2012年5月14日月曜日

田中理恵句会・投句一覧

お待たせしました。9人だとやや淋しいですね。

【田】
スカイツリー目指してゆける青田波
蛇の衣半田さん助けてください
出陣のごとき田植の日なりけり
小満や田の神さあの厚化粧
禅定の手を丹田にこどもの日
丹田に重さを預け卯波かな
田植する父は背中で応へけり
背の高い男と田町朴匂う
葉桜の山につむじや羽田発

【中】
写生子も青葉若葉の絵の中に
社運とは等身大の水中花
青嵐途中途中にある道標
中心で棒持つ生徒夏来る
中身のない俳句もよろし海水着
藤は実に宙ぶらりんの中学生
薄暑かな中華思想の人とゐて
蚯蚓踏み中断したる口喧嘩
鯰いま谷中にゐます黒電話

【理】
くろぐろと梅雨闇といふ理性かな
リラ冷の膝に教理問答集
夏の森肌理こまやかな風とゐる
蝦蟇鳴くや料理酒またも買ひ忘れ
大括弧に挟まるる理事蕗畑
理科室に少年二人さみだるる
理科室を出て薄暑の白衣かな
老鶯や仕掛けられたる心理戦
屁理屈の僧の集まる安居かな

【恵】
夏蛙知恵の輪のごと鳴きあへり
恵まれぬ人とは誰ぞ夕薄暑
恵子という名前激減新茶汲む
恵贈句集毎月十冊の暑さかな
恵比須顔くづさぬ男夕薄暑
蛇ゆゑに知恵の言葉の長きかな
聖五月なぜか恵の付く女子ばかり
釣堀の在りかを問へり恵比寿駅
蟇恵みの雨を得てきれい

【当季雑詠】
嫁といふ立ち位置にゐて額の花
階下より口笛聞こえ五月来る
兄と選る紫色のカーネーション
詩碑のある浜を歩いて行く夕焼
寺町の坂ゆるやかや若葉雨
城跡に古き井戸あり遠郭公
赤チンを塗つて些か蜥蜴めく
唾液腺きゆとほとばしる谷若葉
大の字に寝て夏空を飛ぶごとし
丁寧に青梅のへそ取つてをり
風五月歌つて五輪三きやうだい
朧夜にひとり花を見る月を見る

(以上)

9句選(特選、逆選なし)
選句締切:5月18日(金)24時(JST)
投稿先:恒信風句会
http://koshinfu.blogspot.com/

題に関わらず全体から9句選にてお願い致します。
整理の都合上、句の順番はそのままにして下さい。
投句一覧へのコメントとして、投稿して下さい。その際、名前/URLというのを選択して、俳号もしくはご本名を入力して下さい。URLは入れなくてよいです。
なお、右側の「最近のコメント」という欄は反映するのに時間がかかるようです。

ではよろしくお願い致します。

10 件のコメント:

  1. ★スカイツリー目指してゆける青田波
     清々しい御のぼりさんの風情。

    ★背の高い男と田町朴匂う
     「田町」の唐突さ加減が好み。

    ★青嵐途中途中にある道標
     うむ。深読みせずに味わいたい句。

    ★中身のない俳句もよろし海水着
     そうそう。ぽかんと楽しめる俳句、いいもんです。

    ★夏蛙知恵の輪のごと鳴きあへり
     どんな鳴き方なのだろう。想像するだけで楽しい。

    ★恵比須顔くづさぬ男夕薄暑
     体系も恵比寿様のようなのでしょう。

    ★釣堀の在りかを問へり恵比寿駅
     釣堀句、取っちゃうんだよねぇ。この句も「恵比寿」の唐突さ加減が好み。

    ★嫁といふ立ち位置にゐて額の花
     「立ち位置」いろいろとお気遣いされている感ひしひし。

    ★赤チンを塗つて些か蜥蜴めく
     あのてらてらとした光り加減は確かに蜥蜴っぽい。

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  2. 中身のない俳句もよろし海水着
     たまには良いでしょ。水遊びを楽しみましょ。

