2011年11月6日日曜日

我他彼此句会・投句一覧

 お待たせしました。

【我】
やせ我慢して秋晴れをついに得よ
我いつか梟的に膨らむや
我々の選択権や神無月
我我は宇宙人なり茸狩
我欲無くて何の人生蓮の実飛ぶ
干し柿の平たく言へば我慢して
枯蓮やパジャマのやうな我の国
残菊や我儘ぶりや泣きぶりや
秋惜しむ竹脇無我と夢の中
小春日や我慢をすれば痩せられる
蓑虫は蓑のまんなか我武者羅に
無我といふ冬野へ入りて帰らざる

【他】
こひびとと他の一切の冬ざるる
わが魂に及ぶ他国の秋出水
行く秋や他人同士の降りる駅
秋ふかくまじわり淡き他人丼
焼芋屋他人の空似だとしても
他意のなき海鼠を食んでをりにけり
他校より借りきし選手黄落す
冬近し高い他界の人は風
年忘れ他人の靴を履いて出る
萩抜けて猫は他人の眼なりけり
立冬の他人を仰ぐ電気かな
兔ゐてその他と共に抱上げる

【彼】
いつまでも月をほめてる彼の恋
ハロウィンの風に吹かるる彼女彼
もう炬燵出して誰彼なく噂
小春日や私の彼は左巻き
誰彼となくほほゑみて菊人形
冬ぬくし彼のコッペパン黄金して
冬隣彼のヨンさまの産湯売る
彼は白我はサフラン色の膝
彼氏てふイントネーション枯芒
彼方から円盤来たる文化の日
彼方より来たる冬蜂箱に入る
立て看の寒暮のやうな彼の壜

【此】
行く秋のむづかしさうな此処は何処
此の家の先祖代々花八つ手
此の句集背表紙がない秋のてふてふ
此の国の目方のやうな冬の皿
此の世ではつひに飛蝗を捕れずあり
此の地帯芒呆けてゐるばかり
此れはキーを叩く音なり稲雀
此処からは入るべからず花八手
此辺りの者で候ふ秋の暮
二千年狐火ねむる此岸とか
肌恋し冬の近づくそこ此所に
露霜や此の世はよその家ばかり

【当季雑詠】
LEDのひかりまつすぐ菊膾
あたらしい団栗拾う墓地の内
ガタがきてビシッとせぬ首破れ蓮
ことごとくはづすPK鳥渡る
すつぽんの冬眠したる池に鯉
横須賀の旋律といふ冬日向
月の海大波小波縄跳びす
行く秋やトーテムポール寄り目がち
子規庵は淋しかりけり石蕗の花
種茄子脳に二室のありにけり
秋高し力士の小さき飯茶碗
住所録一行消して蔦紅葉
十一月机の前に椅子があり
小春日のポルシェを影のゆるすかな
昭和通り平成通り文化の日
深秋のダンスフロアー黒光り
暖かき冬来てだるまさんがころんだ
天高し表札のなき半蔵門
冬服のお江戸の顔に困りけり
当番に面倒見られなきうさぎ
飛行船やがて手が生え月に触れ
母と寝る部屋いつぱいに虫の声
密柑山一瞥連絡船帰る

(以上)
12句選(特選、逆選なし)
選句締切:11月12日(土)24時(JST)
投稿先:恒信風句会
http://koshinfu.blogspot.com/
題に関わらず全体から12句選にてお願い致します。
整理の都合上、句の順番はそのままにして下さい。
投句一覧へのコメントとして、投稿して下さい。その際、名前/URLというのを選択して、俳号もしくはご本名を入力して下さい。
URLは入れなくてよいです。
なお、右側の「最近のコメント」という欄は反映するのに時間がかかるようです。
ではよろしくお願い致します。

10 件のコメント:

