2012年12月23日日曜日

出会貿易句会・投句一覧

【出】
暗闇の出力高き海鼠かな
案件を洗ひ出したるマスクかな
寒晴や曖昧宿と出会茶屋
出・欠のはがき重ねて懐手
出演の子が星かざす聖夜劇
冬蝶の石より出でて石の色
炬燵から一歩も出ずに日が暮れる

【会】
外套を脱いで会社に入るところ
歳晩や人妻の香の会議室
散会のあとの街並年暮るる
数え日をはじくマニュキア会計簿
対岸の公会堂の雪もよひ
大鷹と鴉の会話アテレコする
凍豆腐会はず訪はずの間柄

【貿】
あやしげな貿易商と燗酒かな
ルミナリエ貿易の手に真珠
聖樹の灯点し貿易会社かな
年忘れ貿易風のまたの名へ
年忘れ貿易用語飛び交ひぬ
貿の字の訓読み探す海鼠かな
有耶無耶の貿易収支室の花

【易】
易々と霜柱踏む彼氏かな
易学の果ての大根干しにけり
易者よりもらふ紙切れ十二月
易占いすっと伸びる手雪女郎
極月の中国服の易者かな
平易なる助言しみじみ根深汁
北風を避けて易者の一等地

【当季雑詠】
しばらくは日本にゐたる耳袋
降る雪のしんしん京の瓦屋根
書くことの長々ありて日記買ふ
炊き上げて冬至南瓜のふつくりと
聖夜の手前で閉じられる扉
増殖のしんがりにつく雪だるま
冬かもめガーゼの色となりゆけり
二着目は千円といふ冬着かな
裸木の空のからっぽ山の声

(以上)

7句選(特選、逆選なし)
選句締切:12月25日(火)24時(JST)
投稿先:恒信風句会
http://koshinfu.blogspot.com/

題に関わらず全体から7句選にてお願い致します。
整理の都合上、句の順番はそのままにして下さい。
投句一覧へのコメントとして、投稿して下さい。その際、名前/URLというのを選択して、俳号もしくはご本名を入力して下さい。URLは入れなくてよいです。
なお、右側にあった「最近のコメント」という欄は、ガジェットが壊れたらしく現在使えません。

ではよろしくお願い致します。

7 件のコメント:

  1. ★案件を洗ひ出したるマスクかな
     マスクによって、真剣な眼差しが強調されている。 

    ★大鷹と鴉の会話アテレコする
     烏がこまっしゃくれてるんだろうなぁ。 

    ★あやしげな貿易商と燗酒かな
     これは藤村有弘氏のイメージ。なんか懐かしい。

    ★易者よりもらふ紙切れ十二月
     胡散臭いものってなぜか心躍ったりする。

    ★平易なる助言しみじみ根深汁
     こういう人が近くに居るということは幸せなことと思う。

    ★しばらくは日本にゐたる耳袋
     あたたかい国からきたお客様。滞在中に風邪など召しませぬよう、ご自愛くださいまし。

    ★裸木の空のからっぽ山の声
     裸木の空のからっぽにいたく感心。普段聞こえてこない山の声が聞こえてきたという作者の感性。

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  2. ○冬蝶の石より出でて石の色
     バッタやカマキリではないので、俳句的なレトリックなのでしょう。ちょっと嫌味な気もします。

    ○大鷹と鴉の会話アテレコする
     なんとも民放バラエティ番組的ですね。こんな俳句、初めて見た。

    ○凍豆腐会はず訪はずの間柄
     二物衝撃のさだめとして上五を何に替えてもそれなりに成り立つ句ですが、「凍豆腐」がなんだか朴訥でじつによいですね。

    ○平易なる助言しみじみ根深汁
     口うるさいことを言えば「しみじみ」と言わずに「しみじみ」を感じさせて欲しくもありますが、いいなあ、「根深汁」。
     
    ○しばらくは日本にゐたる耳袋
     その耳袋の人、半袖だったり、雨が降っても傘を差さなかったりしませんか。

    ○書くことの長々ありて日記買ふ
     日記を買う前は誰もがそう思うんです。

    ○裸木の空のからっぽ山の声
     「裸木の空のからっぽ」が断然いいですね。「山の声」はもっといいものがあるような気もします。

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  3. ○暗闇の出力高き海鼠かな
    暗闇の中の海鼠の存在感なのか、海鼠の中の暗闇の存在感なのか、とにかく「出力高き」感たっぷり。

    ○散会のあとの街並年暮るる
    年末の賑わいがあっても、散会のあとの心情から見る寂しさが漂います。

    ○数え日をはじくマニュキア会計簿
    今時は電卓だと思うんですが、「はじく」でぱっとそろばんパチパチのイメージが浮かんでしまいました。
    「数え日をはじく」いいなぁ。暮れの押し詰まった雰囲気にお金の切羽詰まった感じもあるのに、マニキュアのおかげかあまり悲壮感がないところが好き。