    理科室を出て薄暑の白衣かな
     何の実験されていたのかな。

    恵比須顔くづさぬ男夕薄暑
     こんな親父になりたいです。

    釣堀の在りかを問へり恵比寿駅
     東京にも釣堀があるんですかね。。。

    嫁といふ立ち位置にゐて額の花
     嫁にしか知らない、嫁だけに咲く花。

    階下より口笛聞こえ五月来る
     子供たちは元気よく遊びに出かけます。

    兄と選る紫色のカーネーション
     紫色とはどんな心境なのかな。。。

    詩碑のある浜を歩いて行く夕焼
     たまには詩人らしく歩くのもよろし。

    寺町の坂ゆるやかや若葉雨
     上から降りてくるのは、きれいなご貴婦人。

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  3. ○中身のない俳句もよろし海水着
    取合せが斬新。

    ○鯰いま谷中にゐます黒電話
    黒電話が懐かしいです。

    ○夏の森肌理こまやかな風とゐる
    初夏の森の風を感じます。

    ○理科室を出て薄暑の白衣かな
    「は」の韻が良いですね。

    ○夏蛙知恵の輪のごと鳴きあへり
    そうか、あの大合唱は知恵の輪のようなのですね。

    ○釣堀の在りかを問へり恵比寿駅
    恵比寿駅だと親切に教えてくれそう。w

    ○階下より口笛聞こえ五月来る
    うきうき感がありますね。

    ○寺町の坂ゆるやかや若葉雨
    静かな雨に石畳が濡れています。

    ○赤チンを塗つて些か蜥蜴めく
    面白い把握です~。

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  4. すみません。名前間違えました。
    楚良→空猫です。(ばればれですが・・・)

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  5. ○葉桜の山につむじや羽田発
    飛行機からでないとわからない山のつむじ。まさか、竜巻?

    ○社運とは等身大の水中花
    社運も社員次第?

    ○薄暑かな中華思想の人とゐて
    少日本人の中にも。

    ○鯰いま谷中にゐます黒電話
    全生庵に鯰絵があったっけ? ま、それはともかく、黒電話の存在感が鯰めく。

    ○夏の森肌理こまやかな風とゐる
    さわやか。

    ○夏蛙知恵の輪のごと鳴きあへり
    鳴き声が絡み合っている。

    ○蛇ゆゑに知恵の言葉の長きかな
    「アダムとイヴ」の蛇でしょうか。

    ○嫁といふ立ち位置にゐて額の花
    でしゃばらず控えめに、それでいて人目を惹き愛される…そんな感じか。

    ○赤チンを塗つて些か蜥蜴めく
    なつかしい。赤チンだらけになるのであまりつけなかったけど。「蜥蜴めく」なるほど。

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  6. ●蛇の衣半田さん助けてください
    恒信風句会ならではの句。何故半田さんなのだろうか。
    とにかく気になってしょうがない句なので無視できず。

    ●背の高い男と田町朴匂う
    見上げれば濃緑の葉の中に隠れている朴の花が。
    のっぽの彼と歩けばこその発見。田町の銭湯帰りか。

    ●中心で棒持つ生徒夏来る
    学生なら授業料値上げ反対のデモか。この句は生徒なのでマスゲームの練習か。棒という語一つでエネルギーを感じさせられる。

    ●老鶯や仕掛けられたる心理戦
    飯島晴子の「さうかさうかと聞いてやる」の句を思いました。

    ●屁理屈の僧の集まる安居かな
    安居と言う兼題が出たら、こういう句を作ろう。

    ●恵贈句集毎月十冊の暑さかな
    そりゃぁ暑いことでしょう。 

    ●蟇恵みの雨を得てきれい
    いぼいぼが光ってさぞきれいなことでしょう。この素直な
    詠みっぷりは好きです。

    ●唾液腺きゆとほとばしる谷若葉
    どういう場面か。いろいろ想像したが、ここは中七と
    坐五の相性でいただきとしました。

    ●丁寧に青梅のへそ取つてをり
    昭和の新妻って感じがいいです。

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  7. ○丹田に重さを預け卯波かな
     腹に軽く力を込めて、でも身体はリラックス。卯波に漂い出るようで気持ちがいい。

