2013年5月5日日曜日

縮毛矯正句会・投句一覧

 お待たせしました。

【縮】
しめやかに蛞蝓の視野縮みゆく
口あけて伸びて縮んでつばめの子
縮んでは伸びて蚕の大喰ひ
縮緬の小切れ降るごと春暮るる
新聞の縮刷版や昭和の日
蝉出でて縮まつてゆく蝉の殻
旋回し伸び縮みする鉄線花
飛ぶ前に縮みしやうな天道虫
噴水の水伸び縮みして薄暮
離陸して島の縮んで行く暮春
流蛍の縮れラーメンとも違ふ
緑の夜インド音楽伸縮す

【毛】
たんぽぽの綿毛吹く人吹かぬ人
君が背を覆ふ原初の毛にてふてふ
若葉風眉毛広げて笑ひをり
昭和の日千円で売る毛語録
植毛を終へて我が世の夏来る
惜春の羽毛布団の匂ひかな
体内に毛細管や麦の秋
体毛のぐんぐん伸びるみどりの夜
昼寝覚毛は口ほどに物を言ひ
父の日の育毛剤の説明書
毛虫焼く炎の山河鼻毛ぬく
毛筆の叱り状来る暮春かな

【矯】
はつなつの矯正下着めり込めり
一枝を矯めつ眇めつ八重桜
永き日の猫背矯正ギブスかな
奇矯なる声あげてゐる鯉幟
矯めること膝閉じること黄のパンジー
矯正の歯並び美人豆の花
行く春の奇矯な教師号泣す
守宮の夜箸の持ち方矯正す
真つ直ぐに胡瓜を矯めて糠床に
登山靴より重たいぞ矯正靴
陶枕に矯正されてゐたりけり
葉桜が囲む矯正院跡地

【正】
夏帽の語る浮気の正当性
春送る正直者のうす笑ひ
正の字で数へて柏餅さばく
正確に言はねばならぬ種袋
正確に二つに割りし柏餅
正座して亀の鳴くのを聴いてをり
正直に言へば良いのに雨乞と
正門の八割閉ざし花は葉に
端正な富士の湖面や夏来る
麦の秋正しき道へ復帰せり
網戸から見ゆる正しき家族かな
俎板の正目まっすぐこいのぼり

【当季雑詠】
かの姫の振る手疲れし暮の春
こんな日は暖かそうな葱坊主
シミュレーション通りの会話別れ霜
ズボン脱ぐまでに至らず磯遊び
スマートボールじぐざくに春惜しむ
はつなつのピアノ母より来る文
花は葉にドミノ倒して行きにけり
薫風や国旗掲げしレストラン
黒蜜のやうな露天湯あめんばう
桜桃やキャバクラ嬢の名刺受く
昭和の日伝言版はそのままに
新樹風ブラックホールのやうに泣く
調書には蛇の衣だと言ふことに
壁は地に地は壁に生ゆ半仙戯

(以上)

12句選(特選、逆選なし)
選句締切:5月7日(火)24時(JST)
投稿先:恒信風句会
http://koshinfu.blogspot.com/

題に関わらず全体から12句選にてお願い致します。
整理の都合上、句の順番はそのままにして下さい。
投句一覧へのコメントとして、投稿して下さい。その際、名前/URLというのを選択して、俳号もしくはご本名を入力して下さい。URLは入れなくてよいです。
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ではよろしくお願い致します。

13 件のコメント:

  1. ○しめやかに蛞蝓の視野縮みゆく
     本当に蛞蝓に視野があるのかは知りませんが、「しめやかに」「視野」と並べたことによる子音の湿り具合が実によいですね。

    ○離陸して島の縮んで行く暮春
     「縮んで行く」という把握がよいですね。

    ○緑の夜インド音楽伸縮す
     そうか、インド音楽は伸縮するのかと認識をあらたにしました。

    ○君が背を覆ふ原初の毛にてふてふ
     和毛が渦を巻いているのでしょう。

    ○陶枕に矯正されてゐたりけり
     このとぼけた俳句的うそ、そうとう好きです。

    ○麦の秋正しき道へ復帰せり
     つい道草をしてしまったのですね。

    ○網戸から見ゆる正しき家族かな
     のぞき俳句ですね。ううむ。

    ○俎板の正目まっすぐこいのぼり
     これ、季語の斡旋がじつにおかしいですね。

    ○かの姫の振る手疲れし暮の春
     かの姫、お元気そうでなによりでした。

    ○ズボン脱ぐまでに至らず磯遊び
     作者、上品すぎ。ここはうそでもパンツでしょう。

    ○黒蜜のやうな露天湯あめんばう
     うげえ。そんな露天湯、やだ。

    ○壁は地に地は壁に生ゆ半仙戯
     半仙戯の視点の移動の感じが絶妙ですね。

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  2. ○しめやかに蛞蝓の視野縮みゆく
    さっき塩を振り掛けられました。

    ○離陸して島の縮んで行く暮春
    みるみるわれの小さくなり。

    ○登山靴より重たいぞ矯正靴
    扁平足か?

