2012年12月16日日曜日

店頭価格句会・投句一覧

お待たせしました。

【店】
閉店の曲に鯨の蒼さかな
お店屋に紙の品々冬紅葉
クリスマスツリーのための空き店舗
むづかしき店主動いて山眠る
帰りみち雲のウィンドウショッピング
煤逃げの砂町銀座商店街
夕凍のアジトのごとき模型店

【頭】
ほたほたと煮ゆる飛竜頭冬の雲
井の頭動物園にゐる冬日
駅頭の歌に集ふやクリスマス
酒饅頭の匂いにつられ迷いけり
消しゴムのかじかむ頭の冬ざるる
熱燗やなべて福助二頭身
平らかな頭を持てる雪だるま

【価】
一価の水素ほんのり色づく冬至かな
寒紅や死ぬにも価値をつけたがる
寒晴や価格ぢやないのよ涙は
時価の字の胆のあたりを雪催
真価とは毛皮を脱いでからのこと
着膨れて価値観違ふ二人かな
梟は相対評価かもしれぬ

【格】
海近き千鳥格子の炬燵掛
格子戸をくぐり抜けたる息白し
格子戸をすり抜けてきし細雪
格式や流れる振り子の刻むもの
格助詞ののの行く先の浮寝鳥
規格外製品なれどおでん酒
股引といえど規格に縛られる

【当季雑詠】
あたらしき炎を積みて焼藷屋
海釣りの帰りのつもりおでん食ふ
自転車の音に身じろぐ浮寝鳥
初雪や誰も知らない喫茶店
人類の最期の選挙山眠る
太陽も今日は寒いね懐手
代々の二重螺旋と炬燵蒲団
冬オリオン心の音を聞いてゐる
満載の土砂に雪降るばかりかな

(以上)

7句選(特選、逆選なし)
選句締切:12月18日(火)24時(JST)
投稿先:恒信風句会
http://koshinfu.blogspot.com/

題に関わらず全体から7句選にてお願い致します。
整理の都合上、句の順番はそのままにして下さい。
投句一覧へのコメントとして、投稿して下さい。その際、名前/URLというのを選択して、俳号もしくはご本名を入力して下さい。URLは入れなくてよいです。
なお、右側にあった「最近のコメント」という欄は、ガジェットが壊れたらしく現在使えません。

ではよろしくお願い致します。

7 件のコメント:

  1. ○夕凍のアジトのごとき模型店
     これはゴルフ橋の方に曲がらずにまっすぐ行ってすぐの「モデルホビー」ですね。「夕凍や」と切らなかったのは「夕凍のアジト」までがひと続きで、それのごときなのでしょう。

    【頭】
    ○ほたほたと煮ゆる飛竜頭冬の雲
     ハ行の頭韻の美しさとともに、「飛竜頭」「冬の雲」の字面上の響き合いもすてきです。

    ○熱燗やなべて福助二頭身
     「や」の効果をいろいろ考えているのですが、このように置かれると言外に熱燗の方のフォルムが想起されて不思議な感じがしませんか。

    ○真価とは毛皮を脱いでからのこと
     毛皮の下にはシャネルの5番しか身につけていないのでしょう。

    ○あたらしき炎を積みて焼藷屋
     薪を積むのではなく、「炎を積みて」であるところが眼目ですね。

    ○海釣りの帰りのつもりおでん食ふ
     海釣りに行くと嘘をついて密会ののち、のうのうとおでんを食べているお父さんの図でしょうか。お天道様は見ています。

    ○満載の土砂に雪降るばかりかな
     久々に見た詠嘆の「かな」ですね。格調を感じます。

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  2. ○閉店の曲に鯨の蒼さかな
    読み間違いしてそうですが、とても好き句。
    水族館か?でも、いわゆる鯨はいないし(シャチも鯨の仲間だけどあまり鯨って言わないし)、やっぱり曲のイメージかなぁ。
    「鯨の蒼さ」という措辞そのものも詩的、閉店の曲にそれを見出すのも詩的。

    ○寒紅や死ぬにも価値をつけたがる
    大勢の人に惜しまれる死とそうでない死と、「死」という面では違いがない。
    寒紅が、あるいは死化粧すら無意味と言っているようで、ドキッとします。

    ○梟は相対評価かもしれぬ
    動物の中で、鳥類で、という括りと、俳句の中で、冬の季語の中でという括りでは、大分違うかもしれない。それでも、梟って人気ありますよね、俳句にかぎらず^^;

    ○格助詞ののの行く先の浮寝鳥
    俳味といいますか、言葉を楽しんでいるところが面白くて好きです。

    ○太陽も今日は寒いね懐手
    太陽とくればどうしても夏のイメージなので、太陽が寒いというのには意表を突かれました。冬は陽が出ていれば少しあたりたくなるものですが、寒い太陽だと、薄ら日でちっともほこほこしてこないザンネンな天気と思います。

