2012年10月14日日曜日

調剤薬局句会・投句一覧

 お待たせしました。

【調】
オーケストラの調音タイム秋深む
秋の夜の格調高きユニフォーム
秋の夜の調べ正しき万葉歌
順調に句会つづくよ豊の秋
虫の夜の見えない場所に空調機
調理士の免許一枚パリの月
調律の耳のかたちの石榴かな
念入りに調整したる稲架の脚

【剤】
いろいろな忌避剤のある菊日和
くわりん黄に筋肉弛緩剤効いて
ポケットに錠剤ひとつ捨案山子
秋暁の柔軟剤の匂ひかな
秋深まりぬ錠剤のうらおもて
秋日ちらちら錠剤の色いろいろ
洗剤のCMのごと天高し
不明なる錠剤秋の抽斗に

【薬】
それは桃それは真昼の薬学部
月光や薬草は毒ひそませて
混沌として宵寒の薬箱
秋麗の猫に薬を飲ます技
人さらひから冬に入る薬研坂
谷中なる薬膳カレー鵙日和
薬湯のばかに混み合ふ菊日和
流木と菊を薬缶に活けにけり
鵙鳴くや補充してゐる常備薬

【局】
黄巻紙特許許可局もみぢ散る
局所的豪雨を知らずぬかご飯
局面を打開してゆく芒原
局留の懸賞葉書文化の日
鳥わたる局番に3袖看板
美人局とは知りつつも雁渡し
夜学子に電波を飛ばす地方局
夕化粧郵便局に侵食す

【当季雑詠】
ゴリラ舎の高きに登り抛る菜
これなんの夢なんだらう桃一顆
ひかりといふならたまねぎのうすごろも
手触りを愛する本よ栗名月
熟柿吸ふテレビ画面に真向かひて
虫籠の新しきまま仕舞はるる
店長の声に艶ある運動会
逃れ来て月の明りに読む紙片
風に文字書いても書いても芒の穂
養生を透かして露の玉あまた

(以上)

8句選(特選、逆選なし)
選句締切:10月17日(水)24時(JST)
投稿先:恒信風句会
http://koshinfu.blogspot.com/

題に関わらず全体から8句選にてお願い致します。
整理の都合上、句の順番はそのままにして下さい。
投句一覧へのコメントとして、投稿して下さい。その際、名前/URLというのを選択して、俳号もしくはご本名を入力して下さい。URLは入れなくてよいです。
なお、右側の「最近のコメント」という欄は反映するのに時間がかかるようです。

ではよろしくお願い致します。

8 件のコメント:

  1. ○秋の夜の格調高きユニフォーム
     制服というと女子高生みたいですが、ユニフォームというともっとアダルトな感じがします。なんの職業なのでしょう。
     
    ○順調に句会つづくよ豊の秋
     8句選の枠とはいえ、挨拶句は頂かないわけには行きません。

    ○念入りに調整したる稲架の脚
     「調整、するのか。しないだろう?」という疑義がありますが、妙に可笑しいです。

    ○秋麗の猫に薬を飲ます技
     飼っていないので分からないのですが、あからさまに飲ませようとしたら引っかかれるような気がします。手塚治虫『バンパイヤ』では、間違って丸薬を飲んだ猫が爆発します。

    ○薬湯のばかに混み合ふ菊日和
     実感があります。「ばかに混み合ふ」のなんでもない自然な措辞がよいです。

    ○夜学子に電波を飛ばす地方局
     大学受験ラジオ講座みたいなものでしょうか。ピンポイントで電波を飛ばすような俳句的うそがじつによいです。

    ○ひかりといふならたまねぎのうすごろも
     ひらがな表記がよいですね。

    ○風に文字書いても書いても芒の穂
     「も」を使うとそれだけで駄目出しを食らう界隈ですが、この「も」「も」「穂」というO音のたたみかけは素晴らしいと思います。

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  2. ★オーケストラの調音タイム秋深む
    あの時間は調音タイムというのかぁ。確かに秋っぽい。

    ★順調に句会つづくよ豊の秋
    幸せな俳句実作者の生活。順調という把握がやけに可笑しい。

    ★秋日ちらちら錠剤の色いろいろ
    錠剤の色、結構キレイ。

    ★不明なる錠剤秋の抽斗に
    何の病気に処方されたのかも思い出せない。

    ★秋麗の猫に薬を飲ます技
    猫ってなかなか薬呑まないんだろうね。犬は意外と素直に呑んでくれる。

    ★夜学子に電波を飛ばす地方局
    持って回った言い振りが俳句的。

    ★手触りを愛する本よ栗名月
    装丁によろしき布が使われていたりする。

    ★店長の声に艶ある運動会
    能ある鷹は爪隠す。店長、来年もよろしくお願いします。

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  3. ○オーケストラの調音タイム秋深む
    冬の演奏会へ向けて。

    ○秋麗の猫に薬を飲ます技
    長年の知恵がものいう。

    ○流木と菊を薬缶に活けにけり
    無造作がいけてるかも?