  1. 選句です。

     ◯枯蓮やパジャマのやうな我の国
     「パジャマのような」がおもしろい比喩。「枯蓮」からどうも随分と荒れ果てて、パジャマからよれよれの感じを受けました。

     ◯行く秋や他人同士の降りる駅
     通勤に使っている駅は特に「他人同士」を感じます。季語と季節の選択が難しいですね。

     ◯他校より借りきし選手黄落す
     「黄落す」で活躍できなかったと想像してしまいました。黄落するまで借りているのも心苦しいような。
     
     ◯兔ゐてその他と共に抱上げる
     この場にいるのは兎と何でしょうか。抱き上げる事が出来るようなペットですが、猫や犬では兎と相性が悪そうです、

     ◯彼方から円盤来たる文化の日
     彼方から来たのですから、円盤投げではなく宇宙人の乗った円盤でしょう。「文化の日」はいろいろな意味を考えることができて、宇宙人にたいしても変な働きをしています。好きな季語です。

     ◯行く秋のむづかしさうな此処は何処
     「むづかしさうな此処」が考えたことがない言い方で、感心しました。

     ◯露霜や此の世はよその家ばかり
     ホームレスでも段ボールハウスをもっていたりして、自分の家をみんな持っているけれども、それ以外の家はよその家になってしまう。「露霜」が厳しい季語。

     ◯LEDのひかりまつすぐ菊膾
     菊膾がLEDの光で、美味しそうに見えるのでは。

     ◯住所録一行消して蔦紅葉
     亡くなった人を住所録から消去しているのでしょうか。先日も会社の先輩が亡くなられて、ご遺族から連絡が来ていました。住所録の整理もしなくては。

     ◯十一月机の前に椅子があり
     学校の机と椅子の並びを考えると、机があってその後に椅子があり、その後に机が続いています。机と椅子を一対で考えると、椅子は机の前か後ろか。普通は前と捉えるのでしょう。

     ◯天高し表札のなき半蔵門
     たしかに、表札はないでしょうね。平川門にもありません。半蔵門とも平川門とも書いてないでしょう。いいところに気がついています。

     ◯飛行船やがて手が生え月に触れ
     生えそうもない所から手が生えて月に触れる。月を横切る飛行船には手が生えそうです。「やがて」が疑問。

     種茄子

    返信削除
  2. ○我いつか梟的に膨らむや
     漢文の読み下しのような文体と、現代中国語のような「的」が混ざり合って独特の味わいを感じます。「梟的に膨らむ」がいいことなのか悪いことなのか読みとれない(というか読者にゆだねられている)広がりもよいです。

    ○我我は宇宙人なり茸狩
     そういえば扇風機に向かって「ワレワレハ、ウチュウジンダ」とよくやったものですが、あれって出典はなんだったんでしょうね。「茸狩」が古典的な火星人を想起させます。

    ○秋惜しむ竹脇無我と夢の中
    ○無我といふ冬野へ入りて帰らざる
     二句とも追悼句なのでしょう。であればつべこべいうべきものでは本来ないのですが、句会に出されたのでつべこべいいます。前句は「無我夢中」まで詠み込もうとしているところを買いたいのですが、季語が「秋惜しむ」だと竹脇無我を悼んでいるのだか秋を惜しんでいるのだかぶれるので、別の方がいいで
    す。もしかすると「と」がよくないのかも知れません。

    ○わが魂に及ぶ他国の秋出水
     『洪水はわが魂に及び』ですね。時事川柳のようでもありますが、実際じつに深刻であります。

    ○萩抜けて猫は他人の眼なりけり
     飼い猫が野性にかえってしまったのですね。あえて「他人」としたところが眼目なのでしょう。

    ○兔ゐてその他と共に抱上げる
     動物園に行くとおさわり自由のゾーンとか時間とかありますよね。「その他」と呼ばれてしまった動物はなんなんだろう。妙にじわじわとおかしいです。

    ○冬隣彼のヨンさまの産湯売る
     こ、これは挨拶句ですか(^^);

    ○彼方から円盤来たる文化の日
     私たちの文化にはなぜか基本教養として空飛ぶ円盤が根付いていますよね。何によって刷り込まれたのか、記憶の彼方を訪ねて行きたい今日この頃です。

    ○此の句集背表紙がない秋のてふてふ
     これは西原天気さんへの挨拶句ですね。お~い!

