2013年1月13日日曜日

東京家族句会・投句一覧

 お待たせしました。

【東】
ティッシュ配る東洋人の悴むる
懐手ほどいて東の暗刻切り
極東の日当たるところ冬たんぽぽ
初電話よせくる波の東向く
雪だるま東に向けて据ゑにけり
東からヒタリと迫る逢魔時
縄跳びの東直子の光りをり
北関東に雪のちらつく初神楽
六弦で東京音頭ひき初めす

【京】
あの人の10キロ隣りの京都観光
こっぽりの京の路地裏冬りんご
駅弁に河豚よ京王百貨店
京野菜鎌倉野菜日脚伸ぶ
仰山に京菜漬けはる冬日向
上京の浅草に買ふ切山椒
新年を占ふことも京の菓子
霜踏んで北京ダックの薄き皮
着膨れの京浜東北線並ぶ

【家】
家ぐるみ初うぐひすに息止めて
家政婦の壁に耳あり寒の雨
家並の途切れてしまふ冬夕焼
吉野家の無言なりけり寒夜明く
人日の卓に家庭の医学かな
専門家としては潤目鰯かな
喪の家の賑やかになり花八手
目覚ましや平日朝6時の家出
悴みて鳴家も鳴りを潜めたる

【族】
よい族もよくない族も春を待つ
一族に福耳兎に長き耳
一族の中に白犬初写真
姻族に囲まれてゐるお正月
家族へと宛てられた手紙黒い雲
水族館では輪をくぐる冬の季語
冬の灯に華族のドレス紅き襞
日脚伸ぶかしまし族のパンタロン
夜の雪暴走族の音遠く

【当季雑詠】
よく目立つところに吾と雪だるま
蒲団並べてたいおんの淋しかり
混沌のラガーひとひらづつ剥がす
三ッ星を結び直して五七五
若水に巳年の蛇口きらきらと
初鳩にいま何時かと聞いてみる
息白く墨染の列過ぎゆきぬ
地軸いまおほいに傾ぎ日脚伸ぶ
冬ざるる音漏れ来れば浜崎あゆみ
冬の海見つめる画家のベレー帽
日本橋過ぎて丸善はや七日
陽だまりの小さなあした冬すみれ

(以上)

9句選(特選、逆選なし)
選句締切:1月15日(火)24時(JST)
投稿先:恒信風句会
http://koshinfu.blogspot.com/

題に関わらず全体から9句選にてお願い致します。
整理の都合上、句の順番はそのままにして下さい。
投句一覧へのコメントとして、投稿して下さい。その際、名前/URLというのを選択して、俳号もしくはご本名を入力して下さい。URLは入れなくてよいです。
なお、右側にあった「最近のコメント」という欄は、ガジェットが壊れたらしく現在使えません。

ではよろしくお願い致します。

11 件のコメント:

  1. ○懐手ほどいて東の暗刻切り
     別に暗刻を切らなくても自分の番が回ってきたら懐手をほどくでしょうに、という突っ込みはさておき、重大な決断を感じさせます。
     
    ○雪だるま東に向けて据ゑにけり
     なぜ東、と考えると、雪だるまがトロイの木馬とかモアイ像とかみたいな意味を帯びてきて可笑しいです。

    ○仰山に京菜漬けはる冬日向
     京都弁がよいですね。

    ○家ぐるみ初うぐひすに息止めて
     「家ぐるみ」がいいですね。

    ○家並の途切れてしまふ冬夕焼
     お寺の鐘が聞こえそうですね。

    ○人日の卓に家庭の医学かな
     私の家にもありました。今はネットで大抵のことは調べられるので、あまり売れなくなっているのでしょうね、あの手の本は。

    ○一族の中に白犬初写真
     お父さん犬でしょうか。

    ○蒲団並べてたいおんの淋しかり
     うわぁ、このひらがな表記。斎藤茂吉ですか。

    ○若水に巳年の蛇口きらきらと
     「巳年の蛇口」がいいですね。

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  2. ○仰山に京菜漬けはる冬日向
    京都の景を京都弁で詠まれるとそれだけで参っちゃう^^;「仰山に」がとてもいい。

