2013年7月15日月曜日

赤方偏移句会・投句一覧

 お待たせしました。

【赤】
アスファルト灼け赤坂のチンドン屋
コインロッカー赤く点れる夜の涼し
昭和とふ言葉美し赤楝蛇
清流に馴染める赤の水着かな
赤き夏南部英語の低き声
赤ちやうちん赤色エレジー金魚玉
赤チンの乾きし光夾竹桃
赤ゑいに乗りたる心地して溽暑
赤外線避けて飛びたり夏の蝶
赤門の灼けてくぐるをためらへり
夕焼にテールランプの赤溢る

【方】
はだけ方様々ありて熱帯夜
炎昼や方違へして逢ひにゆく
言ひ分は双方向に浮いて来い
青蔦の伸びて途方もなき館
風鈴を吊るに吉方あるらしき
片方を流してしまふ雲の峰
方眼紙緩み青田となりにけり
方言の少年H龍之介忌
方舟のひとりとなりぬ夕焼空
方舟をやりすごしたる優曇華よ
方法は幾多もあれど薔薇の花
野方から沼袋まで夕立かな

【偏】
うたた寝の右に偏るアロハシャツ
ひまはりの偏屈なかほしてゐたり
ページ進む偏に夏の風邪の所為
夏の雲斯くも偏るアンケート
大花火弾け生まるる偏頭痛
端居して金偏の文字書きたがり
偏屈と言はれやうとも水を打つ
偏食のまま果てにけり兜虫
偏食の祖母やバナナを愛したる
偏頭痛ゆつくり回る走馬燈
峰雲や峰の偏るひとところ

【移】
サーカスの移動してゐる夏の月
移り気な飛び方見せて瑠璃揚羽
移植ごてゆつくり洗ふ夏の果
移植ごて洗ふ今夜も熱帯夜
一斉に移動してゐるかたつむり
夏の雨嗅覚移植されてゐる
夏大根女満別より移動中
妻の手に移す蛍火妻を離れ
白南風が連れ来し移動動物園
風鈴がたくさん移動販売車
夜釣人移動せぬまま夜は明けぬ

【当季雑詠】
ちらし寿司真白き皿の数幾つ
夏夕ブルーノートの紛れをり
環七の砕けち散りたる西瓜かな
金魚屋の水の如くに太りけり
自転車に乗れぬ母あり吊忍
蛇衣を脱ぎ終へてから晩御飯
泉湧く翼あるものやすらへば
天地を異にしてシャワーヘッドかな
凸凹に揮毫されたる団扇かな
標識の地の青に触る炎暑かな
落し文旅の多難の始まりは
礼服の灼かれて野外結婚式

(以上)

11句選(特選、逆選なし)
選句締切:7月17日(水)24時(JST)
投稿先:恒信風句会
http://koshinfu.blogspot.com/

題に関わらず全体から11句選にてお願い致します。
整理の都合上、句の順番はそのままにして下さい。
投句一覧へのコメントとして、投稿して下さい。その際、名前/URLというのを選択して、俳号もしくはご本名を入力して下さい。URLは入れなくてよいです。
なお、右側にあった「最近のコメント」という欄は、ガジェットが壊れたらしく現在使えません。

ではよろしくお願い致します。

11 件のコメント:

  1. ○清流に馴染める赤の水着かな
     「馴染める」が圧倒的にいいと思います。
     
    ○赤外線避けて飛びたり夏の蝶
     本当か嘘なのか分からないのですが、人間とは違うメカニズムで飛んでいるような気がします。

    ○はだけ方様々ありて熱帯夜
     適度に品位があっていいです。「方」「様々」はどちらかひらがなの方がいい気もしますが…。

    ○青蔦の伸びて途方もなき館
     「途方もなき」が観音開きになっていて、文字通り途方もない感じがします。

    ○方法は幾多もあれど薔薇の花
     求愛ですか。

    ○野方から沼袋まで夕立かな
     超ローカルですね。

    ○うたた寝の右に偏るアロハシャツ
     政治の話じゃないですよね。

    ○偏屈と言はれやうとも水を打つ
     そういう老人、いそうです。
     
    ○一斉に移動してゐるかたつむり
     天変地異の前触れでしょうか。
     
    ○蛇衣を脱ぎ終へてから晩御飯
     晩御飯のつながり具合が絶妙です。

    ○凸凹に揮毫されたる団扇かな
     凸凹なりに達筆なのでしょう。

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  2. ★夕焼にテールランプの赤溢る
     あの暑苦しく、運転していると眠くなってくる景もこう詠われるとなんだか詩的。

    ★はだけ方様々ありて熱帯夜
     ほどよき艶っぽさ。

    ★青蔦の伸びて途方もなき館
     「途方もなき」この措辞、よく見つけたなぁ。

    ★風鈴を吊るに吉方あるらしき
     風鈴風水。

    ★うたた寝の右に偏るアロハシャツ
     そうそう。甚平も比較的偏り易い。

    ★峰雲や峰の偏るひとところ
     詠い方としてはパターンではあるけれど、ほどよきマンネリズムのよろしき味わい。

    ★サーカスの移動してゐる夏の月
     なぜかもの悲しい。

    ★風鈴がたくさん移動販売車
     昨今の風鈴売の仕様。

    ★自転車に乗れぬ母あり吊忍
     母とはこういうものかも。泣かせ上手な句。

    ★落し文旅の多難の始まりは
     水戸黄門みたいな旅。

    ★礼服の灼かれて野外結婚式
     この時期の結婚式、呼ばれる方も大変。

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  3. 〇清流に馴染める赤の水着かな
    海でなく清流なのがいい。

    〇赤ちやうちん赤色エレジー金魚玉
    昭和ですな。

    〇赤チンの乾きし光夾竹桃
    懐かしい赤チン。妙に金光りしてませんでしたっけ。

    〇はだけ方様々ありて熱帯夜
    やはり女性でしょう。

    〇野方から沼袋まで夕立かな
    地名の選択の妙。

    〇うたた寝の右に偏るアロハシャツ
    胸毛が見えてます。

    〇偏食のまま果てにけり兜虫
    西瓜のみ。

    〇偏頭痛ゆつくり回る走馬燈
    サイケな偏頭痛の症状?

    〇夏大根女満別より移動中
    長い移動になりそう。

    〇白南風が連れ来し移動動物園
    これから本格的な夏です。

    〇落し文旅の多難の始まりは
    終わってしまえばいい思い出に。

    〇礼服の灼かれて野外結婚式
    新郎新婦の大迷惑な趣向。

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  4. ○赤ゑいに乗りたる心地して溽暑
    海豚よりも面白いか。

    ○夕焼にテールランプの赤溢る
    赤色が赤色を殺す。

    ○はだけ方様々ありて熱帯夜
    はだけようのないない人もたまにいます。

    ○炎昼や方違へして逢ひにゆく
    この暑いのにご苦労さん。

    ○言ひ分は双方向に浮いて来い
    大抵は両方とも沈むが・・。

    ○夏の雲斯くも偏るアンケート
    夏雲も暑苦しく偏っています。

    ○金魚屋の水の如くに太りけり
    これが本当の水ぶくれ。


    ○自転車に乗れぬ母あり吊忍
    去年の冬にぎっくり腰になってしまって。

    ○蛇衣を脱ぎ終へてから晩御飯
    あなた、お風呂にする?ご飯にする?それとも・・。

    ○落し文旅の多難の始まりは
    いろいろなきっかけがあります。

    ○礼服の灼かれて野外結婚式
    真夏の野外しか、空いてなかったんです。

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  5. ○清流に馴染める赤の水着かな
    伸びやかに。