    ○横須賀の旋律といふ冬日向
    「これっきりこれっきりもう」なのか「私は昔横須賀ガール」なのか分からないけど、「冬日向」によって忘却の彼方に懐かしすぎる海が見えるようです。

    ○飛行船やがて手が生え月に触れ
     にぎやかな都市を飾るライトアップされた飛行船ですが、「やがて手が生え」という妄想が楽しいです。

    返信削除
  3. ○我我は宇宙人なり茸狩
    茸が言ってるんですよね。サイケにして多様性に富むデザインはまさに地球外生命体。

    ○干し柿の平たく言へば我慢して
    艱難辛苦に耐えて甘くなるんですね。

    ○他校より借りきし選手黄落す
    ○年忘れ他人の靴を履いて出る
    ありがちな、だけど限定的な場面の切り取り方がすてきです。

    ○萩抜けて猫は他人の眼なりけり
    飼い猫と往来でばったり出くわしたときの互いの(?)きまずさが十七文字に凝縮されてます。

    ○誰彼となくほほゑみて菊人形
    清げなアルカイックスマイルの無節操をずばりと。

    ○此の世ではつひに飛蝗を捕れずあり
    前世ではいっぱい捕ってたんでしょう。

    ○露霜や此の世はよその家ばかり
    当たり前のことを真顔で嘆くおかしみ。

    ○ことごとくはづすPK鳥渡る
    ああ…閑古鳥のような…

    ○行く秋やトーテムポール寄り目がち
    トーテムポールは秋が似合う気がします。

    ○住所録一行消して蔦紅葉
    静かなさみしさが「蔦紅葉」でしっとり落ち着いてます。

    ○小春日のポルシェを影のゆるすかな
    「小春日」「ポルシェ」「影」「ゆるす」と全体の字感がすてきだったので。

    返信削除
  4. ●干し柿の平たく言へば我慢して
    謝罪会見に干し柿が振舞われたのでしょうか。
    皺とペッちゃんこな姿が象徴的です。

    ●小春日や我慢をすれば痩せられる
    まさにおっしゃるとおりです。座右の銘として頂き。

    ●行く秋や他人同士の降りる駅
    この場合、青の他人。

    ●焼芋屋他人の空似だとしても
    見れば見るほど、元カレそっくり。

    ●萩抜けて猫は他人の眼なりけり
    猫は自立性が強いので、そういう目をします。まなこなりではなく、眼なりけりに共感。

    ●兔ゐてその他と共に抱上げる
    解釈A、他に亀とかが居る。B、自分以外その他大勢。その場合は兎も百匹いえ(百羽)くらい。

    ●彼は白我はサフラン色の膝
    マリー・ローランサンの色づかい。美術館閉鎖とは嗚呼。

    ●彼氏てふイントネーション枯芒
    カレシって云い方、古臭いと思います。

    ●ガタがきてビシッとせぬ首破れ蓮
    考える蓮ですから、立派です。

    ●十一月机の前に椅子があり
    十二月には机の上に椅子が乗ることでしょう。

    ●冬服のお江戸の顔に困りけり
    私なんか戦国時代の顔ですよ。

    ●当番に面倒見られなきうさぎ
    生き物係りは歌がヒットして大忙しなんです。

    返信削除
  5. 我我は宇宙人なり茸狩
     全然季節が違うのですが扇風機に向かって人が言うことばは「ワレワレハ…」が多いのではないでしょうか。茸狩って知らない人から見たらきっと不思議な行動です。

    わが魂に及ぶ他国の秋出水
     バンコクに迫る洪水を思いますが、高低差がないせいで数ヶ月もかけて到達する出水というのは恐ろしいものです。魂に及ぶ凄みがあります。

    年忘れ他人の靴を履いて出る
     うっかり感が出ています。

    立冬の他人を仰ぐ電気かな
     電気そのもの、のように読めてしまいますが電灯ととります。乾いた読後感のある句です。

    兔ゐてその他と共に抱上げる
     その他って何?と思いつつ。

    小春日や私の彼は左巻き
     鈍い彼を見捨てず、ちいさな幸せを求め続けていってほしい思いを込めて(かなり余計なお世話)

