2013年8月18日日曜日

門外不出句会・投句一覧

お待たせしました。

【門】
むらさきの色の空なる門火かな
炎昼や門に巡査が二人立ち
黄落の門前町の路地に入る
九竅の一門だいじ秋団扇
秋高しランナー多き桜田門
門からの生態系や秋澄めり
門を出て紙の軽さの秋の蝶
門口に夕刊の音さるすべり
門番のやうに立ちたるいぼむしり
裏門の閂かけたまま花火

【外】
さはやかに治外法権鬼ごつこ
外回り影の消えたる秋の蝉
外国の人が喇叭を吹いて夏
外国の匂ひの石鹸休暇明
外反母趾の骨ずきずきと黄のカンナ
外野手の桁外れなる爽気かな
外厠にほふ葡萄の熟れつくし
秋暑しゆつくり喋る外国語
秋暑し調子外れのトランペット
秋蝉の外国人にびつしりと
林火忌の慮外者らが集ひけり

【不】
Fのかたち覚えて不良秋に入る
昔みな不良てんたうむしだまし
灯火親し不意に買ひたる本ばかり
八月や日米不戦俳句会
不可侵を決めこんでゐる秋の蚊帳
不入斗から来たといふ生身魂
不発弾沈ませてゐる秋の潮
不老不死のうぜんかづら跋扈する
墓が見え不眠の蚯蚓鳴きにけり
夕かなかな年齢いまだ不詳なる

【出】
ティッシュやや箱より出でて夜の秋
まつすぐに沖へ出る船彼岸花
蟻地獄出でて上から倍返し
月の出へ素振り繰り返してゐたり
秋出水玄孫の生まれ来た朝の
出汁をとるためだけの笊虫の夜
出来秋や蒔絵のやうな出席簿
出囃子に合はせて叩く秋扇
上出来のレース展開秋の空
美術展出口から秋蝶二頭

【当季雑詠】
ビル風の片蔭を行く新都心
ほとばしる秋の花火や川の上
ほとぼりもスープも冷めて初嵐
楽隠居ひまはりばかり見てゐたり
橋渡る人のまばらや涼新た
向かひ合ふグランドピアノ秋灯下
自転車で突つ込む凌霄かづらかな
蝉の声沈殿したる小学校
男色の間のうすあかり帰雁忌よ
名馬に肥ゆることゆるされし余生あり
立秋の駅前でティッシュを配る 

(以上)

10句選(特選、逆選なし)
選句締切:8月20日(火)24時(JST)
投稿先:恒信風句会
http://koshinfu.blogspot.com/

題に関わらず全体から10句選にてお願い致します。
整理の都合上、句の順番はそのままにして下さい。
投句一覧へのコメントとして、投稿して下さい。その際、名前/URLというのを選択して、俳号もしくはご本名を入力して下さい。URLは入れなくてよいです。
なお、右側にあった「最近のコメント」という欄は、ガジェットが壊れたらしく現在使えません。

ではよろしくお願い致します。

10 件のコメント:

  1. ○炎昼や門に巡査が二人立ち
    ご苦労様です。

    ○裏門の閂かけたまま花火
    特別なことは言っていないのに不思議な感じがする。

    ○外国の匂ひの石鹸休暇明
    どこだろう。中国?

    ○秋暑しゆつくり喋る外国語
    外国語って、早口に聞こえるものですが、これは何語なのでしょう?

    ○昔みな不良てんたうむしだまし
    てんたうむしだましがいい。

    ○不発弾沈ませてゐる秋の潮
    不穏な秋の潮。

    ○夕かなかな年齢いまだ不詳なる
    なぜか岸恵子を思った。

    ○向かひ合ふグランドピアノ秋灯下

    ○男色の間のうすあかり帰雁忌よ
    水上勉忌なんですね。

    ○名馬に肥ゆることゆるされし余生あり
    引退後はのんびりと。

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  2. ○炎昼や門に巡査が二人立ち
    巡査というレトロが味わいでしょうか。どんな人物のいる屋敷、公館etc なんでしょ。

    ○秋暑しゆつくり喋る外国語
    自ずとゆっくりになってる感じがもどかしくもあって秋暑しの雰囲気。

    ○不入斗から来たといふ生身魂
    「いりやまず」を知っただけでも読み手としては凄いことだ。各地にあったらしい。十七音ではひとつの単語が貴重なのでそれは何と思わせることだって大事な表現なのだよね。http://www.japanknowledge.com/contents/journal/interest_chimei/chimei_12_1.html