    ○葉桜の山につむじや羽田発
     ユーモラス。ミステリーサークルだったら嫌だ。

    ○夏の森肌理こまやかな風とゐる
     全身で濃厚な空気を感じている様子としてのきめ細やかという風の把握が納得。

    ○理科室に少年二人さみだるる
     どうした少年切ない顔しちゃってさ!好きで籠もってる感じですね、それがいい。

    ○蛇ゆゑに知恵の言葉の長きかな
     古い聖書にある挿絵のように、リボンになったセリフが口からにょろにょろ。やはり堕落を促す言葉かしらん。

    ○階下より口笛聞こえ五月来る
     単純に、五月が楽しそうなので。理由はいらないのです。

    ○寺町の坂ゆるやかや若葉雨
     若葉雨の明るさがいい。

    ○赤チンを塗つて些か蜥蜴めく
     井守のようでもありますが。ちっと毒々しいですね。

    ○大の字に寝て夏空を飛ぶごとし
     そういうひとに、わたしはなりたい。

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  8. ◯丹田に重さを預け卯波かな
    修行中でしょうか。卯波でバランスがとれている。

    ◯田植する父は背中で応へけり
    晴天の田んぼではこの背中がまぶしいです。

    ◯中心で棒持つ生徒夏来る
    比喩のようにも具体のようにも。

    ◯中身のない俳句もよろし海水着
    そう言っていただけるとホッとするわたし。

    ◯理科室に少年二人さみだるる
    田中君を思い出し・・。

    ◯恵比須顔くづさぬ男夕薄暑
    そう言いたくなるようなお顔、最近見かけません。

    ◯寺町の坂ゆるやかや若葉雨
    コントラストありつつしっとり落ち着いて。

    ◯赤チンを塗つて些か蜥蜴めく
    色は違うのに感じがわかります。

    ◯丁寧に青梅のへそ取つてをり
    楊枝とかで掘りだすんですよね。

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  9. 〇写生子も青葉若葉の絵の中に
    学校の写生会でしょうね。描いている子も、誰かの絵の中に居るかもしれない。

    〇中心で棒持つ生徒夏来る
    玉入れの一年生のために六年生が。運動会は、新しい学級をまとめる目的で五月が多いですね。

    〇屁理屈の僧の集まる安居かな
    あの禅宗に違いない。

    〇夏蛙知恵の輪のごと鳴きあへり
    そんな夕べに出会いたい。山や川や田や月や。

    〇恵比須顔くづさぬ男夕薄暑
    どんなお仕事の方でしょうか。福助とかいうお名前だったりして。。

    〇蟇恵みの雨を得てきれい
    きれいの中身が書かれていませんが、見たことがあるような。

    〇階下より口笛聞こえ五月来る
    二階とか階下とか、俳句のお助け言葉らしい。

    〇詩碑のある浜を歩いて行く夕焼
    どこの浜かしら。名残惜しく歩いて行く夕焼は色薄くなりつつ。

    〇風五月歌つて五輪三きやうだい
    爽やかですね。頑張って欲しい。

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  10. ○田植する父は背中で応へけり
     仕事に集中する厳父の像が感じられます。

    ○葉桜の山につむじや羽田発
    「羽田発」がやや説明的な感もありますが、「山につむじ」という捉え方がよいです。

    ○中身のない俳句もよろし海水着
     「中身なき」とせず、中身だけでなくかたちもだらしなく作ったところがよいです。「海水着」という季語の斡旋がまた絶妙です。

    ○薄暑かな中華思想の人とゐて
     ぜんぜん余談ですが、むかし山下洋輔とか筒井康隆が「冷し中華思想」などと馬鹿なことを言っていた頃、私は「中華思想」という言葉を知らず、すごく損をしました。「薄暑かな」に曰く言い難い距離を感じます。

    ○夏の森肌理こまやかな風とゐる
     涼しげな森の風について、「肌理こまやかな風」と詠んだところがよいです。【理】で「肌理」を出してきたのも流石。

    ○理科室に少年二人さみだるる
     同性愛でしょうか。

    ○夏蛙知恵の輪のごと鳴きあへり
    「知恵の輪のごと」という比喩が成功しているのか、いまひとつ釈然としないのですが、鳴き声がからみあい、ほどけないのでしょう。もっとぐにゃぐにゃした比喩の方がいいような気もします。

    ○寺町の坂ゆるやかや若葉雨
    さわやかです。「や」で明確に切らなくても、この場合いいような気もします。

    ○丁寧に青梅のへそ取つてをり
     「へそ」という言い方がよいのかな、じつに飄逸な味わいがあります。

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