    ○代々の二重螺旋と炬燵蒲団
    むむ、親子孫まで、こたつに入ったら出たがらない一族か。

    ○満載の土砂に雪降るばかりかな
    積んだはいいが悪天候で出発延期になったトラック。しんしんと寒い。このまま雪に埋もれそう。

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  3. ★閉店の曲に鯨の蒼さかな
     閉店の曲と聞いて思い浮かぶのは、「蛍の光」「そっとおやすみ」「メリー・ジェーン」…。鯨の蒼さは作者の感性。
     
    ★煤逃げの砂町銀座商店街
     惣菜の香り漂う下町らしい商店街。煤逃げには似合いすぎかも。

    ★熱燗やなべて福助二頭身
     ダルビッシュ有のような、八頭身の福助が見たくなってきた。

    ★股引といえど規格に縛られる
     股引、侮っちゃいけません。

    ★自転車の音に身じろぐ浮寝鳥
     キーっというあのブレーキ音。何故だか、お豆腐屋さんのような気がする。

    ★初雪や誰も知らない喫茶店
     君とよくこの店に来たものさ。雪が切ないね。

    ★満載の土砂に雪降るばかりかな
     なんだろう、このしっとり感は。土砂という無骨な物質が不思議と詩的。

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  4. ○閉店の曲に鯨の蒼さかな
     閉店と蒼はつながる感覚。蒼を鯨の蒼のしたのが眼目。

    ○煤逃げの砂町銀座商店街
     すすすの音が乾いた冬の感じで心地よい。

    ○夕凍のアジトのごとき模型店
     入り口狭く中は青白い蛍光灯でね。ぽつんと明るいんだよね。

    ○真価とは毛皮を脱いでからのこと
     脱いだらすごいんです(死語?)シルビア・クリステルも亡くなって悲しい。

    ○海近き千鳥格子の炬燵掛
     ハイカラではないですか。リゾートだと炬燵掛までハイカラ。

    ○あたらしき炎を積みて焼藷屋
     炎が直接増やされていく、という受け取り方、なかなかできない。

    ○満載の土砂に雪降るばかりかな
     なんにも起きない。これからもなにも動かない、そんな景色。

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  5. ○閉店の曲に鯨の蒼さかな
    飛びましたね~、鯨の蒼さが出てくるとは思いませんでした。w

    ○夕凍のアジトのごとき模型店
    底冷えのするアジトですね。秘密基地めいています。

    ○ほたほたと煮ゆる飛竜頭冬の雲
    ほたほたに癒されました。

    ○熱燗やなべて福助二頭身
    確かに二頭身!

    ○真価とは毛皮を脱いでからのこと
    中身で勝負ですね。

    ○海釣りの帰りのつもりおでん食ふ
    遊び心が楽しいです。

    ○自転車の音に身じろぐ浮寝鳥
    自転車の音との取合せに意外感がありました。

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  6. ◇むづかしき店主動いて山眠る
    悠揚迫らぬ冬山を少しは見習いましょう。

    ◇井の頭動物園にゐる冬日
    明るい日差しも眺めてくださいとのこと。

    ◇着膨れて価値観違ふ二人かな
    寒さにはかなわず、重ね着の様子は気が合って。

    ◇格式や流れる振り子の刻むもの
    「時」のひとつの姿。

    ◇格助詞ののの行く先の浮寝鳥
    そう言えば、首を羽に埋めて「の」の字に似てます。

    ◇自転車の音に身じろぐ浮寝鳥
    静かに走行の自転車でしょう。「身じろぐ」ですから
    そんなに驚いていない鳥たちのようで。

    ◇人類の最期の選挙山眠る
    ずいぶんオーバーですね。それとも予言なんでしょうか。
    「山眠る」が不気味です。

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  7. 遅れてしまい、すみませんでした。

    ○閉店の曲に鯨の蒼さかな
    いろいろと想像を掻き立てられる句ですが、何よりも「鯨の蒼さ」という言葉の新鮮さと驚きに。

    ○むづかしき店主動いて山眠る
    師走と冬、人間と自然の対比がきれいにあらわれていますね。

    ○着膨れて価値観違ふ二人かな
    冬の中で同じように着膨れる二人。

    ○格助詞ののの行く先の浮寝鳥
    じっと眺めるのもおもしろい句です。

    ○海釣りの帰りのつもりおでん食ふ
    おやじがおでんを食べているというありふれた様子が少し変わって見えます。

    ○初雪や誰も知らない喫茶店
    誰も知らないと言い切る所がまた、その喫茶店への思い入れのようなものを際立たせているような気がします。

    ○満載の土砂に雪降るばかりかな
    最近、工事現場のトラックを近所でよく見かけます。そのトラックの何とも言えない佇まいを感じました。

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