2012年6月24日日曜日

夜想曲集句会・投句一覧

【夜】
夏の夜の解体ショーを目の当たり
新緑の夜に触りて帰りけり
深夜二時震へてをりぬ花氷
発電所夜ごと水母の集まれる
夜の客待ち続けゐる端居かな
夜の田へ足差し入るや土用東風
夜鷹鳴く下草に足濡れている
夜濯の中を見られてしまひけり

【想】
まくなぎのやうな懸想をしてゐたる
夏痩せて大きなものを想ふなり
開襟の麻シャツ思想家にはなれず
構想のひとつ崩るる雲の峰
失恋もハンカチーフも想定内
想像を越へぬ優しさ柚子の花
想定を超えることなき扇風機
地下室の瞑想揺する遠花火

【曲】
まつすぐに曲線を引く夏燕
関節のどこか曲がりてハンモック
曲り家に厩くろぐろ旱雲
準教授バナナと臍の曲がり方
象の曲芸見た日の陶枕の硬さ 
青嵐曲がれば捨てる制御棒
折り曲げしままのストロー夏惜しむ
短調の曲を流して遊び舟

【集】
あぢさゐに蒐集癖のありにけり
カチューシャで待ちをる夏至の収集車
ガラス越し目玉集めて母水母
集計の数字正しき蛍かな
集合と離散の内にラムネ干す
滝壺に集まっている水の色
島中の子供集めて海開き
氷菓手に集合場所に戻り来る

【当季雑詠】
eメール読みにぶんぶん横つ飛び
あぢさゐとあじさい寺に続く道
きしきしとあまたまとへり洗ひ髪
てんと虫見てゐてむせる赤ん坊
夏蝶の両輪のごと求愛す
貝風鈴島の石段登り切り
曲名の分からぬ歌と桜の実
空蝉の足絡まっている真昼
上海のことなど聞きてアマリリス
人形のむずと西日に捕まりぬ
入れ墨の蝙蝠ひそむ宇宙服
噴水の三筋もつれて修羅場かな
雄揚羽又一頭や展翅針
蓮見舟うつろの顔の降りてきし

(以上)

10句選(特選、逆選なし)
選句締切:6月27日(水)24時(JST)
投稿先:恒信風句会
http://koshinfu.blogspot.com/

題に関わらず全体から10句選にてお願い致します。
整理の都合上、句の順番はそのままにして下さい。
投句一覧へのコメントとして、投稿して下さい。その際、名前/URLというのを選択して、俳号もしくはご本名を入力して下さい。URLは入れなくてよいです。
なお、右側の「最近のコメント」という欄は反映するのに時間がかかる
ようです。

ではよろしくお願い致します。

8 件のコメント:

  1. ★夜濯の中を見られてしまひけり
    これは恥ずかしいかも。

    ★開襟の麻シャツ思想家にはなれず
    もともと思想家を目指してはいないような気がする。

    ★象の曲芸見た日の陶枕の硬さ
    散文では到底言い得ない世界。この陶枕は硬くて冷たい。
     
    ★折り曲げしままのストロー夏惜しむ
    この時期どっと疲れが出たりする。

    ★短調の曲を流して遊び舟
    少々暗めのBGMがよろしいのです。

    ★滝壺に集まっている水の色
    上手い表現。

    ★島中の子供集めて海開き
    皆眼がきらきらしていそう。

    ★氷菓手に集合場所に戻り来る
    ツアーバスのおトイレ休憩後の車中はこんな感じ。

    ★空蝉の足絡まっている真昼
    空蝉の儚い存在感。

    ★上海のことなど聞きてアマリリス
    上海がなんとなくイイ。

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  2. ○発電所夜ごと水母の集まれる
     発電所のどこか不吉な雰囲気を捉えている。ちなみに山口誓子の昭和46年の句で「舟虫が溌剌原子力発電」というのがある。

    ○夏痩せて大きなものを想ふなり
     具体的に何といわない「大きなもの」がよい。

    ○失恋もハンカチーフも想定内
     「失恋魔術師」「木綿のハンカチーフ」

    ○象の曲芸見た日の陶枕の硬さ
     天竺あたりの舶来の動物の雰囲気を今に伝えていて、じつによいです。

    ○短調の曲を流して遊び舟
     遊覧船のテープの案内ですね。

    ○あぢさゐに蒐集癖のありにけり
     あの、ぶわっ、と集まっている感じは蒐集癖だったのですね。

    ○滝壺に集まっている水の色
     滝壺をやや離れると、それはもう水以外の色にまみれているのですね。

    ○氷菓手に集合場所に戻り来る
     ほんとうの集合時間までまだ間がある感じを捉えています。

    ○あぢさゐとあじさい寺に続く道
     昨今、道沿いに俳句をいくつも掲示しているところって、ありますよね。

    ○上海のことなど聞きてアマリリス
     ハイブリッドにエキゾチックですね。

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  3. 今回も完全試合になるかどうか・・・

    発電所夜ごと水母の集まれる
    余程温かいんでしょうね。有害な物質が入っていなければ良いのですが・・・

    新緑の夜に触りて帰りけり
     新緑より万緑の方がさらに良いと思います。

    夜濯の中を見られてしまひけり
     確かに見られたくないです。

    まくなぎのやうな懸想をしてゐたる
     ふわふわの空想家。

    開襟の麻シャツ思想家にはなれず
     現実社会では通用せず。

    関節のどこか曲がりてハンモック
     どこが曲がるんでしょうかね。。。

    滝壺に集まっている水の色
     いろんな色の水が集まって来ます。

    氷菓手に集合場所に戻り来る
     バス観光客のお通りでござる。

    上海のことなど聞きてアマリリス
     アマリリスには何にも関係ないけど、面白いです。

    噴水の三筋もつれて修羅場かな
     どの筋が勝つのか、見てる方も楽しいです。

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  4. ●夜濯の中を見られてしまひけり
    ローテク、スローライフをひそかに楽しんでいたのに。

