2012年9月30日日曜日

電池売場句会・投句一覧

 お待たせしました。

【電】
リモコンの電池入れ替ふ夜の寒し
襟足に夜露終電見送りて
色鳥や美味しく炊ける電気釜
人間は電気を通す秋の暮
天高しウルトラマンの背に電池
電線は電気漏らさず秋の暮
電脳のもの言ひたげな夜長かな
冬じたく模様の家電量販店

【池】
黄のカンナコンガを叩くダン池田
最初はグー池田澄子の灯る秋
秋夕焼池上線の九十年
乗換の溜池山王駅九月
池ぽちやの後うすうすと鰯雲
池上線各駅紅葉かつ散りぬ
池袋五叉路のまうへ眉の月
放生の鰐ひそみをる池しづか

【売】
ランジェリー売場の床の秋湿り
吾亦紅売約済の漆盆
秋めきて焼売を売る赤き服
桃売や元横綱にそつくりの
売り物をいつとき借りて秋扇
売店の巣箱のごとき秋の暮
風呂敷のごと商売を畳み秋
本売つて本買ひにけり秋夕焼

【場】
ジャイアント馬場の赤あり葉鶏頭
秋の夜のポッキー齧りつつ場末
秋灯の波うち大井競馬場
場違ひな哄笑ひびく秋出水
場慣れした男あらはれ鰯雲
場所前は新松子めく心持ち
新蕎麦のややみどり帯び砂場かな
入り口は資材置き場といふ花野

【当季雑詠】
われわれはひよつこりへうたん島世代
暗幕にこもりし熱や休暇明け
引退の空いつぱいの鰯雲
球場の端のめくれて草雲雀
穴惑はじめからなき境界線
傘寿古稀白寿の母校秋高し
白孔雀秋の扇を閉ぢにけり
林檎剥くペティナイフに星集め
颱風の睫の先の速さかな

(以上)

8句選(特選、逆選なし)
選句締切:10月3日(水)24時(JST)
投稿先:恒信風句会
http://koshinfu.blogspot.com/

題に関わらず全体から8句選にてお願い致します。
整理の都合上、句の順番はそのままにして下さい。
投句一覧へのコメントとして、投稿して下さい。その際、名前/URLというのを選択して、俳号もしくはご本名を入力して下さい。URLは入れなくてよいです。
なお、右側の「最近のコメント」という欄は反映するのに時間がかかるようです。

ではよろしくお願い致します。

8 件のコメント:

  1. ★色鳥や美味しく炊ける電気釜
     へっついに鉄鍋ってのが本当は旨いんだけど、最近の電気釜も随分と性能があがっているようで。でも、結構なお値段。

    ★人間は電気を通す秋の暮
     物理的事実を淡々と述べて叙情的季語…やられちゃうんだこのパターンに。でも好きなものは仕方ない。

    ★乗換の溜池山王駅九月
     溜池山王って新しい駅なのに、乗換駅なんだよねぇ。不思議。

    ★本売つて本買ひにけり秋夕焼
     本好きの方はこういうことを繰り返しているのかな。

    ★秋の夜のポッキー齧りつつ場末
     あ、わたしこの店知ってる。中野昭和新道通りのスナックつかさでしょ。

    ★入り口は資材置き場といふ花野
     資材置場って結構な都心でも見掛ける。その奥にある花野、いいね。

    ★引退の空いつぱいの鰯雲
     小久保か城島かはたまた浜口京子か。われわれ世代だとどうしても長島になっちゃうんだけど。

    ★球場の端のめくれて草雲雀
     地方球場ってこういうもの感じだね。

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  2. ○人間は電気を通す秋の暮
     なんだか下手っぽい無造作な詠み方がよいです。

    ○電脳のもの言ひたげな夜長かな
     電脳の分際で逡巡があるのが絶妙です。

    ○黄のカンナコンガを叩くダン池田
     ダン池田の楽団が歌謡曲の伴奏をしているのは随分テレビで観たけど、ダン池田そのものがスカン、スコンとコンガを叩きまくるところは記憶にないなあ。本句、子音の響きがじつにラテンっぽいです。

    ○秋めきて焼売を売る赤き服
     あれ、なに服というのでしょう。チャイナドレスじゃないし、人民服じゃないし、とにかく、あれ。

    ○入り口は資材置き場といふ花野
     秘密めいていて、既視感があってよいです。

    ○引退の空いつぱいの鰯雲
     「空いつぱいの鰯雲」という措辞が感無量でよいです。

    ○球場の端のめくれて草雲雀
     野球という球技そのものもすっかり斜陽となってしまいました。

    ○傘寿古稀白寿の母校秋高し
     単純に順に並べるなら古稀傘寿白寿でしょうけれど、あえて順を乱しているところは、世代を越えて同窓生がどっと集っている感じを出そうとしているのでしょう。おめでとうございます。

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  3. ☆色鳥や美味しく炊ける電気釜
    ヘタに土鍋なんぞで炊くもんじゃありません。ほんと、美味しく炊けるんです、最近のは。

