2013年11月11日月曜日

薄利多売句会・投句一覧

 たいへんお待たせしました。

【薄】
ほんたうにうすき薄謝や初時雨
酷薄に生きて蟷螂枯れにけり
冬立つやしゆるしゆる薄き鉋屑
薄原といふほどもなく薄立つ
薄幸の気配をまとふ海鼠かな
薄紙にくるむ焼菓子ふゆはじめ
薄紙に鳥の図案や寒苺
薄紙に綴られしごと秋の声
薄情な猫の目配せ神無月
薄墨の世界を駆け回る兎
薄命に憧れる子や火恋し
薄力粉VS牛すじ&葱
望遠鏡薄き毛布を引き上ぐる
饅頭の皮の薄さよ冬に入る

【利】
ロボットの利口な言葉小六月
わたくしを利用してゐる狸かな
寄鍋や利ザヤも灰汁にして泡
私利私欲にも冬蠅のあはれかな
事務室の利休色なるカーディガン
冬茜再び夢を見る権利
冬麗のシーツに糊を利かせけり
徳利の深き上げ底冬の夜
文化の日利鞘を稼ぐ子がひとり
便利屋のチラシは小さし冬隣
由もなく利尻思へば火恋し
利き腕のややたくましき茸狩
利根川を眠る山まで遡る
利用者無きバス茸山巡回す

【多】
ハロウィンに多羅尾伴内が十人
闇汁の闇の部分が多過ぎる
英文の多読再読黄落期
黄落の増す多国籍料理店
海鼠腸のやうな多弁を弄しけり
御多分に漏れず無愛想日向ぼこ
多項式の各項にあるきのこかな
多弁ならねど唇薄しそぞろ寒
多面体めいて敗荷なやましき
茶の花やほほゑみ多きPTA
冬眠に備へて多面体となる
鍋料理多士済々と囃しつつ
熱戦が終わり多摩川雪催
恋多き祖母の形見の秋袷

【売】
うつくしき水の売らるる冬はじめ
革ジャンの売人湿りある硬貨
泣き売の声あそこから後の月
崎陽軒焼売ぜんぶ闇鍋に
焼売のおしくらまんぢゆう引き剥す
雪女郎ン百歳売防法はン十年
暖冬の予感色なき薬売り
虫売や虫のほかにもいろいろと
直売所までの看板稲雀
冬帽子売値の三度直されて
豆腐売顔は思ひ出せず冬
売地とあり初雪の舞つてをり
売店のおばちゃんたちの酉の市
売物も私物もありて秋灯下

【当季雑詠】
いろいろを流して秋の雨はげし
しばらくは松を見てをり松手入
そぞろ寒ちり紙引き出す音かすか
ちやんと上手に汁出せる猪や
ハッカ飴ばかりなくなる文化の日
割石榴五針縫うてもまだ足りぬ
教室はアガアの中へそぞろ寒
茎あまた倒れしままに露むすぶ
鶏にパン粉をまぶす小春日よ
吾に余生手紙に余白冬に入る
時雨より速き自転車にて帰る
小春日やあまりに早く着きすぎて
身の内にメトロノームよ冬銀河
洗ひ上げたる里芋の心細し
冬の空猫の見上げし角度かな
白息やはじめて出来た逆上がり
白露のひかり集めてたなごころ
木枯に挑むごとく祈るごとく
立冬を等身大のポスターと

(以上)

14句選(特選、逆選なし)
選句締切:11月15日(金)24時(JST)
投稿先:恒信風句会
http://koshinfu.blogspot.com/

題に関わらず全体から14句選にてお願い致します。
整理の都合上、句の順番はそのままにして下さい。
投句一覧へのコメントとして、投稿して下さい。その際、名前/URLというのを選択して、俳号もしくはご本名を入力して下さい。URLは入れなくてよいです。

ではよろしくお願い致します。

15 件のコメント:

  1. ○冬立つやしゆるしゆる薄き鉋屑
    「しゆるしゆる薄き」が当たり前のことをいっているのに面白いです。

    ○薄力粉VS牛すじ&葱
    面白い並列。でも「VS」は「vs.」として欲しかった。

    ○饅頭の皮の薄さよ冬に入る
    薄皮饅頭とか破れ饅頭が好きです。

    ○事務室の利休色なるカーディガン
    渋い色!でも着ているのは今年入った新人さんであります。

    ○利き腕のややたくましき茸狩
    普段ではなく、こういうときに気がつくのでありますね。

    ○海鼠腸のやうな多弁を弄しけり
    「海鼠腸のやうな」ってどんなだよ! と思った時点で作者の思う壷でありましょう。

    ○御多分に漏れず無愛想日向ぼこ
    中八がどうもモヤモヤしますが。

    ○多項式の各項にあるきのこかな
    きのこ狩りの山中で子供に数式を教えているのでしょうか。キノコを代入。

    ○冬眠に備へて多面体となる
    表面積を増やす、ということですよね。

    ○恋多き祖母の形見の秋袷
    粋でありますなあ。

    ○うつくしき水の売らるる冬はじめ
    うつくしゅき水はおいしい水に違いありません。たぶん。

    ○冬帽子売値の三度直されて
    シーズンなのに、なかなか売れないんですよねえ。

    ○豆腐売顔は思ひ出せず冬
    余計なお世話ですが、中六がもったいない!

    ○時雨より速き自転車にて帰る
    自転車にはちゃんと名前を付けています。

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  2. ★酷薄に生きて蟷螂枯れにけり
     生きてきた証に枯れるのです。

    ★薄幸の気配をまとふ海鼠かな
     そんな気配あり。

    ★薄墨の世界を駆け回る兎
     なにやら不幸なイメージ。

    ★わたくしを利用してゐる狸かな
     なすがまま。

    ★事務室の利休色なるカーディガン
     よろしき風合い。
     
    ★利根川を眠る山まで遡る
     粧う山から眠る山まで。

    ★ハロウィンに多羅尾伴内が十人
     先代林家林久蔵の物真似のイメージしかないけれど。

    ★御多分に漏れず無愛想日向ぼこ
     ほんとうはいい人なのです。

    ★恋多き祖母の形見の秋袷
     ハイカラおばあさん。

    ★崎陽軒焼売ぜんぶ闇鍋に
     そんな勿体無い。

    ★売地とあり初雪の舞つてをり
     赤き文字との対比。

    ★そぞろ寒ちり紙引き出す音かすか
     よろしき瑣末。

    ★時雨より速き自転車にて帰る
     追いつかれるな。

    ★身の内にメトロノームよ冬銀河
     心臓?

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  3. ○薄墨の世界を駆け回る兎
    冬の風情が漂っています。

    ○事務室の利休色なるカーディガン
    利休色で頂きました。

    ○利き腕のややたくましき茸狩
    茸狩だからこその発見なんでしょうね。

    ○利根川を眠る山まで遡る
    遠い大きな何かへ還るようで好きです。

    ○黄落の増す多国籍料理店
    黄落と多国籍料理店がよい。

    ○冬眠に備へて多面体となる
    ふくふく丸くなって、深く眠れそう。

    ○革ジャンの売人湿りある硬貨
    ちょっといわくありげな景。

    ○泣き売の声あそこから後の月
    全体の調べに惹かれるものがあります。

    ○焼売のおしくらまんぢゆう引き剥す
    なるほど、確かに。湯気立てておいしそう。

    ○豆腐売顔は思ひ出せず冬
    売り子って通り過ぎる存在ですが、豆腐売が特にいい。
    そして、通り過ぎながら冬がやってくるというのもいい。

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  4. 四句漏れていました。失礼。
    ○吾に余生手紙に余白冬に入る
    全体の白いイメージがよかった。

    ○時雨より速き自転車にて帰る
    全体の冷たさ、速度感がよい。

    ○小春日やあまりに早く着きすぎて
    あるある。小春日がいい。

    ○木枯に挑むごとく祈るごとく
    挑むと祈るのたたみかけが、切ない。

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  5. トオイダイスケ2013年11月12日 14:10

