2013年8月11日日曜日

美辞麗句句会・投句一覧

【美】
かなかなや暗き匂ひの美術室
ジブリのやうに美瑛の丘に夏果つる
なしくづす男の美学かき氷
敗戦日美形ばかりの映画かな
美しきアキレス腱や庭花火
美も善も走れ一億総残暑
美人画の汗をかかざる美人かな
美談なく男だらけのビヤガーデン
片時も離れぬ美猫秋暑し
蟷螂の立ちたる美しき角度

【辞】
つくつくし一日辞書を引いてをり
炎天をまつすぐに来て職を辞す
金魚売辞表を書いてゐたりけり
秋あふぎ世辞は撒餌のやうなもの
秋桜答辞のやうに揺れてゐし
秋思して国語辞典を買ひ替へぬ
短夜や辞世の一句更新す
菩提寺を辞し蝉しぐれ蝉しぐれ
履歴書も辞表も白い夾竹桃
腑に落ちぬ辞書の解説原爆忌

【麗】
「麗しのサブリナ」サイダー欲しくなる
「麗しのサブリナ」を見て昼寝せる
秋麗コーナーキック弧を描き
秋麗や故郷に初の高架駅
秋麗萎縮してゐる飛行船
水打つて大原麗子の忌なりけり
百人の麗子の灯す物語
踊子の十指麗し殊に小指
麗かに横たはりたる黒葡萄
麗人の麗人のまま水打てり

【句】
かの人の句集のやうな浴衣かな
愛情とは文句言ひ合ふ敗戦日
炎昼のひろば一言隻句無し
句会ですか苦界ですかと蠅が飛ぶ
句読点打ちたくなりし蝉時雨
肴あれば肴に文句秋風鈴
辞世句を考へてゐる油照
常套句ばかりに飽きて菊膾
酔眠の挙句灼熱終戦日
俳句から文字の出てゐる秋の暮

【当季雑詠】
せはしなきスマートフォンの指極暑
ホームベース踏み損ねたる夏の果
稲妻や枕を二つ並べたまま
苦瓜の棉こそげ取ることも愛
寝違へて斜めに泳ぐ金魚かな
深夜テレビずつと熱帯魚を映す
川遊びして昼寝して星を観る
扇風機場末の音のしてゐたり
池袋漫画喫茶のシャワー浴ぶ
柱間を抜けし灯籠の薄明かり
転院の父の繰言団扇風
翌日の風船といふ凌霄花

(以上)

10句選(特選、逆選なし)
選句締切:8月13日(火)24時(JST)
投稿先:恒信風句会
http://koshinfu.blogspot.com/

題に関わらず全体から10句選にてお願い致します。
整理の都合上、句の順番はそのままにして下さい。
投句一覧へのコメントとして、投稿して下さい。その際、名前/URLというのを選択して、俳号もしくはご本名を入力して下さい。URLは入れなくてよいです。
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ではよろしくお願い致します。

11 件のコメント:

  1. ★かなかなや暗き匂ひの美術室
     暗き匂い…言い得て妙。

    ★敗戦日美形ばかりの映画かな
     昔のトップスターは、ファンだと公言することもおこがましいオーラがあった。

    ★美しきアキレス腱や庭花火
     フェチ。

    ★つくつくし一日辞書を引いてをり
     こういう一日もあり。

    ★炎天をまつすぐに来て職を辞す
     まっすぐな性格なのでしょう。

    ★秋思して国語辞典を買ひ替へぬ
     今や不遇な国語辞典。秋思は作者のやさしさ。

    ★秋麗コーナーキック弧を描き
     いかにも秋麗。

    ★水打つて大原麗子の忌なりけり
    8月だったんだねぇ。テレビドラマ「雑居時代」、可愛かったなぁ。

    ★ホームベース踏み損ねたる夏の果
     チームメイトの視線が怖い。

    ★寝違へて斜めに泳ぐ金魚かな
     そうか、あれは寝違えてたのね。

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  2. ○蟷螂の立ちたる美しき角度
    すっくとからだを起こした蟷螂は完璧なかたちです。

