2013年4月28日日曜日

上球物語句会・投句一覧

 お待たせしました。

【上】
メーデーの列のしんがり上の空
空つぽの箱かぎろへる上野駅
就中上海の水温みをり
春禽や上流の光つてゐたり
春風がスキップを踏む波の上
上からも下からもくる春愁
上ばかり飾られてをり花御堂
上巻にエピローグなし月日貝
上履きに履き替へてより余花の雨
猫の恋金のしゃちほこ屋根の上

【球】
まくなぎがところどころに野球場
円よりも球こそ夏の初めかな
球場にだらけてゐたる鯉のぼり
球状の化石に触れてあたたかし
行く春や球審の声高々と
春風や地球の長き影揺れて
小手毬の花を揺らすも球技かな
虹の中琉球グラスの泡うかぶ
苗札に地球と書いてありにけり
朧夜の市営球場灯りゐる

【物】
つばくらめ醸造技術にも物議
花大根裏で出し物準備する
混沌と物理の板書春深む
山笑ふ洗濯物の堆く
静物画に黒点ひとつ蝿うまる
物の怪の駆けづりまはる春の風
物証が無くて桜餅の匂ひ
物欲を捨つるごとくに鳥雲に
囀りや売物件のビラ剥がれ
蚯蚓鳴くいいじゃないかな無一物

【語】
カタコトの英語で話す遅日かな
ビール飲む父より和製英語かな
メーデーに語られてゐる伝説よ
ラテン語を掲げる校舎鳥曇
雁風呂や炊くよりまづは語るべし
決めうちの語彙決めうちの卯波かな
語尾上げて話す駅長山笑ふ
春風とともにアイヌ語圏に入る
大喜利の扇おおぶり江戸落語
猫語にも日本語のあり猫の恋

【当季雑詠】
ビターチョコレート寄居虫が見る夢
レシートの貯まる財布や鳥雲に
海女の顔思はぬ方に出てきたり
牛乳で飲むみどりの日の胃薬
五徳てふ呼び名ふくふくあたたかし
青大将ウェットスーツに見をかため
頂きに雲の溶け行く暮春かな
陳さんのいちもつ揺るる春の風
鳶職のさつと足場を夏はじめ
這ひ這ひを競ふ赤子や花は葉に
緋の躑躅S字カーブへ差しかかる
泡盛の月もおぼろの竜宮城
羊から躑躅に至る奇譚かな
来賓の祝辞に代へて田螺鳴く

(以上)

10句選(特選、逆選なし)
選句締切:4月30日(火)24時(JST)
投稿先:恒信風句会
http://koshinfu.blogspot.com/

題に関わらず全体から10句選にてお願い致します。
整理の都合上、句の順番はそのままにして下さい。
投句一覧へのコメントとして、投稿して下さい。その際、名前/URLというのを選択して、俳号もしくはご本名を入力して下さい。URLは入れなくてよいです。
なお、右側にあった「最近のコメント」という欄は、ガジェットが壊れたらしく現在使えません。

ではよろしくお願い致します。

10 件のコメント:

  1. ●空つぽの箱かぎろへる上野駅
    上野駅という空っぽの箱?いつも込み合う駅なのに陽炎の所為?

    ●上巻にエピローグなし月日貝
    月日貝が何だか可笑しい。

    ●まくなぎがところどころに野球場
    たしかに見たことがあるような景色。少し不思議な感じも。

    ●小手毬の花を揺らすも球技かな
    ははは。ま、そうですが。

    ●つばくらめ醸造技術にも物議
    酒蔵とかの軒にはツバメの巣がよくある。

    ●物証が無くて桜餅の匂ひ
    ほのぼのとした事件。

    ●雁風呂や炊くよりまづは語るべし
    手短にお願いします。

    ●春風とともにアイヌ語圏に入る
    アイヌ語圏のロマン。

    ●陳さんのいちもつ揺るる春の風
    露天風呂でしょうか。それとも。

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  2. ★上からも下からもくる春愁
     右からも左からも勿論来ます。

    ★上ばかり飾られてをり花御堂
     言われてみればそんな気も。

    ★球場にだらけてゐたる鯉のぼり
     広島?

