2013年3月20日水曜日

枢機卿団句会・投句一覧

たいへんお待たせ致しました。

【枢】
うららかに中枢神経抹消す
一国の中枢に置けこの蝌蚪は
我々の中枢占むる春炬燵
魚島の中枢うごめいてゐたり
枢要な部分を隠すよなぐもり
浅蜊売水掛け論の中枢に
草餅のしかと満腹中枢へ
中枢オヨビ周辺ノ蒲公英ヨ
中枢へいそぎんちやくの近づきぬ
聴覚中枢視覚中枢月朧

【機】
機械音混じつてゐたる蜃気楼
機関誌の記念号なり辛夷咲く
機織りの足が朧を踏んでゐる
春の本並びし自動販売機
初蝶の羽なり機知に飛んでゐる
掃除機で吸ひたる霞捨てにけり
大いなる機影霾る中に消ゆ
朧夜の精緻な機械図面かな
霾や工作機械展示場

【卿】
ウィンストン卿から貰ふ春うれひ
マッカートニー卿なでる春の髪
黄砂降る顔真卿の碑にもふる
花どきの公卿虫歯でうらなりで
花人の公卿の顔となりにけり
桜もち公卿の庭にもてなされ
真夜中のふらここにゐる枢機卿
青き踏むダービー卿のお供して
白梅卿紅梅夫人闇を著る

【団】
ふらここや団体も団子もきらひ
楽団のとほざかりゆく鳥曇
楽団のはみ出してくるカーニヴァル
主なき団藤邸に薔薇芽吹く
終点が団地のバスよかげろへる
団旗持ち霾る街を行進す
盗賊団焼野を走り抜けにけり
北窓を開き団体交渉す
團琢磨忌や專(もはら)は國に匿はれ

【当季雑詠】
クレーンの朧夜を掻くかたちかな
サッカーのゴールを決めぬ霾る中
どつと咲くありとあらゆる春の花
蟻に蟻乗りて穴より出できたり
撃たれざる雉かも声の響まざる
思ひ出のつぎからつぎに卒業歌
春風に梳かれヒマラヤ山羊のひげ
雪しろやこんなところに道祖神
突き出しの飯蛸のほか記憶無し
鞦韆を漕ぎをり菲才顧みず

(以上)

9句選(特選、逆選なし)
選句締切:3月22日(金)24時(JST)
投稿先:恒信風句会
http://koshinfu.blogspot.com/

題に関わらず全体から9句選にてお願い致します。
整理の都合上、句の順番はそのままにして下さい。
投句一覧へのコメントとして、投稿して下さい。その際、名前/URLというのを選択して、俳号もしくはご本名を入力して下さい。URLは入れなくてよいです。
なお、右側にあった「最近のコメント」という欄は、ガジェットが壊れたらしく現在使えません。

ではよろしくお願い致します。

9 件のコメント:

  1. ★一国の中枢に置けこの蝌蚪は
     中枢で蛙になるのだ。
     
    ★我々の中枢占むる春炬燵
     我々がイイ。

    ★機械音混じつてゐたる蜃気楼
     唸るような。

    ★機関誌の記念号なり辛夷咲く
     編集員の方、ご苦労様でした。

    ★大いなる機影霾る中に消ゆ
     ゆったりと。

    ★楽団のはみ出してくるカーニヴァル
     はみ出してくるのは楽団だけではないのです。

    ★終点が団地のバスよかげろへる
     高島平だろうか。

    ★思ひ出のつぎからつぎに卒業歌
     あぁ、べたなよろしさ。

    ★突き出しの飯蛸のほか記憶無し
     激ウマだったのねん。

    返信削除
  2. ●機織りの足が朧を踏んでゐる
     足許が朧でどこか艶っぽい。

    ●掃除機で吸ひたる霞捨てにけり
     上手く捨てられたのかしら。

    ●霾や工作機械展示場
     これは意外な場所ですが、なるほど。

    ●花どきの公卿虫歯でうらなりで
     もちろん今の公卿ではなく昔の話、でもありそう。

    ●楽団のはみ出してくるカーニヴァル
     これも大いにありそうな話。

    ●クレーンの朧夜を掻くかたちかな
     あれは掻いていたのですね。

    ●思ひ出のつぎからつぎに卒業歌
     そっちょくなところが好きです。

    ●春風に梳かれヒマラヤ山羊のひげ
     「梳かれ」が気持ち良さそうです。

    ●突き出しの飯蛸のほか記憶無し
     よくありそうな話ですね。

    返信削除
  3. ○枢要な部分を隠すよなぐもり
    黄砂は何でも隠すから。
    ○中枢へいそぎんちやくの近づきぬ
    海の中枢とは興味深い。
    ○機械音混じつてゐたる蜃気楼
    蜃気楼も一つの都市として。
    ○掃除機で吸ひたる霞捨てにけり
    春霞の日に掃除をすれば確かに。
    ○朧夜の精緻な機械図面かな
    朧と精緻の両極。
    ○花人の公卿の顔となりにけり
    自称公卿の何と多いこと。
    ○楽団のとほざかりゆく鳥曇
    演奏が終わって次の舞台に。
    ○蟻に蟻乗りて穴より出できたり
    蟻の国の過剰人?口。
    ○突き出しの飯蛸のほか記憶無し
    と言うか、他に注文しなかった。

