2013年9月29日日曜日

石油資源句会・投句一覧

お待たせしました。

【石】
根絶やしの石を並べて秋澄めり
水切りの石選びをる九月尽
西瓜食ぶ碁石のやうに種並べ
石釜の奥あかあかと長き夜
石鹸は手に沿ふかたちつづれさせ
石室の湿りてゐたる後の月
石段の彩度増しゆく夜寒かな
石仏に頭突きしてゐる鬼やんま
石綿を詰めて秋夜のぬひぐるみ
虫時雨宝石箱が閉まらない
墓石に触れて秋風にも触れる

【油】
ししとうの油を切りし良夜かな
ひまし油の匂ひただよふ村芝居
月白の油滴天目茶碗かな
胡麻油の中で泳ぎぬ秋の夢
胡麻油香り秋めく三丁目
秋すさぶ油淋鶏がひと皿目
秋の蛇重油流れてゐたりけり
秋の夜の油へ注ぐ油かな
焼き払ふ油脂の容器や鰯雲
鳥渡る油の泡の金色に
油断してしまひしことも月今宵
油断して草の穂絮に捲かれたる

【資】
資産家の多き界隈虫の闇
資盛の末期の文や鳥渡る
資料集のフォントまちまちちちろの夜
受話器より融資の話稲の花
秋高し競馬資金は紙屑に
秋水に五島高資のやうな顔
秋晴れの資料の厚き会議かな
色変へぬ松や民俗資料館
食欲の秋なり資本投下せむ
蚯蚓鳴く資料の数多放置され
邯鄲の数学的な資質かな

【源】
OLが隣に源氏鶏太の忌
ハヤシライスの語源は知らず秋風裡
音源は夫の部屋なり十三夜
海外用電源プラグ抜き良夜
源氏名で呼ばれてゐたる秋の蝶
源氏名のやうな俳号濃龍胆
源泉へ向かふなかばの薄かな
源内の発明したる自動鰡
水源の村しづかなり稲の花
虫の声光源の絞られてゆく
野分跡には源さんが来るといふ

【当季雑詠】
高きより台風の眼を見てゐたり
秋の空スーパーカブがあればよし
秋高し磴につまづく向う脛
醤油皿に醤油まあるく鰯雲
大花野プロトタイプの壱号機
灯火親し紙本貸本昔本
飛蝗飛ぶオセロの白が黒になり
氷屋の軒先ひそと曼珠沙華
名月や傍観者達の街となり
木犀も今年は遅き誕生日
連絡の手段は芋茎のみとなり

(以上)

11句選(特選、逆選なし)
選句締切:10月4日(金)24時(JST)
投稿先:恒信風句会
http://koshinfu.blogspot.com/

題に関わらず全体から11句選にてお願い致します。
整理の都合上、句の順番はそのままにして下さい。
投句一覧へのコメントとして、投稿して下さい。その際、名前/URLというのを選択して、俳号もしくはご本名を入力して下さい。URLは入れなくてよいです。

ではよろしくお願い致します。

11 件のコメント:

  1. ★墓石に触れて秋風にも触れる
     お彼岸の季節感横溢。

    ★ひまし油の匂ひただよふ村芝居
     なぜか懐かしい風合い。

    ★色変へぬ松や民俗資料館
     資料館、どこにもあるけれど、どこも不遇な感じ。

    ★蚯蚓鳴く資料の数多放置され
     活用されない資料はただの紙なのだなぁ。

    ★邯鄲の数学的な資質かな
     してやったり的措辞。邯鄲じゃないと駄目、と錯覚させるのが作者の力量。

    ★源氏名のやうな俳号濃龍胆
     伊集院明日香的な。濃のやりすぎ感、悪くない。

    ★水源の村しづかなり稲の花
     稲の花、なんとも言えずイイ。

    ★虫の声光源の絞られてゆく
     この感覚は確かに秋夜。

    ★野分跡には源さんが来るといふ
     大工の源さんだろうか。普請を直しに来るのかも。

    ★秋の空スーパーカブがあればよし
     ホンダの名バイク。商店主の大きな味方。

    ★飛蝗飛ぶオセロの白が黒になり
     ぱたぱたぱたと。

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  2. トオイダイスケ2013年9月30日 1:40

    ○西瓜食ぶ碁石のやうに種並べ
    種がたくさんあって黒光りしている様が浮かぶ。

    ○石鹸は手に沿ふかたちつづれさせ
    露天風呂だろうか、使われて減った石鹸に涼しくなりゆく時期を思う。

    ○石仏に頭突きしてゐる鬼やんま
    「鬼」が効いている。

    ○虫時雨宝石箱が閉まらない
    宝石箱から虫の音がいっぱい宝石のように転がり出ているようにみえる。

    ○鳥渡る油の泡の金色に
    工場の近くの砂利道に、油脂が浮いた水溜りやそれが泡立ったものがよくあった。確かに日が当たって金色に光って、汚くもきれいだった。

    ○資料集のフォントまちまちちちろの夜
    口にして楽しい句。

    ○色変へぬ松や民俗資料館
    民俗資料館の時間から隔絶されたような空気をよく表している。

    ○邯鄲の数学的な資質かな
    数学的な資質、私も欲しいです。。

    ○虫の声光源の絞られてゆく
    繊細な感覚。

    ○大花野プロトタイプの壱号機
    戦いに出ないロボットの安らかさやときめき。

    ○名月や傍観者達の街となり
    重い皮肉。

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  3. ○石鹸は手に沿ふかたちつづれさせ
    高級な石鹸なら。つづれさせが良い(便所コオロギも捨てがたいが)。

    ○石室の湿りてゐたる後の月
    大和国の月見を上手く言った。

    ○虫時雨宝石箱が閉まらない
    相当古い宝石箱。まさか有りすぎで閉まらないということ?。

    ○墓石に触れて秋風にも触れる
    みのもんたに聞かせたい。

    ○ひまし油の匂ひただよふ村芝居
    客席に虫がわいている人が大勢いる。

    ○資盛の末期の文や鳥渡る
    愛妾建礼門院右京大夫に送った最後の一首か。平家ファンとしては、いただかざるを得ない。鳥渡るが上手い。

    ○受話器より融資の話稲の花
    儲け話だと思ったら、もう毛まで抜かれまっせ。稲の花がいい塩梅。

    ○邯鄲の数学的な資質かな
    文学的資質と言わなかったところがえらい。

    ○源氏名で呼ばれてゐたる秋の蝶
    蝶だものね。

    ○源氏名のやうな俳号濃龍胆
    必ずしも顔と一致するとは限らない。言行一致、俳号不一致。

    ○野分跡には源さんが来るといふ
    台風で壊れた所を直しに。源さん→大工、ケンちゃん→洗濯屋の代名詞。

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  4. 〇石鹸は手に沿ふかたちつづれさせ
    静かな秋の夜。

    〇石段の彩度増しゆく夜寒かな
    月に照らされて?

    〇虫時雨宝石箱が閉まらない
    総額〇〇万円!

    〇ししとうの油を切りし良夜かな
    ししとうの油がいい。

    〇胡麻油の中で泳ぎぬ秋の夢
    いた~たいへんです。においがつくし。

    〇秋の夜の油へ注ぐ油かな
    今夜は天ぷら。

    〇秋水に五島高資のやうな顔
    人選がビミョー。

    〇海外用電源プラグ抜き良夜
    帰国した次の朝のドライヤー。

    〇野分跡には源さんが来るといふ
    誰ですか。源さん。

    〇高きより台風の眼を見てゐたり
    神の視座。

    〇氷屋の軒先ひそと曼珠沙華
    氷屋との取り合わせにグッときました。

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  5. ○根絶やしの石を並べて秋澄めり
    情景が見えるようで見えない不気味な感じ。