    ○冬立つやしゆるしゆる薄き鉋屑
    しゅるしゅるという音が立冬の感触と合っている。

    ○薄幸の気配をまとふ海鼠かな
    海鼠を思わせる。少し感傷的な気もする。

    ○薄墨の世界を駆け回る兎
    冬らしい。鳥獣戯画的。

    ○事務室の利休色なるカーディガン
    渋い。椅子の背もたれに掛かっていそう。眼にも優しい光景。

    ○冬麗のシーツに糊を利かせけり
    ぱりぱり。冷たく心地良い。

    ○便利屋のチラシは小さし冬隣
    確かに。郵便受けの中で取りづらい。

    ○由もなく利尻思へば火恋し
    利尻のイメージと火恋しという季語がよく響き合う。

    ○利用者無きバス茸山巡回す
    バスは大事。

    ○茶の花やほほゑみ多きPTA
    PTAを詠んだ俳句は珍しいのでは。

    ○冬眠に備へて多面体となる
    可笑しい。球のようまでまるまるとはいかないという感じ。

    ○焼売のおしくらまんぢゆう引き剥す
    「引き剥す」にリアルを感じた。焼売も蒸気の露を帯びていて少し皿にこびりついてはがれる感触。

    ○虫売や虫のほかにもいろいろと
    露店かリサイクルショップ的な。

    ○冬帽子売値の三度直されて
    テープ状の値札が上に貼り重ねられていく景が浮かんだ。

    ○時雨より速き自転車にて帰る
    切実な「帰る」。

    返信削除
  6. ○ほんたうにうすき薄謝や初時雨
    昔NHKは日本薄謝協会と言われていたという話を思い出した。

    ○冬立つやしゆるしゆる薄き鉋屑
    「しゆるしゆる」がよいですね。

    ○薄幸の気配をまとふ海鼠かな
    ぐしゃぐしゃに揉みしだいても再生するのだから、ふてぶてしいと思いますが。

    ○薄力粉VS牛すじ&葱
    B-1グランプリ?

    ○ロボットの利口な言葉小六月
    思わずかしこまってしまいます。

    ○事務室の利休色なるカーディガン
    昭和的です。

    ○文化の日利鞘を稼ぐ子がひとり
    デイトレーダー? インターネットあればこそ。

    ○利根川を眠る山まで遡る
    着眼も表現もうまいです。

    ○海鼠腸のやうな多弁を弄しけり
    海鼠句に弱いので。

    ○恋多き祖母の形見の秋袷
    前回の「恋の話曾祖母とする夜長かな」といい、結構なことです。

    ○革ジャンの売人湿りある硬貨
    雰囲気ありあり。

    ○直売所までの看板稲雀
    あるある。

    ○売物も私物もありて秋灯下
    文化祭のバザーでしょうか。

    ○時雨より速き自転車にて帰る
    時雨のありようをよく捉えていると思いました。

    返信削除
  7. ○ほんたうにうすき薄謝や初時雨
    本来薄謝とはたっぷりのこと。

    ○薄幸の気配をまとふ海鼠かな
    明日は割烹店の皿の上。

    ○薄紙にくるむ焼菓子ふゆはじめ
    手のひらに熱さが伝わってくる。

    ○薄墨の世界を駆け回る兎
    一幅の山水画。

    ○饅頭の皮の薄さよ冬に入る
    面の皮の薄い私には身に沁みる。

    ○冬茜再び夢を見る権利
    個人的には義務の方が好きだけど。

    ○便利屋のチラシは小さし冬隣
    ほんまにそうやわ。

    ○利き腕のややたくましき茸狩
    たくましくなければ茸には勝てない。

    ○利用者無きバス茸山巡回す
    たまたま茸のシーズンの僻地のバスか?

