2013年5月26日日曜日

脳内美人句会・投句一覧

お待たせしました。

【脳】
さみだれも紫陽花もみな脳の中
黒南風や電子頭脳の蠢いて
左脳から右脳へ移る暑さかな
切なくて脳裏に残るさくらんぼ
打ち水を終へて大脳辺縁系
脳天に音なく毛虫降る日かな
脳天に夕陽を溜めて山椒魚
脳内を馬駆けてゆく青葉風
目に見える脳の形を蟻地獄
蝙蝠を見てゐて脳の休まらず

【内】
まくなぎの内に届きし光かな
蚊帳の内覗けば少しあの世めき
閣内で異論の出たる水着かな
守宮居なくば内内に済む話
手の内に手応へありぬ濃紫陽花
内科ではどうにもならぬ水あたり
内股で歩く隣家の羽抜鳥
内側と外側のあるラムネ瓶
内側はふんばつてゐる燕の子

【美】
ふくふくと美人ぞろひの蚕豆よ
炎昼の底に古美術商しずか
汗臭ふ美少女戦士セーラムーン
月下美人夜に咲く花の寂しかり
滝音の美音となりて落ちにけり
端居して語る昔の美少年
梅雨闇や順番に脱ぐ美大生
美しき言葉飛び交ふ夏料理
美しき叔母の寝言や蚊遣香
美しき人妻とゐて遠花火
美も醜も一か所といふ目高かな
美術的価値ある冷し中華かな
美容師の指に摘ままれたる揚羽
風入の端に美顔器などありぬ

【人】
蛍火の無人といふにはしやぎすぎ
犬よりも人好きな犬ハナミヅキ
人形の館出づれば薔薇の雨
人工の海岸線に夜行虫
日盛の遠くの窓の人うごく
白南風に人語囁く梢かな
氷水人事部長の二枚舌
万緑や神様といふ人殺し
名人の涼しく駒を動かしぬ

【当季雑詠】
いつ見ても寝てゐる犬や青田風
ここはもう森の入り口蛇苺
ご褒美をいただく今朝の蓮の花
テーブルに置く鍵束や若葉冷え
マッチ擦る手に火傷する修司の忌
やはらかきもののすくなき夏料理
掬はれてやるかと打算的金魚
鉄路ゆく鉄の車輪や麦の秋
豆御飯課長のカツラ疑惑など
歩くより遅く走りて夜の新樹
友去りし椅子に背もたれソーダ水
旅つづく梅干の肉崩しては
冷房の深くなりたる廊下かな

(以上)

10句選(特選、逆選なし)
選句締切:5月28日(火)24時(JST)
投稿先:恒信風句会
http://koshinfu.blogspot.com/

題に関わらず全体から10句選にてお願い致します。
整理の都合上、句の順番はそのままにして下さい。
投句一覧へのコメントとして、投稿して下さい。その際、名前/URLというのを選択して、俳号もしくはご本名を入力して下さい。URLは入れなくてよいです。
なお、右側にあった「最近のコメント」という欄は、ガジェットが壊れたらしく現在使えません。

ではよろしくお願い致します。

10 件のコメント:

  1. ★左脳から右脳へ移る暑さかな
     実から虚へといった感じだろうか。

    ★閣内で異論の出たる水着かな
     どんな異論がでたのか興味津々。露出度が高すぎたのかな。

    ★内股で歩く隣家の羽抜鳥
     羽抜鶏の世界でもオネエブームなのかも。

    ★端居して語る昔の美少年
     昔の美少年、結構プライド高い。

    ★美容師の指に摘ままれたる揚羽
     揚羽も本望かも。

    ★人工の海岸線に夜行虫
     アーバンな海岸線。表記は夜光虫の方がしっくりくるかな。

    ★テーブルに置く鍵束や若葉冷え
     上五・中七はやや常套だけれど、若葉冷、効いてる感あり。

    ★豆御飯課長のカツラ疑惑など
     こういう話題に豆御飯は相応しい。

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  2. 二句漏れておりました。

    ★旅つづく梅干の肉崩しては
     駅弁だろうか。美味しく良い旅を。

    ★冷房の深くなりたる廊下かな
     冷房が深いとは不思議な感覚。

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  3. 〇さみだれも紫陽花もみな脳の中
    世の中の出来事はみんな錯覚なのかもしれません。

