2013年3月31日日曜日

生駒里奈句会・投句一覧

 お待たせしました。

【生】
ペダル漕ぐ生脚桜散る街の
吸へば生前吐けば線後へ花菜風
今日からは卒業生と呼ばれをり
春の宵袋分けする生活費
初蝶の生まれ落ちたるの甲斐の国
焼くひとも生態系にゐる野かな
生ハムがメロンに乗りて春の宴
生八ッ橋一口かじる桜かな
前生の姿覗いて春の闇

【駒】
花の夜チェックメイトのチェスの駒
花の夜を生駒大祐倍増す
花衣つまづく駒形どぜう前
駒落ちで挑む手合ひや春袷
持ち駒のひとつとなりて飛花落花
若駒のすまして駆けてゆきにけり
春の雨駒場東大前駅の
春駒の嫋々と駆け闇に入る
龍馬へと駒うらがへる菜の花忌

【里】
げんげ田や里は奈落のありどころ
故里の生家に残る春の闇
首里城が門だけの頃囀れリ
首里城に朝の広がり桜貝
春なれやたましひにあな里にあな
人里を離れ磯巾着揺るる
千里より万里は遠し蝶の昼
里山のニヒルに笑ふ余寒かな
里親をなつかせてゐる子猫かな

【奈】
あしたに青畝ゆふべに麗奈の山桜
花の雨奈良へは一度行つたきり
月野ぽぽな東京ばな奈花の雨
奈落から舞ひ上がりたる花吹雪
奈落よりはじまつてゐる蝌蚪の国
奈良県の木は杉であり鳥雲に
奈良漬でさらりと済ます社日かな
箸先につまむ奈良漬春惜しむ
問題は奈辺にありや春の闇

【当季雑詠】
いちにちに二度会ふ人や花大根
花冷えのやうに自転を終へにけり
鴨帰るうちの一羽が父であり
元の場所へ戻つてゐたる桜かな
咲き満ちて桜は闇を拒まざる
作りものの空春の風邪治らぬまま
残像の吹かれてゐたり蝶の昼
春闇の奥に座したる天女かな
春風とリズムが合はず踏むペダル
銅像の直立不動桜散る
葉桜や最終電車に人あふれ

(以上)

9句選(特選、逆選なし)
選句締切:4月2日(火)24時(JST)
投稿先:恒信風句会
http://koshinfu.blogspot.com/

題に関わらず全体から9句選にてお願い致します。
整理の都合上、句の順番はそのままにして下さい。
投句一覧へのコメントとして、投稿して下さい。その際、名前/URLというのを選択して、俳号もしくはご本名を入力して下さい。URLは入れなくてよいです。
なお、右側にあった「最近のコメント」という欄は、ガジェットが壊れたらしく現在使えません。

ではよろしくお願い致します。

9 件のコメント:

  1. ★今日からは卒業生と呼ばれをり
     シンプルな措辞だけれど、なかなかの余韻。

    ★前生の姿覗いて春の闇
     タイムマシン俳句。回想にしていないところが良い。

    ★人里を離れ磯巾着揺るる
     磯巾着とはそういうものやなぁ。

    ★千里より万里は遠し蝶の昼
     字面から海原千里・万里の天才的な漫才を思い出してしまった。

    ★里親をなつかせてゐる子猫かな
     子猫とはいっても侮ってはいけない。小悪魔子猫。

    ★花の雨奈良へは一度行つたきり
     私も中学生の時の修学旅行以来、奈良には行っていないことに気付いた。京都には何度も行ってるのに…。

    ★いちにちに二度会ふ人や花大根
     牧歌的風情のよろしさ。

    ★春闇の奥に座したる天女かな
     高尾太夫だろうか。一度お目にかかりたい。

    ★葉桜や最終電車に人あふれ
     夜桜ではなく、葉桜というずらし方が上手。

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  2. 露結

    ○春の宵袋分けする生活費
    不思議と不幸な感じのしない貧しさ。

    ○持ち駒のひとつとなりて飛花落花

    さあ、後がない。

    ○龍馬へと駒うらがへる菜の花忌
    司馬遼太郎忌の句、はじめて見たかも。

    ○故里の生家に残る春の闇
    触れたくない過去?

    ○首里城が門だけの頃囀れリ
    沖縄の春は短いのでしょうか。

    ○人里を離れ磯巾着揺るる
    たしかに、海中ですから。

    ○月野ぽぽな東京ばな奈花の雨
    こういう遊び方もあるんですね。

    ○いちにちに二度会ふ人や花大根
    異性なら恋がはじまるかも。

    ○鴨帰るうちの一羽が父であり
    さようなら。

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  3. ○春の宵袋分けする生活費
    この堅実さが将来に生きる。
    ○前生の姿覗いて春の闇
    闇だからこそ見えるもの。
    ○首里城が門だけの頃囀れリ
    守礼邦だけの頃がよかった。
    ○花の雨奈良へは一度行つたきり
    吉良も和良も何回か行ったけど。
    ○奈良県の木は杉であり鳥雲に
    奈良県の鳥はこまどり姉妹。
    ○箸先につまむ奈良漬春惜しむ
    うな丼がちらつく。この平凡でささやかな幸せ。
    ○いちにちに二度会ふ人や花大根
    ほんときまりが悪いったらありゃしない。
    ○咲き満ちて桜は闇を拒まざる
    桜という花は、さ暗がりだから。
    ○葉桜や最終電車に人あふれ
    最終レース後もあふれます。

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  4. ○前生の姿覗いて春の闇
    春の闇に説得力がある。