    ☆天高しウルトラマンの背に電池
    そのウルトラマンって、ちいさそう。窓際に置おれていたりして、飛ぶのを夢見ていそう。

    ☆秋夕焼池上線の九十年
    五反田ー蒲田間の駅名だけで胸キュン。九十年なんですね。

    ☆風呂敷のごと商売を畳み秋
    丁寧に真四角に義理も果たし借金も清算しなにも残らず。清しいです。

    ☆入り口は資材置き場といふ花野
    奥はどこまでも花野なんでしょう。

    ☆球場の端のめくれて草雲雀
    じーんとします。

    ☆穴惑はじめからなき境界線
    時事句なんでしょうか。蛇に国境はない。

    ☆傘寿古稀白寿の母校秋高し
    白髪禿頭つぎつぎとやってくる同窓会風景。なんともめでたい。

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  4. *電線は電気漏らさず秋の暮 
    初めて電信柱が立てられた頃、電線に小包をぶら下げ
    相手に届けようと考えた人が居たとか。未だにそれに
    近い思考能力なので、電気って不思議で、掲句に共感。

    *池ぽちやの後うすうすと鰯雲
    投げ入れた石の波紋が消え、空が映るまでまだ其処に
    佇んでいたのですね。

    *池袋五叉路のまうへ眉の月
    詠み手の背中にそっと触れたくなりました。

    *放生の鰐ひそみをる池しづか
    わにですか。フロリダのゴルフ場では、池に鰐が入り込み
    下手なゴルファーの球さがしをおびやかすとか。

    *売店の巣箱のごとき秋の暮
    最近のことはわかりませんが、お婆さんが顔を出す煙草やなど仕組みが鳩時計のような感じでしょうか。

    *場慣れした男あらはれ鰯雲
    恒信風的な句。場慣れした男って葬儀屋?その道のこわーいひと?
    鰯雲がそれぞれのドラマを盛り立てます。

    *林檎剥くペティナイフに星集め
    かまととぶり発揮の勇気に一票

    *颱風の睫の先の速さかな
    「眼」があるのだから、まつげもあるわけで
    その発想に脱帽。

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  5. ○色鳥や美味しく炊ける電気釜
    炊飯器、ずいぶん進化しました。でも、私には2,30年前の内釜に取っ手というか握りの付いた軽いのがよかったな。

    ○黄のカンナコンガを叩くダン池田
    おお、なつかしい。ラテンですね。

    ○池上線各駅紅葉かつ散りぬ
    駅ごとに味わいがありそうです。

    ○池袋五叉路のまうへ眉の月
    実景でしょうね。

    ○売り物をいつとき借りて秋扇
    ためつすがめつ、開いてはぱたぱた。

    ○売店の巣箱のごとき秋の暮
    うまい直喩ですね。言われてみればその通り、という。

    ○入り口は資材置き場といふ花野
    無粋な景から一気に広がる花野。

    ○引退の空いつぱいの鰯雲
    やっぱり野球選手でしょうね。金本、城島…、お疲れ様でした。

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  6. ○色鳥や美味しく炊ける電気釜
    明るくていいです。私は鍋で炊く派ですが。

    ○風呂敷のごと商売を畳み秋
    つつましやかな商いなのですね。
    なんだか切ないです。

    ○本売つて本買ひにけり秋夕焼
    実感あります。

    ○入り口は資材置き場といふ花野
    実際ありそうだし、花野への展開がいいですね。

    ○暗幕にこもりし熱や休暇明け
    体育館?誇りっぽい匂いがしそうです。

    ○引退の空いつぱいの鰯雲
    挨拶句としてさわやかです。

    ○傘寿古稀白寿の母校秋高し
    口に出すと読みにくいですがなんだかほのぼのしています。

    ○颱風の睫の先の速さかな
    台風の睫という発想がよかったです。

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  7. ○色鳥や美味しく炊ける電気釜
    電気釜といえども玄人はだし。w

    ○人間は電気を通す秋の暮
    確かに。秋の暮がすうすう電気を通します。

    ○黄のカンナコンガを叩くダン池田
    コンガに唸りました。

    ○池ぽちやの後うすうすと鰯雲
    秋の空気感が良いですね。

    ○売店の巣箱のごとき秋の暮
    キオスクを思いました。
    中七が秀逸。

    ○風呂敷のごと商売を畳み秋
    立ち行かなくなったのでしょうか、とてもさびしい。。。

    ○球場の端のめくれて草雲雀
    端のめくれての描写が素晴らしい。

    ○傘寿古稀白寿の母校秋高し
    伝統の誇り高き母校ですね。

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  8. ○人間は電気を通す秋の暮
    この季語だと、落雷というより、ちょっとした静電気? おもしろい着眼。

    ○冬じたく模様の家電量販店
    「冬じたく模様」、たしかに。

    ○ランジェリー売場の床の秋湿り
    あまり良い売り場ではありませんね。

    ○秋めきて焼売を売る赤き服
    思い出せませんが、崎陽軒のオバチャンたちの制服は赤かったような。

    ○本売つて本買ひにけり秋夕焼
    本好きの性癖をすっきりと言い止めた。夕焼はやりすぎ感。

    ○暗幕にこもりし熱や休暇明け
    使わなかったあいだの熱? 感触の確かな句。

    ○球場の端のめくれて草雲雀
    人工芝と即物的に解したい。草雲雀は順当だけれど、もう少し色気か広がりが欲しい気も。

    ○颱風の睫の先の速さかな
    感覚の句。きれい。

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