2013年9月1日日曜日

無病息災句会・投句一覧

すみません、大変遅くなりました。
伏せていたり立て込んでいたりで世話人、青息吐息です。
選句締切も少し先にしました。悪しからず、ご了承願います。

【無】
加藤剛竹脇無我と栗拾ふ
銀漢にもつとも近き無人駅
月ひとつ無賃乗車を追ひかけて
秋の空猫撫でし子の無表情
汀から色無き風となりにけり
八月を飲る南無阿弥陀仏と言うて
無花果を煮詰めるために火を点ける
無蓋車に子ども詰め込み大花野
無月なる劇場へトラック入る
有耶無耶に済ませてあとは秋刀魚焼く

【病】
臆病さうな顔をしてゐる案山子かな
仮病ぢやない仮病ぢやないと曼珠沙華
花カンナまた臆病と言はれけり
病院にスリッパ並ぶ残暑かな
病院の窓それぞれの秋灯
病院臭消す空調や涼新た
病室の窓開け放ちかなかなかな
病室へ運動会の届きけり
病巣とふ郷に籠りぬ一遍忌
病棟の白く大きく秋桜

【息】
かなかなや息控えめに生きてゆく
たくさんの穴開いてゐる虫の息
ため息の代はりに見上ぐ鰯雲
なめらかな息の歌なり秋灯
わが息のわれを離るる秋の暮
芋虫と息子にくれてやるレタス
合唱の息継ぎの間の秋の蝉
砂浜の日陰姑息な西瓜割り
宵闇を息急き切つて行ける人
令息に皺びつしりと生身魂

【災】
災ひといふ字のごとく鶏頭花
災ひの消えて二匹の秋あかね
災ひの石よ色なき風の中
災害の途切れなき世の鉦叩
災難のふりかかりたる唐辛子
災厄の所為にしてゐる鰯雲
秋遍路災ひに多寡あるにはある
震災忌巾着袋の口きゆつと
防災の日の柔らかき新豆腐
夜学子の火災報知機押す仕草

【当季雑詠】
キャプテンにガツンと言はれ夕月夜
コスモスの風に自転車包まるる
ふるさとの紐引けば消える秋灯
リストバンド着けて外泊生身魂
花野より声の聞こえてゐる下界
鶏頭になるよ眉間に皺よせて
呼び出しのふたつ目で出る良夜かな
秋の日の赤きカバーのiPad
潤滑油ともラブオイルとも小鳥来る
天辺のすこしこぼれてかき氷
凌霄花老婆の乳のごと下がり

(以上)

10句選(特選、逆選なし)
選句締切:9月6日(金)24時(JST)
投稿先:恒信風句会
http://koshinfu.blogspot.com/

題に関わらず全体から10句選にてお願い致します。
整理の都合上、句の順番はそのままにして下さい。
投句一覧へのコメントとして、投稿して下さい。その際、名前/URLというのを選択して、俳号もしくはご本名を入力して下さい。URLは入れなくてよいです。
なお、右側にあった「最近のコメント」という欄は、ガジェットが壊れたらしく現在使えません。

ではよろしくお願い致します。

10 件のコメント:

  1. ★加藤剛竹脇無我と栗拾ふ
     どちらも昭和の二枚目俳優。大岡越前ですなぁ。竹脇無我さんは晩年は不遇でした…。

    ★銀漢にもつとも近き無人駅
     こういうところへ旅してみたい。銀河鉄道かしら。

    ★無花果を煮詰めるために火を点ける
     無花果のジャム、通な感じ。

    ★臆病さうな顔をしてゐる案山子かな
     へのへのもへじ、そう言われると確かに臆病そう。

    ★かなかなや息控えめに生きてゆく
     含羞。

    ★わが息のわれを離るる秋の暮
     このもってまわった言い振りが俳句的。

    ★芋虫と息子にくれてやるレタス
     芋虫と息子さんが同列に並んでいる諧謔。

    ★震災忌巾着袋の口きゆつと
     防災頭巾を被って。どちらも母の手作り品。

    ★防災の日の柔らかき新豆腐
     新豆腐はどんな日でも旨いのです。

    ★ふるさとの紐引けば消える秋灯
     ふるさとという大きな捉え方がイイですな。

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  2. ○銀漢にもつとも近き無人駅
    銀河系のちいさなちいさな時間やいのち。

