あの月は古い贋作ですといふ 藤幹子 恵ぐ
検非違使の者か毟れよ蝦葛 藤幹子 不恵ぐ
霧より発砲フーマンチュー溶けつ 藤幹子 不
秋茜乱数表に従はず 藤幹子 四恵亜
鰯雲線路の上に人在らば 藤幹子
手作りのとろろ手作りのヴァイオリン ぐみ
会者定離(えしゃじょうり)会者定離とてちちろ虫 ぐみ
あらあらしき雌鹿の息や地震発生 ぐみ
裏庭の実ざくろ表より見えず ぐみ 四幹
行く夏や発光体は海に置き ぐみ 恵
発端は逃れやうなき月明り ぐみ 四不恵
発酵の香とすれ違ふ秋日傘 ぐみ
贋作の林檎ひとつの赤すぎる 亜紀 ぐ
洋梨と同居してゐる果報者 亜紀 ぐ
発言の度に案山子を見てゐたる 亜紀 四恵幹
新涼やポートレートの無表情 亜紀 不
親不知すんなり抜けて秋暑し 亜紀
以上でも以下でもなくて秋刀魚焼く 亜紀 ぐ
作陶のなめらかな指水の秋 不孤 四朝幹亜
駅前の易者そろそろをる夜涼 不孤 幹
発奮の左足から虫すだく 不孤 ぐ
秋早し表参道ヒルズなら 不孤
奇数月の奇数日ばかり震災忌 不孤
容赦なく餃子の皮作って秋思 恵
落武者のような案山子を先頭に 恵 朝不
一声を発し銀漢跳び越える 恵 四朝
表玄関に西瓜がやってくる 恵 朝亜
親指を握った拳地虫鳴く 恵 ぐ
松手入推理作家の家らしき 朝比古 不幹亜
秋灯や著者近影の嘘つぽき 朝比古
発光を抑へるやうに秋刀魚焼く 朝比古
表より裏の親しき秋の蝉 朝比古 幹
興行の撤収早しねこじやらし 朝比古 四亜
邯鄲や何つくるともなく作家 四童 不恵亜
忍者死して気配を残す虫の声 四童 朝
発破鳴り山ごと小鳥羽ばたけり 四童
長き夜の恋よ表面張力よ 四童 朝幹亜
娘らを二百十日の御猪口とす 四童 朝
以上。(集計:不孤)
しばしご歓談下さい。
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