    ○赤チンの乾きし光夾竹桃
    夾竹桃が響きます。

    ○夕焼にテールランプの赤溢る
    目に浮かぶ夕景。

    ○はだけ方様々ありて熱帯夜
    あるあると納得。

    ○野方から沼袋まで夕立かな
    地名の距離感がいいです。

    ○夏の雲斯くも偏るアンケート
    夏の雲もいろいろ。

    ○偏食のまま果てにけり兜虫
    好みにうるさい兜虫。

    ○サーカスの移動してゐる夏の月
    夏の月がいいですね。

    ○風鈴がたくさん移動販売車
    この時期によく見かけました。w

    ○凸凹に揮毫されたる団扇かな
    使い込まれて。

    ○礼服の灼かれて野外結婚式
    花嫁さんは晴れ女~。

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  6. トオイダイスケ2013年7月17日 1:27

    ○清流に馴染める赤の水着かな
    80年代のアイドルっぽい。

    ○青蔦の伸びて途方もなき館
    とても大きな青蔦の立方体になっている。

    ○方舟のひとりとなりぬ夕焼空
    後戻りのきかないことに加担した安らかさ。

    ○ひまはりの偏屈なかほしてゐたり
    ひまわりに表情、あると思います。しかも偏屈。

    ○偏頭痛ゆつくり回る走馬燈
    暑いし、時間の感覚も歪む。

    ○峰雲や峰の偏るひとところ
    シンプル。

    ○一斉に移動してゐるかたつむり
    わらわらしている。

    ○妻の手に移す蛍火妻を離れ
    はかなさをともに楽しもうとする気持ち。

    ○風鈴がたくさん移動販売車
    駅の中やアウトレットモールにありそう。

    ○ちらし寿司真白き皿の数幾つ
    大きなちらし寿司の鮮やかさと別に、小さなたくさんの白を見たのがよい。

    ○天地を異にしてシャワーヘッドかな
    水栓をひねって真上に噴き出してから気付いた。

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  7. ○赤チンの乾きし光夾竹桃
    夾竹桃も傷のよう。

    ○言ひ分は双方向に浮いて来い
    なんとも言えない微妙さが浮いて来いで感じられる。

    ○方舟をやりすごしたる優曇華よ
    優曇華がいいですね。

    ○方法は幾多もあれど薔薇の花
    薔薇の絶対的な感じと、方法の多様さの響きあい。

    ○野方から沼袋まで夕立かな
    この二つの地名がとてもいい。季語とあっています。

    ○うたた寝の右に偏るアロハシャツ
    派手な寝姿~。でも、ちょっとおまぬけ。

    ○偏屈と言はれやうとも水を打つ
    頑固に道を貫いてください。

    ○移り気な飛び方見せて瑠璃揚羽
    風の強弱も感じます。

    ○金魚屋の水の如くに太りけり
    水太り?

    ○自転車に乗れぬ母あり吊忍
    優しい視線が吊忍に託されている。

    ○天地を異にしてシャワーヘッドかな
    おかしくて、説得力がある。

    返信削除
  8. ○夕焼にテールランプの赤溢る
    渋滞中。早く帰りたいです。

    ○はだけ方様々ありて熱帯夜
    艶かしいような、単に寝相の問題か。

    ○青蔦の伸びて途方もなき館
    途方もなき、がいいです。

    ○方法は幾多もあれど薔薇の花
    誘惑の方法?

