2012年11月5日月曜日

無賃乗車句会・作者発表

音無川さくらもみぢも散りをはる   苑を  
木賃宿の入口に立つ朴落葉      苑を    不
乗船に並ぶひとびと着ぶくれて    苑を    幹
車道へとはみ出してゆく萩の乱    苑を    四
果樹園にころろころろと林檎鳴る   苑を  

着ぶくれのどこかになくす切符かな  朝比古   四幹亜由
お駄賃とともに焼藷屋へ走る     朝比古   不亜
地下鉄を乗り継ぎて木枯に出る    朝比古  
黄落をつつきつてゆく乳母車     朝比古   四
末つ子のやうに灯火を親しめり    朝比古   不亜由

有耶無耶を串刺しにしておでん酒   ぐみ  
どんぐりの五つが家賃大きな尾    ぐみ    四不
恋ゆゑに二は二乗とす酉の市     ぐみ    四
もみぢ葉の化して海盤車となりにけり ぐみ  
秋去りぬ魑魅魍魎を引き連れて    ぐみ  

無蓋車の藁ひきづりて秋の風     藤幹子  
芒原賃走ランプ赤黒し        藤幹子   ぐ
月へゆく加減乗除の果ての道     藤幹子   四
戦車とか愚者とか銀の大花野     藤幹子   四不ぐ
晩秋の蟻の穴より空の音       藤幹子  

無月なり筋肉痛の足を揉み      由季  
最新式運賃箱に秋日満ち       由季    朝幹ぐ
うそ寒の乗降口の蛇腹かな      由季    幹
コスモスやほぼ一定の車間距離    由季    四不亜
鶏頭の全部がこちら向いてゐる    由季    朝

所在無きひとりのひと日熟柿吸ふ   亜紀  
お駄賃の替はりに貰ふ蜜柑かな    亜紀    朝幹
一番に名乗り上げたる実南天     亜紀    苑
口車躱し黄落しきりなり       亜紀    ぐ
素つ気なき空の青さや鵙猛る     亜紀    苑
集合は無人駅なり山粧ふ       亜紀    朝苑幹ぐ
らしからぬ今日の我々十三夜     亜紀  

古酒新酒無理な姿勢で寝てしまふ   不孤    苑幹亜由
ポストまでどんぐりひとつお駄賃に  不孤    由
暮の秋乗れば奈落のエレベータ    不孤  
秋夕焼ひらきすぎたる車間距離    不孤    苑由
くまさんのやうな恋人小六月     不孤    朝苑由

無駄なことばかりしてゐる小春かな  四童    朝苑亜ぐ
お駄賃の縫ひぐるみ増え冬に入る   四童  
乗車券冬の日向に差し出せり     四童    朝苑不幹亜由ぐ
黄落や滑車の見えるエレベーター   四童    亜
敗荷といふミッションを遂行す    四童    朝不由ぐ

以上。(集計:不孤)

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