    ○石鹸は手に沿ふかたちつづれさせ
    「手に沿ふかたち」がいいです。

    ○墓石に触れて秋風にも触れる
    「千の風になって」は嫌いですがこの墓石と秋風はよいですね。

    ○資料集のフォントまちまちちちろの夜
    後半のひらがなの連なりが目にも心地よいですね。

    ○蚯蚓鳴く資料の数多放置され
    季語との離れ具合がよいです。

    ○OLが隣に源氏鶏太の忌
    源氏鶏太ならOLではなくBGと行きたいところですね。

    ○源氏名で呼ばれてゐたる秋の蝶
    秋の蝶も大変。

    ○水源の村しづかなり稲の花
    出来過ぎな感もありますが。

    ○醤油皿に醤油まあるく鰯雲
    日本人は醤油ですね。

    ○大花野プロトタイプの壱号機
    ここはひとつ、何とか初号機を使いたかったですが。

    ○灯火親し紙本貸本昔本
    ここはひとつ、「昔本」ではなく「ゾッキ本」あたりにしたかったところですが。

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  6. ○石鹸は手に沿ふかたちつづれさせ
    あまりにも俳句的な。

    ○虫時雨宝石箱が閉まらない
    三連のネックレスがじゃらじゃら縺れていそう。

    ○墓石に触れて秋風にも触れる
    秋らしい繊細さ。

    ○ひまし油の匂ひただよふ村芝居
    びんつけ油ではなくポマード。

    ○秋の蛇重油流れてゐたりけり
    重油の帯の中をぬらぬらと。

    ○資盛の末期の文や鳥渡る
    「かく憂きことを見るぞかなしき」

    ○受話器より融資の話稲の花
    固定電話にかかってくるのは9割9分詐欺電話。

    ○蚯蚓鳴く資料の数多放置され
    読まないままに。

    ○野分跡には源さんが来るといふ
    大工の源さん?

    ○醤油皿に醤油まあるく鰯雲
    気取って「むらさき」と言いたくなるような。

    ○連絡の手段は芋茎のみとなり
    わからないけど面白い。

    返信削除
  7. ○西瓜食ぶ碁石のやうに種並べ
    西瓜食べれませんが、碁石にたとえられて種がよく見えます。

    ○石室の湿りてゐたる後の月
    昔の時間の湿り。

    ○虫時雨宝石箱が閉まらない
    綺麗でおかしい。

    ○ひまし油の匂ひただよふ村芝居
    ひまし油の匂ひがよかったです。

    ○資産家の多き界隈虫の闇
    きっと悪いものもたくさんある闇。

    ○資料集のフォントまちまちちちろの夜
    読みにくそう。まちまちちちろで混在するフォントが見えてくる。

    ○OLが隣に源氏鶏太の忌
    OLがなんともよい。

    ○海外用電源プラグ抜き良夜
    どこの国で迎えた良夜なんだろう。

    ○高きより台風の眼を見てゐたり
    静かな怖さ。

    ○醤油皿に醤油まあるく鰯雲
    鰯雲がグーです。醤油の匂もしてきます。

    ○飛蝗飛ぶオセロの白が黒になり
    軽妙ではっきりした景ですね。

    返信削除
  8. ○石仏に頭突きしてゐる鬼やんま
    ドンキホーテですね。鬼がいい。

    ○虫時雨宝石箱が閉まらない
    虫のような宝石か、それとも宝石のような虫か。

    ○秋高し競馬資金は紙屑に
    どっちも紙なんですがね。

    ○資産家の多き界隈虫の闇
    虫は秘密を知っている。

    ○油断して草の穂絮に捲かれたる
    油断大敵。

    ○秋晴れの資料の厚き会議かな
    暑い資料、薄い会議。

    ○食欲の秋なり資本投下せむ
    体が資本です。

    ○野分跡には源さんが来るといふ
    よっ、待ってました。

    ○秋の空スーパーカブがあればよし
    秋の風となります。

    ○秋高し磴につまづく向う脛
    いたた。

    ○連絡の手段は芋茎のみとなり
    荒廃した大地。世紀末?

