2014年2月11日火曜日

万能細胞句会・投句一覧

大変遅くなりまして、申し訳ありません。

【万】
寒の明け万歳をして眠る猫
春浅し父の愛した万年筆
早春のソチに揺るるよ万国旗
如月の棚に伊万里の青ならぶ
万屋の軒にかかりし巣箱かな
万田ちがふ萬田ですから春日傘
万年筆と手と睦み合ふ春隣
万能と云えど無自覚クロッカス
万葉の空ひろがりし二月かな
万葉の里は畦道つくしんぼ
万力のやうな人生日脚伸ぶ

【能】
きさらぎの空気の満ちし能舞台
よりもどす細君ぽっちゃり細魚喰う
嫌なこと忘れる機能春の雪
効能の文字の小さき余寒かな
紅梅の咲いて能弁なるをとこ
十能を撫でまはしては炭をつぐ
春炬燵母に万能薬ひとつ
能く進め舞台へ続く蜷の道
能楽堂舞はれ謡はれ春満ちゆく
能面の壁に並びて春の雪
無能なることの美し春の月

【細】
スイートピー細き花瓶に細き指
源泉の細く滲み出す春の山
細君淀君どつちもどつち家朧
細分化されし似顔絵春時雨
細胞のひとつひとつが春を待つ
春光を入れ飴細工できあがる
浅春の細き管より細き水
猫の子のか細き声を見守りぬ
能天気ひねって昇るや龍天に
裏木戸の閂を引く細雪
朧夜の伝達事項細々と

【胞】
つぎつぎと細胞分裂水温む
ふつふつと胞子増殖して立春
ぼたん雪細胞夢を見てゐたる
家康の胞衣塚蜥蜴穴を出づ
細胞の一部透きゐる春障子
細胞の種類いろいろ春兆す
春立つや胞子のぴつと飛びゆける
同胞と呼ぶを寂しき余寒かな
同胞に叱られてゐる春隣
同胞の散り散りとなり迎春花
百歳の同胞ほがらにちゃんちゃんこ

【当季雑詠】
さつきより星増えてゐる受験生
ふっくらは卑弥呼のひみつ日脚伸ぶ
牡丹雪ビニール傘を明るうす
春光の紅白帽を裏返す
春隣椅子上げて待つルンバかな
雪の校庭真ん真ん中の雪だるま
千代紙に和の色多し春の月
早春の杖つく人の杖の影
窓拭きの腕を大きく二月来る
天功の種も仕掛も黄沙来る
東京タワー五色に灯し春立ちぬ
如月や相性のよき裁鋏
薄氷を天の戒めとぞ思う
涙ほど春を含みて寒の雨

(以上)

11句選(特選、逆選なし)
選句締切:2月14日(金)24時(JST)
投稿先:恒信風句会
http://koshinfu.blogspot.com/

題に関わらず全体から11句選にてお願い致します。
整理の都合上、句の順番はそのままにして下さい。
投句一覧へのコメントとして、投稿して下さい。その際、名前/URLというのを選択して、俳号もしくはご本名を入力して下さい。URLは入れなくてよいです。

ではよろしくお願い致します。

11 件のコメント:

  1. トオイダイスケ2014年2月12日 2:06

    ○寒の明け万歳をして眠る猫
    暖かそう。

    ○如月の棚に伊万里の青ならぶ
    澄んだ落ち着いた美しさ。青と踏み込んだのがいい。

    ○万力のやうな人生日脚伸ぶ
    どんな人生。パワフルだけど大変そう。

    ○きさらぎの空気の満ちし能舞台
    言葉や舞でつくられる美しい空気。

    ○効能の文字の小さき余寒かな
    小さい。確かに。

    ○春炬燵母に万能薬ひとつ
    トフメルとかエビオスとか。母の安心感。

    ○能面の壁に並びて春の雪
    春の雪、合う。

    ○細胞のひとつひとつが春を待つ
    わくわくしている。

    ○細胞の一部透きゐる春障子
    春障子がきれい。日を受けて。

    ○春光の紅白帽を裏返す
    紅白帽は華やかで好きです。今はかぶらないけど。

    ○涙ほど春を含みて寒の雨
    すぐそこまで来ている春。冬も惜しまれる。

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  2. ★寒の明け万歳をして眠る猫
     
    猫に訪れた至福の時間。


    ★早春のソチに揺るるよ万国旗
     ソチ五輪。記憶にとどめておこう。

    ★如月の棚に伊万里の青ならぶ
     よろしき青。

    ★効能の文字の小さき余寒かな
     薬の効能書きと保険の約款の文字はなんであんなに小さいのだろう。

    ★源泉の細く滲み出す春の山
     滲み出す感じ、春やね。

    ★春光を入れ飴細工できあがる
     基本的なところで、干支の午を注文。

    ★細胞の種類いろいろ春兆す
     前向きな捉え方に好感。

    ★さつきより星増えてゐる受験生
     アップリケはたまたシール。

    ★春光の紅白帽を裏返す
     紅から白にしたのだろう。つばを立てて、ウルトラマン被りなんちゅうのもあったなぁ。

    ★早春の杖つく人の杖の影
     俳句的視点、俳句的措辞。落ち着くなぁ。

    ★東京タワー五色に灯し春立ちぬ
     ソチ五輪。記憶にとどめておこう。

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  3. ○寒の明け万歳をして眠る猫
    猫のポーズに癒されますね。

    ○万葉の空ひろがりし二月かな
    早春の空のあかるさがすがすがしいです。

    ○きさらぎの空気の満ちし能舞台
    ぴんと張った空気はいかにもきさらぎに相応しい。

    ○紅梅の咲いて能弁なるをとこ
    紅梅感とでもいいますか。納得。

    ○細胞のひとつひとつが春を待つ
    生き生きとしてくる生理感覚。

    ○つぎつぎと細胞分裂水温む
    水生生物なのでしょう。

    ○細胞の種類いろいろ春兆す
    あの細胞もこの細胞も活性化しはじめた様子。

    ○春立つや胞子のぴつと飛びゆける
    飛んでいくのが見えるよう。

    ○さつきより星増えてゐる受験生
    明日は受験日か。いい結果が出そう。

    ○春光の紅白帽を裏返す
    いいですね。春の運動会、体育の時間でも。

    ○如月や相性のよき裁鋏
    ありますね、道具との相性。如月と鋏、このくらいついているのも相性の良さ。

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  4. ○寒の明け万歳をして眠る猫
    赤塚菊千代VS猫ひろし

    ○紅梅の咲いて能弁なるをとこ
    舛添要一VS小泉純一郎

    ○十能を撫でまはしては炭をつぐ
    山口誓子VS火たき長者

    ○能面の壁に並びて春の雪
    由紀さおりVS松枝清顕

    ○細分化されし似顔絵春時雨
    山藤章二VSナンシー関

    ○つぎつぎと細胞分裂水温む
    小保方晴子VS瀬名秀明

    ○百歳の同胞ほがらにちゃんちゃんこ
    きんさんぎんさんVS金原まさ子

    ○ふっくらは卑弥呼のひみつ日脚伸ぶ
    岩下志麻VS卑弥呼(ダイヤモンド映像)

    ○春隣椅子上げて待つルンバかな
    西田佐知子VS氷川きよし

    ○東京タワー五色に灯し春立ちぬ
    江國香織VSモスラ

    ○涙ほど春を含みて寒の雨
    細川護熙VS宇都宮健児

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  5. ○万能と云えど無自覚クロッカス
    何が万能で無自覚なのかわからないのですが、
    クロッカスが妙にいいんですよね。

