音無川さくらもみぢも散りをはる 苑を
木賃宿の入口に立つ朴落葉 苑を 不
乗船に並ぶひとびと着ぶくれて 苑を 幹
車道へとはみ出してゆく萩の乱 苑を 四
果樹園にころろころろと林檎鳴る 苑を
着ぶくれのどこかになくす切符かな 朝比古 四幹亜由
お駄賃とともに焼藷屋へ走る 朝比古 不亜
地下鉄を乗り継ぎて木枯に出る 朝比古
黄落をつつきつてゆく乳母車 朝比古 四
末つ子のやうに灯火を親しめり 朝比古 不亜由
有耶無耶を串刺しにしておでん酒 ぐみ
どんぐりの五つが家賃大きな尾 ぐみ 四不
恋ゆゑに二は二乗とす酉の市 ぐみ 四
もみぢ葉の化して海盤車となりにけり ぐみ
秋去りぬ魑魅魍魎を引き連れて ぐみ
無蓋車の藁ひきづりて秋の風 藤幹子
芒原賃走ランプ赤黒し 藤幹子 ぐ
月へゆく加減乗除の果ての道 藤幹子 四
戦車とか愚者とか銀の大花野 藤幹子 四不ぐ
晩秋の蟻の穴より空の音 藤幹子
無月なり筋肉痛の足を揉み 由季
最新式運賃箱に秋日満ち 由季 朝幹ぐ
うそ寒の乗降口の蛇腹かな 由季 幹
コスモスやほぼ一定の車間距離 由季 四不亜
鶏頭の全部がこちら向いてゐる 由季 朝
所在無きひとりのひと日熟柿吸ふ 亜紀
お駄賃の替はりに貰ふ蜜柑かな 亜紀 朝幹
一番に名乗り上げたる実南天 亜紀 苑
口車躱し黄落しきりなり 亜紀 ぐ
素つ気なき空の青さや鵙猛る 亜紀 苑
集合は無人駅なり山粧ふ 亜紀 朝苑幹ぐ
らしからぬ今日の我々十三夜 亜紀
古酒新酒無理な姿勢で寝てしまふ 不孤 苑幹亜由
ポストまでどんぐりひとつお駄賃に 不孤 由
暮の秋乗れば奈落のエレベータ 不孤
秋夕焼ひらきすぎたる車間距離 不孤 苑由
くまさんのやうな恋人小六月 不孤 朝苑由
無駄なことばかりしてゐる小春かな 四童 朝苑亜ぐ
お駄賃の縫ひぐるみ増え冬に入る 四童
乗車券冬の日向に差し出せり 四童 朝苑不幹亜由ぐ
黄落や滑車の見えるエレベーター 四童 亜
敗荷といふミッションを遂行す 四童 朝不由ぐ
以上。(集計:不孤)
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