    ○不老不死のうぜんかづら跋扈する
    跋扈する凌霄花。マクベスの森より強靱そう。

    ○ティッシュやや箱より出でて夜の秋
    あの飛び出した形も「やや」に滲みます。

    ○月の出へ素振り繰り返してゐたり
    もくもくと素振りする男。なんかカッケー。やっぱ男は黙って、でしょ。

    ○出囃子に合はせて叩く秋扇
    まんまな可笑しさ。

    ○上出来のレース展開秋の空
    競馬ですか。空も高かろう。夜になったら奢って下さい。

    ○向かひ合ふグランドピアノ秋灯下
    豪勢ですね。某演奏会を思い出します。

    ○自転車で突つ込む凌霄かづらかな
    こちらも、突っ込みたくなる、毒々しいほど凄い凌霄花たわわ。 

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  3. ○門を出て紙の軽さの秋の蝶
    門を出る前は石の重さの秋の蝶。

    ○門番のやうに立ちたるいぼむしり
    門番というより覗き見のような気もします。

    ○裏門の閂かけたまま花火
    消防署に通報されぬように。

    ○外国の匂ひの石鹸休暇明
    これはフランス製か中国製か?

    ○秋暑しゆつくり喋る外国語
    噛んで含め煮。

    ○灯火親し不意に買ひたる本ばかり
    中には、というか、こんな本ばっかりです。

    ○まつすぐに沖へ出る船彼岸花
    何か、黄泉へ向かって行く船みたいな気が・・。

    ○美術展出口から秋蝶二頭
    これは、出口から秋蝶が入って行ったととる方が面白い。

    ○自転車で突つ込む凌霄かづらかな
    首に蔓が絡みつく。

    ○蝉の声沈殿したる小学校
    沈殿したる、が上手い。夏休みの小学校だと想像つきます。

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  4. ○門を出て紙の軽さの秋の蝶
    紙の軽さがいい。

    ○門口に夕刊の音さるすべり
    夕刊が落ちる音とさるすべりが夏の夕にあっている。

    ○裏門の閂かけたまま花火
    なぜ、閂かけたままなのかわからないんだけど、花火がいいのです。

    ○外国の人が喇叭を吹いて夏
    この響きは少し外れていて、妙に明るいのだ。

    ○不入斗から来たといふ生身魂
    不入斗を私は知らなかった。知って、生身魂になるほどと思った。くやちい。

    ○夕かなかな年齢いまだ不詳なる
    なんかおかしくて不思議。

    ○ティッシュやや箱より出でて夜の秋
    夜の秋っぽい。ややって難しいと思いますが、この場合は成功しています。

    ○まつすぐに沖へ出る船彼岸花
    遠景と近景が響き合っている。

    ○自転車で突つ込む凌霄かづらかな
    凌霄かづらが怖いスピードを生んだのです。

    ○男色の間のうすあかり帰雁忌よ
    男色の間のうすあかりにシビレました。

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  5. ○むらさきの色の空なる門火かな
    むらさきの空の色合がよいですね。

    ○門を出て紙の軽さの秋の蝶
    紙の軽さが秋の蝶と響き合います。

    ○外国の匂ひの石鹸休暇明
    よい休暇を過ごされたようで。

    ○外反母趾の骨ずきずきと黄のカンナ
    お察しいたします。どうぞお大事に。

    ○秋暑しゆつくり喋る外国語
    まどろっこしい感が暑さを誘う。

    ○不入斗から来たといふ生身魂
    地名を上手く詠み込まれました。

    ○ティッシュやや箱より出でて夜の秋
    切り取り方が非凡です。

    ○月の出へ素振り繰り返してゐたり
    月の出へがポイントですね。

    ○自転車で突つ込む凌霄かづらかな
    ブレーキが利かずに・・・。

    ○蝉の声沈殿したる小学校
    しみいるのではなく沈殿とはまた・・。

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  6. トオイダイスケ2013年8月20日 15:42

    ○むらさきの色の空なる門火かな
    淡い色合いがとてもきれい。

    ○門を出て紙の軽さの秋の蝶
    門を出てからのはためきの軽やかさ。

    ○外国の匂ひの石鹸休暇明
    旅行土産。匂いは記憶。

    ○不発弾沈ませてゐる秋の潮
    潮が不発弾を撫でて眠らせているように見えた。

    ○墓が見え不眠の蚯蚓鳴きにけり
    不眠の、がおもしろい。

    ○ティッシュやや箱より出でて夜の秋
    「やや」と夜の秋の響き合い。

    ○出来秋や蒔絵のやうな出席簿
    どれだけ派手な出席簿なのか。

    ○美術展出口から秋蝶二頭
    二頭なのがよい。

    ○ほとばしる秋の花火や川の上
    残暑だからか、ほとばしるという感じがする。

    ○向かひ合ふグランドピアノ秋灯下
    とても親密な感じ。

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  7. ★黄落の門前町の路地に入る
     いい感じの佇まい。

