2013年1月26日土曜日

広渡敬雄句会・作者発表

お待たせしました。

広辞林の表紙外れてゐて流氷     苑を    朝ら亜緋露
渡来人の末裔として着ぶくれる    苑を    緋露
敬虔なふりをしている冬桜      苑を    朝独
英雄伝説氷柱いつぽん折れてをり   苑を    ら露
ぼたん雪ちちはは死んでから止まず  苑を    四独た緋

合コンの背広の胸の冬薔薇      独楽    
握り飯冷たし雨の渡月橋       独楽    
肩張つて敬具と結ぶ寒見舞      独楽    
雪もよひ雌雄決する盤に座す     独楽    苑ら亜
大寒のメール「ごめん」と打ち始む  独楽    
残る雪また少し汚れてしまひ     独楽    苑

事務始め机広々してゐたり      朝比古   苑四独亜
渡辺をなべちやんと呼ぶ春隣     朝比古   苑
敬礼の指の反りけり冬怒涛      朝比古    
英雄の好みさうなる雪をんな     朝比古    
零戦の小さきプロペラ雪催      朝比古   露

手を広げ倒れてみせる雪野原     らくだ   四独亜
手をあげて冬帽の列渡りゆく     らくだ   苑た露
北風は敬称略でかまわない      らくだ   緋露
丹頂や雄弁なるも神の業       らくだ    
ひと仕事終えて懐炉を取り出しぬ   らくだ   苑独

四温晴れえくぼほがらに広間の子   たろう    
風花の風のゆるゆる空渡る      たろう   朝
挨拶の敬語やわらか餅を焼く     たろう   朝独亜緋
雄鶏の鶏冠のさかの初日の出     たろう    
大仏の胡坐股座大神楽        たろう   四

冬うらら道を広げて遅刻します    緋茶    四らた
あぁ神よ渡る世間の福笑い      緋茶    
カーソルの産み落とす敬語理路整然  緋茶    
雄猫の宿命ヒトに定められ      緋茶    四
朝ぼらけ一の字を書くずれ眼鏡    緋茶    

待春の広間に背広吊るされて     亜紀    緋
手渡せる赤きバトンや冴返る     亜紀    
愛嬌をふりまく尻尾日向ぼこ     亜紀    苑
盤上の敗者雄弁寒波来る       亜紀    
幅広の運動靴やヒヤシンス      亜紀    朝露
コロッケの揚げたてなるを日脚伸ぶ  亜紀    ら
牛撫づる小さきてのひら春浅し    亜紀    独

着ぶくれて広東麺にたどり着く    露結    朝ら独亜た
冬の橋渡る架空の家があり      露結    朝四た緋
枯葉枯葉妻が敬語を使ひけり     露結    苑四ら独亜た
春近き雌雄異体でありにけり     露結    四ら
冬のビルが林檎ジュースに透けてゐる 露結    苑朝亜緋

春よりも春の隣の広さかな      四童    ら亜た露
人類に渡月橋あり日脚伸ぶ      四童    た
尊敬に値してゐる海鼠かな      四童    朝
雄蘂より雌蘂に似たる春の闇     四童    た露
人気なき隣の駅に日脚伸ぶ      四童    緋

以上。(集計:四童)

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