    ○つくつくし一日辞書を引いてをり
    その部屋の窓の外の空まで感じます。

    ○履歴書も辞表も白い夾竹桃
    履歴書も辞表=(炎天下にくっきりと)白い夾竹桃、なんですよね。

    ○秋麗や故郷に初の高架駅
    広々とした空の下の真新しい高架駅。この光景を日本の至るところで見ました。

    ○水打つて大原麗子の忌なりけり
    水を打ったあとの空気・匂い。なるほど大原麗子。

    ○かの人の句集のやうな浴衣かな
    わかるような気がします。歌集でも詩集でもなく。

    ○ホームベース踏み損ねたる夏の果
    終るということ、いっそ清々しい。

    ○扇風機場末の音のしてゐたり
    まだまだ健在。

    ○池袋漫画喫茶のシャワー浴ぶ
    池袋感があふれてます。

    ○転院の父の繰言団扇風
    団扇風にこの父と子の距離感。

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  3. ○かなかなや暗き匂ひの美術室
    夏休みの電球の灯らない美術室。匂いが暗いがいい。

    ○敗戦日美形ばかりの映画かな
    ナツシネ。たまに見るといい。

    ○美しきアキレス腱や庭花火
    ゾクゾクとする女性の生足。

    ○炎天をまつすぐに来て職を辞す
    まあ短気なこと。

    ○金魚売辞表を書いてゐたりけり
    金魚売も儲からなくて。

    ○秋麗コーナーキック弧を描き
    スポーツの秋。

    ○水打つて大原麗子の忌なりけり
    私も旅先にて一句詠みました。

    ○麗人の麗人のまま水打てり
    水を打つ麗人、見てみたい。

    ○かの人の句集のやうな浴衣かな
    誰やは知らねども。

    ○扇風機場末の音のしてゐたり
    埃まみれの巷の扇風機。

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  4. トオイダイスケ2013年8月11日 16:13

    ○かなかなや暗き匂ひの美術室
    美術室は確かに「暗き匂ひ」という感じ。

    ○美人画の汗をかかざる美人かな
    涼やか。

    ○蟷螂の立ちたる美しき角度
    角度を見たのがよい。

    ○金魚売辞表を書いてゐたりけり
    自営業じゃなかったんだ。。

    ○秋桜答辞のやうに揺れてゐし
    たくさん咲いている。

    ○短夜や辞世の一句更新す
    とても元気で健康。

    ○菩提寺を辞し蝉しぐれ蝉しぐれ
    二度重ねたのがよい。音の厚みと長さがある。

    ○秋麗コーナーキック弧を描き
    きれいにゴール前へ。カ行の音の繰り返しも心地良い。

    ○肴あれば肴に文句秋風鈴
    わがまま。

    ○扇風機場末の音のしてゐたり
    とても古い狭い飲み屋。

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  5. ○かなかなや暗き匂ひの美術室
    暗さに匂いがあるという発見。

    ○つくつくし一日辞書を引いてをり
    つくつくしは勤勉なのです。

    ○金魚売辞表を書いてゐたりけり
    金魚売をやめて次は何に?

    ○短夜や辞世の一句更新す
    更新するんですね。なかなか死ねない。

    ○履歴書も辞表も白い夾竹桃
    書くべき事柄がない。

    ○「麗しのサブリナ」サイダー欲しくなる
    サイダーのイメージ?

    ○秋麗や故郷に初の高架駅
    出来たての高架駅。少し都会になった感じ。

    ○水打つて大原麗子の忌なりけり
    「水打つて」がなぜかしっくり。

    ○稲妻や枕を二つ並べたまま
    ベッドではなく畳にに布団が敷いてあるイメージ。

    ○翌日の風船といふ凌霄花
    少し萎んでる。

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  6. ○かなかなや暗き匂ひの美術室
    油絵具やベンゼンの匂い、タバコの匂いも。

    ○美しきアキレス腱や庭花火
    しゃがんだ浴衣の裾から。

    ○蟷螂の立ちたる美しき角度
    75度ぐらいでしょうか。

    ○つくつくし一日辞書を引いてをり
    つぎつぎに飛んで、本来何を調べたかったのかわからなくなる。

    ○炎天をまつすぐに来て職を辞す
    ハッピーリタイアメント。人生これから。

    ○百人の麗子の灯す物語
    劉生の麗子が百人、百物語。ぞぞっ。

    ○句読点打ちたくなりし蝉時雨
    たしかに。

    ○深夜テレビずつと熱帯魚を映す
    アンビエント画像の熱帯魚で熱帯夜もいくらか涼しく。

    ○川遊びして昼寝して星を観る
    夏休みの絵日記風。簡明爽快。

    ○池袋漫画喫茶のシャワー浴ぶ
    池袋、ですね。

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  7. ○かなかなや暗き匂ひの美術室
    かなかなの鳴き声と薄暗い美術室の匂いが響きあいます。