    ○新年を占ふことも京の菓子
    上品な京菓子に悪いイメージがあるはずもなく、めでたいということです。

    ○着膨れの京浜東北線並ぶ
    「着膨れの」から、京浜東北線の電車がもこもこのカバーを被って、きかんしゃトーマスみたいに何本も並んでしゃべっているのを想像して笑ってしまいました。

    ○人日の卓に家庭の医学かな
    「家庭の医学」がおもしろい。なるほど人日とはそういう日なのか。

    ○専門家としては潤目鰯かな
    専門家の意見として読むより、潤目鰯みたいな専門家、の方がおもしろい。目が潤んでいることが専門家として是なのか否なのか。

    ○よい族もよくない族も春を待つ
    なんと、こんな族の分け方があったとは。参りました。そしてどちらにも公平に春はくる。

    ○一族に福耳兎に長き耳
    福耳がうさぎに劣らぬくらいタプタプしてそう。

    ○蒲団並べてたいおんの淋しかり
    これはもしや、夜の営みをそれとなくねだっているのかしらん?
    あるいは、二人分敷いたけど、帰ってこない、のか。

    ○混沌のラガーひとひらづつ剥がす
    あのゴツいラガーマンを「ひとひら」とは。すてきです。そして確かに、スクラムは「剥がす」だなぁ、と思いました。

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  3. ★北関東に雪のちらつく初神楽
    北関東が何ともいえぬよろしさ。

    ★上京の浅草に買ふ切山椒
    たまの東京、浅草には足を運んでおきたいところ。

    ★霜踏んで北京ダックの薄き皮
    皮だけいただくって贅沢やなぁ。

    ★喪の家の賑やかになり花八手
    故人を偲んで献杯。

    ★冬の灯に華族のドレス紅き襞
    華族、久しぶりに見たような気がする。

    ★よく目立つところに吾と雪だるま
    雪だるま、目立つところに置きたいね。

    ★若水に巳年の蛇口きらきらと
    巳年の蛇口、盲点付かれた感。

    ★初鳩にいま何時かと聞いてみる
    鳩時計?

    ★冬の海見つめる画家のベレー帽
    在りし日の手塚治虫氏だろうか

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  4. ○雪だるま東に向けて据ゑにけり
    明るい方へという感じでしょうか。明日は朝日が当たるのですね。

    ○上京の浅草に買ふ切山椒
    切山椒って不思議な味。浅草・切山椒、その味、確かに東京下町ならではの粋かも。

    ○着膨れの京浜東北線並ぶ
    着膨れの車輛が並んでいるようで面白い。

    ○家並の途切れてしまふ冬夕焼
    叱られて~♪みたいな郷愁。ありがちだけど、やっぱり泣ける淋しさ。

    ○人日の卓に家庭の医学かな
    家庭に一冊、人日がなかなか。

    ○一族に福耳兎に長き耳
    なにやらめでたい。

    ○一族の中に白犬初写真
    おとうさん、ですよね。

    ○混沌のラガーひとひらづつ剥がす
    ひとひら、こんに風にラグビーを詠んだ句なんなァ。新鮮。

    ○陽だまりの小さなあした冬すみれ
    小さな朝とも明日とも。

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  5. ミスが多くて申し訳ありません。再掲。

    ○混沌のラガーひとひらづつ剥がす
    ひとひら、こんな風にラグビーを詠んだ句なかったなァ。新鮮。

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  6. ○京野菜鎌倉野菜日脚伸ぶ
    どちらの野菜も美味しそうに育っています。

    ○着膨れの京浜東北線並ぶ
    東北が効いています。

    ○吉野家の無言なりけり寒夜明く
    お客さんのそれぞれの表情が見えてきます。

    ○人日の卓に家庭の医学かな
    納得感があります。

    ○日脚伸ぶかしまし族のパンタロン
    う~ん、昭和ですね。

    ○夜の雪暴走族の音遠く
    聴覚を刺激されました。

    ○混沌のラガーひとひらづつ剥がす
    正に剥がす感じですね。

    ○地軸いまおほいに傾ぎ日脚伸ぶ
    宇宙から地球を見ているみたい。w

    ○陽だまりの小さなあした冬すみれ
    ほっと癒されます。

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  7. ○仰山に京菜漬けはる冬日向
    あかるい京の冬景色。飛びかうは、京ことば。