    ★行く春や球審の声高々と
     草野球の大会だと、球審の声、スタンドの端まで響きます。

    ★混沌と物理の板書春深む
     訳解らなかったな。

    ★物証が無くて桜餅の匂ひ
     ここはやっぱり桜餅。

    ★囀りや売物件のビラ剥がれ
     囀りがなかなか。

    ★カタコトの英語で話す遅日かな
     カタコトでも偉い。

    ★海女の顔思はぬ方に出てきたり
     いいなぁこの句。あらぬ方から「ぷはっ」ってな感じ。

    ★頂きに雲の溶け行く暮春かな
     暮春らしさ横溢。

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  3. ○空つぽの箱かぎろへる上野駅
    上野駅の始発前の電車を空っぽの箱と見立てた。

    ○上からも下からもくる春愁
    頭脳で悩み、自然現象で悩み。

    ○花大根裏で出し物準備する
    大根役者か?

    ○物証が無くて桜餅の匂ひ
    まだ温かい。吉良はどこだ。

    ○物欲を捨つるごとくに鳥雲に
    人間物欲を捨てたら、楽になれまっせ。

    ○語尾上げて話す駅長山笑ふ
    映画の一シーンか。

    ○レシートの貯まる財布や鳥雲に
    そしてまとめて捨てる。

    ○海女の顔思はぬ方に出てきたり
    海女にも息が苦しいときがあるということ。

    ○鳶職のさつと足場を夏はじめ
    年度始めの仕事場らしく。

    ○羊から躑躅に至る奇譚かな
    ひつじしつじさつじんつつじ。

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  4. ○上からも下からもくる春愁
    こんな激しい春愁もあるのですね。

    ○上巻にエピローグなし月日貝
    あったらおかしいです。季語がめずらしいです。

    ○まくなぎがところどころに野球場
    そんな雰囲気ありますね。広さが感じられます。

    ○球状の化石に触れてあたたかし
    球場の化石って良いですね。パワーを感じそう。

    ○苗札に地球と書いてありにけり
    何の品種でしょう。気になります。

    ○花大根裏で出し物準備する
    もたもたしている感じが伝わりほのぼのします。

    ○物証が無くて桜餅の匂ひ
    何でも付きそうだけどやっぱり桜餅が良いと思います。

    ○カタコトの英語で話す遅日かな
    たどたどしさと遅日。

    ○鳶職のさつと足場を夏はじめ
    爽やかですね。粋ですね。

    ○羊から躑躅に至る奇譚かな
    村上春樹っぽい?

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  5. ○上からも下からもくる春愁
    春愁に方向性があるとは。油断なりません。

    ○円よりも球こそ夏の初めかな
    「夏の高校野球」というフレーズが浮かびました。

    ○球場にだらけてゐたる鯉のぼり
    こどもの日の試合にありそうな景。

    ○春風や地球の長き影揺れて
    そういえば、地球の影ってどこまで伸びるんでしょうね。

    ○混沌と物理の板書春深む
    黒板を見ているだけで眠くなりそう。

    ○ラテン語を掲げる校舎鳥曇
    標語でしょうか。視点の移動が自然。

    ○語尾上げて話す駅長山笑ふ
    実際にいたらイラっとするかもしれない(笑)

    ○海女の顔思はぬ方に出てきたり
    いかにもありそうな驚き。いい写生だと思います。

    ○這ひ這ひを競ふ赤子や花は葉に
    微笑ましいです。季語が効いています。

    ○羊から躑躅に至る奇譚かな
    どこから羊が出てきたのやら。まさに奇譚。

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  6. ○上からも下からもくる春愁
     前からも後ろからも来ます。

    ○上巻にエピローグなし月日貝
     これは寺澤一雄さんのいうところの三橋敏雄流「馬鹿俳句」の作り方ですね。

    ○球場にだらけてゐたる鯉のぼり
     ううむ、試合もだらけているような。

    ○春風や地球の長き影揺れて
     「の」が独特。地表に風で揺れて映るなにかの影を「地球のものだ」と把握し詠んでいるとも取れますが、「長き」により、例えば月に映る地球そのものの影のようにも思われ、写実を超えてのっぴきならない句となっているようです。

    ○苗札に地球と書いてありにけり
     これ、すごい可笑しい。そりゃそうだ、というか。

    ○混沌と物理の板書春深む
     「春深む」、いいですね。新学期はや授業について行けなくなった感横溢。

    ○物証が無くて桜餅の匂ひ
     カツオの仕業ですね。

    ○ビール飲む父より和製英語かな
     そういえば、いつからテレビで「ナイト・ゲーム」などと言うようになったのでしょう。
     
    ○ラテン語を掲げる校舎鳥曇
     玉川上水沿いにありましたね。「鳥曇」の微妙な屈託がよいです。
     
    ○海女の顔思はぬ方に出てきたり
     カイツブリかなにかのようです。

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  7. ○上ばかり飾られてをり花御堂
    実景が見える。上ばかり、がいい。

