2012年10月7日日曜日

佐川急便句会・投句一覧

 お待たせしました。

【佐】
そぞろ寒死して中佐に昇級す
伊賀上野「佐助」の暖簾野分立つ
猿飛佐助像秋の雲に乗り
佐山哲郎句集のところどころ雲
秋の灯にゆれて伊勢佐木あたりかな
土佐産の柚子の実ばかり運ばるる
百体の龍馬を並べ土佐の秋
蟷螂の斧佐幕派の裔として
颱風裡佐々木と代々木見間違ふ

【川】
月の夜の蛇行してゆく川面かな
香川県うどん以外もがんばれよ
翠川敬基飛び交ふ夜半の秋
青蜜柑提げて川崎球場へ
赤とんぼ川の向うは川崎市
前奏はピアノでありし秋の川
汝の指の我がおとがひに天の川
枕から川の音する萩の宿
臨月がはじまる昼の天の川

【急】
一本の月の光の急階段
急行に抜かされてゐる竈馬かな
急用の人が過ぎゆく秋の蝿
阪急も阪神もなく秋黴雨
秋の夜の救急箱の匂ひかな
秋雨止まずやゝ急いてゐるピアノ
天高しびゆわんびゆわんと超特急
野分中急な用事と言はれても
蟋蟀のひたひが急にねむくなる

【便】
ある朝の便座のぬくみ神無月
ちちろ鳴く郵便局に灯のともる
月の夜は帽子目深に郵便夫
赤文字の便から済ます鰯雲
白鳥の来たり便座のあたたかし
文字化けの電脳便や虫の夜
満月の帰りの便の予約をす
妖精と便乗したる霧の夜
旅にゐて釣瓶落しに便乗す

【当季雑詠】
鰯雲犬が開けたる自動ドア
雨音を吸ひ込んでゆく鶏頭花
缶詰の白桃の身に大き穴
近づいて空気ひんやり曼珠沙華
行く先はナルニア国や草のわた
秋風やジャズの流れる運河の面
朝刊に落ちて転がる巨峰かな
途中から秋の黴雨となりにけり
腹見せて喉元見せて秋のライオン
夜なべして隣の曲調が変わる

(以上)

9句選(特選、逆選なし)
選句締切:10月10日(水)24時(JST)
投稿先:恒信風句会
http://koshinfu.blogspot.com/

題に関わらず全体から9句選にてお願い致します。
整理の都合上、句の順番はそのままにして下さい。
投句一覧へのコメントとして、投稿して下さい。その際、名前/URLというのを選択して、俳号もしくはご本名を入力して下さいURLは入れなくてよいです。
なお、右側の「最近のコメント」という欄は反映するのに時間がかかるようです。

ではよろしくお願い致します。

9 件のコメント:

  1. ☆颱風裡佐々木と代々木見間違ふ
    見間違うものとして佐々木と代々木。ざわざわと颱風。よいですね。

    ☆赤とんぼ川の向うは川崎市
    幼い頃、多摩川で遊んでいた身に馴染み深い風景です。

    ☆蟋蟀のひたひが急にねむくなる
    蟋蟀のひたひと思えども、蟋蟀ので「軽く切る」という、俳句という病を軽く抱えている私のひたひは蟋蟀が鳴くとねむくなります。

    ☆ある朝の便座のぬくみ神無月
    ☆白鳥の来たり便座のあたたかし
    ほの温い便座は冬より晩秋ですよね。ね、ね。

    ☆月の夜は帽子目深に郵便夫
    これは現実の郵便局職員とは思えません。詩歌の世界にのみ存在する彼ですね。

    ☆鰯雲犬が開けたる自動ドア
    ペット犬はもう人間なのだなァと思うことが多くなりまた。

    ☆行く先はナルニア国や草のわた
    とてもとても納得です。

    ☆朝刊に落ちて転がる巨峰かな
    大きさがわかります。朝から巨峰をいただくなんて、なんだかお洒落で贅沢な暮しと思う昭和な私。

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  2. ★秋の灯にゆれて伊勢佐木あたりかな
     伊勢佐木、秋灯に揺れて猥雑な魅力あり。勿論青江三奈嬢の残像も。

