2012年12月9日日曜日

頭脳流出句会・投句一覧

【頭】
からつ風かたち自慢の頭蓋骨
くちづけの頭蓋の角度冬の星
マフラーを頭に巻いて帰りけり
極月や頭蓋に風の音響き
頭から駄目と言はるる師走かな
頭越しに見てるふりする冬木立
頭数揃へてゐたる芋煮会

【脳】
レノン忌の右や左の脳の恵み
考へる脳持つ猫や懐手
山眠る脳波はすべてアルファー波
脳みそに染み渡るべき湯豆腐よ
脳みそのぐつぐつぐつと煮凝りぬ
風邪ごこち脳に左と右のあり
木菟の声脳の皺へと染みてゆく

【流】
みかん食ふ聖夜に流るる歴史かな
支流へと突つ切つて行く枯野かな
質草は流れ山茶花咲きはじめ
煮凝の脇でぼこりと流し台
電流がちくちく冬の整骨院
流れ行くアラビア数字レノンの忌
流言の出どころは君冬苺

【出】
七人のサンタクロースと出会ひけり
出すものを出す内訳に白き息
出欠を取る声遠く息白し
出稿の果ては焼藷包みけり
出入国検査所からは冬の靄
波間からゆっくり出づる鯨の尾
白鳥の繰り出すスピンつぎつぎと

【当季雑詠】
ギャルソンのやうに外套抱へをり
なかなかにドアの閉まらぬ聖夜劇
靴下を飾る聖樹に鬼はなし
新月に点滅信号風冴ゆる
雪吊の吊りたてに囲まれてゐる
先頭の冬帽子はやてつぺんに
待ち侘びてポインセチアとなりにけり
大雪や無精髭にも白いもの
湯冷めして希望退職考ふる

(以上)

7句選(特選、逆選なし)
選句締切:12月11日(火)24時(JST)
投稿先:恒信風句会
http://koshinfu.blogspot.com/

題に関わらず全体から7句選にてお願い致します。
整理の都合上、句の順番はそのままにして下さい。
投句一覧へのコメントとして、投稿して下さい。その際、名前/URLというのを選択して、俳号もしくはご本名を入力して下さい。URLは入れなくてよいです。
なお、右側にあった「最近のコメント」という欄は、ガジェットが壊れたらしく現在使えません。

ではよろしくお願い致します。

7 件のコメント:

  1. ★口づけの頭蓋の角度冬の星
     星を見上げているということは女性。この身体感覚はもうフェティズムの域かも。

    ★マフラーを頭に巻いて帰りけり
     ネクタイを頭に巻いて帰ったことは何度もあるなぁ。

    ★頭数揃へてゐたる芋煮会
     こちらの句、年忘れでも成り立つけれど、芋煮会のようなアバウトな雰囲気が幹事のかいがいしさを際立たせる。なんかよろしき風情。

    ★脳みそに染み渡るべき湯豆腐よ
     五臓六腑+脳ということか。脳には淡白な味わいがよろしいようで。

    ★質草は流れ山茶花咲きはじめ
     むかしながらの質屋さんって見なくなったなぁ。形態を変えて生き延びてはいるけれど。山茶花絶妙。

    ★波間からゆっくり出づる鯨の尾
     ばっさーん。

    ★なかなかにドアの閉まらぬ聖夜劇
     舞台上での出来事なのだろう。役者さんの慌てた表情が楽しい。

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  2. ○ からつ風かたち自慢の頭蓋骨
    なんともシュールです。

    ○ くちづけの頭蓋の角度冬の星
    頭蓋と詠いつつ、ロマンチックですね。

    ○ 極月や頭蓋に風の音響き
    寒さと年末の忙しなさと。

    ○ 山眠る脳波はすべてアルファー波
    安らかです、季語の力ですね。

    ○ 電流がちくちく冬の整骨院
    低周波のちくちくちくと。

    ○ 七人のサンタクロースと出会ひけり
    大判振る舞いですね。

    ○ 雪吊の吊りたてに囲まれてゐる
    吊りたての雪吊りの温かみが伝わります。

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  3. ○からつ風かたち自慢の頭蓋骨
     生きている人の頭なんだろうけど、なんだか楽しい。[ka]音の反復も心地よいです。