    返信削除
  4. ○うららかに中枢神経抹消す
    人間のからだの怖さを客観的に見せられるようで、コワイ。

    ○機関誌の記念号なり辛夷咲く
    いつもより厚くて、心象的に光って見える。

    ○機織りの足が朧を踏んでゐる
    朧さえ織り込んで、広がる布の美しさ。

    ○掃除機で吸ひたる霞捨てにけり
    この霞には、さまざまなものが含まれていそうです。

    ○ウィンストン卿から貰ふ春うれひ
    高貴なけだるさ。お茶の時間にしよう。

    ○真夜中のふらここにゐる枢機卿
    静かな揺れの中で、主へ思いを馳せているのでしょうか。

    ○楽団のとほざかりゆく鳥曇
    音の余韻が鳥雲と相まって、心地よいです。

    ○団旗持ち霾る街を行進す
    霾る街がよく見えます。

    ○春風に梳かれヒマラヤ山羊のひげ
    気持ち良さそう。空の青も怖いくらいに濃くて、高そう。

    返信削除
  5. ○草餅のしかと満腹中枢へ
    会席膳のデザートの草餅、こたえます。

    ○中枢へいそぎんちやくの近づきぬ
    自ずから中枢になるのでしょう。

    ○機械音混じつてゐたる蜃気楼
    高い金属音ではなく、重低音が振動しているような。

    ○機織りの足が朧を踏んでゐる
    あまりにも俳句的な。

    ○黄砂降る顔真卿の碑にもふる
    顔真卿が出たことに敬意。

    ○花人の公卿の顔となりにけり
    花の下では誰もが雅に…んなわけないけど。

    ○白梅卿紅梅夫人闇を著る
    ほほー、これはこれは。「闇を着る」がよいです。

    ○ふらここや団体も団子もきらひ
    はは、共感できる。

    ○突き出しの飯蛸のほか記憶無し
    あとはおぼろ~。

    返信削除
  6. ○機械音混じつてゐたる蜃気楼
    機械仕立ての蜃気楼。

    ○機織りの足が朧を踏んでゐる
    霞のような布が織り上がる。

    ○初蝶の羽なり機知に飛んでゐる
    山田くん、座布団一枚。

    ○楽団のとほざかりゆく鳥曇
    楽団が空に吸い込まれてゆく感じ。

    ○北窓を開き団体交渉す
    交渉成立の雰囲気。

    ○クレーンの朧夜を掻くかたちかな
    暴れそうなクレーン。

    ○蟻に蟻乗りて穴より出できたり
    こんなこともあるのでしょう。

    ○春風に梳かれヒマラヤ山羊のひげ
    ヒマラヤへ行ってみたい。

    ○突き出しの飯蛸のほか記憶無し
    どういう飲み方ですかw。即、泥酔!

    返信削除
  7. ○魚島の中枢うごめいてゐたり
    全体がうごめくと思うのですが中枢は特にうごめくかも。

    ○中枢へいそぎんちやくの近づきぬ
    いそぎんちゃく自体、中枢という感じがします。

    ○機械音混じつてゐたる蜃気楼
    工場地帯の蜃気楼でしょうか。

    ○機関誌の記念号なり辛夷咲く
    辛夷がなにやらおめでたい感じ。

    ○朧夜の精緻な機械図面かな
    朧と精緻の対比が良い雰囲気です。

    ○霾や工作機械展示場
    納得感あり。

    ○真夜中のふらここにゐる枢機卿
    これはあまりリアリティ無いですが、枢機卿も悩み多そうですね。

    ○楽団のはみ出してくるカーニヴァル
    楽しげなはみだし方。

    ○春風に梳かれヒマラヤ山羊のひげ
    気持ちよさそうです。

    返信削除
  8. ○魚島の中枢うごめいてゐたり
    魚島でリアリティを感じます。

    ○中枢へいそぎんちやくの近づきぬ
    ゆっくりと近づいてゆきそうですね。

    ○機械音混じつてゐたる蜃気楼
    聴覚への刺激にはっとしました。

    ○機織りの足が朧を踏んでゐる
    朧を踏んでいるとは巧いです。

    ○ウィンストン卿から貰ふ春うれひ
    ちょっと神経質そうな人物像が浮かびます。

    ○花人の公卿の顔となりにけり
    雅やなぁ~。

    ○青き踏むダービー卿のお供して
    イギリスっぽいですね。

    ○団旗持ち霾る街を行進す
    霾る街と団旗のマッチングが佳いです。

    ○春風に梳かれヒマラヤ山羊のひげ
    ふはふはしているんでしょうね~。

    返信削除
  9. 遅くなりまして、すみません。

    ○うららかに中枢神経抹消す
     中枢神経の対となることばに末梢神経がありますが、同音異義語で「抹消す」と遊んだところが楽しいです。「うららか」という季語の斡旋がブラックですね。
     
    ○我々の中枢占むる春炬燵
     春炬燵で悪だくみをしているのでしょう。

    ○草餅のしかと満腹中枢へ
     「満腹中枢」という言葉もポピュラーになりましたが、草餅と取り合わせるとそうとう意外性があります。

    ○機械音混じつてゐたる蜃気楼
     視覚と聴覚の融合の具合がいいです。

    ○機織りの足が朧を踏んでゐる
     中空を踏んで律動する足は淫靡です。

    ○真夜中のふらここにゐる枢機卿
     枢機卿、さみしそう。

    ○終点が団地のバスよかげろへる
     かげろへる時間帯の下りのバスのわけですが、具体的に「終点が団地のバス」と言ったところがいいですね。

    ○北窓を開き団体交渉す
     会社側と組合側が北窓で仕切られていたような、おかしさがあります。

    ○蟻に蟻乗りて穴より出できたり
     どっと湧くように出てくるさまを詠んだのか、なかにはそういう横着な蟻がいたのか、幅広く受け止めることができますね。

    返信削除