    ○嫌なこと忘れる機能春の雪
    春の雪といわれると、確かになるほど。

    ○春炬燵母に万能薬ひとつ
    老いてゆく母へのまなざしが感じられます。

    ○細分化されし似顔絵春時雨
    どんどん顔の特徴が描きこまれ、強くなる雨とともに
    本人が紙へ現れていく。

    ○細胞のひとつひとつが春を待つ
    アポトーシスの綺麗な表現。

    ○猫の子のか細き声を見守りぬ
    声を見守るというところが、よかったです。

    ○家康の胞衣塚蜥蜴穴を出づ
    歴史のうごめきのようです。

    ○牡丹雪ビニール傘を明るうす
    牡丹雪だからこその感慨です。

    ○雪の校庭真ん真ん中の雪だるま
    だんだん溶けていくと切ない。

    ○天功の種も仕掛も黄沙来る
    黄紗まで呼び出しそうで怖い。

    ○涙ほど春を含みて寒の雨
    涙ほど春とは素敵。
    繊細なところを詠もうとしたところが、好きです。

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  6. ○如月の棚に伊万里の青ならぶ
    伊万里の青が、冴える如月。

    ○万葉の空ひろがりし二月かな
    二月の空を見上げる、万葉人がいる。

    ○きさらぎの空気の満ちし能舞台
     はりつめた能舞台に、きさらぎの光が満つ。

    ○嫌なこと忘れる機能春の雪
    うれしい春の雪。

    ○春炬燵母に万能薬ひとつ
    春炬燵に、ひとり人生の達人がいる。

    ○能面の壁に並びて春の雪
    能面の白地が、映える。

    ○細胞のひとつひとつが春を待つ
    「天下の春」って酒を、飲んでみるか。

    ○春光を入れ飴細工できあがる
    つややかな飴細工が、ふっくら美味しそう。

    ○ふつふつと胞子増殖して立春
    春をもてくる胞子が、ふつふつ。

    ○さつきより星増えてゐる受験生
    煌めくは、希望の星。

    ○涙ほど春を含みて寒の雨
    寒の雨にも嬉しい、涙ほどの春。

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  7. ○万年筆と手と睦み合ふ春隣
    文豪ですかね。

    ○万力のやうな人生日脚伸ぶ
    待ちの姿勢。でもつかんだものは離さない。

    ○嫌なこと忘れる機能春の雪
    年とともに段々この機能が衰えてきています。

    ○効能の文字の小さき余寒かな
    それほど効き目がないんです。

    ○十能を撫でまはしては炭をつぐ
    もう手も真っ黒です。

    ○スイートピー細き花瓶に細き指
    松田聖子?

    ○源泉の細く滲み出す春の山
    雪解けの感じがいいです。

    ○つぎつぎと細胞分裂水温む
    春とともに生命が増えていきます。

    ○同胞と呼ぶを寂しき余寒かな
    段々減っていきます。

    ○さつきより星増えてゐる受験生
    MPが上がりました。

    ○雪の校庭真ん真ん中の雪だるま
    崩れ落ちるまで。

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  8. ○寒の明け万歳をして眠る猫
    猫ものびのび~。

    ○如月の棚に伊万里の青ならぶ
    ていねいな暮らしのひとこま。

    ○万葉の空ひろがりし二月かな
    春の足音が。

    ○効能の文字の小さき余寒かな
    眼鏡を外して見たりして。

    ○春炬燵母に万能薬ひとつ
    これさえあれば安心。

    ○細胞のひとつひとつが春を待つ
    よくわかる~。

    ○裏木戸の閂を引く細雪
    しっとりとした景。

    ○同胞の散り散りとなり迎春花
    卒業シーズンですね。

    ○百歳の同胞ほがらにちゃんちゃんこ
    貴重な同胞。

    ○さつきより星増えてゐる受験生
    息抜きも必要です。

    ○牡丹雪ビニール傘を明るうす
    春の雪の明るさ。

    返信削除
  9. 少し遅れました。申し訳ありません。

    ○春浅し父の愛した万年筆
    形見でしょうか。万年筆の硬質な冷たさが季語に合っています。

    ○万屋の軒にかかりし巣箱かな
    さりげない描写がいいですね。

    ○効能の文字の小さき余寒かな
    あんまり効果が期待できなさそうな感じ(笑)