    ○持ち駒のひとつとなりて飛花落花
    飛花落花のリズムと響きのよさが、切なさを呼ぶのです。

    ○春なれやたましひにあな里にあな
    よくわかりませんが、うなずいてしまう句です。

    ○奈落から舞ひ上がりたる花吹雪
    視点が下から上に映るので、満開の花と風がよく見える。
    奈落も納得。

    ○箸先につまむ奈良漬春惜しむ
    奈良漬がいい。

    ○いちにちに二度会ふ人や花大根
    花大根がよく効いている。

    ○残像の吹かれてゐたり蝶の昼
    蝶ってこんな感じありますね。昼で白昼夢のよう。

    ○春闇の奥に座したる天女かな
    吉祥天女~!! 艶のある薄い微笑みが見える。

    ○春風とリズムが合はず踏むペダル
    風とペダルのいきいきとした動きとリズムが感じられます。

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  5. ○持ち駒のひとつとなりて飛花落花
    ドラマチックです。

    ○春なれやたましひにあな里にあな
    意味はよくわかりませんが怪しい雰囲気がいいです。

    ○人里を離れ磯巾着揺るる
    人里離れるというと山をイメージしますが、海もそうなんですね。

    ○花の雨奈良へは一度行つたきり
    奈良との距離感がしっとりしています。

    ○奈落よりはじまつてゐる蝌蚪の国
    蝌蚪もたいへんなのですね。

    ○箸先につまむ奈良漬春惜しむ
    つまむ動作と惜春の心情が響きあっています。

    ○いちにちに二度会ふ人や花大根
    こういうことありますね。すこし間の悪い感じ。

    ○花冷えのやうに自転を終へにけり
    主体はわかりませんが、花冷えのように止まっていくのが魅力的。

    ○葉桜や最終電車に人あふれ
    葉桜が効果的です。

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  6. ○春の宵袋分けする生活費
    袋分けは節約の第一歩。生活感がにじみ出ています。

    ○焼くひとも生態系にゐる野かな
    野焼きの本来の目的をうまく捉えています。

    ○龍馬へと駒うらがへる菜の花忌
    菜の花忌に龍馬はつき過ぎかとも思いますが。

    ○首里城に朝の広がり桜貝
    朝日を浴びる首里城と桜貝。綺麗でよいと思います。

    ○千里より万里は遠し蝶の昼
    当たり前といえば当たり前なんですが、蝶の昼の距離感が面白いです。

    ○奈落よりはじまつてゐる蝌蚪の国
    暗い底から蝌蚪が湧き出すような雰囲気。

    ○いちにちに二度会ふ人や花大根
    ありますね、こういうこと。花大根がちょっと面白い。

    ○鴨帰るうちの一羽が父であり
    鴨の父親なのか、作者の父の化身なのか。後者だとするとかなり感傷的な一句。

    ○咲き満ちて桜は闇を拒まざる
    桜は闇を拒まざる、は見事な措辞。夜桜の本質を突いています。

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  7. ○春の宵袋分けする生活費
    ちまちまとした感じが面白い。w

    ○焼くひとも生態系にゐる野かな
    みんな同じ舞台にいるんです。

    ○前生の姿覗いて春の闇
    春が効いていますね。

    ○龍馬へと駒うらがへる菜の花忌
    ふむふむと納得。

    ○首里城が門だけの頃囀れリ
    タイムスリップして・・。

    ○人里を離れ磯巾着揺るる
    あるがままがよいです。

    ○奈落から舞ひ上がりたる花吹雪
    劇的です。

    ○咲き満ちて桜は闇を拒まざる
    しんとした静けさがあります。

    ○葉桜や最終電車に人あふれ
    葉桜の感じが出ています。

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  8. 遅くなってすみません。

    ○ペダル漕ぐ生脚桜散る街の
     「生脚」という奇妙な語感がいいですね。

    ○吸へば生前吐けば線後へ花菜風
     「生前」「線後」というぜんぜん対句になっていないところが想像力をかき立てます。特に恐らく造語であろう「線後」。

    ○春の宵袋分けする生活費
     便利な世の中でそこだけ時間が止まっている感じがします。

    ○生ハムがメロンに乗りて春の宴
     こういうなんでもないものをわざわざ俳句にするのもいいですね。

    ○龍馬へと駒うらがへる菜の花忌
     また随分と機知の勝った句ですね。

    ○人里を離れ磯巾着揺るる
     なんだか色っぽいです。

    ○あしたに青畝ゆふべに麗奈の山桜
     青畝は「山又山山桜又山桜」だとすぐ分かりましたが、麗奈は田中麗奈という人がいるのですね。俳句と映画をこんなふうに対句にするのもいいですね。

    ○いちにちに二度会ふ人や花大根
     実はただの夫婦を俳句として詠むとこうなったりして。

    ○残像の吹かれてゐたり蝶の昼
     そんな感じがすることがありますね。

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  9.  旅行に行っていて帰国が選句期限に間に合いませんでしたが、今からでもということのなで、選句します。

    ●ペダル漕ぐ生脚桜散る街の
     生脚と散る桜が奇妙に合っている。

    ●焼くひとも生態系にゐる野かな
     野焼きにはどこかしら罪の意識が。

    ●げんげ田や里は奈落のありどころ
     故里には近づかない方がいい。遠くから想うもの。

    ●首里城が門だけの頃囀れリ
     確かにそんな時代がありました。

    ●花の雨奈良へは一度行つたきり
     私もそうです。

    ●奈落から舞ひ上がりたる花吹雪
     どんな風景なのか、想像力の勝利。

    ●鴨帰るうちの一羽が父であり
     複雑な関係をよく一言で言い切りました。

    ●咲き満ちて桜は闇を拒まざる
     満開になっても、なお懐は深い。

    ●残像の吹かれてゐたり蝶の昼
     残像とは記憶。真昼の幻影。

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