2012年11月25日日曜日

越路吹雪句会・投句一覧

お待たせしました。

【越】
だいこんがだいじ越前おろしそば
越冬の肉すみずみに行き渡る
寒晴のごと三越の包装紙
三越のお子様ランチ小六月
三越の前をマスクで通り過ぐ
乗越しの駅に待ちゐる小春かな
着ぶくれて誤植のごとし越境す

【路】
一割は迂回路へゆく落ち葉かな
岐路に立つことの幾たび花八つ手
初雪や路地に人声集まりぬ
雪原に箸一膳の鉄路かな
着ぶくれて路面電車の駅にをり
日向ぼこ夢路いとしのやうな人
路上では危うきものに白き息

【吹】
いぢわるのごと風呂吹の苦さかな
からからの夜に吹かれて凍豆腐
サキソフォン吹いても鳴らず冬旱 
縦笛の吹き口セーター毛羽立ちて
吹き替への台詞しみじみ柿紅葉
吹替に文句言いつつみかんむく
敗荷は吹上御所を遠巻に

【雪】
あなたには見えない雪のやうなもの
降る雪や灯りの中へ救助犬
晴れ男なんぞに惚れて雪女
生き急ぐやうに地に触れ夜の雪
雪の名は七つで足りず黒電話
頬にときどき雪片のやうなもの
羅列する数字読み上げ雪蛍

【当季雑詠】
ジャッポニア・ジャッポンとして冬至粥
のほほんと試練をかはす玉子酒
空心菜さつと炒めて冬に入る
出て行けと言へば寒風ばかりなり
図書館に誘はれてゐる花八手
短日のルウさらさらのカレーかな
父の手に抱かれてゐる聖夜かな
落ち葉からのぞくお札のようなもの

(以上)

7句選(特選、逆選なし)
選句締切:11月27日(火)24時(JST)
投稿先:恒信風句会
http://koshinfu.blogspot.com/

題に関わらず全体から7句選にてお願い致します。
整理の都合上、句の順番はそのままにして下さい。
投句一覧へのコメントとして、投稿して下さい。その際、名前/URLというのを選択して、俳号もしくはご本名を入力して下さい。URLは入れなくてよいです。
なお、右側の「最近のコメント」という欄は反映するのに時間がかかるようです。

ではよろしくお願い致します。

7 件のコメント:

  1. ○寒晴のごと三越の包装紙
     昨今は三越で何か買うことなどすっかりなくなってしまったが、記憶の中の三越の包装紙は見事なまでに簡素でどこか寒々とするものだった。
     
    ○着ぶくれて誤植のごとし越境す
     「誤植のごとし」が尋常でない比喩である。越境してうまく溶け込めないのだろうか。

    ○日向ぼこ夢路いとしのやうな人
     はて、夢路いとしってどんな人であったかとhttp://www.youtube.com/watch?v=qEZWN_cttgQを観始めたらはまる、はまる。昔の漫才はほんとにいいなあ。

    ○いぢわるのごと風呂吹の苦さかな
     ふっふっふ、子どもには分かるまい。

    ○吹替に文句言いつつみかんむく
     あるある。

    ○雪の名は七つで足りず黒電話
     この作者はなぜ雪の名の個数など気になりだしたのだろう。初めから俳句にするために雪の名がたくさんあるのではないかと思えるくらい、俳句に収まっている。

    ○落ち葉からのぞくお札のようなもの
     おふだなのか、おさつなのか、読者の品性を問う句である。

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  2. ★だいこんがだいじ越前おろしそば
    辛子大根かな。旨いんだなこれが。

    ★越冬の肉すみずみに行き渡る
    繊細なる身体感覚。

    ★乗越しの駅に待ちゐる小春かな
    乗り換えでは無く乗越しというところが眼目。作者が急いでないところ好感。

    ★岐路に立つことの幾たび花八つ手
    いつもの場所に花八手。

    ★空心菜さつと炒めて冬に入る
    さすがにかなり旬は過ぎてしまっているけれど。

    ★図書館に誘はれてゐる花八手
    このお誘い、あまり嬉しく無いのかしら。

    ★落ち葉からのぞくお札のようなもの
    一瞬のときめき。

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  3. ○乗越しの駅に待ちゐる小春かな
    予定外の場所で気づくほっこりとした日差し。わかるな。