    ○月ひとつ無賃乗車を追ひかけて
    物語ひとつ。

    ○無月なる劇場へトラック入る
    大道具の運び込みでしょうか。闇の中に劇場という建築物。

    ○有耶無耶に済ませてあとは秋刀魚焼く
    秋刀魚の煙、暮らしの匂い。

    ○災難のふりかかりたる唐辛子
    それで赤いんだ。

    ○防災の日の柔らかき新豆腐
    ともかく新豆腐は旨い。

    ○コスモスの風に自転車包まるる
    できればコスモス街道ほど長い道を行きたい。

    ○鶏頭になるよ眉間に皺よせて
    なってもいいけどさ。

    ○秋の日の赤きカバーのiPad
    いつも一緒の大事なiPadに違いない。

    ○天辺のすこしこぼれてかき氷
    もう、すぐこぼれちゃうんだから。

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  3. トオイダイスケ2013年9月1日 14:43

    ○無蓋車に子ども詰め込み大花野
    わやわやしている。ジブリのアニメにありそうなシーン。

    ○有耶無耶に済ませてあとは秋刀魚焼く
    秋刀魚には誰も勝てない。

    ○花カンナまた臆病と言はれけり
    よくそう言われていて、むしろそれを誇りにしている感じすらする。

    ○病院臭消す空調や涼新た
    空調の匂いを感じているのがよい。

    ○病棟の白く大きく秋桜
    いかにも大病院。

    ○わが息のわれを離るる秋の暮
    秋の暮がよい。息が思いのようにも見える。

    ○災ひといふ字のごとく鶏頭花
    新鮮な見立て。

    ○秋遍路災ひに多寡あるにはある
    ありにけり、と言い切らないのがよかった。

    ○震災忌巾着袋の口きゆつと
    カ行の音が多いのがきゅっとしている感じを出している。

    ○天辺のすこしこぼれてかき氷
    シロップをかけるとそうなりますね。

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  4. ○加藤剛竹脇無我と栗拾ふ
    渋いです。

    ○月ひとつ無賃乗車を追ひかけて
    お月さんがお見通し。

    ○無月なる劇場へトラック入る
    翌日の芝居に備えて。

    ○仮病ぢやない仮病ぢやないと曼珠沙華
    はいはい、わかってます。

    ○花カンナまた臆病と言はれけり
    カンナのような元気な人から言われるのはヤだ。

    ○合唱の息継ぎの間の秋の蝉
    気にならない程度の。

    ○砂浜の日陰姑息な西瓜割り
    炎天下でこその西瓜割り。砂浜の日陰って?

    ○秋遍路災ひに多寡あるにはある
    それぞれの災いを懐きつつ。

    ○夜学子の火災報知機押す仕草
    押したくなる衝動あります。でも押さない。

    ○鶏頭になるよ眉間に皺よせて
    ああ、こうすればなれるんだ。

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  5. 〇加藤剛竹脇無我と栗拾ふ
    人名2連発。人選も渋い。

    〇月ひとつ無賃乗車を追ひかけて
    学生の頃渋谷から乗って愛知のわが家まで無賃乗車やったことあります。ごめんなさい。

    〇秋の空猫撫でし子の無表情
    無表情がいい。

    〇無月なる劇場へトラック入る
    これから始まるのかな。終わったのかな。

    〇病院にスリッパ並ぶ残暑かな
    残暑と言われたらそんな感じですね。

    〇病室へ運動会の届きけり
    病人には子供たちの歓声がなにより。

    〇かなかなや息控えめに生きてゆく
    そんなこと言わないで。

    〇たくさんの穴開いてゐる虫の息
    銃弾に倒れている!?

    〇災ひといふ字のごとく鶏頭花
    うまい!

    〇防災の日の柔らかき新豆腐
    豆腐の上に暮らしているようなものですね。日本人は。

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  6. ○銀漢にもつとも近き無人駅
    高原にある無人駅。

    ○有耶無耶に済ませてあとは秋刀魚焼く
    秋刀魚は旨いからなあ。

    ○臆病さうな顔をしてゐる案山子かな
    それは世間を欺く顔。

    ○病院の窓それぞれの秋灯
    ああ今日も一つ灯が・・。

    ○ため息の代はりに見上ぐ鰯雲
    空を見上げたいときって、大概そんなとき。

    ○芋虫と息子にくれてやるレタス
    息子は食わん。

    ○災ひといふ字のごとく鶏頭花
    なるほどと・・。

    ○防災の日の柔らかき新豆腐
    上手い取り合わせ。

    ○花野より声の聞こえてゐる下界
    花野は恐ろしいところなんです。

    ○呼び出しのふたつ目で出る良夜かな
    これでもまだ早い方でして。

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  7. ○銀漢にもつとも近き無人駅
    大きな銀河の下の大きく静かな時間。