    ○陶枕に矯正されてゐたりけり
    夢多見症か?

    ○夏帽の語る浮気の正当性
    夏帽だけが知っている女との会話。

    ○正座して亀の鳴くのを聴いてをり
    亀は正座、田螺は胡座で聴く。

    ○端正な富士の湖面や夏来る
    世界遺産への道開ける。

    ○網戸から見ゆる正しき家族かな
    網戸はいつも清潔に。

    ○シミュレーション通りの会話別れ霜
    お互いに飽きがきたということです。

    ○ズボン脱ぐまでに至らず磯遊び
    所詮水遊び。火遊びにはなりませぬ。

    ○花は葉にドミノ倒して行きにけり
    まことに成り行きで。

    ○壁は地に地は壁に生ゆ半仙戯
    地は壁が不満ですけど。壁は地と半仙戯で。

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  3. 〇新聞の縮刷版や昭和の日
    まさに昭和の日ですなぁ。

    〇噴水の水伸び縮みして薄暮
    高くなったり低くなったりをこういうう言い方にするとは。

    〇緑の夜インド音楽伸縮す
    シタールの音色ですね。

    〇たんぽぽの綿毛吹く人吹かぬ人
    私は吹きません。

    〇植毛を終へて我が世の夏来る
    もうこれで海へ行ける。

    〇はつなつの矯正下着めり込めり
    女のかなしみ。

    〇矯正の歯並び美人豆の花
    矯正美人ではなく、矯正後美人。

    〇真つ直ぐに胡瓜を矯めて糠床に
    糠漬けなら曲がってた方がおいしそう。

    〇正確に言はねばならぬ種袋
    品種名は間違えないよう正確に。

    〇網戸から見ゆる正しき家族かな
    網戸の外から覗いてる人はきっと奥さんに逃げられたのでしょう。

    〇調書には蛇の衣だと言ふことに
    避妊具が落ちていたとか。

    〇壁は地に地は壁に生ゆ半仙戯
    面白い。視界が回る。

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  4. ○口あけて伸びて縮んでつばめの子
    動詞が3つ重なってうるさい感じもしますが、うまく「縮」を詠み込んでいます。

    ○緑の夜インド音楽伸縮す
    音楽が伸縮するという表現は思いつきませんでした。お見事。

    ○昭和の日千円で売る毛語録
    「毛語録」とは懐かしい。季語がずばりと決まっています。

    ○毛筆の叱り状来る暮春かな
    わざわざ毛筆でのお叱り。ありがたく受け取りたいものです。

    ○真つ直ぐに胡瓜を矯めて糠床に
    几帳面な感じがします。

    ○葉桜が囲む矯正院跡地
    歴史を感じさせます。季語の雰囲気がいいです。

    ○夏帽の語る浮気の正当性
    浮気に正当性も何もあったもんじゃない気がしますが(笑)

    ○春送る正直者のうす笑ひ
    何だか正直そうに見えないところが面白いです。

    ○こんな日は暖かそうな葱坊主
    晩春らしいたたずまいがいい感じです。

    ○シミュレーション通りの会話別れ霜
    季語がお寒い感じをうまく出しています。計画通り。

    ○薫風や国旗掲げしレストラン
    ありますね、こういうお店。風にたなびく国旗が誇らしげです。

    ○調書には蛇の衣だと言ふことに
    どんな事件があったのやら。想像していくと面白いです。

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  5. ○しめやかに蛞蝓の視野縮みゆく
    「視野」まで見通した眼力に脱帽。「しめやかに」もよいですね。

    ○蝉出でて縮まつてゆく蝉の殻
    これもなかなか。

    ○離陸して島の縮んで行く暮春
    みるみる小さくなって。島と春を惜しむ気分がありあり。

    ○君が背を覆ふ原初の毛にてふてふ
    甥っ子が生まれた時たてがみのようにふさふさしていたのを思い出しました。

    ○若葉風眉毛広げて笑ひをり
    太宰治X野田秀樹コラボドラマ「トカトントン」を思い出しました。

    ○昼寝覚毛は口ほどに物を言ひ
    ちょっとの昼寝でも寝癖はつくのです。女性の場合は頬の溝が…。

    ○毛筆の叱り状来る暮春かな
    ははあっと畏まってしまいます。

    ○矯正の歯並び美人豆の花
    実際可愛い人なのでしょう。

    ○陶枕に矯正されてゐたりけり
    寝返り打てないから背骨まっすぐ。

    ○端正な富士の湖面や夏来る
    良い意味での絵葉書俳句。

    ○シミュレーション通りの会話別れ霜
    つい「別れ霜」につられてしまいますが、やっぱり別れ話なんでしょうか。

    ○ズボン脱ぐまでに至らず磯遊び
    お尻が濡れなきゃOK。

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  6. ★しめやかに蛞蝓の視野縮みゆく
     しめやかに、面白い。

