2012年9月23日日曜日

玉井詩織句会・投句一覧

 お待たせしました。

【玉】
開けてもみよ今日の月なる玉手箱
玉の井の釣瓶落しにまみれけり
玉子割る音くぐもりて霧の朝
玉電の野菜めきたる秋の午後
勾玉の穴にすつぽり望の月
替へ玉を追加してゐる良夜かな

【井】
井の頭自然文化園は月夜
下井草井荻嗚呼秋上井草
災害時提供の井戸萩の風
秋霖や天井低き旅の宿
新涼や手押しポンプで井戸を汲み
築地裏ポンプ井戸あり秋の風

【詩】
詩がないと言はれつづけて木の葉髪
詩の言葉疲弊してゐる月夜かな
詩歌よりすこし離れて秋刀魚焼く
詩画集と三個のレモン残されり
詩編二三編づるづる手繰る藪枯らし
朗読の詩の怖ろしき夜半の秋

【織】
しづけさは織込み済みの十三夜
その件は織込済みにて茸汁
十六夜や誰もをらぬに機織る音
組織から逃れ藁塚にて愛す
日もすがら膝に手織の秋袷
不織布の巾着袋居待月

【当季雑詠】
ためらひの刃先光りぬ栗羊羹
パソコンに眼の乾きたる子規忌かな
鶏卵の生温かき秋彼岸
月光のすこし薬の匂ひかな
昨日今日明日かがやく秋の水
秋彼岸すなはち秋の黴雨かな
台風が来るぞ石鹸泡立つる
冬瓜や楊貴妃の枕ならばや

(以上)

6句選(特選、逆選なし)
選句締切:9月26日(水)24時(JST)
投稿先:恒信風句会
http://koshinfu.blogspot.com/

題に関わらず全体から6句選にてお願い致します。
整理の都合上、句の順番はそのままにして下さい。
投句一覧へのコメントとして、投稿して下さい。その際、名前/URLというのを選択して、俳号もしくはご本名を入力して下さい。URLは入れなくてよいです。
なお、右側の「最近のコメント」という欄は反映するのに時間がかかるようです。

ではよろしくお願い致します。

6 件のコメント:

  1. ○開けてもみよ今日の月なる玉手箱
     口上の乗りのよさがいいですね。何いってんだか実はよく分からないところも含めて。

    ○勾玉の穴にすつぽり望の月
     ずいぶん大きな穴をくりぬいたものですね。

    ○替へ玉を追加してゐる良夜かな
     屋台でしょうか。月を見ながらこだわりのラーメンを啜っているのですね。

    ○詩歌よりすこし離れて秋刀魚焼く
     この距離の置き方がいいですね。

    ○鶏卵の生温かき秋彼岸
     「玉」の副産物でしょうか。寒くなってきました。

    ○月光のすこし薬の匂ひかな
     これは本当に薬の匂いがするのではなく、月光に匂いを感じたという共感覚の句と受け止めました。

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  2. ★替へ玉を追加してゐる良夜かな
     食欲があるということは無条件に嬉しきこと。良夜ならば尚更。ダイエットなんぞ糞食らえ。

    ★詩がないと言はれつづけて木の葉髪
     あはは。私もそうやって齢を重ねるのだろうなぁ。でも木の葉髪ってだけで詩的な人生と思うけどな。

    ★詩の言葉疲弊してゐる月夜かな
     自己模倣に陥っていくつらさ。

    ★詩画集と三個のレモン残されり
     御茶ノ水のレモン画翠には学生時代結構通ったなぁ…などということを思い出させていただきました。

    ★鶏卵の生温かき秋彼岸
     はい朝採れ新鮮生卵で頂く、ふるさとの卵掛けご飯は絶品です。

    ★台風が来るぞ石鹸泡立つる
     洗い物だろうか、入浴だろうか。そんなに焦る事もないけれど、気持ちはわかる。

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  3. ○開けてもみよ今日の月なる玉手箱
    汀女の「外にも出よ……」を下敷きに、月を玉手箱にしちゃったのが面白い。「かぐやひめ」とか「浦島太郎」とかいろいろ混ざり合って。

    ○替へ玉を追加してゐる良夜かな
    月見うどんですね。

    ○詩歌よりすこし離れて秋刀魚焼く
    詩歌と結託しているような秋刀魚ですが。

    ○詩画集と三個のレモン残されり
    カタログ雑誌の写真によさそう。

    ○不織布の巾着袋居待月
    駅のベンチで待ち合わせですか。

    ○月光のすこし薬の匂ひかな
    すごい発想です。何の薬でしょう?

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  4. ☆替へ玉を追加してゐる良夜かな
    替へ玉~~よくぞ。うんうん、良夜。

    ☆詩歌よりすこし離れて秋刀魚焼く
    秋刀魚焼かねば。佐藤春夫をすこし思い。

    ☆組織から逃れ藁塚にて愛す
    ありそなドラマじゃあござんせんか。

    ☆パソコンに眼の乾きたる子規忌かな
    子規さんにパソコンやらせてあげたい。夢中になるね。

    ☆月光のすこし薬の匂ひかな
    薬箱をあけたときの匂いですね。

    ☆台風が来るぞ石鹸泡立つる
    もこもこの泡にわくわくも混ざってるのだ、これが。

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  5. ★玉の井の釣瓶落しにまみれけり
    坐五に趣があります。

    ★玉電の野菜めきたる秋の午後
    野菜めくって措辞が気になり。

    ★下井草井荻嗚呼秋上井草
    中七に工夫がありますね。

    ★朗読の詩の怖ろしき夜半の秋
    詩はおそろしいものです。私にとっては。

    ★しづけさは織込み済みの十三夜
    妙に納得。

    ★組織から逃れ藁塚にて愛す
    「織」→組織+藁塚 見事な想像力、創造力。

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  6. ○玉子割る音くぐもりて霧の朝
    中七が雰囲気ありますね。

    ○勾玉の穴にすつぽり望の月
    遠近の距離感が良いです。

    ○詩歌よりすこし離れて秋刀魚焼く
    生活感があります。

    ○朗読の詩の怖ろしき夜半の秋
    す~す~、ぞぞっ、とします。

    ○月光のすこし薬の匂ひかな
    月光の薬の匂いとは発見ですね。

    ○ためらひの刃先光りぬ栗羊羹
    ためらひがよく分かります。

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