    ○家ぐるみ初うぐひすに息止めて
     初うぐいすに驚く。家族がひとつになっている。

    ○吉野家の無言なりけり寒夜明く
    寒夜の吉野家って、明るいだけの無言のお店。

    ○よい族もよくない族も春を待つ
    日本の春が、みなにやってくる。

    ○一族に福耳兎に長き耳
     兎をだっこするのは、福耳の子。

    ○混沌のラガーひとひらづつ剥がす
    心やさしい、ひとひらのラガーの混沌。

    ○地軸いまおほいに傾ぎ日脚伸ぶ
     季節の変化は、地軸の傾きのなすワザか。

    ○日本橋過ぎて丸善はや七日
     京都の丸善がなつかしい。
     

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  8. ◇ティッシュ配る東洋人の悴むる
    日本人をあえて東洋人と詠んだのなら、面白い。

    ◇縄跳びの東直子の光りをり
    短歌を縄跳びだとしたら、俳句は跳び箱か。
    私は跳び箱を跳ぶのが恐かった。

    ◇家政婦の壁に耳あり寒の雨
    家政婦って呼び名、昭和以前の感じ。
    「家政婦は見た」。「家政婦のミタ」、って高視聴率だったとか。

    ◇吉野家の無言なりけり寒夜明く
    中七の意味のとりかたで、幾通りにも読める。
    LAのあちこちにも吉野家あり。

    ◇専門家としては潤目鰯かな
    説明し過ぎの反対に説明不足は上級作句術なんだろうか。作者の思惑どおり、あれこれ考えさせられたが、専門家、潤目鰯という語の面白さに立ち止まることは出来た。

    ◇目覚ましや平日朝6時の家出
    ただならぬ家出という言葉とそれ以外の措辞の日常感とのギャップが狙いか。単に家から出掛けることを家出とはいわないだろうから。
    ◇よい族もよくない族も春を待つ
    よい人、よくない人というのだから、よい族、よくない族があってもいいだろう。

    ◇水族館では輪をくぐる冬の季語
    冬の季語という季語に意表をつかれた。

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  9. ◇地軸いまおほいに傾ぎ日脚伸ぶ
    中七がいい。

    一句抜けていました。9句選でしたね。すみません。

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  10. ○懐手ほどいて東の暗刻切り
    懐手で思うは己が不運でしょうか。麻雀知らない人には難しいかも。

    ○雪だるま東に向けて据ゑにけり
    あえて東に向けたところに儀式めいたものを感じます。

    ○上京の浅草に買ふ切山椒
    浅草みやげに切山椒。何気なさがいいです。

    ○着膨れの京浜東北線並ぶ
    「の」で軽く切ることで句意が成立してます。トリッキー。

    ○家並の途切れてしまふ冬夕焼
    冬夕焼らしい物悲しさが伝わってきます。

    ○一族の中に白犬初写真
    新しく家族に加わった感じ。某社CMを思い出すのはお約束?

    ○夜の雪暴走族の音遠く
    雪の中わざわざ暴走するご苦労な輩に思いを致す。

    ○若水に巳年の蛇口きらきらと
    巳年に蛇口は蛇足っぽいですが、若水にきらきらで頂きました。

    ○日本橋過ぎて丸善はや七日
    街歩きしつつ、正月休みもそろそろ終わりだな、という感慨。

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  11. 遅くなりすみません。

    ○懐手ほどいて東の暗刻切り
    その手はまた、懐へかえるんでしょうね。正月の家族麻雀が思い出されました。

    ○こっぽりの京の路地裏冬りんご
    「こっぽり」の響きがいい。

    ○家並の途切れてしまふ冬夕焼
    こういった種の物悲しさは冬にぴったりです。

    ○吉野家の無言なりけり寒夜明く
    吉野家の熱気を忘れさせる寒さがあります。

    ○一族に福耳兎に長き耳
    確かに。「親戚みんな福耳なんだよ」と言われたら、それは兎ですね。

    ○日脚伸ぶかしまし族のパンタロン
    死語(?)のパンタロンがうまい具合に効いています。

    ○よく目立つところに吾と雪だるま
    目立つ方へ、目立つ方へ転がっているのですかね。

    ○息白く墨染の列過ぎゆきぬ
    寒い中の熱気が感じられます。

    ○地軸いまおほいに傾ぎ日脚伸ぶ
    “おほいに”がいい。日が長くなっていく、ある意味で超常現象を理解しようとする視点。

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