2013年1月29日火曜日

運動不足句会・投句一覧

 お待たせしました。

【運】
ババ抜きに運を使ひて四温かな
運命線に雪の結晶ひとつあり
河豚の顔してタクシーの運転手
寒明けの加速してゆく運転手
春節の運び屋の荷は粉ミルク
初詣百万人に運ばるる
日脚伸ぶ亀のマークの運送屋
繁縷もプロペラも運べないのか
目貼して運動場を狭くせり

【動】
きさらぎの動物園で生まれたの 
闇汁の箸にぬるりと動くもの
寒月光動くものみな標的に
寒鯉の動かしてゐるひとところ
手動とは知らずに待つや白い息
住職の動線の上梅早し
真後ろに首の動いて冬牡丹
積まれたる蜜柑に動く気配あり
独白の動かぬ動機冴返る
日当たりの悪き動線冬木の芽

【不】
ビタミンの不足してゐる冬の雲
駅前の不二屋を通り星冴ゆる
紙飛行機いつも不時着冬草に
冬ざるるものに不二家のマスコット
不安げな顔のヒロイン下萌ゆる
不可視とも可視ともあなた雪女
不随意な笑ひ洩れ来る冬の廊
不動産屋の営業トーク日脚伸ぶ
不倫にも不眠にも春不遠

【足】
ご近所の方と足湯にゐるおぼろ
革靴の臭ひの足や春隣
寒晴の足場外してをりにけり
蹴り出した行火を足でかき入れる
足はやきものはさておき日脚伸ぶ
足指の遊び飽き飽き春炬燵
足繁く通ふ古書店春の月
足立区の礼儀正しき雪女郎
日脚伸ぶ足袋のコハゼを掛けるたび

【当季雑詠】
お蒲団さんお蒲団さんとしがみつく
キャタピラに蹂躙される冬の河
ポケットの左右に分かつ革手套
もち肌を赤くすたすた坊主かな
一羽づつ山河に置いてゆく白鳥
純真無垢冬蟷螂よおまへもか
笑ひ屋の笑ひ声する枯野かな
制服のまま立ち寄れるどんど焼き
雪しまき車窓に映る嘘の顔
足裏にも口唇感覚雪降れり
天国へ行つたり来たり日向ぼこ
二つ折りして待春のブーツかな

(以上)

9句選(特選、逆選なし)
選句締切:1月30日(水)24時(JST)
投稿先:恒信風句会
http://koshinfu.blogspot.com/

題に関わらず全体から9句選にてお願い致します。
整理の都合上、句の順番はそのままにして下さい。
投句一覧へのコメントとして、投稿して下さい。その際、名前/URLというのを選択して、俳号もしくはご本名を入力して下さい。URLは入れなくてよいです。
なお、右側にあった「最近のコメント」という欄は、ガジェットが壊れたらしく現在使えません。

ではよろしくお願い致します。

9 件のコメント:

  1. (露結)
    ○運命線に雪の結晶ひとつあり
    手のひらに雪が乗っているのでしょうか、それとも運命線に雪の結晶の形をした部分があるのでしょうか。だとしたら、、、。

    ○きさらぎの動物園で生まれたの
    池田澄子さんのパロディ?

    ○寒鯉の動かしてゐるひとところ
    寒鯉は自分の体の一部分を動かしているのか、それとも池の水の一部分を動かしているのか。

    ○真後ろに首の動いて冬牡丹
    すこし不気味な冬牡丹。

    ○手動とは知らずに待つや白い息
    故障中の自動ドアの「手であけてください」という貼紙の前で手を上げているおばさんを見たことがあります。

    ○紙飛行機いつも不時着冬草に
    「紙飛行機いつも不時着」。なるほど。

    ○不倫にも不眠にも春不遠
    「不」の字、三連発。

    ○足立区の礼儀正しき雪女郎
    言ったもんがち、といいますか。断定されるともう「足立区」が動かない。

    ○二つ折りして待春のブーツかな
    ああ、確かに見かけますね。脱いで二つ折りにしてあるブーツ。春を待ってたんですね。

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  2. ★闇汁の箸にぬるりと動くもの
    このぬめぬめは闇汁っぽい。