    ○多面体めいて敗荷なやましき
    多面体=多性格。

    ○崎陽軒焼売ぜんぶ闇鍋に
    崎陽軒の回し者。

    ○時雨より速き自転車にて帰る
    結局はずぶ濡れ。

    ○白息やはじめて出来た逆上がり
    突然出来た、あの頃を思い出す。

    ○立冬を等身大のポスターと
    壇蜜でお願いします。

    返信削除
  8. ○薄幸の気配をまとふ海鼠かな
    海鼠に生まれて、さらに薄幸。何だか気の毒です。

    ○薄紙に鳥の図案や寒苺
    上五中七のイメージの良さで頂きました。寒苺はやや唐突?

    ○薄命に憧れる子や火恋し
    ありますよね、こういう時期。

    ○わたくしを利用してゐる狸かな
    人間様を利用するとは、なかなか狡猾。

    ○文化の日利鞘を稼ぐ子がひとり
    かなりの商才ですね。文化の日らしいです。

    ○ハロウィンに多羅尾伴内が十人
    変装の名人が十人もいたら、誰がどれやらわかりませんな。

    ○多項式の各項にあるきのこかな
    数学と茸の取り合わせがある意味新鮮。

    ○冬眠に備へて多面体となる
    冬眠と多面体の組み合わせはうまいと思いました。

    ○恋多き祖母の形見の秋袷
    いろいろな思い出がありそう。秋袷がちょうどいい案配。

    ○暖冬の予感色なき薬売り
    「色なき薬売り」って何でしょうね。不思議な感覚で頂きました。

    ○虫売や虫のほかにもいろいろと
    多角経営。何だか可笑しい。

    ○しばらくは松を見てをり松手入
    どんな形にするか、イメージをまとめているところ。

    ○ハッカ飴ばかりなくなる文化の日
    ドロップとかだとハッカ味は余っちゃうんですけどね。逆を突かれました。

    ○時雨より速き自転車にて帰る
    雨に降られた時の焦りがよく出ています。

    返信削除
  9. ○薄紙にくるむ焼菓子ふゆはじめ
     ポルボローネかもしれないしパウンドケーキかもしれない。とにかく白に微かに透けて見える壊れやすさが、平仮名の「ふゆはじめ」と呼応して良い。

