2012年10月23日火曜日

世界征服句会・投句一覧

 お待たせしました。

【世】
古酒酌んで世界地図めく五臓かな
身に入むや小日向文世の穏と兇
水おほき二十世紀の果実かな
世直しのごとくに二十三夜月
世之介の腎水散れば鶴来る
世話好きで少し照れ屋で茸似で
世話役の引つ張つてゐる烏瓜

【界】
雨降れり金木犀の界隈に
界隈の酒癖わろき糸瓜かな
角界のかつてプリンス薄紅葉
行秋の界隈整骨院過密
三界は無花果仏には嘴
秋気澄むまでを界面活性剤
魔界へのハロウィン列車霧の中 

【征】
がん征圧月間のうへ文化祭
ゐのこづち隣町まで遠征す
悪党のごとく征伐藪からし
犬征きしおほき花野のありにけり
征伐へ始めに草の絮を吹く
辻征夫読んで正しき秋の風邪
燈火親しむ鬼を征伐するところ

【服】
やや寒し頓服薬に臓腑の絵
親子して迷彩服の七五三 
制服の手を伸ばしたる葡萄かな
頓服の効いて割けたる通草の実
服脱いでくちびる赤し菊人形
服用後烏瓜から光ります
洋服を着用のこと後夜祭

【当季雑詠】
ロボットと影重なれる夜業かな
遠征の帰途に着きたる金木犀
葛嵐たちまちオズへ続く道
甘栗のくろぐろ抹茶モンブラン
月光を裏庭に張る蠱惑かな
生地を裁つ野分の海の音を聞き
断捨離と向き合うてゐる秋思かな
鳩笛や風にも道があるといふ
木犀の取り憑いてゐる水の音
六三制の三のあたりの秋思かな

(以上)

7句選(特選、逆選なし)
選句締切:10月24日(水)24時(JST)
投稿先:恒信風句会
http://koshinfu.blogspot.com/

題に関わらず全体から7句選にてお願い致します。
整理の都合上、句の順番はそのままにして下さい。
投句一覧へのコメントとして、投稿して下さい。その際、名前/URLというのを選択して、俳号もしくはご本名を入力して下さい。URLは入れなくてよいです。
なお、右側の「最近のコメント」という欄は反映するのに時間がかかるようです。

ではよろしくお願い致します。

7 件のコメント:

  1. ○世話役の引つ張つてゐる烏瓜
    世話役はなんでもやらねば。

    ○ゐのこづち隣町まで遠征す
    中体連とかですかね。

    ○征伐へ始めに草の絮を吹く
    心を落ち着けて。

    ○制服の手を伸ばしたる葡萄かな
    セーラー服かな。

    ○洋服を着用のこと後夜祭
    本番は和服。クリーニングすぐださなきゃ。

    ○ロボットと影重なれる夜業かな
    哀愁あります。

    ○甘栗のくろぐろ抹茶モンブラン
    お、おいしそう。

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  2. ○世之介の腎水散れば鶴来る
    世之介は出ると思いましたがここまでとは…参りました。鶴のような上臈が来る?

    ○秋気澄むまでを界面活性剤
    一滴落すとぱーっと油汚れがはがれる洗剤のCM。

    ○ゐのこづち隣町まで遠征す
    ユニホームにくっついて。

    ○征伐へ始めに草の絮を吹く
    スサノヲとか田村麻呂とか…。

    ○辻征夫読んで正しき秋の風邪
    「ボートを漕ぐおばさんの肖像」好きです。脊髄小脳変性症のために風邪で詰ったのどの痰を吐き出せず死に至ったと聞けば、身に入みる句です。大学の恩師、友人の身内、知り合いの知り合いに同病の方が居たので余計に。

    ○服用後烏瓜から光ります
    覚醒するのでしょうか。高島野十郎の烏瓜の絵が浮びました。

    ○洋服を着用のこと後夜祭
    後夜祭のファイヤーストームでは裸になりたがるのでしょう。

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  3. ○水おほき二十世紀の果実かな
    もちろん梨の事なのだろうけれど、未来の果実を評しているようで、しかも二十世紀はもう過去である、というねじれ故に印象に残る句だと思いました。