    ★秋高しランナー多き桜田門
     この界隈結構空気悪いけどね。

    ★門番のやうに立ちたるいぼむしり
     結構な迫力があるやも。

    ★秋蝉の外国人にびつしりと
     気の毒な外国人さん。

    ★不発弾沈ませてゐる秋の潮
     爆弾処理舞台出陣。

    ★まつすぐに沖へ出る船彼岸花
     気持ちの良い景。

    ★月の出へ素振り繰り返してゐたり
     月明かりの青春。

    ★出囃子に合はせて叩く秋扇
     なにやら粋な風情。

    ★上出来のレース展開秋の空
     万券ゲットか。

    ★蝉の声沈殿したる小学校
     沈殿、上手な措辞。

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  8. ○門口に夕刊の音さるすべり
    かたん。

    ○裏門の閂かけたまま花火
    誰にも邪魔させません。

    ○外厠にほふ葡萄の熟れつくし
    食べ頃を逃さないように。

    ○秋暑しゆつくり喋る外国語
    すいません。もう一度言ってもらえますか?

    ○昔みな不良てんたうむしだまし
    今は更生しました。

    ○不入斗から来たといふ生身魂
    そろそろ帰る時間です。

    ○出囃子に合はせて叩く秋扇
    あ、よいっしょ。

    ○上出来のレース展開秋の空
    美味しいものを食べて帰れます。

    ○ほとぼりもスープも冷めて初嵐
    もう飲んでもいいですか?

    ○向かひ合ふグランドピアノ秋灯下
    音の響きが見えます。

    返信削除
  9. ○黄落の門前町の路地に入る
    散歩なのかさまよっているのか。

    ○門を出て紙の軽さの秋の蝶
    中七の比喩がいいですね。

    ○門番のやうに立ちたるいぼむしり
    いぼむしりがいいです。

    ○外野手の桁外れなる爽気かな
    きっと助っ人外国人選手に違いありません。

    ○秋蝉の外国人にびつしりと
    ホラーでしょうか。

    ○Fのかたち覚えて不良秋に入る
    好きなことができると一歩前進。

    ○昔みな不良てんたうむしだまし
    てんとうむしだまし、がいいです。

    ○出囃子に合はせて叩く秋扇
    秋扇が粋ですね。

    ○楽隠居ひまはりばかり見てゐたり
    盆栽ではなくひまわりを見ている、というのがいいですね。

    ○向かひ合ふグランドピアノ秋灯下
    居残りの練習でしょうか。ピンと張り詰めた空気を感じます。

    また遅れてすみません。

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  10.  たいへん遅くなりすみません。

    ○炎昼や門に巡査が二人立ち
     一人でなく二人であるところにさりげなく事件を感じさせますね。

    ○門を出て紙の軽さの秋の蝶
     「紙の軽さの秋の蝶」。調べがいいですねえ。

    ○外国の人が喇叭を吹いて夏
     ナカリャコフ叫びてあこりゃこりゃ。

    ○秋暑しゆつくり喋る外国語
     季語の斡旋とあいまって絶妙に我慢強い感じがあります。

    ○秋暑し調子外れのトランペット
     【外】から喇叭とかトランペットが導かれ、どちらもぜんぜん上手そうじゃないのはどうした訳でしょう。

    ○昔みな不良てんたうむしだまし
     すばらしい句またがりですね。
     
    ○ティッシュやや箱より出でて夜の秋
     ううむ、こんなもので揺るがない句に仕立てるとは…。名人の技ですね。

    ○まつすぐに沖へ出る船彼岸花
     遠景と近景の配置がいいですね。

    ○出来秋や蒔絵のやうな出席簿
     別に特別な出席簿ではなく、ありきたりの黒地に金文字をプレスした出席簿を、なにかの拍子に「ああ蒔絵のようだ」と感じたのでしょう。

    ○向かひ合ふグランドピアノ秋灯下
     演奏者の姿は消して、ピアノが2台置いてあるとだけ云っているんだけど、それが却って想像をふくらませますよね。

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