    ○薄墨の世界を駆け回る兎
     躍動感ある水墨画、見たいなあ。


    ○饅頭の皮の薄さよ冬に入る
     蒸したての酒饅頭、たまらぬものです。ほかほか。


    ○ロボットの利口な言葉小六月
     星新一に出てきそうな。

    ○事務室の利休色なるカーディガン
     渋い色名を頭に浮かべてしまう、主体の遊び心が良い。

    ○黄落の増す多国籍料理店
     銀杏並木の傍らにぽつんと埋もれながら、スパイス香を漂わせ。黄色しかないなあ。

    ○多項式の各項にあるきのこかな
     生えてますね。裏側に数字が書いてあると良いのだけれど。

    ○冬眠に備へて多面体となる
     多面体がうまい。もっこもこ。

    ○うつくしき水の売らるる冬はじめ
     うつくしき水とはなんだろう。わからないまま美しさに惹かれてとりました。


    ○虫売や虫のほかにもいろいろと
     小出しにしますなあ。符丁を見せると売ってもらえるかな。

    ○豆腐売顔は思ひ出せず冬
     頭の中で白い豆腐となつてゐる。

    ○しばらくは松を見てをり松手入
     日が暮れても終わりませんよ。

    ○ハッカ飴ばかりなくなる文化の日
     あえてのハッカ飴。いらいらしていそう。


    ○時雨より速き自転車にて帰る
     寒い寒い。濡れる前にお帰り。

    返信削除
  10. ○薄幸の気配をまとふ海鼠かな
    海鼠は確かになにかをまとってます。そうか、薄幸の気配か。

    ○薄墨の世界を駆け回る兎
    美しい。

    ○事務室の利休色なるカーディガン
    利休色と言ったとたんに、地味で古そうなカーディガンに滋味が。

    ○冬麗のシーツに糊を利かせけり
    パリッと感が気持ち良いです。

    ○便利屋のチラシは小さし冬隣
    一人営業な感じがしますね。頑張って下さい。

    ○ハロウィンに多羅尾伴内が十人
    多羅尾伴内と思ったところが可笑しい。みんな大きめの千恵蔵顔だったんでしょうか。

    ○黄落の増す多国籍料理店
    黄の字がなんだか多国籍料理に合うんです。

    ○多項式の各項にあるきのこかな
    まったくもってきのこはどこにでも生える。

    ○冬眠に備へて多面体となる
    納得。

    ○うつくしき水の売らるる冬はじめ
    ペットボトル入りでも冬の水になるとうつしい気がします。この平仮名表記、いいですね。

    ○革ジャンの売人湿りある硬貨
    売人の怪しさ。

    ○冬帽子売値の三度直されて
    四度目は籠の中で山積みに。

    ○しばらくは松を見てをり松手入
    そうです。そうです。ことに松は。

    ○時雨より速き自転車にて帰る
    時雨の突然感がよーく出ています。

    返信削除
  11. ○冬立つやしゆるしゆる薄き鉋屑
    大工さんの息づかいが聞こえてきそう。

    ○薄紙にくるむ焼菓子ふゆはじめ
    手焼きせんべいでしょうか。「ふゆはじめ」と好相性。

    ○望遠鏡薄き毛布を引き上ぐる
    天体望遠鏡を覗いている。隣に彼女がいるといい感じ。

    ○ロボットの利口な言葉小六月
    寂しいときは、無感情な自動音声にも安堵したり。

    ○事務室の利休色なるカーディガン
    利久色が絶妙。

    ○冬茜再び夢を見る権利
    夢は見るだけでいい。叶わなくても。

    ○冬麗のシーツに糊を利かせけり
    清潔感。

    ○利用者無きバス茸山巡回す
    赤字のバス路線。

    ○黄落の増す多国籍料理店
    香辛料がふわ~っと、匂ってきそう。

    ○冬眠に備へて多面体となる
    キラキラ光り出しそう。

    ○冬帽子売値の三度直されて
    売れ残り?

