2013年5月1日水曜日

上球物語句会・作者発表

お待たせしました。

上からも下からもくる春愁      露結    朝海由独四亜
朧夜の市営球場灯りゐる       露結  
囀りや売物件のビラ剥がれ      露結    朝た
猫語にも日本語のあり猫の恋     露結    た
レシートの貯まる財布や鳥雲に    露結    海亜た

春風がスキップを踏む波の上     直子  
春風や地球の長き影揺れて      直子    独四た
物の怪の駆けづりまはる春の風    直子  
春風とともにアイヌ語圏に入る    直子    露
陳さんのいちもつ揺るる春の風    直子    露

春禽や上流の光つてゐたり      あんこ  
球状の化石に触れてあたたかし    あんこ   由
花大根裏で出し物準備する      あんこ   海由
メーデーに語られてゐる伝説よ    あんこ  
緋の躑躅S字カーブへ差しかかる   あんこ   直亜

上巻にエピローグなし月日貝     海太    露由四
小手毬の花を揺らすも球技かな    海太    露直
山笑ふ洗濯物の堆く         海太    あ
雁風呂や炊くよりまづは語るべし   海太    露
来賓の祝辞に代へて田螺鳴く     海太    直亜

メーデーの列のしんがり上の空    朝比古  
まくなぎがところどころに野球場   朝比古   露由た
物欲を捨つるごとくに鳥雲に     朝比古   海
ビール飲む父より和製英語かな    朝比古   四あた
鳶職のさつと足場を夏はじめ     朝比古   海由あ

空つぽの箱かぎろへる上野駅     独楽    露海亜た
苗札に地球と書いてありにけり    独楽    由四あ直亜た
物証が無くて桜餅の匂ひ       独楽    露朝海由四亜
カタコトの英語で話す遅日かな    独楽    朝由亜
ビターチョコレート寄居虫が見る夢  独楽  
牛乳で飲むみどりの日の胃薬     独楽  

猫の恋金のしゃちほこ屋根の上    たろう  
虹の中琉球グラスの泡うかぶ     たろう   あ
蚯蚓鳴くいいじゃないかな無一物   たろう  
大喜利の扇おおぶり江戸落語     たろう  
青大将ウェットスーツに見をかため  たろう  
泡盛の月もおぼろの竜宮城      たろう  

上履きに履き替へてより余花の雨   亜紀  
行く春や球審の声高々と       亜紀    朝
静物画に黒点ひとつ蝿うまる     亜紀    直
語尾上げて話す駅長山笑ふ      亜紀    海独直た
這ひ這ひを競ふ赤子や花は葉に    亜紀    独
五徳てふ呼び名ふくふくあたたかし  亜紀    直
頂きに雲の溶け行く暮春かな     亜紀    朝

上ばかり飾られてをり花御堂     由季    朝あ
球場にだらけてゐたる鯉のぼり    由季    朝独四あ亜た
混沌と物理の板書春深む       由季    朝独四あ直
ラテン語を掲げる校舎鳥曇      由季    独四あ亜
海女の顔思はぬ方に出てきたり    由季    朝海独四あ直

就中上海の水温みをり        四童  
円よりも球こそ夏の初めかな     四童    独
つばくらめ醸造技術にも物議     四童    露
決めうちの語彙決めうちの卯波かな  四童  
羊から躑躅に至る奇譚かな      四童    海由独直

以上。(集計:不孤)

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