    ○紅梅の咲いて能弁なるをとこ
    いますね、こういう人。

    ○スイートピー細き花瓶に細き指
    繊細な感じがよく出ています。

    ○細分化されし似顔絵春時雨
    季語が微妙ですけど、細分化に興味があります。

    ○細胞のひとつひとつが春を待つ
    全身で春を待っています。

    ○同胞の散り散りとなり迎春花
    ちょっと寂しいですが、これも世の常。

    ○春隣椅子上げて待つルンバかな
    お掃除ロボットのことでしょうかね。微笑ましい景。

    ○窓拭きの腕を大きく二月来る
    ちょっとしたことなんですけど、着目点がいい。

    ○如月や相性のよき裁鋏
    使い慣れてくると、そういう鋏もあるのでしょう。

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  10. ◯万屋の軒にかかりし巣箱かな

    万屋には何でもあります。



    ◯万年筆と手と睦み合ふ春隣

    「睦み合ふ」とまで言って「春隣」がいいですね。



    ◯嫌なこと忘れる機能春の雪

    「機能」がよかった。必要な物は全部装備されてます。



    ◯細分化されし似顔絵春時雨

    誰の、とは言えませんがそういう似顔絵ある気がします。季語も微妙に良しです。



    ◯細胞のひとつひとつが春を待つ

    ふつふつふつふつ。



    ◯猫の子のか細き声を見守りぬ

    「声を見守りぬ」が良かったです。



    ◯裏木戸の閂を引く細雪

    江戸情緒感が貴重。



    ◯細胞の一部透きゐる春障子

    水晶体って透けてるんですよね。



    ◯さつきより星増えてゐる受験生

    これからが勝負ね。



    ◯窓拭きの腕を大きく二月来る

    清々しいです。



    ◯如月や相性のよき裁鋏

    手に馴染み勝手のわかった裁ちバサミ。程よい冷たさがいいですね。

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  11. 遅くなりすみません。

    ○嫌なこと忘れる機能春の雪
     そうです、人間の脳はうまくできているのです。「春の雪」が明るくていいです。

    ○効能の文字の小さき余寒かな
     常備薬をあらためて「これ、なんに効くんだっけ」とか見ると字がびっしり書いてあるのですよね。「余寒」が「やっと乗り切ったと思ったのに」感があっていいです。

    ○春炬燵母に万能薬ひとつ
     昔の人は生き物として強かったですよね。「春炬燵」の道具立てもいいですね。

    ○能面の壁に並びて春の雪
     なんだか湿り気というか触感というか、絶妙にいいですね。

    ○春光を入れ飴細工できあがる
     春光というのは春の光ではなくて春の景色だって歳時記に書いてあった気もするけど、知るか。

    ○細胞の一部透きゐる春障子
     みんなみんな生きているんだ友だちなんだ

    ○さつきより星増えてゐる受験生
     そういえば受験生って、外の空気を吸いたがるものだったような。忘れていた感覚を思い出しました。

    ○ふっくらは卑弥呼のひみつ日脚伸ぶ
     平仮名表記の「ひみつ」がいいなあ。頭韻をf/h音で揃えた、むふむふ感がいいですねえ。

    ○春隣椅子上げて待つルンバかな
     これはロボット掃除機ですね。「春隣」が絶妙ですね。

    ○早春の杖つく人の杖の影
     杖つく人が、ぜんぜんハンディキャップを負った人であることを感じさせない、しっくりした実感がいいですね。

    ○如月や相性のよき裁鋏
     これは「如月」の勝利でしょう。如月には冷たいもの、尖ったもの。

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