    ○球場にだらけてゐたる鯉のぼり
    大きなからだをだるーんと。大きなからだを
    通る風が気持ちよさそうな、連続した休日のひとこま。

    ○虹の中琉球グラスの泡うかぶ
    綺麗。あの透明な美しさはそんな感じがします。

    ○苗札に地球と書いてありにけり
    ありそう~ このぶっきらぼうな詠み方も苗札という
    季語と相まってグー。

    ○混沌と物理の板書春深む
    ガリレオ先生が展開する式は、世界の真理を
    述べているのでしょうか。

    ○山笑ふ洗濯物の堆く
    よく乾いていてきもちよさそう。

    ○ビール飲む父より和製英語かな
    赤い顔でおやじギャグも混じりながら。
    泡がふっくらとおいしそうなビール。

    ○ラテン語を掲げる校舎鳥曇
    ああ、ギムジナウム。ああ、トーマの心臓!

    ○海女の顔思はぬ方に出てきたり
    「あまちゃん」大ファンということもありますが、
    写生があって表現もさりげなく句姿がすてきです。

    ○鳶職のさつと足場を夏はじめ
    さつと足湯が粋というか、恥じらいがあるっていうか。
    実際にこうゆうの見たら惚れるな~

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  8. ●小手毬の花を揺らすも球技かな
     どんな球技でしょうか。蹴鞠?

    ●苗札に地球と書いてありにけり
     実際に見るところを想像すると可笑しい。

    ●混沌と物理の板書春深む
     誰も居ない物理教室に春の盛りが過ぎようとする佇まい。

    ●静物画に黒点ひとつ蝿うまる
     蝿生るは死語になったと思っていましたが。

    ●語尾上げて話す駅長山笑ふ
     どこの訛りなのか、山笑ふが効いている。

    ●海女の顔思はぬ方に出てきたり
     リアルです。

    ●五徳てふ呼び名ふくふくあたたかし
     温かが付き過ぎの感があるが、五徳の語感が気持ちいい。

    ●緋の躑躅S字カーブへ差しかかる
     猛スピードで見る躑躅は緋色が鮮やかに。

    ●羊から躑躅に至る奇譚かな
     どんな物語なのか興味が湧きます。

    ●来賓の祝辞に代へて田螺鳴く
     奇抜な季語、奇抜な祝辞、奇抜な来賓?

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  9. ○空つぽの箱かぎろへる上野駅
    上野駅がなにげに効いているなぁ。

    ○上からも下からもくる春愁
    春愁ってこんな感じ。

    ○球場にだらけてゐたる鯉のぼり
    あるある感のある景です。w

    ○苗札に地球と書いてありにけり
    スケールの大きさ。

    ○物証が無くて桜餅の匂ひ
    思わず笑ってしまいました。

    ○カタコトの英語で話す遅日かな
    苦心惨憺もまた良きかな。

    ○ラテン語を掲げる校舎鳥曇
    伝統ある校舎の佇まい。

    ○レシートの貯まる財布や鳥雲に
    知らぬ間に貯まってしまうんですよね。

    ○緋の躑躅S字カーブへ差しかかる
    緋の色が鮮やかです。

    ○来賓の祝辞に代へて田螺鳴く
    なんとなく可笑しい。

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  10. 空つぽの箱かぎろへる上野駅
     空っぽの箱には、旅のロマンがつまっている。

    まくなぎがところどころに野球場
     蛇も草野球をたのしんでいる。

    球場にだらけてゐたる鯉のぼり
     勝負は、もうついている。 

    春風や地球の長き影揺れて
     春風に地球がつつまれている。

    苗札に地球と書いてありにけり
     豊かな実りがありそうだ。

    囀りや売物件のビラ剥がれ
     もう、小鳥の棲家で売約済。

    ビール飲む父より和製英語かな
     絶好調な父のおしゃべり。 

    語尾上げて話す駅長山笑ふ
     活気のある、ローカル線の駅長さん。

    猫語にも日本語のあり猫の恋
     猫語で、日本語もゆたかになる。

    レシートの貯まる財布や鳥雲に
     レシートばかりの、からっぽの財布がおかしい。

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