    ○汀から色無き風となりにけり
    波から秋がやってくる。

    ○臆病さうな顔をしてゐる案山子かな
    確かにそんな案山子いますね。

    ○仮病ぢやない仮病ぢやないと曼珠沙華
    あの形と色だと、曼珠沙華なら言い出しそう。

    ○病棟の白く大きく秋桜
    静かな平癒への祈りのようです。

    ○ため息の代はりに見上ぐ鰯雲
    そのとき、鰯雲はきれいで切なくみえるでしょうね。

    ○災ひといふ字のごとく鶏頭花
    本当にそうですね。

    ○防災の日の柔らかき新豆腐
    今の平穏の幸せの手触りを感じます。

    ○呼び出しのふたつ目で出る良夜かな
    ナースコールでしょうか。何事もないといいのですが。

    ○天辺のすこしこぼれてかき氷
    少し季節が前ですが、かき氷らしくていいと思います。

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  8. ○加藤剛竹脇無我と栗拾ふ
    なんとなく秋と合うお名前ですね。

    ○月ひとつ無賃乗車を追ひかけて
    月が何でも知っている。

    ○秋の空猫撫でし子の無表情
    無表情が淋しい。

    ○無蓋車に子ども詰め込み大花野
    メルヘン!

    ○臆病さうな顔をしてゐる案山子かな
    表情が浮かんできますね。

    ○仮病ぢやない仮病ぢやないと曼珠沙華
    リフレインが意味深。

    ○病棟の白く大きく秋桜
    色彩と質感の対比。

    ○防災の日の柔らかき新豆腐
    たなごころに乗せた感覚が蘇ります。

    ○コスモスの風に自転車包まるる
    コスモスと風はつきものですが、自転車包まるるがいいですね。

    ○天辺のすこしこぼれてかき氷
    もったいないと言ってる先から溶けていきますね。

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  9. ○汀から色無き風となりにけり
    陸風の浄化。

    ○有耶無耶に済ませてあとは秋刀魚焼く
    煙にまくとか。

    ○臆病さうな顔をしてゐる案山子かな
    でもやるときはやります。

    ○仮病ぢやない仮病ぢやないと曼珠沙華
    ますます怪しまれます。

    ○たくさんの穴開いてゐる虫の息
    気門ですね。

    ○芋虫と息子にくれてやるレタス
    レタスが苦手、とはおくびにも出さない狡さ。

    ○災難のふりかかりたる唐辛子
    災いは平等に。

    ○災厄の所為にしてゐる鰯雲
    すぐ人の所為にしてはいけません。

    ○鶏頭になるよ眉間に皺よせて
    怪訝なのはわかりますが。

    ○呼び出しのふたつ目で出る良夜かな
    今日は機嫌がいいんです。

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  10. 遅くなりました。すみません。

    ○銀漢にもつとも近き無人駅
     その昔『天国にいちばん近い島』という映画があったけど、無人駅というところがいいですね。JR東日本のポスターにしたいですね。

    ○無花果を煮詰めるために火を点ける
     この、散文の切れっ端ぶり、いいですねえ。

    ○有耶無耶に済ませてあとは秋刀魚焼く
     煙に巻いた感じがいいですね。

    ○臆病さうな顔をしてゐる案山子かな
     への字がいかんのだと思います。

    ○わが息のわれを離るる秋の暮
     おお、臨終俳句。すると今俳句を詠んでいる俺は誰なんだ。

    ○災ひといふ字のごとく鶏頭花
     災いというか呪いというか、鶏頭って業が深い感じがしますよね。

    ○キャプテンにガツンと言はれ夕月夜
     「キャプテン」も「ガツンと言はれ」も死語っぽくていいですね。

    ○呼び出しのふたつ目で出る良夜かな
     いにしえの電話マナーでは、「いきなり出るのは相手を驚かせるので失礼です」というのがあったような。良夜が昭和っぽくていいです。

    ○秋の日の赤きカバーのiPad
     頭韻をa音で揃えてリズミカルでいいですね。

    ○天辺のすこしこぼれてかき氷
     くずれただけでなく、テーブルまでこぼれちゃったんですね。なんだか場末感があっていいです。

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