2013年11月16日土曜日

薄利多売句会・作者発表

発表です。

薄原といふほどもなく薄立つ     露結  
由もなく利尻思へば火恋し      露結    ダ
恋多き祖母の形見の秋袷       露結    廣朝不独四
虫売や虫のほかにもいろいろと    露結    ダ独幹
いろいろを流して秋の雨はげし    露結  

冬立つやしゆるしゆる薄き鉋屑    朝比古   廣ダ不露亜
冬麗のシーツに糊を利かせけり    朝比古   ダ苑露
冬眠に備へて多面体となる      朝比古   廣あダ独幹苑露由四
うつくしき水の売らるる冬はじめ   朝比古   廣幹苑亜四
しばらくは松を見てをり松手入    朝比古   独幹苑露由亜け四

薄命に憧れる子や火恋し       ダイスケ  独
利き腕のややたくましき茸狩     ダイスケ  廣あ海四
多項式の各項にあるきのこかな    ダイスケ  廣独幹苑
売物も私物もありて秋灯下      ダイスケ  不露由四
洗ひ上げたる里芋の心細し      ダイスケ  

薄紙に鳥の図案や寒苺        藤幹子   独
利根川を眠る山まで遡る       藤幹子   朝あ不由
海鼠腸のやうな多弁を弄しけり    藤幹子   廣不四
革ジャンの売人湿りある硬貨     藤幹子   あ不苑け
教室はアガアの中へそぞろ寒     藤幹子  
ちやんと上手に汁出せる猪や     藤幹子  

薄力粉VS牛すじ&葱          海太    廣不四
寄鍋や利ザヤも灰汁にして泡     海太    け
御多分に漏れず無愛想日向ぼこ    海太    廣朝
雪女郎ン百歳売防法はン十年     海太  
吾に余生手紙に余白冬に入る     海太    あ

薄墨の世界を駆け回る兎       独楽    朝あダ海幹苑由け
冬茜再び夢を見る権利        独楽    海露け
熱戦が終わり多摩川雪催       独楽  
売店のおばちゃんたちの酉の市    独楽    露由
白息やはじめて出来た逆上がり    独楽    海
木枯に挑むごとく祈るごとく     独楽    あ

薄情な猫の目配せ神無月       廣島屋  
文化の日利鞘を稼ぐ子がひとり    廣島屋   不独
ハロウィンに多羅尾伴内が十人    廣島屋   朝独苑
泣き売の声あそこから後の月     廣島屋   あ
小春日やあまりに早く着きすぎて   廣島屋   あ由亜け

薄紙にくるむ焼菓子ふゆはじめ    苑を    海幹露亜四
私利私欲にも冬蠅のあはれかな    苑を  
鍋料理多士済々と囃しつつ      苑を  
売地とあり初雪の舞つてをり     苑を    朝け四
鶏にパン粉をまぶす小春日よ     苑を  

薄紙に綴られしごと秋の声      けんじ  
徳利の深き上げ底冬の夜       けんじ  
闇汁の闇の部分が多過ぎる      けんじ  
暖冬の予感色なき薬売り       けんじ   独
冬の空猫の見上げし角度かな     けんじ  

望遠鏡薄き毛布を引き上ぐる     あんこ   露由
ロボットの利口な言葉小六月     あんこ   不幹露由亜
茶の花やほほゑみ多きPTA       あんこ   ダ亜
冬帽子売値の三度直されて      あんこ   廣ダ苑露亜四
身の内にメトロノームよ冬銀河    あんこ   朝

饅頭の皮の薄さよ冬に入る      亜紀    廣海幹由
事務室の利休色なるカーディガン   亜紀    廣朝あダ不幹苑露由
英文の多読再読黄落期        亜紀  
直売所までの看板稲雀        亜紀    不け
ハッカ飴ばかりなくなる文化の日   亜紀    独幹け
茎あまた倒れしままに露むすぶ    亜紀    け
白露のひかり集めてたなごころ    亜紀  
そぞろ寒ちり紙引き出す音かすか   亜紀    朝

薄幸の気配をまとふ海鼠かな     由季    朝ダ不海独苑亜け四
利用者無きバス茸山巡回す      由季    ダ海露
黄落の増す多国籍料理店       由季    あ幹苑露亜四
豆腐売顔は思ひ出せず冬       由季    廣あ幹け
立冬を等身大のポスターと      由季    海亜

酷薄に生きて蟷螂枯れにけり     不孤    朝
便利屋のチラシは小さし冬隣     不孤    ダ海苑由亜
多弁ならねど唇薄しそぞろ寒     不孤  
焼売のおしくらまんぢゆう引き剥す  不孤    あダ亜
割石榴五針縫うてもまだ足りぬ    不孤    四

ほんたうにうすき薄謝や初時雨    四童    不海
わたくしを利用してゐる狸かな    四童    朝独
多面体めいて敗荷なやましき     四童    海
崎陽軒焼売ぜんぶ闇鍋に       四童    朝海由け
時雨より速き自転車にて帰る     四童    廣朝あダ不海独幹苑由亜け

以上。(集計:不孤)

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