2013年3月12日火曜日

制度疲労句会・投句一覧

【制】
うちらみな強制的にヒヤシンス
亀戸の制御不能の浮かれ猫
牽制の球の行方や山笑ふ
春光やブラック企業の年俸制
春疾風互ひ違ひに規制線
制服で選ぶ学校朝雲雀
制服の胸の高さよ桜散る
制服の人も混じりて潮干狩
恋猫の恋を強制終了す
爛々と制服てかり鳥曇

【度】
しやぼん玉吹いてもう何度目の恋
タイガージェット印度メタシン百千鳥
なのはなの揺れる度海広がりぬ
はじめから度外視されてゐる田螺
月おぼろ度数の高き酒酌みて
節度ある姿勢で蝶の生まれけり
二度三度後ろ見やりて桜時
抱きしめる度に芽吹いてゆく身体
論文は猫の契りの度量衡

【疲】
この頃は疲弊のそぶり猫の夫
花疲れ捺してかするる三文半
蒲公英になるまで疲れ草臥れる
気疲れの耳にひねもす鳥の恋
春昼の動物園の疲れかな
卒業のどつと疲れてしまひけり
湯疲れの髪のほつるる春の月
美容師の指に疲れや春灯
野遊びに疲れし父の寝息かな
朧夜の乳房疲れてゐたりけり

【労】
けつたいな慰労珠gとしやぼん玉
たんぽぽや苦労を顔に出さぬ人
建築の労働見えている日永
春愁ひ金属疲労とも違ふ
春星の増えてゆきたる慰労会
値切つたり労はれたり菠薐草
労ひの言葉春の闇の深さ
労りの言の葉彼岸桜かな
労咳の床より見ゆる猫の恋
労働を終へて青きを踏みにける

【当季雑詠】
うららかや歩きタバコを蹴つ飛ばす
かき混ぜてみたき目鼻やよなぐもり
クリックとかダブルクリック目借時
五次元に春の来てゐる御茶ノ水
高速路黄砂みるみる濃き中へ
春の雲流れて私小説めきぬ
春の宵僧侶のやうなベーシスト
竹とんぼ飛ばそ春の脱毛し放題
恋猫やスカイツリーのやや揺らぎ

(以上)

9句選(特選、逆選なし)
選句締切:3月14日(木)24時(JST)
投稿先:恒信風句会
http://koshinfu.blogspot.com/

題に関わらず全体から9句選にてお願い致します。
整理の都合上、句の順番はそのままにして下さい。
投句一覧へのコメントとして、投稿して下さい。その際、名前/URL
というのを選択して、俳号もしくはご本名を入力して下さい。
URLは入れなくてよいです。
なお、右側にあった「最近のコメント」という欄は、ガジェットが壊れた
らしく現在使えません。

ではよろしくお願い致します。

9 件のコメント:

  1. ◯うちらみな強制的にヒヤシンス
    ヒヤシンスにされてしまった人々。


    ◯制服の人も混じりて潮干狩
    学生服ではない方が面白い。警察官とか。


    ◯恋猫の恋を強制終了す
    いえいえ、恋は終わりません。


    ◯タイガージェット印度メタシン百千鳥
    スーッとするんですね。


    ◯節度ある姿勢で蝶の生まれけり
    蝶の節度とは。


    ◯卒業のどつと疲れてしまひけり
    疲れるんですよね。


    ◯春愁ひ金属疲労とも違ふ
    制度疲労かもしれません。


    ◯春の宵僧侶のやうなベーシスト
    黙々と。


    ◯竹とんぼ飛ばそ春の脱毛し放題
    脱毛し放題!わけわからない。竹とんぼ、春との関係も。何でしょう?

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  2. ●制服の胸の高さよ桜散る
     女子高の風景、友達の様子が気になる季節。

    ●制服の人も混じりて潮干狩
     制服のスッチー、お巡りさん?

    ●なのはなの揺れる度海広がりぬ
     実際の風景とは少し違う気もしますが、虚実皮膜。

    ●二度三度後ろ見やりて桜時
     三度も四度も振り返り、立ち止まってしまいます。

    ●卒業のどつと疲れてしまひけり
     次は入学、それとも就職。

    ●野遊びに疲れし父の寝息かな
     起こさないで、そっとしておいて。

    ●かき混ぜてみたき目鼻やよなぐもり
     これは実際の風景。

    ●クリックとかダブルクリック目借時
     「とか」がきいている感じ、ていうか好き。

    ●春の雲流れて私小説めきぬ
     春の雲のように甘くて感傷的。

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  3. ○恋猫の恋を強制終了す
    蹴飛ばしたり、カンカラ叩いたり? ガレージのクルマの出し入れの時とか。

    ○月おぼろ度数の高き酒酌みて
    ウオッカだろうか。物が二重三重に見えてきます。

    ○節度ある姿勢で蝶の生まれけり
    気品のある句です。蛹から羽化した瞬間をとらえたものか。

    ○蒲公英になるまで疲れ草臥れる
    「屋上屋」の感じですが、「草臥れる」の表記が地にヘタっているたんぽぽの葉っぱの様を表して妙。

    ○美容師の指に疲れや春灯
    月曜日の夕刻でしょう。

    ○値切つたり労はれたり菠薐草
    面白いです。「ねぎらう」から「ねぎる」になったのかも。

    ○労咳の床より見ゆる猫の恋
    子規が浮かびます。

    ○春の宵僧侶のやうなベーシスト
    スキンヘッドに作務衣なのだろう。僧侶でベーシストというのもいるだろうけど。

    ○竹とんぼ飛ばそ春の脱毛し放題
    むちゃくちゃ可笑しいです。「脱毛し放題」というのはある種深刻な状況を想起させますが、ここでは無邪気に笑い飛ばしていいのでしょう。