    ○世話役の引つ張つてゐる烏瓜
    これがね、なかなか取れないんだわ、と説明してくれている。これから山の清掃か。


    ○やや寒し頓服薬に臓腑の絵
    ありますね。空っぽの臓腑がやや寒に合う。


    ○制服の手を伸ばしたる葡萄かな
    なんて事無いけれど、さわやか、みずみずしさ。


    ○服脱いでくちびる赤し菊人形
    淫靡ですな。菊人形の首だけがにっこりと。


    ○ロボットと影重なれる夜業かな
    今にも動き出しそうで動かない影と黙々と手を動かす影と。ひとりきりの作業場の静けさ。


    ○生地を裁つ野分の海の音を聞き
    しゅーっと裁ち鋏の滑る音、不穏な海の気配を感じながらこれも静かな作業。

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  4. ★世話好きで少し照れ屋で茸似で
     マッシュルームカットかしら。こういう人昭和の時代にはたくさんいたような気がする。

    ★親子して迷彩服の七五三
     迷彩服かぁ。なぜか切ない。

    ★制服の手を伸ばしたる葡萄かな
     なんちゅうことのない日常だけれど、俳句でしか言い得ない世界。

    ★遠征の帰途に着きたる金木犀
     ほっとした薫り。

    ★生地を裁つ野分の海の音を聞き
     ざくっざくっと。大きな裁ち鋏で。

    ★木犀の取り憑いてゐる水の音
     木犀の散る姿、取り憑いている感あり。

    ★六三制の三のあたりの秋思かな
     六三制の三のあたり、もってまわった言い方が俳句的。

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  5. ◎身に入むや小日向文世の穏と凶
     こういう句を作って貰へば、役者冥利に尽きるのでは。

    ◎雨降れり金木犀の界隈に
     俳友からのメールで、東京では雨で金木犀の花が散って
     しまったとあり、急にこの句が気になりました。

    ◎燈火親しむ鬼を征伐するところ
     この兼題でよくぞこの句をという思いです。
     この平明さは実力があればこそでしょう。

    ◎服用後烏瓜から光ります。
     ということは、二番目三番目に光るものがあるのか。
     一体何をのんだのか。
     此の句のスタイルは今後のためにイタダキ。

    ◎洋服を着用のこと後夜祭
     かって学園祭のフィナーレでは、裸踊りが恒例だった
     バンカラな校風は、もはや昔語りであろうと上野の山に
     思いを馳せ・・・・。掲句のおかげです。

    ◎断捨離と向き合うてゐる愁思かな
     難しい言葉をひとつおぼえました。

    ◎六三制の三のあたりの愁思かな
     一番難しい年頃なんでしょうか。


     

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  6. ○行秋の界隈整骨院過密
    秋を惜しみつつ身体のメンテ

    ○ゐのこづち隣町まで遠征す
    下五の遠征が楽しい

    ○征伐へ始めに草の絮を吹く
    メルヘンやなぁ~

    ○服用後烏瓜から光ります
    謎めいていますね

    ○ロボットと影重なれる夜業かな
    ロボットのひんやりの質感が効いています

    ○甘栗のくろぐろ抹茶モンブラン
    大きな甘栗、美味しそう!

    ○六三制の三のあたりの秋思かな
    いかにも、秋思ですね

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  7. ○古酒酌んで世界地図めく五臓かな
     「世界地図めく五臓」がすばらしいですね。
     
    ○世之介の腎水散れば鶴来る
     「世之介」も知らなければ「腎水」も知らず検索しまくりましたが、この因果の組み立て、じつによいです。

    ○ゐのこづち隣町まで遠征す
     猫ですか。

    ○征伐へ始めに草の絮を吹く
     「征伐の」と無造作に置きそうなところ、「へ」の気合いがよいです。

    ○やや寒し頓服薬に臓腑の絵
     具体的に思い浮かばないのですが、かんたんな線で書かれし臓腑の絵、なのでしょう。

    ○ロボットと影重なれる夜業かな
     空気みたいな存在のよき伴侶としてのロボットを感じます。

    ○生地を裁つ野分の海の音を聞き
     「野分の海の音」が心象のようにも感じられます。

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