    ★新聞の縮刷版や昭和の日
     視線が俳人。

    ★噴水の水伸び縮みして薄暮
     中七のもってまわった言い振り、諧味あり。

    ★たんぽぽの綿毛吹く人吹かぬ人
     私は吹く人タイプです。

    ★体毛のぐんぐん伸びるみどりの夜
     バンパイア?

    ★真つ直ぐに胡瓜を矯めて糠床に
     曲がったままでも美味しいのは解っちゃいるけど。

    ★正の字で数へて柏餅さばく
     古きよき時代の和菓子店。

    ★正座して亀の鳴くのを聴いてをり
     由緒正しき聴き方。

    ★麦の秋正しき道へ復帰せり
     座五の大仰な言い振り。

    ★スマートボールじぐざくに春惜しむ
     スマートボール、懐かしいなぁ。ガラガラガラー。

    ★花は葉にドミノ倒して行きにけり
     衝動的に。やってみたい。

    ★昭和の日伝言版はそのままに
     これは白墨で書くタイプね。

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  7. ●蝉出でて縮まつてゆく蝉の殻
     そう言われればそのような……

    ●飛ぶ前に縮みしやうな天道虫
     これも、そう言われればそのようにも……

    ●緑の夜インド音楽伸縮す
     緑の夜が効いている。

    ●昭和の日千円で売る毛語録
     毛沢東も昭和も遠くなりました。

    ●毛筆の叱り状来る暮春かな
     本当に怒っている証拠? 何だか怖い。

    ●矯正の歯並び美人豆の花
     美人は歯からと言われました。

    ●葉桜が囲む矯正院跡地
     そうか、矯正院は桜の木に囲まれていたんですね。

    ●網戸から見ゆる正しき家族かな
     網戸を正しく張っている正しい家。

    ●シミュレーション通りの会話別れ霜
     何でもシュミレーション通りにいけば苦労はないけど。

    ●薫風や国旗掲げしレストラン
     国旗を掲げる店や家は少なくなりました。薫風が効いていると思います。

    ●黒蜜のやうな露天湯あめんばう
     「黒蜜のやうな」は正しい写生です。

    ●壁は地に地は壁に生ゆ半仙戯
     あまり揺らさないで。

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  8. ○しめやかに蛞蝓の視野縮みゆく
    塩かけられたんでしょうか。蛞蝓の気持ちになれるなんてすごい。