    ★住職の動線の上梅早し
    一瞬上海に見えたけれど。住職の動線、可笑しい。

    ★真後ろに首の動いて冬牡丹
    エクソシスト?って古いね。

    ★駅前の不二屋を通り星冴ゆる
    私の実家の駅前の不二屋は文房具やさん。不二家ではなく不二屋というところが眼目。

    ★ご近所の方と足湯にゐるおぼろ
    よろしおますなぁ。ご近所の方。

    ★蹴り出した行火を足でかき入れる
    そして腓返りなぞ。

    ★足立区の礼儀正しき雪女郎
    なんとなく遠慮があるな。荒川区だとちょっと不良っぽさが入ってる感じ。

    ★笑ひ屋の笑ひ声する枯野かな
    おお、ドリフの大爆笑。

    ★天国へ行つたり来たり日向ぼこ
    行ったきりにならないでね。

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  3. ☆寒月光動くものみな標的に
    月光の冴えと殺意がぴーんと張っているのを感じます。

    ☆寒鯉の動かしてゐるひとところ
    じっと動かない寒鯉の鰭でしょうか、動きを捉えたのがいいですね。

    ☆真後ろに首の動いて冬牡丹
    ジッと観賞していた人が動いて、こちらも初めて人に気づく。それだけ冬牡丹に力があるのでしょう。

    ☆ご近所の方と足湯にゐるおぼろ
    いいお付き合い、いい時間。

    ☆寒晴の足場外してをりにけり
    外されてゆく足場を見上げ、広がる空の真青。

    ☆足繁く通ふ古書店春の月
    なんだか羨ましいような生き方。

    ☆笑ひ屋の笑ひ声する枯野かな
    笑い屋ってなんでしょ。可笑しいような、怖いような。

    ☆二つ折りして待春のブーツかな
    二つ折りになって置かれたブ―ツも春を待っているのかと、そろそろお休みしたいのかな。

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  4. ○繁縷もプロペラも運べないのか
    はこべら・ぷろぺら・はこべない、音あそびも面白く、繁縷とプロペラが対等に並ぶのも面白い。

    ○目貼して運動場を狭くせり
    え?運動場にどうやって目貼りするんだろう?
    理屈で考えると、寒さ対策の結果、屋内における子供や犬などの「運動場」にあたるスペースが狭くなる、ということかなと思ったが、だだっ広い運動場と目貼というけったいな組み合わせで??のままでこの句を頂きたい。

    ○積まれたる蜜柑に動く気配あり
    上の方が不安定なんでしょうね。みかんの集団脱走だったら面白いなぁ、なんて思いました。

    ○ビタミンの不足してゐる冬の雲
    色味もなく、重苦しく、楽しくなく、なるほど「ビタミンの不足」。

    ○紙飛行機いつも不時着冬草に
    長く飛ばすのは結構難しいですよね。不時着というと、落ち方がきれいに胴体着陸してくれなくて頭から突っ込むのかな。いつもそうだと、かなり投げ方が下手^^;

    ○お蒲団さんお蒲団さんとしがみつく
    こんなかわいい寝坊句は初めて。冬は起きたくないよねぇ。

    ○ポケットの左右に分かつ革手套
    あまり手套という言葉は使わないけど、革だととても似合う。「左右に分かつ」は自分もそうだし、普通そうじゃない?思ったが、そう言えば外国映画などで手袋を両方合わせて持っているのを見た覚えがある。左右のポケットに入れるのは行儀悪いのかしらん?

    ○一羽づつ山河に置いゆく白鳥
    まるで自分がそうしているように錯覚してしまう、美しい景だったんでしょう。

    ○雪しまき車窓に映る嘘の顔
    嘘の顔という自覚が、雪しまきと相まって苦い。

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  5. ○ババ抜きに運を使ひて四温かな
    これぐらいの運がいくつも続くとよいですね。

    ○日脚伸ぶ亀のマークの運送屋
    ありそうでなさそうでありそう。

    ○繁縷もプロペラも運べないのか
    「はこべら」読めなかったです。Google万歳。「運べないのか」という詰問調にうっときました。

    ○寒鯉の動かしてゐるひとところ
    底でじっとしているのが不意に動く。

    ○住職の動線の上梅早し
    やはりいつも通っていると空気があったまるのでしょうか? 「住職」に俳味があります。

    ○寒晴の足場外してをりにけり
    足場が電車に倒れかかったというニュースが…。

    ○蹴り出した行火を足でかき入れる
    湯たんぽは復活しましたが、行火とは渋い。よくわかる。

    ○お蒲団さんお蒲団さんとしがみつく
    かわいい! でも、子どもを詠んだのなら「おふとんさん」だから、これはきっと作者自身にちがいない。

    ○足裏にも口唇感覚雪降れり
    さくさく踏む感覚をフロイト的解釈で。

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  6. ○春節の運び屋の荷は粉ミルク
    粉ミルクっていうところがグーですね。