    彼は白我はサフラン色の膝
     上五に少々無理があるようにも思いますが、ほのエロさがよい。

    此の家の先祖代々花八つ手
     花八つ手二句ありましたがこちらをいただきました。表記のバランスも不思議とよい感じがします。

    LEDのひかりまつすぐ菊膾
     句意ははかりかねるのですが、光景を思い浮かべる(菊膾に青色LEDの灯が差している)とくっきりとしています。LEDというと青を思い浮かべがちになってしまいます。

    十一月机の前に椅子があり
     結句少々すわりが悪い感ありますがしんとした美しさがあります。

    昭和通り平成通り文化の日
     文化の日は昭和の遺産…などと軽口をたたきつつ。「平成通り」って日本のあちこちにあるのですね。

    深秋のダンスフロアー黒光り
     秋は床に目のいく季節…かどうかはわかりませんが、よく使い込まれた木の床が思い起こされました。

    返信削除
  6. ○我いつか梟的に膨らむや
    よくわからないんですが「梟的に膨らむ」がなんともいい。そうだ歳をとっていくことは梟的に膨らんでいくことなんだな、と納得しました。

    ○他意のなき海鼠を食んでをりにけり
    はい。海鼠には他意はありません。人間、ことに俳人にはあります。

    ○年忘れ他人の靴を履いて出る
    このよくある感は俳句です。工夫(作為)の無さっぷりが好き。ふりかもね。
    萩抜けて猫は他人の眼なりけり

    ○誰彼となくほほゑみて菊人形
    そこがね、怖いんです。菊人形は。

    ○彼氏てふイントネーション枯芒
    カにアクセントあった時代から棒読みのカレシになって幾歳ぞ。なんだか中身も乾いて軽くなり申した。

    ○彼方から円盤来たる文化の日
    文化の日との取り合わせはこうしたものではありますが、このハリウッド的なノー天気さは好みです。

    ○此の家の先祖代々花八つ手
    地味だけどのびのびした家系ではないかと、「此の家」とはお近づきになりたい感じです。

    ○此辺りの者で候ふ秋の暮
    いまでは「秋の暮」は実に難しい季語です。候文のトボケた味わいがよろしいと思う秋の暮。

    ○ことごとくはづすPK鳥渡る
    秋ですねェ。「鳥渡る」もストレートでよいです。しみじみ。

    ○行く秋やトーテムポール寄り目がち
    そうだね、というしかない行く秋や。

    ○住所録一行消して蔦紅葉
    変えるのではなく消すのですね。死による別れとはとは限らず、のところがよいです。

    ○飛行船やがて手が生え月に触れ
    「手が生え月に触れ」のフレーズいいな。チェコ漫画なイメージ。

    返信削除
  7. 選句です。

    ○我我は宇宙人なり茸狩
    UFOでやってきたエイリアン、茸好きだったのね。

    ○干し柿の平たく言へば我慢して
    あの皺皺は我慢の象徴、納得。

    ○蓑虫は蓑のまんなか我武者羅に
    いっしょうけんめいもがいています。

    ○行く秋や他人同士の降りる駅
    確かに、知らぬもの同士。

    ○年忘れ他人の靴を履いて出る
    ないようであるらしいです。w

    ○誰彼となくほほゑみて菊人形
    そのほほえみが曲者です。

    ○彼氏てふイントネーション枯芒
    いやぁ、あのイントネーションは未だに慣れません・・。

    ○此の地帯芒呆けてゐるばかり
    呆けての描写が上手いです。

    ○ガタがきてビシッとせぬ首破れ蓮
    なんという哀愁。

    ○行く秋やトーテムポール寄り目がち
    不思議感があります。

    ○深秋のダンスフロアー黒光り
    熟年、実年、壮年パワーを思います。

    ○密柑山一瞥連絡船帰る
    一瞥がさりげなく実感あり。

    以上、いただきました。

    返信削除
  8. ○干し柿の平たく言へば我慢して
    干し柿と我慢、納得です。上手いですね。

