあります。

    (以上)

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