    ○売店のおばちゃんたちの酉の市
    それぞれの酉の市。

    ○売物も私物もありて秋灯下
    煩雑な店。煩雑な店主。

    ○しばらくは松を見てをり松手入
    熟練の職人ですね。

    返信削除
  12. ○薄墨の世界を駆け回る兎
    薄墨が冬ざれっぽいです。

    ○望遠鏡薄き毛布を引き上ぐる
    天文少年かな。風邪をひかないように。

    ○饅頭の皮の薄さよ冬に入る
    薄い方がは上等なのでしょうがなぜか寂しさが。

    ○ロボットの利口な言葉小六月
    利口な、でいろいろイメージできます。

    ○事務室の利休色なるカーディガン
    置きカーデでしょうか。利休色は渋い。

    ○便利屋のチラシは小さし冬隣
    そういえば小さい。最初から便利屋さんという人はいない気がする。

    ○利根川を眠る山まで遡る
    地理に疎いのでどのあたりの山かわかりませんが、長い道のりな気がします。

    ○冬眠に備へて多面体となる
    いかにもなりそうです。

    ○崎陽軒焼売ぜんぶ闇鍋に
    だしも出るしこれは許せる具材。

    ○売店のおばちゃんたちの酉の市
    年月の積み重ねを感じます。

    ○売物も私物もありて秋灯下
    私物の方が興味をひきそう。

    ○しばらくは松を見てをり松手入
    すこし離れて全体を見るのがポイントです。

    ○時雨より速き自転車にて帰る
    時雨らしさを言い当てています。

    ○小春日やあまりに早く着きすぎて
    こういうことありますね。小春日が効いています。

    返信削除
  13. ○冬立つやしゆるしゆる薄き鉋屑
    芸術的な薄さが光に透けて美しい。

    ○薄幸の気配をまとふ海鼠かな
    気配がよいですね。

    ○薄紙にくるむ焼菓子ふゆはじめ
    お持たせの高級洋菓子。

    ○ロボットの利口な言葉小六月
    感情に流されないところがまた・・。

    ○便利屋のチラシは小さし冬隣
    あるある感。冬隣も効いている。

    ○黄落の増す多国籍料理店
    多国籍なところが合いますね。

    ○茶の花やほほゑみ多きPTA
    ほのぼの。

    ○うつくしき水の売らるる冬はじめ
    水の冷たさも美しさのうち。

    ○焼売のおしくらまんぢゆう引き剥す
    引き剥すがリアルです。

    ○冬帽子売値の三度直されて
    うははっ。一番最初の値段を見てお得感を感じるか否か。

    ○しばらくは松を見てをり松手入
    職人さんですね。

    ○時雨より速き自転車にて帰る
    坂道も一生懸命漕いで。

    ○小春日やあまりに早く着きすぎて
    近くのカフェでまったり。

    ○立冬を等身大のポスターと
    立冬だから寄り添えるのかも。w

    返信削除
  14. ○薄幸の気配をまとふ海鼠かな
    当人は意外と幸せかも。

    ○薄墨の世界を駆け回る兎
    山河の広がりを感じます。

    ○寄鍋や利ザヤも灰汁にして泡
    寄鍋だったら何でも灰汁になりそう。

    ○冬茜再び夢を見る権利
    呪いからの開放。

    ○革ジャンの売人湿りある硬貨
    お釣りに温もりと湿り気を感じます。

    ○崎陽軒焼売ぜんぶ闇鍋に
    崎陽軒のは固めなので煮崩れません。

    ○直売所までの看板稲雀
    稲雀がきいてます。

    ○豆腐売顔は思ひ出せず冬
    ラッパの音は覚えているんですが。

    ○売地とあり初雪の舞つてをり
    看板と初雪の対比の物悲しさがいい。

    ○しばらくは松を見てをり松手入
    手入れ前のイメージ作りが大事です。

    ○ハッカ飴ばかりなくなる文化の日
    大正浪漫。

    ○茎あまた倒れしままに露むすぶ
    露が光っています。

    ○時雨より速き自転車にて帰る
    あったらいいな。

    ○小春日やあまりに早く着きすぎて
    居場所がなくて困ります。

    返信削除
  15. ○薄幸の気配をまとふ海鼠かな
     海鼠って感情があるんだろうか、とか分からなくなる詠みっぷりがいいですね。

    ○薄紙にくるむ焼菓子ふゆはじめ
     焼菓子のあの薄紙、なんだか絶妙に「ふゆはじめ」感があるのです。

    ○薄力粉VS牛すじ&葱
     軍配はどちらに。

    ○利き腕のややたくましき茸狩
     季語からすると着衣の上からは分からないような感慨で、これは逢引に違いない。

    ○黄落の増す多国籍料理店
     「多国籍料理店」というのは普通に存在するものなのだろうか。昨今の事情に疎い私は、山中の狐狸にたぶらかされているような気がする。

    ○海鼠腸のやうな多弁を弄しけり
     どういう多弁なのかじつはよく分からないところがすごくいい。直喩とは訳の分からぬ方がよい。

    ○冬眠に備へて多面体となる
     プロテクターをいろいろ身にまとったような可笑しさがあります。
     
    ○恋多き祖母の形見の秋袷
     なんだか祖母とか曾祖母とかはやっているなあ。

    ○うつくしき水の売らるる冬はじめ
     安全とか美味しいとかでなく「うつくしき」であるところが眼目だろう。U音が多く心地よい。

    ○冬帽子売値の三度直されて
     これは外国人の露天商ですね。

    ○売地とあり初雪の舞つてをり
     見えるようです。

    ○売物も私物もありて秋灯下
     裸電球ですかねえ。影がくっきりしているような気がします。

    ○しばらくは松を見てをり松手入
     親方の仕事ですね。

    ○割石榴五針縫うてもまだ足りぬ
     奇想ですね。

    返信削除