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  4. ★恋猫の恋を強制終了す
     いずれにせよ強制は駄目です。

    ★爛々と制服てかり鳥曇
     安い生地の服を長いこと着続けているとこうなります。

    ★なのはなの揺れる度海広がりぬ
     ややパターンかとも思うけれど、虚構の大きさに一票。

    ★はじめから度外視されてゐる田螺
     田螺の立場になって考えてみてくださいましな。

    ★春昼の動物園の疲れかな
     春昼、一番疲れてるかも。

    ★野遊びに疲れし父の寝息かな
     仕事に疲れて、遊びに疲れて。お父さん頑張ってるなぁ。

    ★たんぽぽや苦労を顔に出さぬ人
     こういう人に私はなりたい。

    ★かき混ぜてみたき目鼻やよなぐもり
     花粉症の人の実感かと想像。

    ★春の宵僧侶のやうなベーシスト
     確かにいるね。

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  5. ○春疾風互ひ違ひに規制線
    何があったんだろうか・・・春の強く早い風の中、
    様々な想像が広がる。

    ○制服の胸の高さよ桜散る
    桜散るから、女子高生と卒業のイメージが浮かびますね。
    それは、「胸の高さよ」が効果的なのだと思います。

    ○節度ある姿勢で蝶の生まれけり
    節度ある姿勢は、上手な表現だなあ。
    その後の蝶の羽を広げた姿が、眩しさを伴って浮かんでくる。

    ○二度三度後ろ見やりて桜時
    桜の木ごとの咲きぶりや、揺れている枝がよく見える。

    ○春昼の動物園の疲れかな
    明るくさみしいけだるさがいい。

    ○たんぽぽや苦労を顔に出さぬ人
    たんぽぽがいいですね。私を含め、校了時(まさに現在)なんて
    皆目も言葉もとんがっているので、反省しました。

    ○建築の労働見えている日永
    働いている人の姿はもちろん、現場の空間や音まで浮かびます。

    ○かき混ぜてみたき目鼻やよなぐもり
    こんな面白い言い方もできるのですね!

    ○高速路黄砂みるみる濃き中へ
    まさに今。そして、疾走感のある情景と厚い黄砂が迫ってきます。

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  6. ◯牽制の球の行方や山笑ふ

    あー、やっちゃた!



    ◯制服の胸の高さよ桜散る

    普遍の初々しさがありますね。



    ◯なのはなの揺れる度海広がりぬ

    これも原風景ですね。



    ◯月おぼろ度数の高き酒酌みて

    良い気分。



    ◯抱きしめる度に芽吹いてゆく身体

    楽しい時期ですね。



    ◯気疲れの耳にひねもす鳥の恋

    「気疲れの耳」いいです。



    ◯湯疲れの髪のほつるる春の月

    「湯疲れの髪」いいです。



    ◯たんぽぽや苦労を顔に出さぬ人

    美学です。



    ◯労働を終へて青きを踏みにける

    癒されてゆくでしょう。

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  7. ○亀戸の制御不能の浮かれ猫
    亀戸の地名が妙にリアル。

    ○制服の胸の高さよ桜散る
    佳い雰囲気。

    ○恋猫の恋を強制終了す
    ははは、確かに。

    ○月おぼろ度数の高き酒酌みて
    いける口ですね。

    ○抱きしめる度に芽吹いてゆく身体
    春ですね~

    ○美容師の指に疲れや春灯
    美の裏方、はたらく指に焦点。

    ○たんぽぽや苦労を顔に出さぬ人
    こちらまで癒されます。

    ○労働を終へて青きを踏みにける
    明日への活力。

    ○春の宵僧侶のやうなベーシスト
    表情が見えてきますね。

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  8. ○亀戸の制御不能の浮かれ猫
    亀戸が効いてます。誰か止めてあげて。

    ○しやぼん玉吹いてもう何度目の恋
    ちょっとベタですが、切ないです。

    ○はじめから度外視されてゐる田螺
    田螺が気の毒に思えてきます。

    ○抱きしめる度に芽吹いてゆく身体
    何となくエロティシズム。いいですなぁ。

    ○湯疲れの髪のほつるる春の月
    勝手に女性だと解釈します。色っぽいです。

    ○たんぽぽや苦労を顔に出さぬ人
    こういう人、尊敬できます。たんぽぽがいい。

    ○労咳の床より見ゆる猫の恋
    我が身の哀れを感じているのでしょうか。

    ○かき混ぜてみたき目鼻やよなぐもり
    いったいどんな顔になるのやら。ちょっとした福笑い。

    ○春の宵僧侶のやうなベーシスト
    たしかに、どこかのライブハウスにいそうです。

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  9. ○うちらみな強制的にヒヤシンス
     まさかヒヤシンスの前で切れるのではないと思います。アナーキーでよいです。

    ○亀戸の制御不能の浮かれ猫
     亀戸という断定がよいですね。

    ○制服の人も混じりて潮干狩
     ナースとか婦警とかスッチーとかですね。

    ○節度ある姿勢で蝶の生まれけり
     なまめかしいですね。「節度ある」が逆説的にとんでもなくなまめかしいです。

    ○抱きしめる度に芽吹いてゆく身体
     サイケですね。

    ○春昼の動物園の疲れかな
    疲れているのが作者とも動物とも言っていなくて、動物園という世界全体が疲れた感じがいいです。

    ○建築の労働見えている日永
     窓によって音が遮られているのでしょうか、「労働見えている」のクールな措辞がすばらしいです。

    ○春の宵僧侶のやうなベーシスト
     スティーブ・フォックスさんですね。

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