    ○旋回し伸び縮みする鉄線花
    つる植物の並外れたパワーを感じます。

    ○離陸して島の縮んで行く暮春
    島が縮むとは、上手いこと言ってます。

    ○緑の夜インド音楽伸縮す
    舞踊もイメージされますね。

    ○たんぽぽの綿毛吹く人吹かぬ人
    最近吹いていないです。

    ○矯正の歯並び美人豆の花
    もってまわった言い方ですが、豆の花がぴったり。

    ○真つ直ぐに胡瓜を矯めて糠床に
    自家製の曲がり胡瓜でしょうか。

    ○陶枕に矯正されてゐたりけり
    奇妙な感じがあり面白いです。

    ○正門の八割閉ざし花は葉に
    何故か中途半端に開いているときがあります。

    ○網戸から見ゆる正しき家族かな
    そう見えるだけかも。

    ○黒蜜のやうな露天湯あめんばう
    入るのに勇気が必要ですが、薬効ありそう。

    ○調書には蛇の衣だと言ふことに
    こういう感じのつくりごと、好きです。

    返信削除
  9. ○口あけて伸びて縮んでつばめの子
    つばめの子の姿や動きがよく見えます。

    ○噴水の水伸び縮みして薄暮
    景がよく見えます。

    ○離陸して島の縮んで行く暮春
    島の縮むという表現はなるほどです。

    ○葉桜が囲む矯正院跡地
    葉桜が効いていると思います。

    ○正の字で数へて柏餅さばく
    老舗のおいしい柏餅。

    ○正門の八割閉ざし花は葉に
    八割がいいですね。

    ○俎板の正目まっすぐこいのぼり
    大らかな鯉幟が見えてきますね。

    ○はつなつのピアノ母より来る文
    嬉しいことも切ないことも旋律にのせて。

    ○花は葉にドミノ倒して行きにけり
    季語とドミノがよくあっていて、倒れゆく様が
    加速を伴って見えてきます。

    ○薫風や国旗掲げしレストラン
    少しお洒落で特別な一日の御馳走。

    ○黒蜜のやうな露天湯あめんばう
    黒蜜に例えられて納得。

    ○調書には蛇の衣だと言ふことに
    ほんとは何なんだろう・・・・・・ 
    少しのブラックユーモアが快。

    返信削除
  10. ○しめやかに蛞蝓の視野縮みゆく
    しめやかに、が雰囲気を醸し出しています。

    ○緑の夜インド音楽伸縮す
    な~るほど、インド音楽、合いますね。

    ○体毛のぐんぐん伸びるみどりの夜
    確かに伸びそう。

    ○毛筆の叱り状来る暮春かな
    お叱りも筆文字だとインパクトありであたたか。

    ○矯正の歯並び美人豆の花
    豆の花の可愛さとぴったんこ。

    ○守宮の夜箸の持ち方矯正す
    あるある感

    ○真つ直ぐに胡瓜を矯めて糠床に
    美味しい糠漬けになりそう。

    ○陶枕に矯正されてゐたりけり
    ひんやり感に正されます。

    ○麦の秋正しき道へ復帰せり
    麦の秋の乾いた感じが効いています。

    ○網戸から見ゆる正しき家族かな
    正しきお茶の間の景が見えるようです。

    ○俎板の正目まっすぐこいのぼり
    こいのぼりも気持ちよさそう。

    ○黒蜜のやうな露天湯あめんばう
    黒蜜の色の温泉なんですね。w

    ○調書には蛇の衣だと言ふことに
    面白いです~。

    返信削除
  11. ↑すみません、一句多く選句してしまいました(汗)
    よろしくおねがいいたします。

    返信削除
  12. ○しめやかに蛞蝓の視野縮みゆく
     蛞蝓の伸縮に併せて視野が縮む、説得力あるしおもしろい。


    ○飛ぶ前に縮みしやうな天道虫
     意外と本体(?)はスマートだったり。

    ○離陸して島の縮んで行く暮春
     ぐんぐん離れる感じ、良いですね。暮春は動くかも。

    ○植毛を終へて我が世の夏来る
     応援したい。夏、しちゃってるメーン☆

    ○体内に毛細管や麦の秋
     体がざわざわする感じ、伸びゆく感じ、麦の秋との呼応、いい。

    ○奇矯なる声あげてゐる鯉幟
     あれは無音の叫びなのですね。

    ○真つ直ぐに胡瓜を矯めて糠床に
     可哀相な。そして意外と大変な作業。


    ○正直に言へば良いのに雨乞と
     隠さなくても乞うて良いのですよ。

    ○網戸から見ゆる正しき家族かな
     網戸をかけてる時点でなんだか正しさが増す。

    ○ズボン脱ぐまでに至らず磯遊び
     オレはまだ本気出してないだけ。

    ○花は葉にドミノ倒して行きにけり
     これ結構好きです。ひどいけどおかしい。当人もそんなつもりないでしょうに、倒された方のショックたるや。そしてなぜ花は葉にが妙にハマるんだろう。


    ○調書には蛇の衣だと言ふことに
     UMAの皮かしら。

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  13. 縮んでは伸びて蚕の大喰ひ
    蚕の大喰ひが、うごめく。

    新聞の縮刷版や昭和の日
    新聞も、平成版はネットで。

    飛ぶ前に縮みしやうな天道虫
    緊張の一瞬。

    噴水の水伸び縮みして薄暮
    薄暑で、水の伸び縮みがよく見える。

    緑の夜インド音楽伸縮す
    一晩、伸縮のインド音楽が鳴りつづく。

    たんぽぽの綿毛吹く人吹かぬ人
    吹かなくなってしまった。

    昭和の日千円で売る毛語録
     毛語録は懐かしいが、百均でいいか。

    体内に毛細管や麦の秋
    麦飯喰って、毛細血管に血液を。

    真つ直ぐに胡瓜を矯めて糠床に
    曲がった胡瓜は、具合が悪い。

    正座して亀の鳴くのを聴いてをり
    正調お亀節。

    スマートボールじぐざくに春惜しむ
    春は、じぐざくにゆっくり行きつ戻りつ。

    花は葉にドミノ倒して行きにけり
    やけっぱちに、なってるか。

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