    ○日脚伸ぶ亀のマークの運送屋
    亀のマークが何気に良い効果をあげています。

    ○闇汁の箸にぬるりと動くもの
    ぬるりに実感あり。

    ○手動とは知らずに待つや白い息
    リアリティがあります。

    ○積まれたる蜜柑に動く気配あり
    蜜柑もまだ生きているんです、はい。

    ○ビタミンの不足してゐる冬の雲
    思いもよらぬ把握。

    ○不動産屋の営業トーク日脚伸ぶ
    日脚伸ぶ、で不動産屋の営業トークも活きてきますね。

    ○寒晴の足場外してをりにけり
    上手いですね~。

    ○日脚伸ぶ足袋のコハゼを掛けるたび
    コハゼを持ってきたところが面白いです。

    ○笑ひ屋の笑ひ声する枯野かな
    乾いた笑い声が聞こえてくるようです。

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  7. ○繁縷もプロペラも運べないのか
    早口言葉みたいで楽しい。

    ○ビタミンの不足してゐる冬の雲
    夏の雲だとビタミンたっぷりですね。

    ○駅前の不二屋を通り星冴ゆる
    帰宅時はいつも閉店後なのです。

    ○不倫にも不眠にも春不遠
    不を三つも入れて味わいあり。

    ○足立区の礼儀正しき雪女郎
    足立区には雪女いそうもないです。雪もめったに降らないし。
    でもなんだか可笑しい。

    ○ポケットの左右に分かつ革手套
    こうすれば失わないのだと先日教わりました。

    ○笑ひ屋の笑ひ声する枯野かな
    枯野の乾燥した感じがいいですね。

    ○天国へ行つたり来たり日向ぼこ
    ちょっとシニカル。

    ○二つ折りして待春のブーツかな
    二つ折りという無造作なところが待春の気分です。

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  8. ○運命線に雪の結晶ひとつあり
    これは見事な発見。

    ○初詣百万人に運ばるる
    大仰だけど可笑しい。

    ○日脚伸ぶ亀のマークの運送屋
    何だかのんびりしていそう。

    ○手動とは知らずに待つや白い息
    ありますね、こういうこと。

    ○ビタミンの不足してゐる冬の雲
    道理で顔色が悪いわけです。

    ○冬ざるるものに不二家のマスコット
    あの張り付いた表情がかえって怖い。

    ○ご近所の方と足湯にゐるおぼろ
    平和なご近所付き合い。微笑ましい。

    ○天国へ行つたり来たり日向ぼこ
    気持ちよさそう。行ったきりにならないように。

    ○二つ折りして待春のブーツかな
    二つ折りで存在感が出てます。

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  9. 遅くなりすみませんでした。

    ○寒明けの加速してゆく運転手
     車が加速しているとは決して言っていません。運転手のたかぶりを感じます。

    ○春節の運び屋の荷は粉ミルク
     末端取引価格30人民元くらいでしょうか。紛らわしい運び屋です。
     
    ○初詣百万人に運ばるる
     あの渋滞する人の流れは、そういう実感がありますね。

    ○住職の動線の上梅早し
     「住職の動線」がいいですね。「動線」なんて言葉に縁がなさそうで…。

    ○独白の動かぬ動機冴返る
     「動かぬ証拠」なら聞いたことがあるけど「動かぬ動機」ってなんだか変。

    ○ご近所の方と足湯にゐるおぼろ
     「ご近所の方」という礼儀正しい言い方に、なんとも言い難い距離感がありますね。

    ○寒晴の足場外してをりにけり
     寒い中ようやく完成したのですね。

    ○お蒲団さんお蒲団さんとしがみつく
     そうとうあやしいキャラクターですね。

    ○ポケットの左右に分かつ革手套
     膨らむのがいやな人なのでしょうか。私は片方に入れます。

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