    ○易学の果ての大根干しにけり
    うらぶれたのではなく、ここに辿り着いたのだと思います。大根のようなリアリティのある生活。

    ○易者よりもらふ紙切れ十二月
    ありがたいんだか、ありがたみがないんだか。「紙切れ」という言葉のせいでしょうか、そこが面白い。

    ○平易なる助言しみじみ根深汁
    誰でもできることではないですね。まず助言できて、それが平易な言葉と内容で、多分説得力もある。根深汁のようにしみじみありがたい。

    ○増殖のしんがりにつく雪だるま
    大家族の子沢山の最後に雪だるまも一緒に並んでいる。あるいは、雪だるまをたくさん作ろうとして、最後はもうだるまになっていないような、そんな景も思い浮かべました。

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  4. ◇案件を洗ひ出したるマスクかな
    下五の意外性に注目ですね。

    ◇寒晴や曖昧宿と出会茶屋
    古今東西そういう商売は存在しますが季語のあっけらかん感が救いです。

    ◇歳晩や人妻の香の会議室
    忙しい時にハタ迷惑なことでしょう。でも、ちょっと参加したい向きもありそう。

    ◇しばらくは日本にゐたる耳袋 
    実は最新のイヤホーンで、実は仮りの姿の宇宙人だったりして・・・

    ◇降る雪のしんしん京の瓦屋根
    たった一字「京」のお手柄 大。

    ◇冬かもめガーゼの色となりゆけり
    スーパーの駐車場や隣の屋根などで鴎に出会うのですがガーゼの色とは認識を新たにしました。

    ◇二着目は千円といふ冬着かな
    一読、冬の競技の賞金かと思いましたが、冬着の特売なんですね。
    マラソンでなく、買わなきゃ損々。

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  5. 1948年の大阪生れ。団塊の落ちこぼれ男子。よろしくおねがいします。

    ○暗闇の出力高き海鼠かな
    暗闇の出力高きは、不気味な海鼠であり、原始のエネルギーを秘めた海鼠。

    ○歳晩や人妻の香の会議室
    歳晩の女性は、みな、家庭の人になるのかな。会議室にあっても、頭をかけめぐるのは、あれやこれやの家のこと。人妻になって匂っているはずだ。

    ○凍豆腐会はず訪はずの間柄
    会はず訪はずの距離感が、いい間柄。凍豆腐にも、凍み豆腐があって、また高野豆腐のあるいい間柄。

    ○あやしげな貿易商と燗酒かな
    あやしげな貿易商は、三鬼の『神戸』にえがかれている、あやしげな港町の人。あかい顔を突き合わせて、燗酒酌み交わす。

    ○易学の果ての大根干しにけり
    易学のとく宇宙哲学はひとまずおいといて、と。いまは今日明日のおのがお腹のこと。大根干しに、勤しむばかり。

    ○易者よりもらふ紙切れ十二月
    歯をくいしばり額にあせした、この一年も、紙切れ一枚。明年こそは、気楽に行やりますよ、と誓っているんだろう。

    ○平易なる助言しみじみ根深汁
    すすった根深汁に、平易なる助言を聞いているのかな。しみじみ、一人すすっている。

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  6. ○暗闇の出力高き海鼠かな
    暗闇の出力という措辞がよく出てきたなぁと。

    ○冬蝶の石より出でて石の色
    説得力があります。

    ○凍豆腐会はず訪はずの間柄
    凍豆腐が言い得ています。

    ○易学の果ての大根干しにけり
    今できることをすることが一番です。

    ○しばらくは日本にゐたる耳袋
    可愛らしい耳袋が浮かびました。

    ○聖夜の手前で閉じられる扉
    え~っ、そんなぁの瞬間。

    ○増殖のしんがりにつく雪だるま
    雪だるまの行列が見えてきました。

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  7. ○暗闇の出力高き海鼠かな
    海鼠が出力高いというのはなんだかすごいです。

    ○数え日をはじくマニュキア会計簿
    マニキュアの使い方が巧みです。

    ○大鷹と鴉の会話アテレコする
    関西弁希望。

    ○あやしげな貿易商と燗酒かな
    貿易商というのがなんとも雰囲気ありますね。

    ○易学の果ての大根干しにけり
    大根を干すというのもそれほど日常ではない気がします。

    ○書くことの長々ありて日記買ふ
    その意欲がすばらしい。

    ○二着目は千円といふ冬着かな
    青山かAOKIでしょうか。

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