    ●開襟の麻シャツ思想家にはなれず
    思想にふける人はクールビズなどに気をとられないのでしょう。

    ●象の曲芸見た日の陶枕の硬さ
    陶枕に象が乗る。そりゃ、硬いことでしょう。
     
    ●短調の曲を流して遊び舟
    舟遊びでないところが・・・

    ●滝壺に集まっている水の色
    泉、プール、などなど、水の色はそれぞれ。

    ●島中の子供集めて海開き
    島に子供がたった一人になってしまった日々をテレビで視ました。

    ●氷菓手に集合場所に戻り来る
    時間ぴったりに戻ってくるのはドイツ人だとか。ソフトアイスをなめながらはイタリー人、いやギリシャ人かも。

    ●空蝉の足絡まっている真昼
    中七の意味するところは、単なる観察眼を超えて、哲学的にも発展する。

    ●上海のことなど聞きてアマリリス
    アマリリスの花言葉は「すばらしく美しく」。 上海も今や
    同様らしい。

    ●蓮見舟うつろの顔の降りてきし
    「うつろな顔」でなく、「うつろの顔」であるところに深い意味があるのでしょう。

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  5. ○夏の夜の解体ショーを目の当たり
    何を解体しているのか解らないけれどシュール。夏の夜そのものを解体しているようでも。

    ○新緑の夜に触りて帰りけり
    新緑なれば夜にも触れることができそう。

    ○発電所夜ごと水母の集まれる
    実は水母も発電に一役かっているとか。

    ○夜濯の中を見られてしまひけり
    洗濯中の物をあかの他人に見られるのはなんだか恥ずかしいもんです。

    ○失恋もハンカチーフも想定内
    今度こそうまくいきます様にと祈らずにいられない。。。

    ○想像を越へぬ優しさ柚子の花
    まあきっとそんなもんです。優しさがあるだけマシだと思えば。

    ○関節のどこか曲がりてハンモック
    腕とか脚とかあらぬ方向に曲がっているようにも思えてやや気持ち悪いです。

    ○折り曲げしままのストロー夏惜しむ
    夏のうちにやろうとしてできなかった事への後悔のようなものが。「まま」効果です。

    ○氷菓手に集合場所に戻り来る
    暑かったんですよね。集合場所も炎天下のように思えます。

    ○人形のむずと西日に捕まりぬ
    西日がなければ人形が自分の後ろをついて来るんじゃないか。怖いです。

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  6. ○発電所夜ごと水母の集まれる
    シュールです。w

    ○夏痩せて大きなものを想ふなり
    安定感、安心感からだろうか。

    ○失恋もハンカチーフも想定内
    きっぱりと吹っ切ります。

    ○想定を超えることなき扇風機
    そこが良いのです。

    ○象の曲芸見た日の陶枕の硬さ 
    陶枕を取り合わせたセンスが良いです。

    ○短調の曲を流して遊び舟
    エキゾチックな雰囲気。

    ○カチューシャで待ちをる夏至の収集車
    カチューチャが何気に効いています。

    ○滝壺に集まっている水の色
    改めて水の色といわれて納得。

    ○氷菓手に集合場所に戻り来る
    あるあるの情景ですね。

    ○人形のむずと西日に捕まりぬ
    西日のやるせない暑さが描けています。

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  7. ○夏の夜の解体ショーを目の当たり
    目の当たりという表現に一部始終を見てしまったとまどいのようなものを感じます。

    ○新緑の夜に触りて帰りけり
    新緑なのでそう言われれば触れそうな気がします。

    ○まくなぎのやうな懸想をしてゐたる
    自分でももてあましてしまいそうですね。

    ○想定を超えることなき扇風機
    想定内でも十分満足。

    ○関節のどこか曲がりてハンモック
    見ているほどには本人はリラックスできていないような。

    ○象の曲芸見た日の陶枕の硬さ 
    内容もリズムもごつごつとして印象的。

    ○滝壺に集まっている水の色
    何も言っていないようで巧みな表現だと思います。

    ○島中の子供集めて海開き
    健康そうで好感をもちました。

    ○上海のことなど聞きてアマリリス
    アマリリスの派手さ、上海ならば良い風情かもしれません。

    ○人形のむずと西日に捕まりぬ
    状況はよくわかりませんが怖いです。

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  8. ○夏の夜の解体ショーを目の当たり
     違うのはわかっているのですが、衛生博覧会のようないかがわしさが何故か漂い。

    ○発電所夜ごと水母の集まれる
     発光していそう。(しないけれど)温かい水にふらふら集まって来るクラゲ、インパクトあります。

    ○夜濯の中を見られてしまひけり
     これは気まずい。世濯ぎ自体、あまり目撃されたくないものです。

    ○関節のどこか曲がりてハンモック
     快適なはずがどこか窮屈そうでおかしい。

    ○象の曲芸見た日の陶枕の硬さ
     興奮と違和感でしょうか。夏の寝苦しさと相まって。

    ○カチューシャで待ちをる夏至の収集車
     きちんと見送る、几帳面な人なのかしらん。

    ○滝壺に集まっている水の色
     水色の違いに目の付け所。

    ○貝風鈴島の石段登り切り
     貝のしゃらしゃら鳴る音が、島の白い日差しや砂を想起させますね。

    ○上海のことなど聞きてアマリリス
     アマリリスの厚ぼったさ、ちょっと気だるい感じがいいです。

    ○蓮見舟うつろの顔の降りてきし
     魂抜けてしまったんですかね。蓮ならありそうです。

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