    ○初雪や路地に人声集まりぬ
    静かな初雪と路地の賑やか。「雪になりましたね」なんて言い合ってるんだろうな。

    ○いぢわるのごと風呂吹の苦さかな
    嫌な意地悪じゃないのね。

    ○あなたには見えない雪のやうなもの
    見えないものが山ほどあるのだろうな、私には。

    ○雪の名は七つで足りず黒電話
    黒電話って見かけなくなりましたね。レトロ感が雪にいろいろな名をつけてきたことを思わせる。白と黒のモノトーンもなかなかの技巧。

    ○図書館に誘はれてゐる花八手
    誘われているのが花八手のような感じがする。いつも図書館の横にひっそりといる八手なんでしょう。

    ○落ち葉からのぞくお札のようなもの
    あなたなーらどうする♪、という古い歌謡曲を思い出し、それが耳から離れません。

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  4. ○だいこんがだいじ越前おろしそば
    美味しそうですね。

    ○寒晴のごと三越の包装紙
    きっぱりとした大胆なデザインですよね。

    ○からからの夜に吹かれて凍豆腐
    この頃の気候が大事なんです。

    ○吹替に文句言いつつみかんむく
    炬燵でみかんは定番です。w

    ○晴れ男なんぞに惚れて雪女
    えてしてそういうものかも。

    ○短日のルウさらさらのカレーかな
    辛いんですよね。

    ○落ち葉からのぞくお札のようなもの
    ありそうな感じがしますよ。

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  5. ◯三越のお子様ランチ小六月
    大人もちょっと食べたくなります。

    ◯着ぶくれて誤植のごとし越境す
    自分じゃないような違和感でしょうか。でも越境したら誰も本当の自分を知らない、そんな感じ。

    ◯サキソフォン吹いても鳴らず冬旱
    むむ、それは冬旱のせいではないのでは?

    ◯雪の名は七つで足りず黒電話
    ほんとに、日本語はすごい。黒電話の取り合わせが渋くてピッタリ。

    ◯頬にときどき雪片のやうなもの
    雪国では、雪は雪!ですが、東京では雪の降り始めはこんな感じがします。あれ?という。

    ◯のほほんと試練をかはす玉子酒
    玉子酒飲んで寝ているうちに試練も風邪もどっかいっちゃう、そんなおおらかさ。

    ◯出て行けと言へば寒風ばかりなり
    やるせない。そして寒い。

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  6. ○寒晴のごと三越の包装紙
    三越がいいあんばい。晴れやかなのです。

    ○乗越しの駅に待ちゐる小春かな
    乗り越しても大丈夫な気持ちがする句。

    ○いぢわるのごと風呂吹の苦さかな
    失敗しただけですよ。と嫁の言い。

    ○あなたには見えない雪のやうなもの
    見えなくたって悔しくないやい。

    ○雪の名は七つで足りず黒電話
    雪の名七つ、が好きなのですが、電話に少し首をひねります。

    ○空心菜さつと炒めて冬に入る
    手早い感じが、冬へきっぱりいく風景。

    ○図書館に誘はれてゐる花八手
    たくさんの手が誘いますが、もののけの手のようですね。

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  7. ◇乗越しの駅に待ちゐる小春かな
     偶発的な時間と空間、エトランゼ気分に季語がやさしい。

    ◇路上では危うきものに白き息
     中七、思わせぶり。坐五が美しい。

    ◇降る雪や灯りの中へ救助犬
     投光機が激しい降雪ぶりを際立たせ緊迫感横溢。迫真のドラマ。  

    ◇生き急ぐやうに地に触れ夜の雪
     「夜」に効果あり。

    ◇ジャッポニア・ジャッポンとして冬至粥
     検索したものの手品を見ているような感じ。

    ◇図書館に誘はれてゐる花八手
     中七に魅力が。

    ◇落ち葉からのぞくお札のようなもの
     逡巡の後、やはり選んでしまった。


     

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