    ○局所的豪雨を知らずぬかご飯
    ちょっとの違いが大きいのですね。

    ○夜学子に電波を飛ばす地方局
    昔のラジオ講座を思い出す。

    ○ひかりといふならたまねぎのうすごろも
    ひらがな表記の柔かさにつきます。

    ○手触りを愛する本よ栗名月
    気持ちよいですね。

    ○風に文字書いても書いても芒の穂
    書いてものリフレインが効いている。

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  4. ○調理士の免許一枚パリの月
    おしゃれ。日仏いずれで取ったかは不明なれど。

    ○調律の耳のかたちの石榴かな
    耳をかっぴらいて…ということなんだろう。

    ○ポケットに錠剤ひとつ捨案山子
    投げた拍子に案山子にきせた古着のポケットから。

    ○月光や薬草は毒ひそませて
    季語が効いています。

    ○流木と菊を薬缶に活けにけり
    侘び茶の世界でしょうか。

    ○局面を打開してゆく芒原
    下五の力の抜き方がなんとも。

    ○美人局とは知りつつも雁渡し
    泣き笑いでみぐるみはがされたのでしょうか。

    ○夜学子に電波を飛ばす地方局
    夜ではなかったけれど、むかしNHKの地方局ごとにFMリクエストアワーというのがあって「千葉リク」「浦(和)リク」が競っていたなぁ。

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  5. ☆順調に句会つづくよ豊の秋
    内輪ネタっぽい「順調に」がなんとも、ダメ押しの「豊の秋」。よいですね。

    ☆調理士の免許一枚パリの月
    仏蘭西料理修業に旅発った若者、五七五でドラマがわかる。

    ☆秋深まりぬ錠剤のうらおもて
    これは白い錠剤だと思います。うらには直線、おもてに名前。平仮名表記の効果かと。

    ☆混沌として宵寒の薬箱
    薬箱ってごちゃごちゃになって、特別な匂いで、まさに混沌。

    ☆鵙鳴くや補充してゐる常備薬
    常備薬は誰でもなにかしらあるのでしょうが、やはり薬。肌寒さやさみしさに通じて「鵙鳴く」がきいています。

    ☆夜学子に電波を飛ばす地方局
    狙い撃ち(笑)。地方局がいいですね。

    ☆これなんの夢なんだらう桃一顆
    思わずいただきました「これなんの」句。夢と桃が近すぎるような、妖しいような。

    ☆手触りを愛する本よ栗名月
    よくわかります。「栗」の一文字が実に似合っている。

    ☆店長の声に艶ある運動会
    普段よりずっといきいきしている店長。いやはや感もなくはないけど、ほほ笑ましい。

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  6. ○調理士の免許一枚パリの月
    パリがオツ。日本の調理師免許はパリで通用しそうにない。

    ○調律の耳のかたちの石榴かな
    すごい耳というか、すごい石榴というか。

    ○秋日ちらちら錠剤の色いろいろ
    ちらちら。いろいろいろ。ひつこさに負けました。

    ○秋麗の猫に薬を飲ます技
    技があります。まず仰向けにして抱きかかえて。左手で猫の顎を(以下略)

    ○薬湯のばかに混み合ふ菊日和
    「ばかに」がいいです。

    ○流木と菊を薬缶に活けにけり
    これをアートと称する街の芸術家がいかにもいそうで。

    ○ひかりといふならたまねぎのうすごろも
    玉葱の薄皮を「うすごろも」と呼び、「ひかり」を見出す。いいですね、この句。

    ○熟柿吸ふテレビ画面に真向かひて
    テレビっ子ですね。

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  7. ○順調に句会つづくよ豊の秋
    豊の秋、という迷いの無さがいいです。

    ○虫の夜の見えない場所に空調機
    両者とも見えないけれど音は聞こえるのですね。

    ○調律の耳のかたちの石榴かな
    不思議な緊張感があります。

    ○薬湯のばかに混み合ふ菊日和
    下町っぽいです。

    ○美人局とは知りつつも雁渡し
    リアリティはないですが雁渡しがよい味わいです。

    ○夜学子に電波を飛ばす地方局
    電波もターゲットを定めて飛ぶのですね。

    ○ひかりといふならたまねぎのうすごろも
    玉ねぎだから、美しく詠まれていても嫌味に感じません。

    ○店長の声に艶ある運動会
    ある場面になると俄然存在感を発揮する人、いますね。

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  8. ◇オーケストラの調音タイム秋深む
    調音タイム・・・あの期待感溢れる間に呼称があったとは。

    ◇調律の耳のかたちの石榴かな
    ざくろって文字からしてミステリヤス。耳の形も。
    調律も不思議な行為。

    ◇秋暁の柔軟剤の匂ひかな
    タオルがふかふかに仕上がるアレ、いい匂いは早朝そのもの。秋は特に。

    ◇月光や薬草は毒ひそませて
    いじわるな感じ。月光で仕上がり上々。

    ◇谷中なる薬膳カレー鵙日和
    地名も品名も季語もぴったり。

    ◇局面を打開してゆく芒原
    こういう前向き 好きです。 風流だし。

    ◇虫籠の新しきまま仕舞はるる
    虫が手に入らなかったのでしょうが、気に入りの新品など
    勿体なくて、使わないで仕舞いこむこと、よくあります。

    ◇逃れ来て月の明りに読む紙片
    サスペンスドラマですね。いや事実は奇なりかも。

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