    ★土佐産の柚子の実ばかり運ばるる
     他所では駄目なんだなぁ。

    ★月の夜の蛇行してゆく川面かな
     簡潔な詠い振りがいいね。

    ★蟋蟀のひたひが急にねむくなる
     蟋蟀に成り代わってお伝え申し上げます。

    ★ちちろ鳴く郵便局に灯のともる
     昔ながらの家族経営的郵便局の風情。

    ★満月の帰りの便の予約をす
     そういう心持は解る。

    ★鰯雲犬が開けたる自動ドア
     恣意的なのか意図的なのか。そこに想像の余地が。

    ★近づいて空気ひんやり曼珠沙華
     曼珠沙華らしい質感。

    ★朝刊に落ちて転がる巨峰かな
     心地好きただごと。中七の身も蓋も無い言い振りが絶妙の脱力感。

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  3. ○秋の灯にゆれて伊勢佐木あたりかな
    ドゥドゥビドゥビドゥビドゥビドゥバー♪ 歌謡曲黄金時代を知っている世代。

    ○土佐産の柚子の実ばかり運ばるる
    阿波は酢橘で土佐は柚子なんですね。

    ○颱風裡佐々木と代々木見間違ふ
    これはありそうです。

    ○青蜜柑提げて川崎球場へ
    秋の日のいい過ごし方です。

    ○秋雨止まずやゝ急いてゐるピアノ
    けっこうな降りようなのでしょう。

    ○蟋蟀のひたひが急にねむくなる
    感覚的に納得できました。

    ○満月の帰りの便の予約をす
    満月に合わせて帰る。飛行機から見てみたいです。

    ○雨音を吸ひ込んでゆく鶏頭花
    あのひだひだに音もなく吸い込まれてゆく。

    ○朝刊に落ちて転がる巨峰かな
    私もよく落とします、巨峰に限らず。でも、句になるのは巨峰なんだよね、と首肯。

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  4. おひさしぶりです。よろしくお願いします。

    ○秋の灯にゆれて伊勢佐木あたりかな
    青江三奈の声が聞こえてきそう。

    ○土佐産の柚子の実ばかり運ばるる
    美味しそう。

    ○汝の指の我がおとがひに天の川
    ロマンチックです。

    ○一本の月の光の急階段
    緊張感があります。

    ○秋の夜の救急箱の匂ひかな
    独特な匂いと雰囲気。

    ○妖精と便乗したる霧の夜
    霧の夜の不思議。

    ○鰯雲犬が開けたる自動ドア
    通りがかりに開いちゃったんでしょうね。俳味。

    ○朝刊に落ちて転がる巨峰かな
    どっちかにして、おとうさん。

    ○腹見せて喉元見せて秋のライオン
    ごろんと、秋の空気が気持ちよいのでしょう。

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  5. ○秋の灯にゆれて伊勢佐木あたりかな
     絶滅した歌謡曲という文化全体へのオマージュのようです。

    ○枕から川の音する萩の宿
     「枕から川の音する」がいいですね。

    ○阪急も阪神もなく秋黴雨
     野球のゲームのことなのかも知れないけど、風狂でいいです。

    ○蟋蟀のひたひが急にねむくなる
     文法的に脱臼しているところが、なんとも蟋蟀のひたひなるものを喚起させます。

    ○白鳥の来たり便座のあたたかし
     白鳥と便座の色彩的な響き合いがいいですね。

    ○鰯雲犬が開けたる自動ドア
     「今日のわんこ」みたいでいいですね。

    ○雨音を吸ひ込んでゆく鶏頭花
     ああ、なんだか質感を感じます。

    ○朝刊に落ちて転がる巨峰かな
     朝刊って巨峰を食べる頃にはいちばん新しい古新聞なのですよね。
     
    ○夜なべして隣の曲調が変わる
     迷惑な隣人だと思うのですが、ぜんぜんそう読みとれないところに俳味があります。

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  6. ○颱風裡佐々木と代々木見間違ふ
    意外に似ている。颱風なのに、そんな見間違いにこだわっているところが俳句的?