    ○夏の雲斯くも偏るアンケート
    皆、多数派になりたいのです。

    ○偏屈と言はれやうとも水を打つ
    小さなことからコツコツと、が大事です。

    ○偏食のまま果てにけり兜虫
    うらやましいかも。

    ○一斉に移動してゐるかたつむり
    何かの前触れでしょうか。

    ○白南風が連れ来し移動動物園
    子供が喜びそうです。

    ○夜釣人移動せぬまま夜は明けぬ
    初志貫徹。

    ○礼服の灼かれて野外結婚式
    欠席させていただきます。

    返信削除
  9. ○赤門の灼けてくぐるをためらへり
    東大コンプレックス? でもためらう気持ちはわかる気がします。

    ○はだけ方様々ありて熱帯夜
    寝苦しいと浴衣とかはだけちゃうんですよね。的確な写生。

    ○炎昼や方違へして逢ひにゆく
    古い慣わしと炎昼の組み合わせが面白い。

    ○青蔦の伸びて途方もなき館
    蔦にびっしり覆われてる建物、ありますね。途方もないという把握が面白いです。

    ○風鈴を吊るに吉方あるらしき
    風水でしょうか。短冊の色とかにこだわりそう。

    ○方舟のひとりとなりぬ夕焼空
    方舟がひとりになる、と解釈すると深みが出ます。寂しい景。

    ○ひまはりの偏屈なかほしてゐたり
    太陽の方を向かずにうなだれている、そんなひまわり。

    ○端居して金偏の文字書きたがり
    なぜ(笑)。金偏が効いています。

    ○サーカスの移動してゐる夏の月
    華やかなサーカスが、月光を浴びて静かに移動してゆく。幻想的な景。

    ○夏大根女満別より移動中
    女満別にやられました。いいですね女満別。

    ○自転車に乗れぬ母あり吊忍
    吊忍が実にいい味出してます。母親との組み合わせもいい。好き句です。

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  10. ○清流に馴染める赤の水着かな
    赤というのは意外に自然の中にある色なのですよね。

    ○赤外線避けて飛びたり夏の蝶
    何かを避けている感じはわかります。

    ○青蔦の伸びて途方もなき館
    途方もなき、の使い方が面白いです。

    ○野方から沼袋まで夕立かな
    ローカルですが個人的にツボの知名なので・・。

    ○うたた寝の右に偏るアロハシャツ
    短い時間ですが熟睡できた感。

    ○偏屈と言はれやうとも水を打つ
    物事はある程度継続すると変えられません。

    ○偏食の祖母やバナナを愛したる
    祖母も皆から愛されているよう。

    ○移植ごてゆつくり洗ふ夏の果
    移植ごて洗う句が2句もあり驚きました。こちらはゆったりと。

    ○一斉に移動してゐるかたつむり
    見たことあります。目に焼きついています。

    ○自転車に乗れぬ母あり吊忍
    泣かせます。

    ○凸凹に揮毫されたる団扇かな
    そういう団扇を持っています。

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  11. ◯赤き夏南部英語の低き声
    低いけれどよく通る声の持ち主は、かつて農園の奴隷だった祖先を持つのかもしれません。

    ◯赤外線避けて飛びたり夏の蝶
    あえて狙って赤外線を照射してみたところ、見事にかわされた、という感じでしょうか。

    ◯言ひ分は双方向に浮いて来い
    この季語を使って句ができたためしがないので、羨ましい。

    ◯青蔦の伸びて途方もなき館
    途方もない、という言い切り方の気持ちよさ。

    ◯野方から沼袋まで夕立かな
    どの地名でも成立しそうですが、このチョイスは面白い、と思いました。

    ◯偏頭痛ゆつくり回る走馬燈
    偏頭痛と走馬灯の取り合わせとは!

    ◯サーカスの移動してゐる夏の月
    その町での興行がおわり、すぐに次の町へ向かうサーカス団。それでも楽しげなのは夏の月のせいかも。

    ◯夏の雨嗅覚移植されてゐる
    誰から誰へ感覚が移植されたのか、それを想像するのも楽しい句です。

    ◯環七の砕け散りたる西瓜かな
    何だかとても暑さを感じました。

    ◯金魚屋の水の如くに太りけり
    まあ悪い人ではなさそうです、この金魚屋は。

    ◯礼服の灼かれて野外結婚式
    これもまた暑い。

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