    ○くちづけの頭蓋の角度冬の星
     練習なのか反芻なのか。本番なら冬の星どころではないでしょう。

    ○極月や頭蓋に風の音響き
     すかんぴんなのでしょうか。生きながらにして、しゃれこうべになってしまった感があります。

    ○山眠る脳波はすべてアルファー波
     これ、本当ですか? だったらもっと安らかに暮らせそうなものを。

    ○脳みそに染み渡るべき湯豆腐よ
     脳みそって豆腐みたいな感じだと何かで読んだ記憶があります。しかし、このように俳句に仕立てられると、絹ごしとか木綿ごしとかによって、脳の皺のありようが変わってくるような気さえしてきますね。

    ○七人のサンタクロースと出会ひけり
     歓楽街の呼び込みでしょうか。「男は敷居を跨げば七人の敵あり」などとかっこいいことを言って、実はおとうさんはそんな誘惑と戦っていたりして。

    ○雪吊の吊りたてに囲まれてゐる
     破調というか五五七のゆるいリズムが、あの遊びのある縄の感じを伝えていますね。これ、いいなあ。

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  4. ○頭から駄目と言はるる師走かな
    むむ、やり直しはきかないのかな? 師走だとなんだか自棄になりそう。

    ○煮凝の脇でぼこりと流し台
    温度差ですね。あの音、不思議と嫌じゃない。

    ○流れ行くアラビア数字レノンの忌
    無常感がレノン忌に合っていると思います。

    ○出すものを出す内訳に白き息
    確かに。こう言われると出ないと困る^^;生きている証拠であります。

    ○出欠を取る声遠く息白し
    白い息だけは遠くてもはっきり見えます。出欠の声と応える声の度に白い。寒そう、何かの訓練でしょうか。

    ○雪吊の吊りたてに囲まれてゐる
    「吊りたて」というのがおもしろい。雪のないくっきりした景色。

    ○先頭の冬帽子はやてつぺんに
    登山でしょうか。主体はすでにへとへとの様子。

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  5. ○くちづけの頭蓋の角度冬の星
    身長差がちょうど良いのでしょうね。

    ○マフラーを頭に巻いて帰りけり
    ばかばかしくて好きです。

    ○脳みそに染み渡るべき湯豆腐よ
    すごくあったまる感じがします。

    ○電流がちくちく冬の整骨院
    ちくちくと冬があっています。

    ○流れ行くアラビア数字レノンの忌
    いろんなものが流れ行く感じがしますが
    アラビア数字は良い配合かと。

    ○七人のサンタクロースと出会ひけり
    いろいろな怪しげなサンタクロースが思い浮かび
    面白かったです。

    ○なかなかにドアの閉まらぬ聖夜劇
    大道具の精度からいってこんな感じでしょうね。

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  6. ◇マフラーを頭に巻いて帰りけり
    これ真知子巻きのことでは?

    ◇頭から駄目と言はるる師走かな
    駄目、だめ、ダメ。いさぎよく言われ続けてます。

    ◇木菟の声脳の皺へと染みてゆく
    木菟=づく  とも読めること知りました。

    ◇煮凝の脇でぼこりと流し台
    古い台所の寒々しさを独自な表現で見事に。

    ◇出すものを出す内訳に白き息
    成る程。いろいろあるわけで、「内訳」がうまいです。

    ◇先頭の冬帽子はやてつぺんに
    登山とかでなく街中の光景としても考えられそう。
    行列してエレベーターにたどりつき、それから
    お目当ての屋上の催し物にたどりつくとか。
    そうまでして・・と行列ぎらいの私です。

    ◇湯冷めして希望退職考ふる
    はやく寝てください。きっと果報が待ってますよ。

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  7. ○くちづけの頭蓋の角度冬の星
    くちづけと頭蓋という言葉の並びが奇妙で不自然な雰囲気を醸しています。

    ○考へる脳持つ猫や懐手
    「ノウある猫は爪を隠す」ですね。能でないのだから、人間に飼われれているような、したたかな猫のことなのでしょうか。

    ○風邪ごこち脳に左と右のあり
    風邪のときは、自分の体が自分のものでないような気がしますよね。

    ○煮凝の脇でぼこりと流し台
    冬の台所。そこに流れる生活を感じます。

    ○出入国検査所からは冬の靄
    年末年始の海外旅行でしょうか?空港に集まった人々の様子が、不思議と“暖かな靄”を感じさせます。

    ○雪吊の吊りたてに囲まれてゐる
    冬を迎える豪雪地方の雰囲気が詩的に伝わってきます。

    ○大雪や無精髭にも白いもの
    髭、ではなくて無精髭なんですよね。いろいろと想像力が膨らみます。

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