    ○赤とんぼ川の向うは川崎市
    そういうところに暮らしているので、つい。

    ○枕から川の音する萩の宿
    温泉町って、こういう感じでした。

    ○一本の月の光の急階段
    スピード感がありますね。

    ○秋の夜の救急箱の匂ひかな
    木あるいはプラスティックの匂いだと思いますが、秋の夜だと、また格別の感興?

    ○ある朝の便座のぬくみ神無月
    「朝」の一字がとてもいいです。

    ○鰯雲犬が開けたる自動ドア
    なんで雲が出てくるのか、いまひとつわかりませんが、微笑ましい景。

    ○雨音を吸ひ込んでゆく鶏頭花
    「音」としたところが趣向。

    ○腹見せて喉元見せて秋のライオン
    ずぼら。秋のライオンという言いぶりもずぼらでおもしろいです。

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  7. ○秋の灯にゆれて伊勢佐木あたりかな
    ほろ酔い加減なのですね。w

    ○枕から川の音する萩の宿
    昔ながらの温泉宿。

    ○一本の月の光の急階段
    ひんやりと伸びる鉄の階段がみえます。

    ○秋雨止まずやゝ急いてゐるピアノ
    音もなく降る秋雨とピアノの早いリズムに秋が深まるようです。

    ○白鳥の来たり便座のあたたかし
    関連性のない二つの関係性が面白い。

    ○満月の帰りの便の予約をす
    満足のゆく旅だったのでしょう。

    ○鰯雲犬が開けたる自動ドア
    可愛い!

    ○雨音を吸ひ込んでゆく鶏頭花
    鶏頭花がさもありなんと思わせます。

    ○腹見せて喉元見せて秋のライオン
    寛いでいますね。

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  8. ○土佐産の柚子の実ばかり運ばるる
    良い香りが漂ってきそうです。

    ○颱風裡佐々木と代々木見間違ふ
    似ていますね。台風なのに。台風だから?

    ○急行に抜かされてゐる竈馬かな
    竈馬が抜かされていると読みました。
    かまどうまはどこへも向かっていないと思うのですがなんだか可笑しいです。

    ○秋の夜の救急箱の匂ひかな
    その家独特の救急箱の匂いがあると思います。

    ○秋雨止まずやゝ急いてゐるピアノ
    弾き手の緊張か、雨音に急かされているようです。

    ○蟋蟀のひたひが急にねむくなる
    眠くなりそうです。

    ○ある朝の便座のぬくみ神無月
    晩秋っぽくてよいですね。

    ○行く先はナルニア国や草のわた
    ナルニア国、なるほどです。
    大人になって読み直すと説教くさい話でしたが・・

    ○腹見せて喉元見せて秋のライオン
    ライオンがくつろいでいるのが愛らしいです。

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  9. *そぞろ寒死して中佐に昇級す
    又、そういう時代が来るのでしょうか。

    *颱風裡佐々木と代々木見間違ふ
    非常事態でも句が詠めれば大丈夫です。

    *秋の夜の救急箱の匂ひかな
    よその家のも匂うのですね。

    *天高しびゆわんびゆわんと超特急
    そんな感じです。

    *野分中急な用事と言はれても
    全くごもっともで。

    *旅にゐて釣瓶落しに便乗す
    解放されて、夜を待ってということでしょうか。

    *鰯雲犬が開けたる自動ドア
    ウチの猫はドアは開けてもらえるので自動ドアと思ってます。

    *途中から秋の黴雨となりにけり
    運動会などでの恨めしさが滲んで。

    *腹見せて喉元見せて秋のライオン
    ウチの猫は秋のライオンに似ているんだ。

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