    ○なしくづす男の美学かき氷
    なしくづすの上五に好感。

    ○片時も離れぬ美猫秋暑し
    美猫がいいですね。
    可愛いいけれど、うっとおしい感。

    ○蟷螂の立ちたる美しき角度
    昆虫の姿形は美しいです。

    ○菩提寺を辞し蝉しぐれ蝉しぐれ
    蝉しぐれのリフレインが生む余韻。

    ○句読点打ちたくなりし蝉時雨
    あるあると賛同いたしました。

    ○稲妻や枕を二つ並べたまま
    光と闇、雷鳴と静寂の対比が
    ドラマチック。

    ○寝違へて斜めに泳ぐ金魚かな
    寝違えたときの世の中はみんな斜めに見えるかも。

    ○扇風機場末の音のしてゐたり
    場末の音というのが昭和な感じ。

    ○翌日の風船といふ凌霄花
    ははは、うまいこと例えられました。w

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  8. ○なしくづす男の美学かき氷
    悲しくていとしくてかき氷がよい。

    ○敗戦日美形ばかりの映画かな
    敗戦日という季語は難しいと思うが、よく生かしている。

    ○美しきアキレス腱や庭花火
    花火の様子がくっきり浮かびます。

    ○つくつくし一日辞書を引いてをり
    受験生の生活がよく見えます。

    ○菩提寺を辞し蝉しぐれ蝉しぐれ
    蝉しぐれのリフレインがよいですね。

    ○「麗しのサブリナ」を見て昼寝せる
    なんかこの昼寝は豊かそう。

    ○百人の麗子の灯す物語
    不思議で美しい物語なのかな。魅力的。

    ○稲妻や枕を二つ並べたまま
    戦慄のドラマの始まり?

    ○深夜テレビずつと熱帯魚を映す
    闇にぼわーっと白光する画面に鮮やかな夢のよう。

    ○扇風機場末の音のしてゐたり
    場末の音と言うかんじが確かに。

    ○翌日の風船といふ凌霄花
    凌霄花と風船が響いていると感じました。

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  9. すみません。11句選んでしまいました。お許しを!

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  10. ○美も善も走れ一億総残暑
    乗り切るしかありません。

    ○片時も離れぬ美猫秋暑し
    うらやましいです。

    ○つくつくし一日辞書を引いてをり
    結構飽きません。

    ○炎天をまつすぐに来て職を辞す
    男気を感じます。

    ○秋あふぎ世辞は撒餌のやうなもの
    その手には乗りません。

    ○肴あれば肴に文句秋風鈴
    肴にとってはいい迷惑です。

    ○句会ですか苦界ですかと蠅が飛ぶ
    よくわかります。

    ○常套句ばかりに飽きて菊膾
    反省します。

    ○苦瓜の棉こそげ取ることも愛
    「らせん」のワンシーンを思い出します。

    ○深夜テレビずつと熱帯魚を映す
    ホラーですか。

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  11. ○かなかなや暗き匂ひの美術室
     上五が全部ひらがな(しかも全部母音はa音)との対比という点からも中七下五の漢字多用が功を奏していて、「暗き匂ひの美術室」は言葉の意味以上に決定的な訴求力を持っているようです。

    ○美しきアキレス腱や庭花火
     庭花火というドメスティックな空間の中で、いったい誰が誰のアキレス腱を見とれているのだろうか。少年が母の? 父が娘の? 一見なんでもない俳句のようでいて、ただならぬ深さを秘めている。
     
    ○美人画の汗をかかざる美人かな
     濁音が6音もあるのがすごいですが、鼻濁音から始まるa音7音の具合がなんともクールでよいです。
     
    ○炎天をまつすぐに来て職を辞す
     「歩み来し人麦踏をはじめけり」とか「土堤を外れ枯野の犬となりゆけり」みたいな一時代の偉大な俳句のパロディとして実に成功していると思います。
     
    ○「麗しのサブリナ」サイダー欲しくなる
     「それはサブリミナルでしょう?」という突っ込みを待っているような気がします。

    ○踊子の十指麗し殊に小指
     どんな踊りなのだろう。長さに勝る中指や人差し指より麗しい小指。

    ○麗人の麗人のまま水打てり
     いいですねえ。

    ○かの人の句集のやうな浴衣かな
     どんな句集だろうと浴衣以上に想像が広がるところがいいですね。

    ○ホームベース踏み損ねたる夏の果
     一生そのミスを背負って生き、「あの人は今」に取り上げられたりもするのでしょう。

    ○深夜テレビずつと熱帯魚を映す
     ずいぶん安上がりですね。

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