    〇脳天に音なく毛虫降る日かな
    うわー。気持ち悪い。

    〇目に見える脳の形を蟻地獄
    「蟻地獄」が妙に効いてる。

    〇まくなぎの内に届きし光かな
    不思議な感触。

    〇閣内で異論の出たる水着かな
    よほどのナイスバディなのでしょう。

    〇梅雨闇や順番に脱ぐ美大生
    いいですねぇ。

    〇日盛の遠くの窓の人うごく
    このタダゴトは成功してると思います。

    〇ここはもう森の入り口蛇苺
    これから森へ入って行く不安感。

    〇豆御飯課長のカツラ疑惑など
    疑惑のある人はほぼ実際にかつらです。

    〇冷房の深くなりたる廊下かな
    どういう状況なのでしょう。廊下が少し不気味な雰囲気に。

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  4. ●左脳から右脳へ移る暑さかな
     こんな暑さ経験してみたい。

    ●切なくて脳裏に残るさくらんぼ
     サクランボを口に含んでいたあの娘。

    ●蝙蝠を見てゐて脳の休まらず
     音波に脳が攪乱されている。

    ●蚊帳の内覗けば少しあの世めき
     ちょっと暗い、だけど静まり返った雰囲気、少し分かります。

    ●美術的価値ある冷し中華かな
     「冷し中華」もついに季語になりました。

    ●人形の館出づれば薔薇の雨
     あまり関係ない、不思議な景。

    ●氷水人事部長の二枚舌
     氷水冷たい。人事部長冷たい。

    ●万緑や神様といふ人殺し
     神様が出て来ると何故か哲学的。

    ●掬はれてやるかと打算的金魚
     掬われた方が幸せなのに。

    ●旅つづく梅干の肉崩しては
     筋肉痛の所に貼ったりして。

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  5. ○さみだれも紫陽花もみな脳の中
    病人か作家か。

    ○左脳から右脳へ移る暑さかな
    これはもう本格的な暑さ。

    ○脳内を馬駆けてゆく青葉風
    第80代ダービー馬キズナ。

    ○内側と外側のあるラムネ瓶
    ラムネ瓶なればこその内外の措辞。

    ○人形の館出づれば薔薇の雨
    人形の影響が残っています。

    ○氷水人事部長の二枚舌
    いちごシロップで赤いのか、真っ赤な嘘なのか?

    ○ご褒美をいただく今朝の蓮の花
    ご褒美の褒め言葉をいただいたのか?

    ○テーブルに置く鍵束や若葉冷え
    鍵の無機質な音と冷え。

    ○旅つづく梅干の肉崩しては
    修行めいている旅なのか?

    ○冷房の深くなりたる廊下かな
    ここから始まる廊下ミステリー。

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  6. ○左脳から右脳へ移る暑さかな
    あ~づ~い~ 言葉のすべてに濁点がつきそうな
    暑さがリアルに感じられます。

    ○内側と外側のあるラムネ瓶
    そういわれると確かにそうかもしれない。
    ラムネ瓶がよく見える。

    ○ふくふくと美人ぞろひの蚕豆よ
    なんか楽しくなってきます。

    ○炎昼の底に古美術商しずか
    忘れられた時間の置物のよう。

    ○端居して語る昔の美少年
    こういう話題って楽しいですよね。端居がいい。

    ○美容師の指に摘ままれたる揚羽
    美しく少し怖い句。

    ○日盛の遠くの窓の人うごく
    足から上がってくる暑さを感じながら、視界だけが
    冴え冴えとしているようです。

    ○マッチ擦る手に火傷する修司の忌
    この世界観は、修司忌がぴったりですね。

    ○豆御飯課長のカツラ疑惑など
    豆御飯の配合が素晴らしい!