    返信削除
  9. 〇石鹸は手に沿ふかたちつづれさせ
    暮らしぶりがみえてくるようです。

    〇虫時雨宝石箱が閉まらない
    詩的飛躍がありますね。

    〇秋すさぶ油淋鶏がひと皿目
    ひと皿目が良いです。

    〇資料集のフォントまちまちちちろの夜
    膨大な資料なんでしょうね~

    〇受話器より融資の話稲の花
    堅実な話なのか、怪しいのか・・・

    〇色変へぬ松や民俗資料館
    きっちりしています。

    〇OLが隣に源氏鶏太の忌
    居酒屋か、カフェか。。

    〇水源の村しづかなり稲の花
    山間の静かな村が見えてきます。

    〇野分跡には源さんが来るといふ
    台風一過に来たる人。

    〇醤油皿に醤油まあるく鰯雲
    ちんまりとして好感。

    〇名月や傍観者達の街となり
    なんとなく自戒もふくめて。

    返信削除
  10. ○根絶やしの石を並べて秋澄めり
    根絶やしの石の意味がよくわからなかったのですが
    怖い感じが秋澄むで増幅。

    ○西瓜食ぶ碁石のやうに種並べ
    こういうところに性格が出ますね。

    ○ししとうの油を切りし良夜かな
    ししとう。こう書かれるとなんだか綺麗です。

    ○月白の油滴天目茶碗かな
    趣味人ですね。

    ○胡麻油の中で泳ぎぬ秋の夢
    心地いいような悪いような。

    ○資産家の多き界隈虫の闇
    犯罪の匂いがします。

    ○受話器より融資の話稲の花
    よくかかって来ますね。稲の花が渋い。

    ○色変へぬ松や民俗資料館
    取り合わせいいです。

    ○源氏名で呼ばれてゐたる秋の蝶
    つきすぎだろうと思いながら秋に味わいがあるような。

    ○源氏名のやうな俳号濃龍胆
    そういう方いますね。濃龍胆がダメ押し。

    ○源内の発明したる自動鰡
    源内なら発明してそう。

    返信削除
  11. 遅くなりすみません。

    ○石鹸は手に沿ふかたちつづれさせ
     「つづれさせ」って、初めて知りました。なんだか句全体が侘びしくて人恋しくてよいですね。
     
    ○石室の湿りてゐたる後の月
     ほんとうに石室にいるのではなく、想像しているような感じを季語から受けます。

    ○墓石に触れて秋風にも触れる
     俳句としては類型的ですが、墓石と秋風という次元の異なるものの並置がよいですね。

    ○秋すさぶ油淋鶏がひと皿目
     油淋鶏がひと皿目って、先が思いやられます。もたれそう。

    ○秋水に五島高資のやうな顔
     水に映っているのだから、作者は五島高資さんなのだろう。

    ○音源は夫の部屋なり十三夜
     携帯の振動とかそんなものでしょうか。入ってはいけない夫の部屋なのでしょう。

    ○高きより台風の眼を見てゐたり
     気象衛星みたいな人ですね。

    ○大花野プロトタイプの壱号機
     なんのプロトタイプなのか分からないけど、『天空の城ラピュタ』のロボットみたいな巨大なもののような気がします。

    ○灯火親し紙本貸本昔本
     「紙本貸本昔本」というやけくそのようなたたみかけがよいですね。「昔本」って、何だ…。電子書籍の時代ならではの句だと感じます。

    ○氷屋の軒先ひそと曼珠沙華
     曼珠沙華が軒先にあるような氷屋って、ずいぶん風情がありますね。

    ○連絡の手段は芋茎のみとなり
     性愛の句なのでしょうか。

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