2012年10月31日水曜日

伸縮自在句会・作者発表

象亀の首伸び切りし秋の昼      朝比古   苑亜幹
啄木鳥の首の縮みし刹那かな     朝比古  
自打球の当たりしごとく黄落す    朝比古   ぽ不ぐ
駐在所机の上に柿ふたつ       朝比古   苑ぽ
少年の手くらがりより青木の実    朝比古   苑四

脚伸ばしきり銀漢にとどきそう    ぽぽな  
二人してゆっくり銀漢を濃縮     ぽぽな   苑朝由四
自分から自分を剥がす銀木犀     ぽぽな   不由
すすき原不在の人の声のある     ぽぽな  
流星を洋酒の瓶の底に飼う      ぽぽな   亜由

伸び伸びと飛行機雲に芒かな     ぐみ  
蛇穴に入る縮こまる真似をする    ぐみ    幹
自然薯をもて余したる三次会     ぐみ    不
主不在裂けてはならぬ柘榴の実    ぐみ  
中心の固き林檎や朝まだき      ぐみ  

黄落の方へ伸ばせる亀の首      由季    ぽ亜不朝ぐ
しづしづと蓑虫の糸縮みをり     由季    ぽ亜幹ぐ
紅葉づれる坂も自動車教習所     由季    苑朝
冷まじき現在地点赤くあり      由季    ぐ
ハロウィンの仮装のままの雨宿り   由季    ぽ亜朝ぐ四

吹き硝子ぷんと伸ばされ秋夕焼    藤幹子   四
縮れ麺箸にからむや後の月      藤幹子   朝
自惚れて蓑虫開く水盤に       藤幹子   不
芋虫に点在したる風の穴       藤幹子   苑由四
鶏頭のかたまり迂回して義妹     藤幹子  

かにかくに山中伸弥水澄めり     不孤    苑四
転倒にはじまる萎縮草の絮      不孤  
その自信どこから来るの枯尾花    不孤  
柿熟るる不在者財産管理して     不孤    ぽ亜
絵草子展出口へスズメと稲雀     不孤  

伸びしろのあると言はるる唐辛子   亜紀    不
縮尺を変へてつぎつぎ露の玉     亜紀    ぽ朝由ぐ
行く秋の鐘ひとつ鳴るのど自慢    亜紀    ぽ四
長き夜の自由自在を紐解きぬ     亜紀    四
点在のこんなところに曼珠沙華    亜紀    朝由
銀翼を空に放ちて神の留守      亜紀    幹ぐ四
稲妻に手足伸ばして眠りけり     亜紀    不由幹
咬む力咆ゆる力や十三夜       亜紀    苑ぐ

秋天へ爪先立ちに背伸びして     苑を  
さてと首縮め冬眠いたしけり     苑を    不由
自動ドアひらき黄落また黄落     苑を    亜朝幹
月光や不在証明とはならぬ      苑を  
時どきは目の合うきのこ合はぬきのこ 苑を    幹

小春日のやんなつてゐる牧伸二    四童    苑亜不朝幹
番長の縮尺ちがふ秋の暮       四童  
自他共に認めてゐたるねこじやらし  四童  
引力の始まる自在鉤や秋       四童    亜由幹ぐ
あめつちに長き夜よりも長き雨    四童    ぽ

以上。(集計:不孤)

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