    ○歩くより遅く走りて夜の新樹
    夜の新樹が不思議に合っています。

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  7. ○さみだれも紫陽花もみな脳の中
    脳内吟行ですね~
    ○黒南風や電子頭脳の蠢いて
    黒と電子頭脳のメカニックが響きあう。

    ○脳天に夕陽を溜めて山椒魚
    山椒魚だから妙に説得力が。

    ○脳内を馬駆けてゆく青葉風
    気持ち良いですね。

    ○ふくふくと美人ぞろひの蚕豆よ
    美味しそう。

    ○風入の端に美顔器などありぬ
    TVショッピングで衝動買いしちゃったんでしょうか。w

    ○日盛の遠くの窓の人うごく
    切り取り方がお上手ですf。

    ○テーブルに置く鍵束や若葉冷え
    ドラマの導入部のようですね、じゃらりと音が聞こえます。

    ○旅つづく梅干の肉崩しては
    梅干しの元気をもらって。

    ○冷房の深くなりたる廊下かな
    しんと静かで冷やかな空間。

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  8. ○左脳から右脳へ移る暑さかな
    どちらに移っても暑いのです。

    ○まくなぎの内に届きし光かな
    まくなぎが不思議な存在に見えてきます。

    ○内側と外側のあるラムネ瓶
    なんだか深いですね。

    ○日盛の遠くの窓の人うごく
    映画などでそういうシーンがありそうです。

    ○テーブルに置く鍵束や若葉冷え
    鍵束のずっしりした質感と若葉冷えがいいです。

    ○掬はれてやるかと打算的金魚
    そんな金魚はいませんが可笑しい。

    ○歩くより遅く走りて夜の新樹
    そんな風に走るのはたいへんそう。季節は心地よいのですが。

    ○友去りし椅子に背もたれソーダ水
    こういう感じ、ありますね。

    ○旅つづく梅干の肉崩しては
    旅行にマイ梅干を持っていくタイプですか。

    ○冷房の深くなりたる廊下かな
    この「深く」はなかなか言えないと思います。

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  9. ○黒南風や電子頭脳の蠢いて
    昔のSFに出てきそう。黒南風の暗さがいい感じです。

    ○蚊帳の内覗けば少しあの世めき
    聖域のように区切られた空間。

    ○守宮居なくば内内に済む話
    守宮がいたことで大事になってしまったという、不思議な話。

    ○端居して語る昔の美少年
    「わしだって、若い頃は……」と始まりそう。

    ○梅雨闇や順番に脱ぐ美大生
    デッサンの実習でしょうか。梅雨闇が怪しげな雰囲気。

    ○美も醜も一か所といふ目高かな
    上五中七も深いものがありますが、この流れで目高はなかなか出ません。お見事。

    ○人形の館出づれば薔薇の雨
    「薔薇の雨」がきれいです。人形と薔薇は見方によってはつき過ぎ?

    ○万緑や神様といふ人殺し
    人の寿命を決めるのが神様なら、たしかに人殺しかも。万緑が面白いです。

    ○いつ見ても寝てゐる犬や青田風
    いますね、こういう犬。青田風がのんびりとしています。

    ○マッチ擦る手に火傷する修司の忌
    忌日俳句は難しいものですが、「火傷」で頂きました。

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  10.  遅くなりすみません。

    ○黒南風や電子頭脳の蠢いて
     電子頭脳が「蠢く」という語感がすごいです。「黒南風」がなんとも邪悪。
     
    ○左脳から右脳へ移る暑さかな
     理性では処理しきれない領域に達しつつある暑さかな。
     
    ○脳天に音なく毛虫降る日かな
     え~ん、気持ち悪いよう。
     
    ○目に見える脳の形を蟻地獄
     虫としての蟻地獄も巣としての蟻地獄も実際のところ決して脳の形ではないはずだが、このように俳句として書かれることによって、とんでもないものがせり上がってくる。

    ○蝙蝠を見てゐて脳の休まらず
     題といえば題なのだが、「脳の休まらず」はすごい措辞だと思う。
     
    ○内側と外側のあるラムネ瓶
     確かに。あれほど内側と外側を感じさせる瓶は、あまりないかも知れません。

    ○月下美人夜に咲く花の寂しかり
     上五を丸ごと替えた方が面白いかも知れません。
     
    ○風入の端に美顔器などありぬ
     「風入」って知りませんでした。虫干しのことなのですね。美顔器、ありそうです。
     
    ○人工の海岸線に夜行虫
     「夜光虫」で頂きます。景の捉え方として類想はあるかも知れませんが、「工」「光」が響き合っていいと思います。

    ○日盛の遠くの窓の人うごく
     このなんだか音のない感じ、じつにいいです。

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