    ○行く秋や他人同士の降りる駅
    あたりまえのことですがこう言われると何かありそうに感じます。

    ○年忘れ他人の靴を履いて出る
    いかにもありそうということでいただきました。

    ○萩抜けて猫は他人の眼なりけり
    萩の質感と猫の不思議さ。

    ○兔ゐてその他と共に抱上げる
    その他と省略されてしまったものが切ないです。

    ○彼方より来たる冬蜂箱に入る
    冬蜂の冬が効いていると思いました。

    ○此の句集背表紙がない秋のてふてふ
    「けむり」でしょうか。てふてふで軽さがでています。

    ○此の世ではつひに飛蝗を捕れずあり
    そんなことにこだわっているこの世が可笑しいです。

    ○ことごとくはづすPK鳥渡る
    鳥渡るはとってつけたようなんですが、却ってそれが哀愁を感じさせます。

    ○十一月机の前に椅子があり
    この何も言っていない感じは好みです。

    ○母と寝る部屋いつぱいに虫の声
    甘いけれど虫の声がなんとも郷愁を感じさせます。

    ○密柑山一瞥連絡船帰る
    一瞥のドライなところがいいですね。瀬戸内海でしょうか。

    返信削除
  9. 再投稿です。ダブっていたらすみません。

    ○我我は宇宙人なり茸狩
     そう、地球人だって宇宙人。異星人のような茸らへおどけて告げながら、狩っていく。こわいこわい。


    ○小春日や我慢をすれば痩せられる
     う…そうなんですけど…そうなんですけと!

    ○わが魂に及ぶ他国の秋出水
     このもどかしさ。

    ○他意のなき海鼠を食んでをりにけり
     海鼠には気の毒な事です。

    ○兔ゐてその他と共に抱き上げる
     これ好きです。抱き上げるべきものはいっぱいある、中でも兎を愛しく感じたのだろうなと。

    ○小春日や私の彼は左巻き
     わったしのわったしの彼はー♪愛があるかーらー大丈夫ーなーのー♪

    ○此の句集背表紙がない秋のてふてふ
     けむりにならず蝶と化して此の手を去っていく幻を見ました。

    ○此れはキーを叩く音なり稲雀
     稲雀に教えているようでおもしろい。

    ○ことごとくはづすPK鳥渡る
     しらけ鳥?しかしフィールドは緊張状態ですよ。

    ○小春日のポルシェを影のゆるすかな  
     ゆるすが良かった。
     
    ○昭和通り平成通り文化の日
     リズム。年号を冠した通りと文化の取り合わせが皮肉っぽくもあり。

    ○冬服のお江戸の顔に困りけり
     面白い。着る方がなのか着られる方がなのか。

    返信削除
  10. ○我いつか梟的に膨らむや
    「梟的にふくらむ」に参りました。あるフクロウは敵が来るときゅーっと細く伸びるらしいけど、「いつか」というのだから希望的観測なのでしょう。

    ○干し柿の平たく言へば我慢して
    なるほど、と納得。「平たく」が両義的に働いていますね。

    ○無我といふ冬野へ入りて帰らざる
    寒々した虚無感。

    ○焼芋屋他人の空似だとしても
    「だとしても」の止めがよいです。

    ○他意のなき海鼠を食んでをりにけり
    本意も他意もないだろう。

    ○他校より借りきし選手黄落す
    借りた方はガックリだけど、本人はそうでもないのだろう。

    ○兔ゐてその他と共に抱上げる
    兔よりも「その他」に注目を集めさせるニクイ句。

    ○小春日や私の彼は左巻き
    季語がぴったりのような。

    ○行く秋のむづかしさうな此処は何処
    ユニークな捉え方です。

    ○ことごとくはづすPK鳥渡る
    ああーっと天を仰げば…。

    ○冬服のお江戸の顔に困りけり
    やっぱり着流しでないとお江戸の顔にはなりません。

    ○飛行船やがて手が生え月に触れ
    すごい発想。月に触れちゃうのがいいですね。

    返信削除