2012年9月5日水曜日

作者発表句会・作者発表

あの月は古い贋作ですといふ           藤幹子     恵ぐ
検非違使の者か毟れよ蝦葛            藤幹子     不恵ぐ
霧より発砲フーマンチュー溶けつ         藤幹子     不
秋茜乱数表に従はず               藤幹子     四恵亜
鰯雲線路の上に人在らば             藤幹子    

手作りのとろろ手作りのヴァイオリン       ぐみ    
会者定離(えしゃじょうり)会者定離とてちちろ虫 ぐみ    
あらあらしき雌鹿の息や地震発生         ぐみ    
裏庭の実ざくろ表より見えず           ぐみ      四幹
行く夏や発光体は海に置き            ぐみ      恵
発端は逃れやうなき月明り            ぐみ      四不恵
発酵の香とすれ違ふ秋日傘            ぐみ    

贋作の林檎ひとつの赤すぎる           亜紀      ぐ
洋梨と同居してゐる果報者            亜紀      ぐ
発言の度に案山子を見てゐたる          亜紀      四恵幹
新涼やポートレートの無表情           亜紀      不
親不知すんなり抜けて秋暑し           亜紀    
以上でも以下でもなくて秋刀魚焼く        亜紀      ぐ

作陶のなめらかな指水の秋            不孤      四朝幹亜
駅前の易者そろそろをる夜涼           不孤      幹
発奮の左足から虫すだく             不孤      ぐ
秋早し表参道ヒルズなら             不孤    
奇数月の奇数日ばかり震災忌           不孤    

容赦なく餃子の皮作って秋思           恵    
落武者のような案山子を先頭に          恵       朝不
一声を発し銀漢跳び越える            恵       四朝
表玄関に西瓜がやってくる            恵       朝亜
親指を握った拳地虫鳴く             恵       ぐ

松手入推理作家の家らしき            朝比古     不幹亜
秋灯や著者近影の嘘つぽき            朝比古    
発光を抑へるやうに秋刀魚焼く          朝比古    
表より裏の親しき秋の蝉             朝比古     幹
興行の撤収早しねこじやらし           朝比古     四亜

邯鄲や何つくるともなく作家           四童      不恵亜
忍者死して気配を残す虫の声           四童      朝
発破鳴り山ごと小鳥羽ばたけり          四童    
長き夜の恋よ表面張力よ             四童      朝幹亜
娘らを二百十日の御猪口とす           四童      朝

以上。(集計:不孤)

 しばしご歓談下さい。

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